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第2章 ヒューマンバトル
57話 モンティロの提案
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スクエとノラがスキルの店から出ると、丁度入れ違いでリプレスが店に入ろうとしている所だった。
「おっと」
ノラはぶつからない様にと身体を動かして避ける。
すると、相手側のリプレスもノラを避ける為に身体を動かし、話し掛けて来る。
「これは申し訳ありませ──」
何やら、謝ろうとリプレスがノラの顔を見ると、言葉が途中で止まる。
「これは驚いた、誰かと思ったら貴方でしたか──変わり者のノラさん?」
「お前は……」
ノラはリプレスの顔を見て、嫌そうな表情を作った。
──アイツは……
スクエもノラ同様に顔を少し歪めた。
二人が見たリプレスとはスクエが異世界に転移した初日に会った者だった。
そのリプレスは身体がデカく、頭には毛が綺麗に無く、でっぷりした体型をしていた。
そして、二人を見る目は濁り切っている。
──アイツは、あの時女の人に命令させて指を折らした奴か……
スクエがこの世界に来て、初めて衝撃を受けた時であった。
「ノラさん、お久しぶりですね……」
「……」
男は気色の悪い、笑みをノラに向ける。
「スクエ、行くぞ」
「あぁ……」
二人はリプレスを無視する様にして家に向かって帰ろうとすると、リプレスに引き止められる。
「おやおや、随分と冷めた態度ですねぇ……」
「私はお前の事など知らん」
「あはははは、確かに──名前すら名乗っていませんでしたな」
そう言って、リプレスは大きな身体を器用に、折り曲げてノラに対して頭を少しだけ下げる。
「私の、名前はモンティロと申します──以後お見知りおきを」
モンティロは挨拶を終えると続けてノラに話し掛ける。
「そちらはこの前競り落とした珍しい奴隷ですな?」
モンティロはノラからスクエに視線を移した。
──うげぇ……気持ち悪い視線だな……
何やら品定めする様にジックリと見ている。
「やはり、破格の値段だけあっていいですね……」
あまりの気持ち悪さに、スクエは無意識にノラの背中に隠れる様に動いた。
そしてノラもスクエを守る様にモンティロからスクエを隠す。
「ふふふ、流石に貴方の奴隷を取るつもりはありませんよ」
「どうだがな……」
「これはこれは、随分と嫌われてしまいましたね……」
あの時、モンティロは競り落とした女奴隷を面白半分で痛ぶっていたので、ノラとスクエの印象は最悪である。
そんな事を知らないモンティロは更に話し掛けて来る。
「この店に来たと言う事は、まさかその奴隷でヒューマンバトルに?」
「だったら、なんだ?」
この時期に奴隷を連れてスキルの店に行けば、当然考えつく事であろう。
「いやはや……そうでしたか……」
何やら、ぶつぶつと独り言を呟いていると、急に口角を上げて気味の悪い笑みを浮かべるモンティロ。
「ノラさん、実は私もヒューマンバトルにこの奴隷で出場しようと考えているんですよ」
モンティロは少し後ろに控えていた奴隷をノラに見せる。
「カルモナ、ご挨拶しなさい」
「分かりました、モンティロ様」
スクエ達の前に来て、カルモナと言う奴隷が深々と頭を下げる。
「ノラ様、始めまして。私は最近モンティロ様の奴隷になった、カルモナと申します」
名前を名乗った後もタップリ三秒程頭を下ろし続けて、顔を上げるカルモナ。
「はい、よく出来ましたね、下がりなさい」
モンティロの言葉にカルモナは素早く先程の位置に戻った。
そして、改めてノラに対して口を開くモンティロ。
「それで、一つ提案なんですがどうでしょう?」
「提案?」
怪しむ視線を向けるノラにモンティロは笑顔を貼り付けたまま提案内容を説明する。
「いかがでしょうか? ヒューマンバトルの前哨戦と言う事でお互いの奴隷同士を戦わせてみませんか?」
「前哨戦だと……」
「えぇ──本番前にお互い自分の奴隷に実戦経験を積ませるチャンスですよ?」
モンティロの話なんて聞く耳持たないスタンスを取っていたノラであったが、最後の言葉に反応する。
「実践経験は……確かにした方が良いな……」
ノラはスクエに視線を合わす。
──おいおい、前哨戦って今か?!
スクエの心情を代弁する様にノラが質問する。
「前哨戦とは今日の事か?」
「えぇ、今から、どこか広い場所にでも行って戦わせてみませんか?」
ノラは顎に手を添えて、少しの間考える。
そして……
「よし、良いだろう」
ノラの言葉にモンティロは喜ぶ。
「ありがとうございます──それでは二時間後に再度お会いしましょう」
「今では無いのか?」
「あははは、流石に私の奴隷にもスキルを覚えさせる時間だけは下さい──場所は後で貴方宛に位置情報を送ります」
そう言って、モンティロとカルモナは先程までスクエ達が居た店に入っていく。
「まぁ、そう言う事だ」
「どういう事だよ!?」
「アイツの意見に賛成、したくは無いが、実戦経験は必要だからな──ヒューマンバトルの前に経験を積む良いチャンスだと思って受けたんだ」
ノラは悪びれもせずにスクエを見る。
「まぁ、いいじゃないか、どうせ危険になっても例の技を使えば一発で倒せるだろう──なんて言ってもリプレス達を一撃で破壊する事が出来るからな」
「そりゃ、そうかもしれないけどよ……」
こうして、急にだがスクエはモンティロの奴隷と戦う事になった。
しかし、この後起きる事実に2人は……
「おっと」
ノラはぶつからない様にと身体を動かして避ける。
すると、相手側のリプレスもノラを避ける為に身体を動かし、話し掛けて来る。
「これは申し訳ありませ──」
何やら、謝ろうとリプレスがノラの顔を見ると、言葉が途中で止まる。
「これは驚いた、誰かと思ったら貴方でしたか──変わり者のノラさん?」
「お前は……」
ノラはリプレスの顔を見て、嫌そうな表情を作った。
──アイツは……
スクエもノラ同様に顔を少し歪めた。
二人が見たリプレスとはスクエが異世界に転移した初日に会った者だった。
そのリプレスは身体がデカく、頭には毛が綺麗に無く、でっぷりした体型をしていた。
そして、二人を見る目は濁り切っている。
──アイツは、あの時女の人に命令させて指を折らした奴か……
スクエがこの世界に来て、初めて衝撃を受けた時であった。
「ノラさん、お久しぶりですね……」
「……」
男は気色の悪い、笑みをノラに向ける。
「スクエ、行くぞ」
「あぁ……」
二人はリプレスを無視する様にして家に向かって帰ろうとすると、リプレスに引き止められる。
「おやおや、随分と冷めた態度ですねぇ……」
「私はお前の事など知らん」
「あはははは、確かに──名前すら名乗っていませんでしたな」
そう言って、リプレスは大きな身体を器用に、折り曲げてノラに対して頭を少しだけ下げる。
「私の、名前はモンティロと申します──以後お見知りおきを」
モンティロは挨拶を終えると続けてノラに話し掛ける。
「そちらはこの前競り落とした珍しい奴隷ですな?」
モンティロはノラからスクエに視線を移した。
──うげぇ……気持ち悪い視線だな……
何やら品定めする様にジックリと見ている。
「やはり、破格の値段だけあっていいですね……」
あまりの気持ち悪さに、スクエは無意識にノラの背中に隠れる様に動いた。
そしてノラもスクエを守る様にモンティロからスクエを隠す。
「ふふふ、流石に貴方の奴隷を取るつもりはありませんよ」
「どうだがな……」
「これはこれは、随分と嫌われてしまいましたね……」
あの時、モンティロは競り落とした女奴隷を面白半分で痛ぶっていたので、ノラとスクエの印象は最悪である。
そんな事を知らないモンティロは更に話し掛けて来る。
「この店に来たと言う事は、まさかその奴隷でヒューマンバトルに?」
「だったら、なんだ?」
この時期に奴隷を連れてスキルの店に行けば、当然考えつく事であろう。
「いやはや……そうでしたか……」
何やら、ぶつぶつと独り言を呟いていると、急に口角を上げて気味の悪い笑みを浮かべるモンティロ。
「ノラさん、実は私もヒューマンバトルにこの奴隷で出場しようと考えているんですよ」
モンティロは少し後ろに控えていた奴隷をノラに見せる。
「カルモナ、ご挨拶しなさい」
「分かりました、モンティロ様」
スクエ達の前に来て、カルモナと言う奴隷が深々と頭を下げる。
「ノラ様、始めまして。私は最近モンティロ様の奴隷になった、カルモナと申します」
名前を名乗った後もタップリ三秒程頭を下ろし続けて、顔を上げるカルモナ。
「はい、よく出来ましたね、下がりなさい」
モンティロの言葉にカルモナは素早く先程の位置に戻った。
そして、改めてノラに対して口を開くモンティロ。
「それで、一つ提案なんですがどうでしょう?」
「提案?」
怪しむ視線を向けるノラにモンティロは笑顔を貼り付けたまま提案内容を説明する。
「いかがでしょうか? ヒューマンバトルの前哨戦と言う事でお互いの奴隷同士を戦わせてみませんか?」
「前哨戦だと……」
「えぇ──本番前にお互い自分の奴隷に実戦経験を積ませるチャンスですよ?」
モンティロの話なんて聞く耳持たないスタンスを取っていたノラであったが、最後の言葉に反応する。
「実践経験は……確かにした方が良いな……」
ノラはスクエに視線を合わす。
──おいおい、前哨戦って今か?!
スクエの心情を代弁する様にノラが質問する。
「前哨戦とは今日の事か?」
「えぇ、今から、どこか広い場所にでも行って戦わせてみませんか?」
ノラは顎に手を添えて、少しの間考える。
そして……
「よし、良いだろう」
ノラの言葉にモンティロは喜ぶ。
「ありがとうございます──それでは二時間後に再度お会いしましょう」
「今では無いのか?」
「あははは、流石に私の奴隷にもスキルを覚えさせる時間だけは下さい──場所は後で貴方宛に位置情報を送ります」
そう言って、モンティロとカルモナは先程までスクエ達が居た店に入っていく。
「まぁ、そう言う事だ」
「どういう事だよ!?」
「アイツの意見に賛成、したくは無いが、実戦経験は必要だからな──ヒューマンバトルの前に経験を積む良いチャンスだと思って受けたんだ」
ノラは悪びれもせずにスクエを見る。
「まぁ、いいじゃないか、どうせ危険になっても例の技を使えば一発で倒せるだろう──なんて言ってもリプレス達を一撃で破壊する事が出来るからな」
「そりゃ、そうかもしれないけどよ……」
こうして、急にだがスクエはモンティロの奴隷と戦う事になった。
しかし、この後起きる事実に2人は……
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