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第一章 あなたとの出会い
少年たちの秘密の計画
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「ああ。魔力が…高い。いや、違うか。なんて言うか、膨大?底が見えない。そんな感じ」
「いやいやいや、待てよ!カサナロ家は魔力保持者はいないんじゃ無いか?勿論ちゃんと調べないとはっきり言えないけどさ。そんな魔力がある人物なら普通は放置されないからな!お前だって知ってるだろ?魔術師になれる可能性がある奴は王宮機関に囲い込まれるの」
「ああ、俺もガチガチだしな」
ダヤンはそう言いながらふらっと窓際まで歩き出す。どこに居ても誰と居ても、何をしていても監視されているような魔力の淀み。常に自分に纏わりつく目、耳。一度気づいてしまえばもう駄目だった。
魔術書を読み漁り、誰に師従する事なく 攻撃魔術以外の隠蔽・遮断・反射・防音・防御・転移、その他補助系の術を自力で取得してしまった。逃れる為に。今も絶賛 防音、遮断の術を施行している。
これを覆すには術を行使している魔術師より力のある者しか出来ない。つまりダヤンよりも強力な魔術を行使出来る魔術師はここには居ない、と言うことになる。
齢十歳でダヤンは最強の魔術師の称号に誰よりも近かった。しかし、魔力量に関してはまだ子供の域を出なかった。体の大きさではない。練度の問題である。自分の中の魔力を最大に凝縮させるには時間が必要であった。それこそ何年もかかり、自分の限界の魔力量を理解し、溜め込む。余分な魔力は放出する。そうでなければ魔力過多症に陥る危険があった。
魔術師に付き纏う体内の魔力内包量の限界の問題。解決は難しい。放出した魔力は魔石に一時的に込める事が出来るが、どんなに長くても二~三日ほどで霧散してしまう。
ただ、簡単な特定の術を施した魔石は少ない魔力でも充分利用出来た。
例えば小さな火種を作る。コップ半分の水を出す、などだ。この程度であれば二週間ほど継続して同じ魔石で事足りる。ささやかな術ではあるが、術を使えない国民には必要不可欠な便利な道具であった。
「本当にそんな魔力を持ってるなら魔力過多症になってなきゃ説明できないじゃん。うちの国は特に魔力過多症が多い。生まれてすぐ突然死するのも八割それだし。大体どうやってそんな膨大な魔力を放出してんだよ」
「だからだよ。普通じゃないんだ」
ダヤンは考え込むようにレジンの前まで戻り、向かいのソファに腰を下ろす。
「側にいるだけじゃ全くわからなかったんだ。でも直接肌に触れると魔力が渦巻いて溢れ出すように感じたんだ」
「いつ触ったんだよ…」
「そこ?」
パーティーには公爵家の人間として普通に入場した。貴族である以上必要な仕事だ。公爵家として挨拶も済ませた。仕事は終わった。適当なところで隠蔽の術を使いお開きまで時間つぶしに王宮の図書館へ向かおうとした時、ふと赤い花が目に入った。真紅の星の形の肉厚の花弁が四重に重なった大きな花だ。しかも沢山。ブーケに設えてあるようだが、持っているはずの人物が見当たらない。
ヒョコヒョコと上下に揺れながら目の前まで来るのをただボンヤリと眺めてしまった。はっと気づいた時には遅かった。その花は何の戸惑いも無く突っ込んで来た。
(しまった!隠蔽の術を掛けていた!)
ボンっと音がするようにブーケがクッションになりふわっと薄いミルクティー色の髪が浮いていた。咄嗟に手を伸ばしブーケごと抱えた。
(軽っ!ん?なんだ?あ、たたかい?いや…)
女の子の背中に添えた手に何かふわりとした気配を感じた。今日はそんなに暑くない。いや寧ろ少し肌寒い。一瞬不思議に思って固まってしまった。じわじわと染み込む様だ。
(何だ?)
「あ、あのあの、すいません。わたくし気付かずにぶつかってしまいました!」
不意に可愛らしい女の子の声が聞こえる。はっとして、抱えていた斜めになっている体を起こしてやる。その際に肩に手を置いた親指が首に近い彼女の肌に直接触れたその瞬間
『ズァッ』
「ぐぅっぅ」
(なんだ!なんだこれ!!ま、魔力?深い!)
ダヤンは今まで味わった事の無い、他人の魔力を肌で感じる感覚に驚愕した。一度離した指を眺め、確認するように彼女の少し見えていた頬に手を伸ばす。
そして、そして…
その心地良い魔力に
トロっと
蜂蜜のような
それでいて暖かくて
いつまでも浸っていたい
底の見えない只々深い
甘い穏やかな川の流れのような
一瞬にしてその魔力に囚われてしまった。
その後彼女はまたヒョコヒョコとレジンの居る方向に歩いて行く。ダヤンは再び隠蔽の術を自身に掛け、レジンの横に立った。
そこで初めて彼女の容姿をマジマジ見た。彼女はレジンに挨拶をし、ハサルの花について説明をしていた。
(そう言えばいつからハサルの花は特産になったんだっけ?)
「きっとハサルの花はカサナロが好きなんですのよ!離れたら悲しくて悲しくて枯れてしまうのですわ」
(! こ、これは。この子リスめ!ほら、周り見ろ。駄目だろ。無自覚か)
「こらこら…ヤバいな」
(日を空けると多分埋もれる。やるなら今しかないな。柄じゃ無い。柄じゃ無いけど…なんでこんな事俺が)
額に手を当ててしばらく考える。
(でも、きっと離してはいけない。逃がしてはいけない。そんな気がするんだ)
「まあ、今回のパフォーマンスである程度牽制出来ただろうし、早々に囲いこんで手に入れるよ」
「いや、何怖い事サラッと言ってんだよ。手に入れるってなんだよ!」
「大丈夫。俺公爵家だし。子爵家相手なら問題無い」
「攫う気か!何するつもりだお前!?」
「なんでそうなるんだよ。勿論」
「勿論?」
「婚約する」
「こ、婚約?なんで?」
「婚約者なら堂々と会えるだろ?」
「会ってなにするんだよ。」
「調べるんだよ。膨大な魔力量の秘密を」
「そ…それ、ミリアーナ嬢に失礼じゃないか?そうだよ、好きでもないのに恋しました~なんて騙して。俺だったら死ねるわ」
「騙してなんかないさ。好きだよ。彼女の魔力」
「おっ前!」
「それにもし解明出来たら魔力過多症の有効な回避方法が見つかるかも知れない。魔力の放出をしなくても良い方法が見つかるかもしれない」
ダヤンはソファの背もたれに背中を付けレジンを見据える。
「俺はさ、今手詰まりなんだよ。歳を重ねないと魔力量はどうにもならない。そんな不確かな前にも進めない今の状態を抜け出したい」
「それでも!」
「レジンは良いやつだな」
「違う。普通だ」
「王族らしくない」
「そうじゃない。 王族とかの前に、俺もお前も男だろ?」
「……」
「女の子泣かすのは、駄目だろ」
「可愛いな」
「刺すぞ」
「お前の言いたい事は判るよ」
「大事にしてやれよ。演技でもなんでも」
「ふふっ」
「ちっ!やな奴に見つけられたな彼女。よりによってこいつか…まあ、でもさ」
「なんだ?」
「案外あっさり落ちるかもな」
「何が?」
「勿論、お前が、だよ。ダヤン」
第二王子の十歳の誕生日パーティーの数日後、マクロサーパス公爵家よりカサナロ子爵家へと正式な縁談の日付が通達された。
*
王都からカサナロ領は馬車で約五日の道のりである。間に四度宿を取り、無事に領内に戻った。馬車に揺られるのはなかなかハードである。通常ならば疲れが溜まるものだが、カサナロ家の者は割と元気であった。
これもハサルの花のお陰であるとして馬車内には常にハサルのリースやポプリが飾られている。
「はー、帰って来ましたわねー。あっという間でしたね、父さま。父さま?」
「あ?うん。帰って来たねー。どうだい?疲れたかい?」
「いいえ。全然!やっぱりハサルの花は疲労回復の効能もあるんではないかしら?」
「うん。あり得ない事じゃないだろうね。しかしこの花は凄いね。まるで奇跡だ」
「そうですね。父さま。ハサルは昔からカサナロにしか咲かなかったのでしょうか?」
「んーと言うか、私が小さい頃は無かったよ。そうだな。それこそほんの十年前くらいからじゃないかな?領民の農夫の方がハサルの花を持って来たんだ。突然森の池の辺りで大量に咲き出した。この花はなんだろう、とね」
あれよあれよと言う間に池は花に囲まれた。
「するとね、池がとっても綺麗になったんだよ。元々農耕用の溜め池程度の湧き水も出ていない水だったし、藻が沢山繁殖して、水浴びなんてとてもじゃないが出来ない汚い池だったのに」
池は透き通る水に浄化され、今では底が見える程となる。
「あまりに不思議だったので、花について可能な限り調査してもらったらやはり浄化作用があると認められて。それから繁殖力も旺盛だったから栽培に踏み切ったんだけど…」
カサナロの小さな領内でしか育たなかった。理由はわからなかった。
特別な肥料でも水でも無く。ハサルの花は年中咲き乱れる。暑さも寒さも関係ない。
通常ならば当然魔術か魔具が考えられるが、そのような気配も無いと言う。
育つ理由がわからない花。
「はじめは、怪しいしちょっと怖いなーと思っていたんだけどね」
「僕もそうです。幼い頃、気づいたら凄く増えていて。長い間咲き続けるし。かと思ったら突然枯れて、いつのまにか同じ所にまた芽が出ていてすぐ大きくなるし。種で増えるとは言われますが根だけでも増えるし。なんだか仕組みの解らない花ですから」
兄のハルトが頷きながら返す。
「そうなんだよねー。解らないんだよ。だけどなんかね…悪いものじゃ無いことだけはわかるんだ」
「いやいやいや、待てよ!カサナロ家は魔力保持者はいないんじゃ無いか?勿論ちゃんと調べないとはっきり言えないけどさ。そんな魔力がある人物なら普通は放置されないからな!お前だって知ってるだろ?魔術師になれる可能性がある奴は王宮機関に囲い込まれるの」
「ああ、俺もガチガチだしな」
ダヤンはそう言いながらふらっと窓際まで歩き出す。どこに居ても誰と居ても、何をしていても監視されているような魔力の淀み。常に自分に纏わりつく目、耳。一度気づいてしまえばもう駄目だった。
魔術書を読み漁り、誰に師従する事なく 攻撃魔術以外の隠蔽・遮断・反射・防音・防御・転移、その他補助系の術を自力で取得してしまった。逃れる為に。今も絶賛 防音、遮断の術を施行している。
これを覆すには術を行使している魔術師より力のある者しか出来ない。つまりダヤンよりも強力な魔術を行使出来る魔術師はここには居ない、と言うことになる。
齢十歳でダヤンは最強の魔術師の称号に誰よりも近かった。しかし、魔力量に関してはまだ子供の域を出なかった。体の大きさではない。練度の問題である。自分の中の魔力を最大に凝縮させるには時間が必要であった。それこそ何年もかかり、自分の限界の魔力量を理解し、溜め込む。余分な魔力は放出する。そうでなければ魔力過多症に陥る危険があった。
魔術師に付き纏う体内の魔力内包量の限界の問題。解決は難しい。放出した魔力は魔石に一時的に込める事が出来るが、どんなに長くても二~三日ほどで霧散してしまう。
ただ、簡単な特定の術を施した魔石は少ない魔力でも充分利用出来た。
例えば小さな火種を作る。コップ半分の水を出す、などだ。この程度であれば二週間ほど継続して同じ魔石で事足りる。ささやかな術ではあるが、術を使えない国民には必要不可欠な便利な道具であった。
「本当にそんな魔力を持ってるなら魔力過多症になってなきゃ説明できないじゃん。うちの国は特に魔力過多症が多い。生まれてすぐ突然死するのも八割それだし。大体どうやってそんな膨大な魔力を放出してんだよ」
「だからだよ。普通じゃないんだ」
ダヤンは考え込むようにレジンの前まで戻り、向かいのソファに腰を下ろす。
「側にいるだけじゃ全くわからなかったんだ。でも直接肌に触れると魔力が渦巻いて溢れ出すように感じたんだ」
「いつ触ったんだよ…」
「そこ?」
パーティーには公爵家の人間として普通に入場した。貴族である以上必要な仕事だ。公爵家として挨拶も済ませた。仕事は終わった。適当なところで隠蔽の術を使いお開きまで時間つぶしに王宮の図書館へ向かおうとした時、ふと赤い花が目に入った。真紅の星の形の肉厚の花弁が四重に重なった大きな花だ。しかも沢山。ブーケに設えてあるようだが、持っているはずの人物が見当たらない。
ヒョコヒョコと上下に揺れながら目の前まで来るのをただボンヤリと眺めてしまった。はっと気づいた時には遅かった。その花は何の戸惑いも無く突っ込んで来た。
(しまった!隠蔽の術を掛けていた!)
ボンっと音がするようにブーケがクッションになりふわっと薄いミルクティー色の髪が浮いていた。咄嗟に手を伸ばしブーケごと抱えた。
(軽っ!ん?なんだ?あ、たたかい?いや…)
女の子の背中に添えた手に何かふわりとした気配を感じた。今日はそんなに暑くない。いや寧ろ少し肌寒い。一瞬不思議に思って固まってしまった。じわじわと染み込む様だ。
(何だ?)
「あ、あのあの、すいません。わたくし気付かずにぶつかってしまいました!」
不意に可愛らしい女の子の声が聞こえる。はっとして、抱えていた斜めになっている体を起こしてやる。その際に肩に手を置いた親指が首に近い彼女の肌に直接触れたその瞬間
『ズァッ』
「ぐぅっぅ」
(なんだ!なんだこれ!!ま、魔力?深い!)
ダヤンは今まで味わった事の無い、他人の魔力を肌で感じる感覚に驚愕した。一度離した指を眺め、確認するように彼女の少し見えていた頬に手を伸ばす。
そして、そして…
その心地良い魔力に
トロっと
蜂蜜のような
それでいて暖かくて
いつまでも浸っていたい
底の見えない只々深い
甘い穏やかな川の流れのような
一瞬にしてその魔力に囚われてしまった。
その後彼女はまたヒョコヒョコとレジンの居る方向に歩いて行く。ダヤンは再び隠蔽の術を自身に掛け、レジンの横に立った。
そこで初めて彼女の容姿をマジマジ見た。彼女はレジンに挨拶をし、ハサルの花について説明をしていた。
(そう言えばいつからハサルの花は特産になったんだっけ?)
「きっとハサルの花はカサナロが好きなんですのよ!離れたら悲しくて悲しくて枯れてしまうのですわ」
(! こ、これは。この子リスめ!ほら、周り見ろ。駄目だろ。無自覚か)
「こらこら…ヤバいな」
(日を空けると多分埋もれる。やるなら今しかないな。柄じゃ無い。柄じゃ無いけど…なんでこんな事俺が)
額に手を当ててしばらく考える。
(でも、きっと離してはいけない。逃がしてはいけない。そんな気がするんだ)
「まあ、今回のパフォーマンスである程度牽制出来ただろうし、早々に囲いこんで手に入れるよ」
「いや、何怖い事サラッと言ってんだよ。手に入れるってなんだよ!」
「大丈夫。俺公爵家だし。子爵家相手なら問題無い」
「攫う気か!何するつもりだお前!?」
「なんでそうなるんだよ。勿論」
「勿論?」
「婚約する」
「こ、婚約?なんで?」
「婚約者なら堂々と会えるだろ?」
「会ってなにするんだよ。」
「調べるんだよ。膨大な魔力量の秘密を」
「そ…それ、ミリアーナ嬢に失礼じゃないか?そうだよ、好きでもないのに恋しました~なんて騙して。俺だったら死ねるわ」
「騙してなんかないさ。好きだよ。彼女の魔力」
「おっ前!」
「それにもし解明出来たら魔力過多症の有効な回避方法が見つかるかも知れない。魔力の放出をしなくても良い方法が見つかるかもしれない」
ダヤンはソファの背もたれに背中を付けレジンを見据える。
「俺はさ、今手詰まりなんだよ。歳を重ねないと魔力量はどうにもならない。そんな不確かな前にも進めない今の状態を抜け出したい」
「それでも!」
「レジンは良いやつだな」
「違う。普通だ」
「王族らしくない」
「そうじゃない。 王族とかの前に、俺もお前も男だろ?」
「……」
「女の子泣かすのは、駄目だろ」
「可愛いな」
「刺すぞ」
「お前の言いたい事は判るよ」
「大事にしてやれよ。演技でもなんでも」
「ふふっ」
「ちっ!やな奴に見つけられたな彼女。よりによってこいつか…まあ、でもさ」
「なんだ?」
「案外あっさり落ちるかもな」
「何が?」
「勿論、お前が、だよ。ダヤン」
第二王子の十歳の誕生日パーティーの数日後、マクロサーパス公爵家よりカサナロ子爵家へと正式な縁談の日付が通達された。
*
王都からカサナロ領は馬車で約五日の道のりである。間に四度宿を取り、無事に領内に戻った。馬車に揺られるのはなかなかハードである。通常ならば疲れが溜まるものだが、カサナロ家の者は割と元気であった。
これもハサルの花のお陰であるとして馬車内には常にハサルのリースやポプリが飾られている。
「はー、帰って来ましたわねー。あっという間でしたね、父さま。父さま?」
「あ?うん。帰って来たねー。どうだい?疲れたかい?」
「いいえ。全然!やっぱりハサルの花は疲労回復の効能もあるんではないかしら?」
「うん。あり得ない事じゃないだろうね。しかしこの花は凄いね。まるで奇跡だ」
「そうですね。父さま。ハサルは昔からカサナロにしか咲かなかったのでしょうか?」
「んーと言うか、私が小さい頃は無かったよ。そうだな。それこそほんの十年前くらいからじゃないかな?領民の農夫の方がハサルの花を持って来たんだ。突然森の池の辺りで大量に咲き出した。この花はなんだろう、とね」
あれよあれよと言う間に池は花に囲まれた。
「するとね、池がとっても綺麗になったんだよ。元々農耕用の溜め池程度の湧き水も出ていない水だったし、藻が沢山繁殖して、水浴びなんてとてもじゃないが出来ない汚い池だったのに」
池は透き通る水に浄化され、今では底が見える程となる。
「あまりに不思議だったので、花について可能な限り調査してもらったらやはり浄化作用があると認められて。それから繁殖力も旺盛だったから栽培に踏み切ったんだけど…」
カサナロの小さな領内でしか育たなかった。理由はわからなかった。
特別な肥料でも水でも無く。ハサルの花は年中咲き乱れる。暑さも寒さも関係ない。
通常ならば当然魔術か魔具が考えられるが、そのような気配も無いと言う。
育つ理由がわからない花。
「はじめは、怪しいしちょっと怖いなーと思っていたんだけどね」
「僕もそうです。幼い頃、気づいたら凄く増えていて。長い間咲き続けるし。かと思ったら突然枯れて、いつのまにか同じ所にまた芽が出ていてすぐ大きくなるし。種で増えるとは言われますが根だけでも増えるし。なんだか仕組みの解らない花ですから」
兄のハルトが頷きながら返す。
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