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42.初の共同作業
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夕陽が山の峯に沈む。吐く息が白い。レジンはふふっと笑う。何だか嬉しい。雪がチラつく中を歩き家の扉に手を掛けた。先程までの喧騒が嘘のように静かで、しかもここにはシーラと2人しか居ない。急にドキリとした。いや、妻だし、性行も散々して来たのだが.........胸が高鳴る理由が今一解らない。無言で頭を掻きながらはぁ....と白い息を吐き、木の扉を開けた。
「はあー、寒いわ。シーラ?雪降ってるぞ?」
「レジン様。はい。寒いので防寒具のローブや毛布を出して来ました。後、食糧有りましたよ。お鍋も2つ有ります。暖炉に火を入れたらスープを作りましょう」
「うん。ちょっと待ってな」
レジンは薪を幾つか掴んで暖炉に重ねて入れる。藁をその下に詰め、指先から火を出した。藁に燃え移りパチパチと弾ける音がし出す。やがて薪にも火が燃え移り、漸く暖炉から暖気が漏れて来る。
「レジン様は火属性ですものね」
「これしか無いけどな。まあ、便利だよな」
「私が初めて生まれた世界には魔術なんて無かったし、カサナロには未だに魔石くらいしか有りませんから。私は魔術が無い方が馴染みが有ります」
「そっか。そうだな」
レジンはふと隣で火を眺めるシーラを見る。少し元気が無い。グローブを外してシーラの頬に指を擦らす。
「疲れたか?まあ、あんな事があったしな。済まなかったな。ビックリしたろ?ダヤンが絡むとなんか知らんがいつも急展開になるんだよな。あいつ俺を王だと言う癖に王の扱いしないから。ははっ」
「..................大丈夫です。.........大丈夫。.........さあ、スープ作りますね?私の記憶は何百年も前のモノだから上手く作れるか分かりませんが。これでもお料理は好きだったんです」
シーラは小さな白い手をキュッと握って微笑む。
「ふふ。手伝うよ。野菜の皮むきぐらいしか出来ないけどな」
「! 本当ですか?わあっ!凄い!2人でスープ作るなんて!私達王と王妃なのにね?うふふふっ!」
シーラが漸く笑う。レジンは何だかホッとした。
「じゃあ、やるか。初の夫婦共同作業」
「はい。レジン様」
大きなザルに小さな物置の様な食糧庫から食材を選んで取って来る。肉の塊も、加工された腸詰などもある。量はそんなに多くない。恐らく買いに行かねばならないだろう。いや、此処でずっと居なくても何処かの街に行って過ごしても良い。準備万端に用意された休暇なのだ。ただ、全て自分達でやらねばならないだけ。侍女も侍従も居ない。だがそれは2人にとって凄く新鮮でワクワクするものだった。
レジンは芋の皮を剥きながらシーラと話をする。小さい頃の事、魔剣の事、なんでもない話。今まであまりこう言った事すら殆どして来なかった。刻間が無かった。つまらなかっただろうな、と思う。婚姻して3年半。公務以外は閨しか合わない。しかも月に3.4回有れば良い方だ。夫婦の寝室を使う事は少なかった。それでもせめてと毎日寝顔だけは見に行っていた。我慢出来ず布団に潜り込む事もあるが夜遅く、朝早い為抱き締めて寝るだけだ。.................疲れていた。気が回らなかった。
心の何処かで.................諦めていた。
(.........21歳の若者がやる事かよ。そりゃダヤンに馬鹿馬鹿言われるわ)
レジンはシーラを見る。申し訳無い事が多過ぎた。
(愛してるってつい最近初めて言った。遊びにすら行ってない。楽しい事全然して無い。何で.........何にも言わないんだろう.........俺が王だからか?じゃあ、シーラも諦めてたのかな?)
手元の芋の芽をくり抜きながら下を向く。鼻がジンと痛くなる。
(................なんだよ。俺何やってんの?何の為に王になったんだっけ?人生やり直しまでしといて.........やっぱり俺はつまらない奴なんだ。王だからか?違うだろ!だから.........ダヤンに心配されてんじゃねーか!どんだけ恥ずかしいんだよ!本当.........馬鹿野郎!!)
思わずくっと力が入り、手にあった芋が床をコロリと転がって行った。
「はあー、寒いわ。シーラ?雪降ってるぞ?」
「レジン様。はい。寒いので防寒具のローブや毛布を出して来ました。後、食糧有りましたよ。お鍋も2つ有ります。暖炉に火を入れたらスープを作りましょう」
「うん。ちょっと待ってな」
レジンは薪を幾つか掴んで暖炉に重ねて入れる。藁をその下に詰め、指先から火を出した。藁に燃え移りパチパチと弾ける音がし出す。やがて薪にも火が燃え移り、漸く暖炉から暖気が漏れて来る。
「レジン様は火属性ですものね」
「これしか無いけどな。まあ、便利だよな」
「私が初めて生まれた世界には魔術なんて無かったし、カサナロには未だに魔石くらいしか有りませんから。私は魔術が無い方が馴染みが有ります」
「そっか。そうだな」
レジンはふと隣で火を眺めるシーラを見る。少し元気が無い。グローブを外してシーラの頬に指を擦らす。
「疲れたか?まあ、あんな事があったしな。済まなかったな。ビックリしたろ?ダヤンが絡むとなんか知らんがいつも急展開になるんだよな。あいつ俺を王だと言う癖に王の扱いしないから。ははっ」
「..................大丈夫です。.........大丈夫。.........さあ、スープ作りますね?私の記憶は何百年も前のモノだから上手く作れるか分かりませんが。これでもお料理は好きだったんです」
シーラは小さな白い手をキュッと握って微笑む。
「ふふ。手伝うよ。野菜の皮むきぐらいしか出来ないけどな」
「! 本当ですか?わあっ!凄い!2人でスープ作るなんて!私達王と王妃なのにね?うふふふっ!」
シーラが漸く笑う。レジンは何だかホッとした。
「じゃあ、やるか。初の夫婦共同作業」
「はい。レジン様」
大きなザルに小さな物置の様な食糧庫から食材を選んで取って来る。肉の塊も、加工された腸詰などもある。量はそんなに多くない。恐らく買いに行かねばならないだろう。いや、此処でずっと居なくても何処かの街に行って過ごしても良い。準備万端に用意された休暇なのだ。ただ、全て自分達でやらねばならないだけ。侍女も侍従も居ない。だがそれは2人にとって凄く新鮮でワクワクするものだった。
レジンは芋の皮を剥きながらシーラと話をする。小さい頃の事、魔剣の事、なんでもない話。今まであまりこう言った事すら殆どして来なかった。刻間が無かった。つまらなかっただろうな、と思う。婚姻して3年半。公務以外は閨しか合わない。しかも月に3.4回有れば良い方だ。夫婦の寝室を使う事は少なかった。それでもせめてと毎日寝顔だけは見に行っていた。我慢出来ず布団に潜り込む事もあるが夜遅く、朝早い為抱き締めて寝るだけだ。.................疲れていた。気が回らなかった。
心の何処かで.................諦めていた。
(.........21歳の若者がやる事かよ。そりゃダヤンに馬鹿馬鹿言われるわ)
レジンはシーラを見る。申し訳無い事が多過ぎた。
(愛してるってつい最近初めて言った。遊びにすら行ってない。楽しい事全然して無い。何で.........何にも言わないんだろう.........俺が王だからか?じゃあ、シーラも諦めてたのかな?)
手元の芋の芽をくり抜きながら下を向く。鼻がジンと痛くなる。
(................なんだよ。俺何やってんの?何の為に王になったんだっけ?人生やり直しまでしといて.........やっぱり俺はつまらない奴なんだ。王だからか?違うだろ!だから.........ダヤンに心配されてんじゃねーか!どんだけ恥ずかしいんだよ!本当.........馬鹿野郎!!)
思わずくっと力が入り、手にあった芋が床をコロリと転がって行った。
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