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◇本編
40.
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「俺だって抱っこ紐持ってるぞ?」
「貴方が一番狙われてるのにリリア様を巻き込むおつもりですか?」
「ぐぅ.........。折角作らせたのに.........」
シューマさんはチラリとテーブルの下を見る。
「これ、この辺りには居ない毒蛇ですよね?くっきりした黒い縞が有る。持ち込んで放ってるんですよ。もうこの人混みに紛れているんですから警戒レベルは上げて頂かないと」
「ふう.........我慢する」
「ゴッ!」人為的!
「我々は.........おとりでは有りますが、先駆けなんですから。やられてはいけないのです。ね?リリア様?」
「ゴアーーーー!」どう言う事ーーー!
『「はははははははっ」』
なんで皆んな笑ってるのーーーー?
怖いーーー!!
************
ザン!ビシャッと暗闇で水音が響く。ズズ.........と何かを引き摺る音が数カ所で聞こえる。
「どうだ。まだ居るか?」
「いえ、恐らく制圧出来ました。情報では18人だと有りましたので、死体の数からは.......ああ、丁度これで18人ですね」
男の足元に転がる黒いモノを指差しながら男は言った。
「ふむ。そのまま引き継ぎ屋敷の探査及び警戒は解くな。必ず2人で行動するように。あの親子は捕えたのか?」
「まだ伝令は来ていません。王都からは出ていない筈ですが。まあ、虫と一緒で明るくなれば出てきますよ」
「暗いのが好きなネズミかも知れんだろ?」
「いや、あれはそこまで頭が有るとは思えませんね。精々ひらひら蝶々程度でしょ?はははっ」
「王には聞かせられんな」
ふふふと笑う。
「仕方が有りません。仕掛けて来たのはあちらなんですから。もう敵ですよ。俺達は王の持ち物じゃないしね。主様達元気かな.........」
「トーザやシューマが居るんだ。よっぽどの事が無ければ死にたくても死ねないだろう。そろそろ別部隊も到着している頃だ。祭りが始まるな」
「楽しそうですね。良いな~俺も行きたかったな」
「馬鹿。まだまだこれから始まるんだよ。もしかしたらこれがきっかけで戦争が起こるかも知れないんだからな」
「戦争かぁ.........それは面倒だな。俺は短期戦が好きなのに」
「公爵様を護るのが我々の仕事だ、気を怠るな。数日は隙無く警護だよ。残念だな」
「まあ、こちらも割と良い運動になるし、良いですけどね。これで終わるとも思えないし。我々は次の刺客を待ちますか」
「ふふ。ああ。これは例の穴に入れておけ」
「はーい」
そう言うと男は足音をさせる事なく暗闇に消えていく。
ズズ.........と引き摺り液体に染まったそれをもう1人が穴に落とした。
もう二度と日が差す事の無い、暗い暗い深い穴の中へ。
「貴方が一番狙われてるのにリリア様を巻き込むおつもりですか?」
「ぐぅ.........。折角作らせたのに.........」
シューマさんはチラリとテーブルの下を見る。
「これ、この辺りには居ない毒蛇ですよね?くっきりした黒い縞が有る。持ち込んで放ってるんですよ。もうこの人混みに紛れているんですから警戒レベルは上げて頂かないと」
「ふう.........我慢する」
「ゴッ!」人為的!
「我々は.........おとりでは有りますが、先駆けなんですから。やられてはいけないのです。ね?リリア様?」
「ゴアーーーー!」どう言う事ーーー!
『「はははははははっ」』
なんで皆んな笑ってるのーーーー?
怖いーーー!!
************
ザン!ビシャッと暗闇で水音が響く。ズズ.........と何かを引き摺る音が数カ所で聞こえる。
「どうだ。まだ居るか?」
「いえ、恐らく制圧出来ました。情報では18人だと有りましたので、死体の数からは.......ああ、丁度これで18人ですね」
男の足元に転がる黒いモノを指差しながら男は言った。
「ふむ。そのまま引き継ぎ屋敷の探査及び警戒は解くな。必ず2人で行動するように。あの親子は捕えたのか?」
「まだ伝令は来ていません。王都からは出ていない筈ですが。まあ、虫と一緒で明るくなれば出てきますよ」
「暗いのが好きなネズミかも知れんだろ?」
「いや、あれはそこまで頭が有るとは思えませんね。精々ひらひら蝶々程度でしょ?はははっ」
「王には聞かせられんな」
ふふふと笑う。
「仕方が有りません。仕掛けて来たのはあちらなんですから。もう敵ですよ。俺達は王の持ち物じゃないしね。主様達元気かな.........」
「トーザやシューマが居るんだ。よっぽどの事が無ければ死にたくても死ねないだろう。そろそろ別部隊も到着している頃だ。祭りが始まるな」
「楽しそうですね。良いな~俺も行きたかったな」
「馬鹿。まだまだこれから始まるんだよ。もしかしたらこれがきっかけで戦争が起こるかも知れないんだからな」
「戦争かぁ.........それは面倒だな。俺は短期戦が好きなのに」
「公爵様を護るのが我々の仕事だ、気を怠るな。数日は隙無く警護だよ。残念だな」
「まあ、こちらも割と良い運動になるし、良いですけどね。これで終わるとも思えないし。我々は次の刺客を待ちますか」
「ふふ。ああ。これは例の穴に入れておけ」
「はーい」
そう言うと男は足音をさせる事なく暗闇に消えていく。
ズズ.........と引き摺り液体に染まったそれをもう1人が穴に落とした。
もう二度と日が差す事の無い、暗い暗い深い穴の中へ。
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