人間三原則

こーぷ

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第2章 ヒューマンバトル

55話 スキルをインストールしよう!

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「いらっしゃいませ」

 スクエとノラが店に入ると、イナメイトが声を掛けて来た。

「本日はどの様な魔法やスキルをお求めでしょうか」

 前回同様、人間型のイナメイトであり、誰がどう見ても人間にしか見えないがやはり表情が一切変わらない為、人間、或いはリプレスで無い事が感覚で分かる様だ。

「今日はじっくり見せてもらうつもりだから、案内とかは不要だ──奴隷用のスキルの場所だけ教えてくれ」
「畏まりました」

 ノラの言葉にイナメイトが移動する。

 店の中は、特に、広い訳では無く大きさとしたらスクエが住んでいた世界のコンビニくらいしか無いだろう。

 そして、店の中には何個もの大型ディスプレイがズラリと並ぶ。

「ノラ様、こちらが奴隷用のスキルの場所になります」

 イナメイトに案内されたのは、店の一番奥にあるディスプレイであった。

「ここは、スキル以外にも売っているのか?」
「あぁ、リプレス用の魔法とかもここでインストールが出来る様になっているな」

 スクエは店内を見渡すと、ディスプレイの上の天井から、そのディスプレイは何用なのかが記載された看板みたい物が吊り下げられていた。

 その看板を順に見て行くと、店の入り口──つまり、リプレスが一番通るであろう箇所には攻撃魔法などリプレス専用コーナーが設けられて居る。

 そして奴隷用に関しては、店の奥の誰も通らない箇所に設置されていた。

「スクエ、何のスキルをインストールする?」
「まず、どんなスキルがあるんだよ?」

 だが、スクエに取って奴隷用のディスプレイが手前にあろうが奥にあろうが関係無く、今は楽しみで仕方が無い様子が手に取る様に分かる。

「ふふ、色々あるぞ──ちなみにスキルを選択して、モーションってボタンを押せば、そのスキルがどんな動きをするか分かるぞ」

 ノラの言葉に頷き、早速大型ディスプレイの前に立ち、色々と弄ろうと試みる。

 その表情は、子供が親から新しいゲームを買って貰い、初めて起動させて遊ぶ様な感じであった。

「えっと、なになに……」

 ディスプレイがタッチパネルになって居る様で、スクエは攻撃スキルというボタンを押した。

「おー、かなりの数があるんだな」

 そこには、数え切れない程のスキルがズラリと並んでおり、スクロールする必要がある様だ。

「ちょっと多過ぎるな……」

 見るものが多過ぎて、何から見れば良いか悩んでいると、画面が切り替わりスクエに対して質問を投げかけて来た。

「ん? 貴方の武器、或いは職業は何ですか?」

 そこには、操作者の使用する武器や職業の選択欄が出現した。

「ヒーローの職業は……無いな──なら武器は剣にしとくか」

 スクエは剣を選択すると、スキルがかなり絞られて、20個くらいになる。

「おー、これで見易くなったな!」

 どうやら、最初の画面には全職業の全武器に対してのスキルが載っていた様だ。

「まずは……上から見て行くか」

 スクエはスキル名──強斬となっている場所を指でタッチする。

 すると、そこには簡単な説明文が書かれていた。

「なになに、強烈な攻撃を相手に繰り出すか……どんなモノか見てみるか」

 ノラに言われた様にスクエはモーションボタンをタッチする。

 すると、いきなり目の前に剣を持った人間が現れた。

「──ッ!?」

 スクエは慌てて後ろに下がる──しかしその様子を見ていたノラがクスクスと笑っていた。

「安心しろ、それはホログラムだよ」
「な、なんだよ……びっくりさせやがって……」

 大袈裟に後ろに下がったスクエは、恥ずかしくなり、顔を赤らめる。

「ふふ、良い反応だったぞ?」
「う、うるせ!」

 スクエは気を取り直してホログラムの方を見ると、剣を持った人間が剣を上段から斜めに斬り込んでいた。

 これだけでは、誰でも出来る動作であるが、一つ違う点があった。

「おー」

 それは、上段から斜めに斬りつけた際、剣の軌道を追う様にして赤い光が発生していた。

「なんか、よく分からない無いが見た目がカッケー!」

 剣の軌道を追い掛ける赤い光が気に入ったスクエ──更に他にもスキルを見ようとパネルを操作する。

「ん? レベル2スキル?」

 操作していると、どうやらスキルであってもレベルがあるみたいだ。

 スクエはレベル2スキルである二斬と記載されているスキルをタッチすると、説明欄が表示された。

「相手に強烈な2連続攻撃を与えるか……」

 スキルの説明を読んでいたスクエであったが、更に下の方に発動条件と書かれているのを見つける。

「発動条件なんてあるのかよ──えっと……発動条件はレベル1スキル発動後に可能……」

 どうやら、いきなりレベル2のスキルを発動させる事は出来ない様で、一度レベル1のスキルを発動させてからでは無いと発動が出来ない様だ。

「使い辛そうだな……」

 取り敢えず、スキルモーションのボタンをタッチするスクエ。

 すると、そこにはまた同じく剣を持った人間のホログラムが映し出された。

「お! これもカッケーな!」

 素早く二回攻撃を繰り出す姿を見て感動している様子である。

「成る程な……レベル2は青か」

 どうやら、先程の強斬スキルはレベル1の様で、赤い光の軌道だったが、今回のレベル2スキルは青の光の軌道の様だ。

「一体レベル何まであるんだよ?」

 言葉ではやや、めんどくさそうなニュンアンスだが、スクエの表情はニンマリとしており、とても楽しそうであった。


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