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14.友でいて

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 レジンはそのまま走り出す。カーミラン、アシュケ、親衛等が続く。主が決めた事だ。従うのが側近の臣下だ。モーリシャス率いる暗器使いは遠く周りから囲うような配置を併走する。リクルソナの飛行艇の周りにはミストルード教の信者と思われる白い服装の集団。唯の信者では無い。武器を持った者や魔術師がいるようだ。

「防御の術を掛けます!」

 バドワージウの魔術師の1人が叫ぶ。

 今、この場にいるのは8人の魔術師のみ。それでも魔力量順位は高い者達だ。詠唱しながら横を過ぎ去る精鋭達に術を掛けて行く。レジンはただただ一点を見つめ走って行く。薄紫色の髪を編み込んで一つに束ね、赤い花を付けた美しい自身の.................妻目掛けて。

 遠く小さく見えた姿が、少しずつ大きくなる。顔の表情が判ってくる。

「シーーーーラァァ!」
「ーーーーーーああっ!レジン様ぁ!」

 シーラは涙を浮かべてレジンに手を差し伸べた。

 黒いローブを羽織りフードを被った赤い仮面の男は歩みを止める。

「.................」

 レジン達とシーラの間には信者の群れ。

 レジンは息を整えながら低く通る声で自軍の者に声を張り上げ告げた。

「『聖女』であり王妃である我が妻を拐かすその罪。万死に値する!バドワージウ国国王レジン・バドワージウの名において粛清を許可する。お前らぁぁーーーーーー



 ーーーーーーやっちまえぇ!!」


『「おおおおおーーーーーーー!!!」』


 こうして豊穣祭のはじまりの日。最後の王家領地崖上にて、リクルソナ教国とバドワージウ国の『聖女』を賭けた戦いの火蓋が切って落とされた。


 バドワージウ国は魔術大国だ。魔力が大地へ返還されていっているとは言え、魔術師力も数も他国に比べれば多い。防御に回っていた魔術師達は一転攻撃に回る様指示をされた。
 魔剣士であるレジンを筆頭に飛行船までの道を最短で切り開いて行く。こんな無茶を出来るのはダヤンの防御の術がレジンに掛けられているからだ。7日に一度更新している。斬られれば衝撃は有るが傷を負う事は無い。レジンはただ前へ突き進む。
 信者であろう、いや、『聖女』捕縛の為の敵国戦士を薙ぎ倒して行く。レジンの魔剣はダヤンが作った魔剣。レジンの為だけに3度も創り直した唯一無二。レジンを生かす為に創られた.........盟友の証。

「ダヤン..........信じるって難しいのかな?でもさ、俺........お前を信じたいんだ。お前に護られて来たから尚更...」

 敵を炎で焼きながらレジンは走る。



 この胸に有る疑問も不信感も.........全部飲み込むよ。

 だから.................



 友でいてくれるよな?相棒。


 喧騒と怒号の中レジンとカーミラン。そして、モーリシャスは『聖女』を担ぐ黒い男の側まで辿り着く。
 まるで待っていたかのようにただじっと様子を見ていたのだ。

 だが、ダヤンでは.........無い。

 黒い男はシーラをゆっくりと地に降ろし、左手で腰を抱いた。

「細.........」ボソッと呟く。
「え?」シーラが顔を上げる。
「全く。良いよな、レジンは。こんな綺麗な奥さん貰って。流石王様。まあ、俺も役得だったよ。『聖女』様に触れられたし。背中パタパタ叩かれたら肩こりとか無くなってるし。流石癒しの『聖女』様」

「あ、あの?(レジン様を呼び捨て?誰?)」

「まあ、後少し付き合って。悪い様にはしないから。女の子を傷付けるなんてポリシーに反するしね。安心してよ」
「.......?...........はい」

 首を捻るシーラ。

「ふふふふっ。これは、惚れるわ。ははははっ!庇護欲掻き立てられるな!」

「?」

 男は前を見据え、今にもこちらに辿り着きそうなレジンを見ながら言った。


「さあ、次へ進みましょうか、レジン王?」
















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