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◇本編
78.
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「.................そうですか。さぞお美しいのでしょうね?後ろから襲わなければ良かった。残念」
「いえ。ワタシ変な顔みたいです。人間に変わらなければ良かったと少し後悔しました」
「リリア様!何言ってらっしゃるんですか!貴方は大変お美しいです!とっても!」
「優しいな~トーザさんは。良いんです、慰めなくて。まあ、そんなこんなで今テオルドから逃げて来た所なんです。だからシャリル卿。ワタシも一緒に連れて行って下さい」
「リリア様!」
「.................度胸有りますね?」
「ワタシ、やりたい事やりました。だからもう良いかと思って。これ以上は欲が出ます。居なくなる方が良いのです」
「そうですか?折角人間になったのに?」
「10年もの年月をテオルドと共に過ごして来ました。ワタシは彼に命を救われた鳥だった。唯の鳥のワタシが女神様のご好意で再び彼の元へ帰れる機会が与えられたのです。人間の姿で。言葉を交わし感謝を述べ、プレゼントを渡しました。この日を迎えられただけでも.........幸せでした。日々の小さな幸せと今日頂いた幸せが有れば.........残り少ない日々も過ごせます。でも........」
「.................」
「シャリル卿。ワタシを殺しますか?ではどうかこのお屋敷の外でお願いします。テオルドに血塗れの骸は見せたく有りません。ワタシも.........女の子ですから」
「.........貴方は真っ白な方ですね。自分の黒さが身に染みます。.........どうすれば良いのでしょうね。こんなに真っ黒な私でもあの人を裏切れない。裏切りたくないのです。最後の瞬間まで......頼られたい。死んで欲しく無い」
ああ.........
そうか.........
ワタシやっぱり自分の事しか考えて無かった。
受け入れられ無い想いはきっと何処にでもあるんだ。形は違うけど、この人も.........不器用な愛。じゃあ、ワタシは.........ワタシは唯逃げただけ。離れていれば辛く無いなんて.........傷つきたく無いから。
でも.........
「シャリル卿.........貴方はビオルテルダ公女を.................では、先を考えませんか?最後に行き着く先を。死ぬのはいつでも出来ますがもし、選択出来る未来が有るなら今からでも選んでみませんか?.........本当はワタシもそんな未来が欲しい。でも、逃げてしまいました。傷つく事を恐れてしまいました。こんなに胸が痛くて苦しいのに逃げる事しか出来なくて.........きっと逃げても何も変わらない。解っているのです。じゃあ、どうすれば良いのか。本の中には綴られない経験と変わろうとする勇気。私達に欠けているモノ。貴方もワタシも先は短いかも知れません。だから.........やってみても良いのかも知れません」
「.........貴方は.........」
「シャリル卿。この戦いを止めましょう!其々背負っている理由は有るでしょうが目的を変える事は出来るかも知れません。何より.........命を捨てるに値するか。殺し合う理由を考える事は出来るはずです。ワタシはテオルドに死んで欲しく有りません。彼に幸せになって欲しい。貴方は.........どうですか?」
「.................ええ。私もです。白い方」
「ワタシはリリアと言います。テオルドが付けてくれたんです。百合の花に似ているって。ふふ。今は似ても似つかないでしょうが」
「.........いえ。リリア様。貴方は.........百合の花よりお美しいです」
「また.........トーザさんは何だか褒め過ぎで困りますね。これが女の人にモテる秘訣ですか?」
「ち、違います!」
「.........貴方はやはり特別な方の様だ。私の中から何かが貴方へと流れて行く様です。胸がスッキリとして.........穏やかな気持ちになる。不思議ですね.........」
そう言うとシャリル卿はワタシの身体をゆっくりと離す。瞬間護衛の人達が踏み出そうとするのをトーザさんが止めた。
ワタシはシャリル卿に振り返り彼の顔を見上げる。
「少し足掻いてみましょうか。勇気があれば変わるかも知れません。最後はお互い満足して終わりましょう。ね?シャリル卿?」首を傾け笑った。
「....なっ!.........っ....が!」
目を見開かれる。
なが?長い?顔が?
もう、失礼しちゃう!
「いえ。ワタシ変な顔みたいです。人間に変わらなければ良かったと少し後悔しました」
「リリア様!何言ってらっしゃるんですか!貴方は大変お美しいです!とっても!」
「優しいな~トーザさんは。良いんです、慰めなくて。まあ、そんなこんなで今テオルドから逃げて来た所なんです。だからシャリル卿。ワタシも一緒に連れて行って下さい」
「リリア様!」
「.................度胸有りますね?」
「ワタシ、やりたい事やりました。だからもう良いかと思って。これ以上は欲が出ます。居なくなる方が良いのです」
「そうですか?折角人間になったのに?」
「10年もの年月をテオルドと共に過ごして来ました。ワタシは彼に命を救われた鳥だった。唯の鳥のワタシが女神様のご好意で再び彼の元へ帰れる機会が与えられたのです。人間の姿で。言葉を交わし感謝を述べ、プレゼントを渡しました。この日を迎えられただけでも.........幸せでした。日々の小さな幸せと今日頂いた幸せが有れば.........残り少ない日々も過ごせます。でも........」
「.................」
「シャリル卿。ワタシを殺しますか?ではどうかこのお屋敷の外でお願いします。テオルドに血塗れの骸は見せたく有りません。ワタシも.........女の子ですから」
「.........貴方は真っ白な方ですね。自分の黒さが身に染みます。.........どうすれば良いのでしょうね。こんなに真っ黒な私でもあの人を裏切れない。裏切りたくないのです。最後の瞬間まで......頼られたい。死んで欲しく無い」
ああ.........
そうか.........
ワタシやっぱり自分の事しか考えて無かった。
受け入れられ無い想いはきっと何処にでもあるんだ。形は違うけど、この人も.........不器用な愛。じゃあ、ワタシは.........ワタシは唯逃げただけ。離れていれば辛く無いなんて.........傷つきたく無いから。
でも.........
「シャリル卿.........貴方はビオルテルダ公女を.................では、先を考えませんか?最後に行き着く先を。死ぬのはいつでも出来ますがもし、選択出来る未来が有るなら今からでも選んでみませんか?.........本当はワタシもそんな未来が欲しい。でも、逃げてしまいました。傷つく事を恐れてしまいました。こんなに胸が痛くて苦しいのに逃げる事しか出来なくて.........きっと逃げても何も変わらない。解っているのです。じゃあ、どうすれば良いのか。本の中には綴られない経験と変わろうとする勇気。私達に欠けているモノ。貴方もワタシも先は短いかも知れません。だから.........やってみても良いのかも知れません」
「.........貴方は.........」
「シャリル卿。この戦いを止めましょう!其々背負っている理由は有るでしょうが目的を変える事は出来るかも知れません。何より.........命を捨てるに値するか。殺し合う理由を考える事は出来るはずです。ワタシはテオルドに死んで欲しく有りません。彼に幸せになって欲しい。貴方は.........どうですか?」
「.................ええ。私もです。白い方」
「ワタシはリリアと言います。テオルドが付けてくれたんです。百合の花に似ているって。ふふ。今は似ても似つかないでしょうが」
「.........いえ。リリア様。貴方は.........百合の花よりお美しいです」
「また.........トーザさんは何だか褒め過ぎで困りますね。これが女の人にモテる秘訣ですか?」
「ち、違います!」
「.........貴方はやはり特別な方の様だ。私の中から何かが貴方へと流れて行く様です。胸がスッキリとして.........穏やかな気持ちになる。不思議ですね.........」
そう言うとシャリル卿はワタシの身体をゆっくりと離す。瞬間護衛の人達が踏み出そうとするのをトーザさんが止めた。
ワタシはシャリル卿に振り返り彼の顔を見上げる。
「少し足掻いてみましょうか。勇気があれば変わるかも知れません。最後はお互い満足して終わりましょう。ね?シャリル卿?」首を傾け笑った。
「....なっ!.........っ....が!」
目を見開かれる。
なが?長い?顔が?
もう、失礼しちゃう!
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