8 / 146
◇本編
8.
しおりを挟む
この公爵家にも専属の護衛騎士団がある。テオルドも小さい頃から一緒に剣術の稽古をして来た。強いかどうか詳しく判らないけど、彼の剣捌きは綺麗だと思う。
「シューマ」
「は。テオルド様お側に」
「騎士達を数人護衛に招集してくれ。取り敢えず帯剣はするよう伝えろ」
「は.........家内で、ですか?」
「ああ。目立つな」
「賜りました」
「リリアが怯えている。何か来るぞ」
「! 承知」
シューマさんはテオルドが10歳の時に引き取られた人で、今は彼の側使いをしているの。お仕事には別の補佐の人が沢山居るよ。彼はなんて言うか.........しっかりした人。
ワタシがこの屋敷に運び込まれ手当てされ休止に一生を得たあの日。皆んながワタシを心配してくれた。
シューマさんも寝ずに看病してくれたみたい。気がついて目を開けると紺色の髪の男の子と赤毛の男の子がワタシを挟んで寝てたっけ。ふふ。懐かしい。
ワタシは全身白いシラサギ。女神様の眷族。この国では割と良く見かける。神聖な御使いは手厚くもてなされる。
でも留まっているのはワタシだけ。皆んな天界の神樹のコロニーに戻って行く。
少し寂しいけどテオルドの側が良い。
いずれ離れなければならなくなるとしても。
ココンッココンッ
その時執務室の二階の窓の外からガラスを突く音がする。クルリと首を向けると.........
ワタシと同じシラサギが窓の外に居た。
「ゴアーーー!ゴアーーー!」あー!シトランだ!
「シラサギ!!『御神託』か!」
テオルドが急いで窓を開けるとシトランはスイッと窓の中に入って来た。クチバシには葉っぱを咥えている。『御神託』だ。
「ゴア?」誰に?
「グゥ」リングライド公爵宛て
「ゴァーーーゴァッゴア」
「え?父上に?ああ。分かった。伝えて来る」
そう言ってテオルドは急いで執務室から出て行った。
『久しぶりねー?シトラン。忙しい?』
『いや、別に。信仰が薄れているからか1日2件か3件程だな。君.........太った?』
『な!なんて事言うのよ!失礼しちゃう!ちゃんと適量を食してるわよ!』
『下界に住んでると食わなくて良いモノ食わなくちゃいけない。いい加減戻ってきたらどうだ?』
『.........ダメよ。まだ.........居たいの』
『あの人間を好きなのか?』
『.........解ってるわよ。いずれは離れないといけない事は。それも遠くない未来.........』
『じゃあ、他の雌と番わないで待ってるよ』
『.........ん?ん?え?なんで?」
『そりゃ、君と番いたいからさ』
『え!!シトラン、ワタシの事好きなの?嘘!』
『知らないの君だけだからな。まあ、良いや。ちゃんと言ったからな?戻って来いよ』
『...........................』
「シューマ」
「は。テオルド様お側に」
「騎士達を数人護衛に招集してくれ。取り敢えず帯剣はするよう伝えろ」
「は.........家内で、ですか?」
「ああ。目立つな」
「賜りました」
「リリアが怯えている。何か来るぞ」
「! 承知」
シューマさんはテオルドが10歳の時に引き取られた人で、今は彼の側使いをしているの。お仕事には別の補佐の人が沢山居るよ。彼はなんて言うか.........しっかりした人。
ワタシがこの屋敷に運び込まれ手当てされ休止に一生を得たあの日。皆んながワタシを心配してくれた。
シューマさんも寝ずに看病してくれたみたい。気がついて目を開けると紺色の髪の男の子と赤毛の男の子がワタシを挟んで寝てたっけ。ふふ。懐かしい。
ワタシは全身白いシラサギ。女神様の眷族。この国では割と良く見かける。神聖な御使いは手厚くもてなされる。
でも留まっているのはワタシだけ。皆んな天界の神樹のコロニーに戻って行く。
少し寂しいけどテオルドの側が良い。
いずれ離れなければならなくなるとしても。
ココンッココンッ
その時執務室の二階の窓の外からガラスを突く音がする。クルリと首を向けると.........
ワタシと同じシラサギが窓の外に居た。
「ゴアーーー!ゴアーーー!」あー!シトランだ!
「シラサギ!!『御神託』か!」
テオルドが急いで窓を開けるとシトランはスイッと窓の中に入って来た。クチバシには葉っぱを咥えている。『御神託』だ。
「ゴア?」誰に?
「グゥ」リングライド公爵宛て
「ゴァーーーゴァッゴア」
「え?父上に?ああ。分かった。伝えて来る」
そう言ってテオルドは急いで執務室から出て行った。
『久しぶりねー?シトラン。忙しい?』
『いや、別に。信仰が薄れているからか1日2件か3件程だな。君.........太った?』
『な!なんて事言うのよ!失礼しちゃう!ちゃんと適量を食してるわよ!』
『下界に住んでると食わなくて良いモノ食わなくちゃいけない。いい加減戻ってきたらどうだ?』
『.........ダメよ。まだ.........居たいの』
『あの人間を好きなのか?』
『.........解ってるわよ。いずれは離れないといけない事は。それも遠くない未来.........』
『じゃあ、他の雌と番わないで待ってるよ』
『.........ん?ん?え?なんで?」
『そりゃ、君と番いたいからさ』
『え!!シトラン、ワタシの事好きなの?嘘!』
『知らないの君だけだからな。まあ、良いや。ちゃんと言ったからな?戻って来いよ』
『...........................』
10
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?
ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」
「はあ……なるほどね」
伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。
彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。
アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。
ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。
ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる