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◇式前30日の記録
10.スパラッシュ、捕縛への道⑶
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「ああ.........スパラッシュ.........? 」
涙ぐむリリア。
「リリア様.........来てしまいました。貴方が心配で。そして.........(彼を捕縛する為に)」ニコリ
「................(そう来たか!)でも嬉しい!!」
リリアはスパラッシュを抱き締めた。今は唯嬉しくて、嬉しくて。泣いてしまいそうだ。ため込んでいたものが吹き出しそうになる。
その様子をソファに座りながら見つめる男とその後ろで立つ男。
「「凄い絵だな.........」」
「何だこれ.........美しい.........。いや、え?ちょっと待て。スパラッシュ様って天界のあの虹色の蜘蛛さんだよな?天界の生き物は簡単に人になれるって事か?」
トーザが呆然と呟く。
「簡単かどうかは判りませんが.........わたくしは高位であったのと、身体の殆どを女神様にお返し致しましたので。失ったモノが対価になります」
「失ったモノ?」
「ええ。目を6つ。脚を4脚。牙2本とあらゆるモノを虹色に紡げる「技」をお返し致しました。ですのでわたくしはもう天界には住む事は叶いません」
少し寂しそうに俯くスパラッシュ。
「.........どうしてそこまでして.........」
「.........叶えたい事が下界で出来たので.........。あ、ですが、糸は出せますので、わたくしをリリア様の護衛兼従者に雇い入れて頂けませんでしょうか?」
「え?糸を?」
「はい。本当はもう少し早くにお伺い出来るはずでしたが、この身体に慣れ、リリア様をお護り出来る様にと特訓して参りました。良ければお見せ致しますよ?」
「.........えっと....え?.....はい。まあ、じゃあトーザ。お相手して差し上げろ」
「え!俺?いや、.........はい」
「採用試験ですね?頑張りますわ」
「いや、そんな大袈裟なモノでは.........」
スパラッシュはリリアから身体を離し、トーザに向かって歩き出す。
「(本当に糸を出すなら.........あのスパラッシュ様だよな?.........え?このタイミングで.........まさか『御神託』の運命の者って.........)」
シューマはゴクリと喉を鳴らした。
「(解決ノ道 運命ノ者 実直ニ向キ合ウ.........?)」
目の前を通るふわふわとした薄くピンク掛かった銀髪の紫色の瞳の美人を目で追う。本当に.........あの蜘蛛か?
何故かドキドキ胸がし始める。だが、恋とか好意とかでは無い。『御神託』の通りかも知れないと言う期待。得体の知れない未知の存在に自分が関わるという高揚だ!.......と思う。
トーザと向かい合わせに立つその姿は可憐な貴族子女の様だ。護衛には見えない。
「えっと.........どうすれば.........」
トーザが困り顔でシューマを見る。
「.................本気で斬りかかれトーザ。スパラッシュ様。護衛に就くならその覚悟見せて頂きます」
「え?それは......... 」
戸惑うトーザ。
「(ふふシューマ様分かってらっしゃる。素敵!)勿論ですわ。どうぞ良しなに」
「では、真剣勝負。始め!」
涙ぐむリリア。
「リリア様.........来てしまいました。貴方が心配で。そして.........(彼を捕縛する為に)」ニコリ
「................(そう来たか!)でも嬉しい!!」
リリアはスパラッシュを抱き締めた。今は唯嬉しくて、嬉しくて。泣いてしまいそうだ。ため込んでいたものが吹き出しそうになる。
その様子をソファに座りながら見つめる男とその後ろで立つ男。
「「凄い絵だな.........」」
「何だこれ.........美しい.........。いや、え?ちょっと待て。スパラッシュ様って天界のあの虹色の蜘蛛さんだよな?天界の生き物は簡単に人になれるって事か?」
トーザが呆然と呟く。
「簡単かどうかは判りませんが.........わたくしは高位であったのと、身体の殆どを女神様にお返し致しましたので。失ったモノが対価になります」
「失ったモノ?」
「ええ。目を6つ。脚を4脚。牙2本とあらゆるモノを虹色に紡げる「技」をお返し致しました。ですのでわたくしはもう天界には住む事は叶いません」
少し寂しそうに俯くスパラッシュ。
「.........どうしてそこまでして.........」
「.........叶えたい事が下界で出来たので.........。あ、ですが、糸は出せますので、わたくしをリリア様の護衛兼従者に雇い入れて頂けませんでしょうか?」
「え?糸を?」
「はい。本当はもう少し早くにお伺い出来るはずでしたが、この身体に慣れ、リリア様をお護り出来る様にと特訓して参りました。良ければお見せ致しますよ?」
「.........えっと....え?.....はい。まあ、じゃあトーザ。お相手して差し上げろ」
「え!俺?いや、.........はい」
「採用試験ですね?頑張りますわ」
「いや、そんな大袈裟なモノでは.........」
スパラッシュはリリアから身体を離し、トーザに向かって歩き出す。
「(本当に糸を出すなら.........あのスパラッシュ様だよな?.........え?このタイミングで.........まさか『御神託』の運命の者って.........)」
シューマはゴクリと喉を鳴らした。
「(解決ノ道 運命ノ者 実直ニ向キ合ウ.........?)」
目の前を通るふわふわとした薄くピンク掛かった銀髪の紫色の瞳の美人を目で追う。本当に.........あの蜘蛛か?
何故かドキドキ胸がし始める。だが、恋とか好意とかでは無い。『御神託』の通りかも知れないと言う期待。得体の知れない未知の存在に自分が関わるという高揚だ!.......と思う。
トーザと向かい合わせに立つその姿は可憐な貴族子女の様だ。護衛には見えない。
「えっと.........どうすれば.........」
トーザが困り顔でシューマを見る。
「.................本気で斬りかかれトーザ。スパラッシュ様。護衛に就くならその覚悟見せて頂きます」
「え?それは......... 」
戸惑うトーザ。
「(ふふシューマ様分かってらっしゃる。素敵!)勿論ですわ。どうぞ良しなに」
「では、真剣勝負。始め!」
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