人間三原則

こーぷ

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第2章 ヒューマンバトル

62話 スクエ、剣の先生に出会う?

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「改めて、助けてくれて感謝する。私の名前はカミーユだ」
「気にするな! 俺の名前はスクエだ」

 二人は握手をする。

「スクエ、私に何か出来る事は無いか? 金は無いので、それ以外でお返し出来る事があれば何でも言ってくれ」

 カミーユと言う女の子は、一言で言えば武士の様な女の子であった。

 雰囲気は寡黙な感じで、話し方も、どこか厳格さが滲み出ていた。

 アクアスには珍しく、スクエと同じ黒髪である。

 それも、腰まで伸びる程の長さが有るにも関わらず、とてもサラサラしている。

 目は少しつり目であるが、そこがまた武士ぽい。

 そんなカミーユの腰には木刀の様な物があった。

 その事が気になり、質問するスクエ。

「その、腰にあるのは何だ?」
「あぁ、これか?」

 そう言ってカミーユは腰に付けていた物をスクエの前に見せつける。

「木刀だ」
「何故、木刀?」
「ふむ。私の祖父は昔有名な剣士だった様なんだよ──ヒューマンバトルでも優勝した事があるらしい」

──おー、それはすげぇ

「そんな祖父に憧れて私も日々、剣士としての訓練を、こいつを使って行っている」

 スクエに説明した後に、再度腰に仕舞う。

「へー。カミーユは誰かの奴隷なのか?」
「いや、違う。だからこのスラム街に住んでいる」
「なるほどな……」

 スクエが納得していると……

「それで、私に出来る事は無いか? ──助けてくれた御礼がしたい」
「そんな事いきなり言われてもな……思いつかねぇーよ。別に何かして欲しくて助けた訳じゃねぇーしな」

 カミーユは、残念そうに顔をうな垂れる。

──な、なんか残念そうだな
 
「では、何かあれば言ってくれ、剣の腕には自身がある」

──……ん? 剣の腕……?

 カミーユの言葉が気になったスクエは確認する様に言葉を投げかける。

「な、なぁ──今、剣の腕にはと言ったが、お前は強いのか?」
「強いかは分からないが、スラム街では、負けた事が無いな」

──スラム街にどれだけ強い奴が居るか分からないけど、これチャンスじゃないか?

「さっき御礼したいと言ったよな?」
「あぁ、私が出来るのであれば」
「なら、俺に剣を教えてくれって言うのはアリか?」
「剣を?」

 スクエの質問に不思議がる。

「あぁ、近々ヒューマンバトルがあるから、少しでも強くなりたくてな」
「成る程……」

 一度考える素振りを見せていたカミーユだったが直ぐに了承する。

「いいぞ、私が教えられる範囲で教えよう」
「本当か?」
「あぁ」
「よし! なら明日から頼む」
「分かった──同じ時間帯にここにきてくれ」

 こうして、スクエに剣の先生が出来た様だ。

「じゃ、また明日頼む」
「あぁ。命の恩人だからな──任せてくれ」

──飯上げただけなんだが……まぁ、いいか

 帰り際に、カミーユはアトスに向かって再び頭を下げた。

「なんか、とんとん拍子で話が進んだが、ヒューマンバトルまでに、少しでも強くならないとな……」

 スクエは、カルモナに負けた時の記憶を思い出す。

「あの時はルールがあったから良かったが、もしヒューマンバトルだったら殺されていたかもしれない……」

 人間相手には、スクエの能力が使えない事が分かり、スクエ自身も少し焦っている様だ。

「まぁ、人間を殺す気は元々無いから良かったけど、その分強くはならないと俺自身が死んじまうから、それは勘弁だな」

 スクエは、明日からの訓練に向けて、自分でも何か他に出来る事が無いか考える。

 そして、ヒューマンバトルについて考えているとあっという間に家に到着した。

「ただいまー」
「お帰り。随分と遅かったじゃ無いか?」
「色々あってな。話したい事があるけど
今大丈夫かー?」

 カミーユについてノラに話そうとスクエが口を開こうとすると、その前にノラが口を開く。

「ちょっと待ってくれ。私から先でいいか?」
「ん? なんかあったのか?」
「実は、ヒューマンバトルの日にちが決まった」

 ノラの言葉にスクエが少し身構える。

「いつだ……?」
「ヒューマンバトルは一ヶ月後に開催が決まった」
「一ヶ月後か……」
「あぁ、それまでにスクエを強くなる方法を考えるから、もう少し待ってくれ」

 ノラの言葉にスクエは今日あった出来事を話した。

「カミーユだと?」
「あぁ」
「その人間は強いのか?」
「分からない……けど、明日訓練してくれるって事だから、もし強かったら継続して見て貰おかと思っている」

 ノラは少し考えてから提案をした。

「明日は私もついて行こう──その者が本当にスクエの剣の先生として相応しいか判断する」
「分かった」

 こうして、ヒューマンバトルを一ヶ月後に控えたスクエ達は、少しでも強くなる為に色々考えるのであった……

 
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