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◇本編
91.
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「テ.........テオルド.........。だからあんなにお風呂入りたがってたの?ワタシ汚れないのに.........可笑しいなってちょっと思ってた」
ヒョイッとテオルドの顔を見る。真っ赤になって目を閉じていた。
「.........っだって.................お前の顔見たかったんだ。凄く.........安心したんだ。先の不安も全て消し飛ぶくらい。勿論シラサギのお前も綺麗だけど.........俺の.........っ」
「俺の?」
「ーーーーっ」
テオルドは口にキュッと力を入れて下を向いていた。
ワタシは突然の事に何だかふわふわした疲れた頭でもう一度反芻してみる。
えっと.........
テオルドには好きな人がいるけど待ってる訳じゃ無い。しかも告白出来てない。
テオルドの『御神託』の内容は二択だったんだよね?
命運か女神様の従属に降るか?
従属に降ったら.........ん?ワタシを.........ん?伴侶?
待ってたって.........?
え?つまり.........10年経ったらワタシはテオルドと番う事が決まってたって事?え?でもワタシが女神様からの三つの選択肢を選ぶ様に言われて.....貴方次第だって....「愛し方」を教えてって.........。
い、いや、そうじゃなくて.........そうじゃなくて.........そんなどころじゃなくてーーーーっ!
ワ、ワタシ.................ワタシがテオルドの.........
心臓が早く鳴り響く。
「リリア.........」
テオルドはパクパク口を開け閉めするワタシの前に移動して片膝を着いた。
朝日がいつの間にか山の奥から顔を出して周りを赤く照らし始めている。ああ.........夜が.........明けた.........
「お前が好きだリリア。俺だけの白い鳥。どうかこの先も俺の側に居てくれないか。姿だけに惹かれた訳じゃ無い。聡明で賢く素直で勇敢で俺の為に命を掛けるお前を.........離せる訳がない。12の時からずっとお前だけ見て来たんだ。そしてお前が居れば俺は人間として生きて行ける。リリア。どうか俺と一緒になってくれ」
「あ.........ああ.........う.........ぅぅ......... 」
涙がポロポロ勝手に出て来て止まらない。
本当?ワタシ?ずっと?本当?夢?
「ありがとうリリア。俺の所に落ちて来てくれて。異能の力で壊れそうだった俺はお前にずっと救われてきたんだ。お前の存在と力に。そうでなければ『悪気』に塗れた唯血を浴び続ける怪物になってた。周りの人達を傷付けて。この選択肢をくれた女神様に.........感謝している」
ワタシは震えながらテオルドの腕に手を置く。人間の手は敏感だ。触れれば硬い、柔らかい、暖かい、冷たい全部解る。
「リリア、返事は?」
テオルドが少し微笑んでワタシの顔に手を添えた。
暖かくて固いけど大きくて優しい手。大好きな手。
ああ、女神様.......ワタシ、ちゃんと笑えてますか?
「テオルド.........貴方が大好きよ。ずっとずっと好き。もう翼は焼けてしまったけど....役には立てないかも知れないけど.....それでも貴方の綺麗な青空の瞳を見ていたい」
「........貴方の側にいさせて。これからもずっと」
ヒョイッとテオルドの顔を見る。真っ赤になって目を閉じていた。
「.........っだって.................お前の顔見たかったんだ。凄く.........安心したんだ。先の不安も全て消し飛ぶくらい。勿論シラサギのお前も綺麗だけど.........俺の.........っ」
「俺の?」
「ーーーーっ」
テオルドは口にキュッと力を入れて下を向いていた。
ワタシは突然の事に何だかふわふわした疲れた頭でもう一度反芻してみる。
えっと.........
テオルドには好きな人がいるけど待ってる訳じゃ無い。しかも告白出来てない。
テオルドの『御神託』の内容は二択だったんだよね?
命運か女神様の従属に降るか?
従属に降ったら.........ん?ワタシを.........ん?伴侶?
待ってたって.........?
え?つまり.........10年経ったらワタシはテオルドと番う事が決まってたって事?え?でもワタシが女神様からの三つの選択肢を選ぶ様に言われて.....貴方次第だって....「愛し方」を教えてって.........。
い、いや、そうじゃなくて.........そうじゃなくて.........そんなどころじゃなくてーーーーっ!
ワ、ワタシ.................ワタシがテオルドの.........
心臓が早く鳴り響く。
「リリア.........」
テオルドはパクパク口を開け閉めするワタシの前に移動して片膝を着いた。
朝日がいつの間にか山の奥から顔を出して周りを赤く照らし始めている。ああ.........夜が.........明けた.........
「お前が好きだリリア。俺だけの白い鳥。どうかこの先も俺の側に居てくれないか。姿だけに惹かれた訳じゃ無い。聡明で賢く素直で勇敢で俺の為に命を掛けるお前を.........離せる訳がない。12の時からずっとお前だけ見て来たんだ。そしてお前が居れば俺は人間として生きて行ける。リリア。どうか俺と一緒になってくれ」
「あ.........ああ.........う.........ぅぅ......... 」
涙がポロポロ勝手に出て来て止まらない。
本当?ワタシ?ずっと?本当?夢?
「ありがとうリリア。俺の所に落ちて来てくれて。異能の力で壊れそうだった俺はお前にずっと救われてきたんだ。お前の存在と力に。そうでなければ『悪気』に塗れた唯血を浴び続ける怪物になってた。周りの人達を傷付けて。この選択肢をくれた女神様に.........感謝している」
ワタシは震えながらテオルドの腕に手を置く。人間の手は敏感だ。触れれば硬い、柔らかい、暖かい、冷たい全部解る。
「リリア、返事は?」
テオルドが少し微笑んでワタシの顔に手を添えた。
暖かくて固いけど大きくて優しい手。大好きな手。
ああ、女神様.......ワタシ、ちゃんと笑えてますか?
「テオルド.........貴方が大好きよ。ずっとずっと好き。もう翼は焼けてしまったけど....役には立てないかも知れないけど.....それでも貴方の綺麗な青空の瞳を見ていたい」
「........貴方の側にいさせて。これからもずっと」
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