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第一章 「番」と「想い」
16.それで良いんだ!
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その日の夜。サラの傷とアザの状態を確認する。
傷の方はあいつの爪が擦った時に付いたものらしい。イラッとする。そこまで酷く無いが跡が残るといけない。神力を当てる。まあ、治す事は出来ないが血の巡りを活発には出来る。アザの方は圧迫による内出血。中で血が固まらない様にこれまた神力を当てる。跡が残ったらあの土野郎マジで頭潰して殺してやる。
「痛く無いか?」
「うん。大丈夫。アウィン、これ何?気持ち良い」
「俺の神力を当ててるんだ。風は傷は治せないけど身体の代謝を良くする事は出来る。まあ、おまじないだ。腫れは引いてるから2日続ければ治ると思う」
「............やっぱりアウィンは神様なんだ。」
「何だよ。今更」
「アウィン様って呼ぼうかな。それか旦那様?」
「.................いや、いらない」
「良いの?偉いんだよね?」
「馬鹿。お前は俺の妻だぞ?部下や眷族じゃ無い。俺が求めて一緒になったんだ。今まで通りで良いんだよ」
俺はサラの腕に薬を塗り包帯を巻いた。ふと、サラの顔を見る。また、何か言いたげで、言わない前のサラの顔をしていた。
まあ、まだ気持ちを確かめて身体を繋げただけだからしっかりとした絆にはなっていない。何を考えて、何を心配しているか、顔の表情だけでは分からない。でも、基本控えめなサラは言葉を飲み込んで黙ってしまう。
「サラ。言いたい事あるんだろ?ちゃんと言え。タイミングは大事だ」
「.................どうして私に向かって来たの?あの人。アウィンは解ってるのよね?もしかして.................」
え?何か解ってるのか?俺はサラが普通の人間の女だと思って来たが、違うのか?じゃあ、何だ?何者なんだサラは?
「.................もしかして
.................借金取り?」
ガクッ!
「それなら説明がつくかなって。娼館に売る為に身体つきを見たのかなって。服破くなんて酷すぎるし、ニタニタして.................気持ち悪くて。それから、凄く嫌な匂いがしてたの」
「.................!! 嫌な匂い?どんな?」
「嗅いだ事が無い........果実が腐ってるような.........古い油が混ざったような。ねっとりとしてて.....ツンとした...上手く言えないんだけど」
「..............サラ。お前」
「アウィン。私売られないよね?アウィンの妻でいても良いよね?怖いよ。どうしよう.................」
俺はふうっと息を吐き、サラを抱き締める。やはりサラは番の匂いが判っている。俺の匂いと土野郎と違いは有るが判っているのだ。
「サラ。俺はどんな匂いだ?」
「ん?アウィンの?アウィンはねえ、甘いの。果物とお花の匂い。違う匂いなのに上手く合わさって、頭がふわふわする。ねえ、何の香水なの?いつまでも嗅いでいられる。ふふっ」
「.........サラ。あいつは借金取りじゃ無い。因みにハリサントの領地は俺が買い上げた。借金も精算しておいた。今、ハリサント子爵は目を覚ましてるらしい。足が悪くなったみたいだが介護人を付けてある。自分の屋敷に戻ってるはずだ。サラの親だからな。家は残してやったよ。まあ、お前を実家に帰す予定は無いから次いつ会えるか分からんがな」
「そうなの?アウィン、あの.................」
「もうその話は無しだ。お前は俺の妻だ。身体一つで俺に貰われろ。残す憂いは全て俺が晴らした。俺だけ見てれば良い。自分のやりたかった事をすれば良い。それで良いんだ、サラ」
サラの瞳から涙が溢れる。でも、しっかり俺を見つめてる。
「ふふ。お前のオレンジは綺麗だな。元気になるよ。濁ってなくて澄んでて。引き込まれる」
サラの額に自分の額を着ける。
「アウィン。貴方は私の神様ね。出会ってからずっと気になってた。でも私小さくて、姉様もレオーラも綺麗だから。私が貴方に選ばれるなんてあり得ないって思って。でもいつの間にか皆んな居なくなって。最後まで変わらない位置に居てくれたのはアウィンだけ。いつもと変わらない態度で私と話してくれたわ。怖くて不安で泣きたくても、貴方の顔を見れると思うと頑張れたの。月に一度でも.....会いたくて。お仕事忙しいのに。私、お見合いの相手が居なくなってホッとしてた。怖かった。ア、アウィン以外の人に身体を..........だから私」
「宣誓をしたらどっちにしろ死ぬつもりだったか?」
「.................」
「まあ、サラらしいな。.........考え方も。狭い世界で生きて来たんだ。仕方ない。小さな領地から出た事無かっただろ?出てもうちの屋敷と往復くらいだ。どうだ?世界は広いだろ?海を越えても陸が有り、人や動物が生きている。種別も種族も沢山ある。飛んでる鳥の種類いくらあるか知ってるか?約8000種類だ。会ってみたいと思わないか?俺ならそれが出来るよサラ。お前が手に入れた夫は.................世界を飛べる」
「.....やっぱりアウィン様って呼ぶ」
「ふっ。嫌だよ。名前だけにしてくれ。どうだ?死ななくて良かっただろ?」
「うん。夢じゃ無いよね?私、アウィンの妻で合ってるよね?」
「じゃあ、思い知らせてやろうか?」
「え?」
「俺の匂い.........好きだろ?」
「.................うん。良い匂い」
「沢山嗅がせてやるよ。ベッドの中でな。」
傷の方はあいつの爪が擦った時に付いたものらしい。イラッとする。そこまで酷く無いが跡が残るといけない。神力を当てる。まあ、治す事は出来ないが血の巡りを活発には出来る。アザの方は圧迫による内出血。中で血が固まらない様にこれまた神力を当てる。跡が残ったらあの土野郎マジで頭潰して殺してやる。
「痛く無いか?」
「うん。大丈夫。アウィン、これ何?気持ち良い」
「俺の神力を当ててるんだ。風は傷は治せないけど身体の代謝を良くする事は出来る。まあ、おまじないだ。腫れは引いてるから2日続ければ治ると思う」
「............やっぱりアウィンは神様なんだ。」
「何だよ。今更」
「アウィン様って呼ぼうかな。それか旦那様?」
「.................いや、いらない」
「良いの?偉いんだよね?」
「馬鹿。お前は俺の妻だぞ?部下や眷族じゃ無い。俺が求めて一緒になったんだ。今まで通りで良いんだよ」
俺はサラの腕に薬を塗り包帯を巻いた。ふと、サラの顔を見る。また、何か言いたげで、言わない前のサラの顔をしていた。
まあ、まだ気持ちを確かめて身体を繋げただけだからしっかりとした絆にはなっていない。何を考えて、何を心配しているか、顔の表情だけでは分からない。でも、基本控えめなサラは言葉を飲み込んで黙ってしまう。
「サラ。言いたい事あるんだろ?ちゃんと言え。タイミングは大事だ」
「.................どうして私に向かって来たの?あの人。アウィンは解ってるのよね?もしかして.................」
え?何か解ってるのか?俺はサラが普通の人間の女だと思って来たが、違うのか?じゃあ、何だ?何者なんだサラは?
「.................もしかして
.................借金取り?」
ガクッ!
「それなら説明がつくかなって。娼館に売る為に身体つきを見たのかなって。服破くなんて酷すぎるし、ニタニタして.................気持ち悪くて。それから、凄く嫌な匂いがしてたの」
「.................!! 嫌な匂い?どんな?」
「嗅いだ事が無い........果実が腐ってるような.........古い油が混ざったような。ねっとりとしてて.....ツンとした...上手く言えないんだけど」
「..............サラ。お前」
「アウィン。私売られないよね?アウィンの妻でいても良いよね?怖いよ。どうしよう.................」
俺はふうっと息を吐き、サラを抱き締める。やはりサラは番の匂いが判っている。俺の匂いと土野郎と違いは有るが判っているのだ。
「サラ。俺はどんな匂いだ?」
「ん?アウィンの?アウィンはねえ、甘いの。果物とお花の匂い。違う匂いなのに上手く合わさって、頭がふわふわする。ねえ、何の香水なの?いつまでも嗅いでいられる。ふふっ」
「.........サラ。あいつは借金取りじゃ無い。因みにハリサントの領地は俺が買い上げた。借金も精算しておいた。今、ハリサント子爵は目を覚ましてるらしい。足が悪くなったみたいだが介護人を付けてある。自分の屋敷に戻ってるはずだ。サラの親だからな。家は残してやったよ。まあ、お前を実家に帰す予定は無いから次いつ会えるか分からんがな」
「そうなの?アウィン、あの.................」
「もうその話は無しだ。お前は俺の妻だ。身体一つで俺に貰われろ。残す憂いは全て俺が晴らした。俺だけ見てれば良い。自分のやりたかった事をすれば良い。それで良いんだ、サラ」
サラの瞳から涙が溢れる。でも、しっかり俺を見つめてる。
「ふふ。お前のオレンジは綺麗だな。元気になるよ。濁ってなくて澄んでて。引き込まれる」
サラの額に自分の額を着ける。
「アウィン。貴方は私の神様ね。出会ってからずっと気になってた。でも私小さくて、姉様もレオーラも綺麗だから。私が貴方に選ばれるなんてあり得ないって思って。でもいつの間にか皆んな居なくなって。最後まで変わらない位置に居てくれたのはアウィンだけ。いつもと変わらない態度で私と話してくれたわ。怖くて不安で泣きたくても、貴方の顔を見れると思うと頑張れたの。月に一度でも.....会いたくて。お仕事忙しいのに。私、お見合いの相手が居なくなってホッとしてた。怖かった。ア、アウィン以外の人に身体を..........だから私」
「宣誓をしたらどっちにしろ死ぬつもりだったか?」
「.................」
「まあ、サラらしいな。.........考え方も。狭い世界で生きて来たんだ。仕方ない。小さな領地から出た事無かっただろ?出てもうちの屋敷と往復くらいだ。どうだ?世界は広いだろ?海を越えても陸が有り、人や動物が生きている。種別も種族も沢山ある。飛んでる鳥の種類いくらあるか知ってるか?約8000種類だ。会ってみたいと思わないか?俺ならそれが出来るよサラ。お前が手に入れた夫は.................世界を飛べる」
「.....やっぱりアウィン様って呼ぶ」
「ふっ。嫌だよ。名前だけにしてくれ。どうだ?死ななくて良かっただろ?」
「うん。夢じゃ無いよね?私、アウィンの妻で合ってるよね?」
「じゃあ、思い知らせてやろうか?」
「え?」
「俺の匂い.........好きだろ?」
「.................うん。良い匂い」
「沢山嗅がせてやるよ。ベッドの中でな。」
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