55 / 67
第2章 ヒューマンバトル
54話 スキルを買いに行く
しおりを挟む
スクエがヒューマンバトルに出場すると決意した次の日の朝。
太陽は既に登り地面を照らしては居るが、時間も早い為周りに生活音などが無く、シーンと静まり返っていた。
その時、スクエが寝ている部屋の扉がガチャリと音を立ててゆっくりと開かれる。
音の正体は勿論ノラであった。
「ふふ、普段はあんなにも生意気そうな顔付きの癖に、寝顔は本当に可愛いものだ……」
スクエの寝ている側まで移動して寝顔を堪能するノラ。
「おっと、いかんいかん起こしにきたんだった──そうだ!」
手を伸ばしてスクエを起こそうとしたノラであったが、何かを思い付いた様に手を引っ込めて、悪戯を企む顔付きで微笑んでいる。
「ふふふ、スクエ驚くだろうな」
起きた時のスクエの反応が楽しみ過ぎて笑みが止まらない様だ。
そして、ノラはおもむろにスクエの寝ている横に寝っ転がった。
「ふふふ、スクエよ早く起きると良い!」
ノラはスクエが驚く表情が分かる様に顔を凝視する。
「……」
「早く起きろ……」
「……」
「そろそろか……?」
「……」
しかしスクエはいつまで経っても起きる気配が無い為、痺れを切らしたノラがスクエの頭を叩く。
「──ッイテ!? な、なんだ?」
寝ている時にいきなり頭に強い衝撃を受けたスクエは驚き飛び起きた。
何が起きたか理解できないのか周りをキョロキョロと見回すが何も無い事に、更に混乱している様だ。
ノラは作戦が失敗した事が悔しいのか、なかなか起きなかったスクエを冷めた目で見る。
「あ、ノラ、おはよう」
「……おはよう」
「どうしかしたのか?」
「直ぐ準備しろ出掛けるぞ」
「出かけるって一体どこに?」
スクエの質問には応えず居間に移動するノラ。
「全く……少しサービスでもしてやろうと思ったのに……」
スクエには聞こえない声で呟きながら居間でノーブルメタルを吸ってスクエを待つ事にした様だ。
そして、暫くすると奴隷特有の真っ白な服に身を包んだスクエがやって来る。
「もう少し、したら外出るぞ?」
「一体何処に行くか教えてくれよ」
「ふふ、昨日ヒューマンバトルに参加する事を決めただろ?」
ノラの問いにスクエが頷く。
「今のままでも、十分強いが、更にスクエを強化しようと思ってな」
「強化?」
「あぁ──スキルを買いに行く」
ノラの言葉にスクエは表情を変える。
「おー……スキル……それは男の夢……」
どうやら、嬉しい様だ。
元々、スクエ自身、アニメやゲームが好きな為に魔法やらスキルやらとファンタジー要素は大好物だ。
ノラの口から出たスキルという言葉に心が弾んでいる。
「な、なぁスキルは買った瞬間から使えるのか?」
「あぁ、店でスキルを買ってメンタルチップ、あるいはマインドチップにインストールすれば、その瞬間から使えるぞ」
ノラの言葉にガッツポーズをするスクエ。
そんなスクエを、まるで自身の孫でも見る様に微笑むノラ。
「そういえば、スキルにはどんなのがあるんだ?」
「そうだな……詳しくは店に着いた時に説明するが、主に二種類ある」
「二種類?」
首を傾げるスクエにノラが頷く。
「あぁ、攻防スキルと身体スキルだな──これは、もう名前通りと捉えてくれ」
──まじでゲームみたいだな、おい!
そして、スクエはある事をノラに尋ねた。
「魔法は覚えられないんだよな?」
「あぁ──魔法はリプレスしか覚える事が出来ないな」
「何で、覚えられないんだ?」
「人間には、そもそも魔法を作り出す為の魔力が無い様でな──メンタルチップにインストールは出来るが発動はしない」
最初から説明されていたとは言え、スクエは少し残念そうな顔をする。
そんなスクエの子供ぽい表情を見てノラは笑いながら言葉を掛ける。
「まぁ、じっくり考えてスキルをインストールして行こう」
こうして、スクエとノラはスキルをインストールする為に朝早くから家を出る。
時間的に早過ぎる気もするが、店の開店と同時に入ろうと思っている様だ。
「一応、ヒューマンバトルの申し込みに関しては昨日の内に参加申請はしといたぞ」
「早いな……」
「ふふ、一度決めたら行動は早く! だな」
どうやら、スクエが寝ている間に済ませた様であり、後はアバエフからの開催日の報告を待つだけの様だ。
「あ、それとスクエ、一応言っとく」
「なんだ?」
「一度申請したら、取り消しは出来ないから、心に留めといてくれ」
「あぁ、元々止めるつもりは無いし問題無い」
店に向かいながら話す二人。
そんな、こんなで二人はスキルを買う事が出来る店の前に到着した。
「ここか?」
「あぁそうだ。スキルの店は他にも何個もあるが、ここは朝早くから開いていて、いつも空いているからな」
そう言ってノラは店の中に入っていく。
そんなノラを見てスクエは慌てて後を付いて行き店の中に入るのであった。
太陽は既に登り地面を照らしては居るが、時間も早い為周りに生活音などが無く、シーンと静まり返っていた。
その時、スクエが寝ている部屋の扉がガチャリと音を立ててゆっくりと開かれる。
音の正体は勿論ノラであった。
「ふふ、普段はあんなにも生意気そうな顔付きの癖に、寝顔は本当に可愛いものだ……」
スクエの寝ている側まで移動して寝顔を堪能するノラ。
「おっと、いかんいかん起こしにきたんだった──そうだ!」
手を伸ばしてスクエを起こそうとしたノラであったが、何かを思い付いた様に手を引っ込めて、悪戯を企む顔付きで微笑んでいる。
「ふふふ、スクエ驚くだろうな」
起きた時のスクエの反応が楽しみ過ぎて笑みが止まらない様だ。
そして、ノラはおもむろにスクエの寝ている横に寝っ転がった。
「ふふふ、スクエよ早く起きると良い!」
ノラはスクエが驚く表情が分かる様に顔を凝視する。
「……」
「早く起きろ……」
「……」
「そろそろか……?」
「……」
しかしスクエはいつまで経っても起きる気配が無い為、痺れを切らしたノラがスクエの頭を叩く。
「──ッイテ!? な、なんだ?」
寝ている時にいきなり頭に強い衝撃を受けたスクエは驚き飛び起きた。
何が起きたか理解できないのか周りをキョロキョロと見回すが何も無い事に、更に混乱している様だ。
ノラは作戦が失敗した事が悔しいのか、なかなか起きなかったスクエを冷めた目で見る。
「あ、ノラ、おはよう」
「……おはよう」
「どうしかしたのか?」
「直ぐ準備しろ出掛けるぞ」
「出かけるって一体どこに?」
スクエの質問には応えず居間に移動するノラ。
「全く……少しサービスでもしてやろうと思ったのに……」
スクエには聞こえない声で呟きながら居間でノーブルメタルを吸ってスクエを待つ事にした様だ。
そして、暫くすると奴隷特有の真っ白な服に身を包んだスクエがやって来る。
「もう少し、したら外出るぞ?」
「一体何処に行くか教えてくれよ」
「ふふ、昨日ヒューマンバトルに参加する事を決めただろ?」
ノラの問いにスクエが頷く。
「今のままでも、十分強いが、更にスクエを強化しようと思ってな」
「強化?」
「あぁ──スキルを買いに行く」
ノラの言葉にスクエは表情を変える。
「おー……スキル……それは男の夢……」
どうやら、嬉しい様だ。
元々、スクエ自身、アニメやゲームが好きな為に魔法やらスキルやらとファンタジー要素は大好物だ。
ノラの口から出たスキルという言葉に心が弾んでいる。
「な、なぁスキルは買った瞬間から使えるのか?」
「あぁ、店でスキルを買ってメンタルチップ、あるいはマインドチップにインストールすれば、その瞬間から使えるぞ」
ノラの言葉にガッツポーズをするスクエ。
そんなスクエを、まるで自身の孫でも見る様に微笑むノラ。
「そういえば、スキルにはどんなのがあるんだ?」
「そうだな……詳しくは店に着いた時に説明するが、主に二種類ある」
「二種類?」
首を傾げるスクエにノラが頷く。
「あぁ、攻防スキルと身体スキルだな──これは、もう名前通りと捉えてくれ」
──まじでゲームみたいだな、おい!
そして、スクエはある事をノラに尋ねた。
「魔法は覚えられないんだよな?」
「あぁ──魔法はリプレスしか覚える事が出来ないな」
「何で、覚えられないんだ?」
「人間には、そもそも魔法を作り出す為の魔力が無い様でな──メンタルチップにインストールは出来るが発動はしない」
最初から説明されていたとは言え、スクエは少し残念そうな顔をする。
そんなスクエの子供ぽい表情を見てノラは笑いながら言葉を掛ける。
「まぁ、じっくり考えてスキルをインストールして行こう」
こうして、スクエとノラはスキルをインストールする為に朝早くから家を出る。
時間的に早過ぎる気もするが、店の開店と同時に入ろうと思っている様だ。
「一応、ヒューマンバトルの申し込みに関しては昨日の内に参加申請はしといたぞ」
「早いな……」
「ふふ、一度決めたら行動は早く! だな」
どうやら、スクエが寝ている間に済ませた様であり、後はアバエフからの開催日の報告を待つだけの様だ。
「あ、それとスクエ、一応言っとく」
「なんだ?」
「一度申請したら、取り消しは出来ないから、心に留めといてくれ」
「あぁ、元々止めるつもりは無いし問題無い」
店に向かいながら話す二人。
そんな、こんなで二人はスキルを買う事が出来る店の前に到着した。
「ここか?」
「あぁそうだ。スキルの店は他にも何個もあるが、ここは朝早くから開いていて、いつも空いているからな」
そう言ってノラは店の中に入っていく。
そんなノラを見てスクエは慌てて後を付いて行き店の中に入るのであった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
異世界に転生したのだけれど手違いでトカゲになっていた!しかし、女神に与えられた進化の実を食べて竜人になりました。
エブリスタと小説家になろうにも掲載しています。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
うちの冷蔵庫がダンジョンになった
空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞
ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。
そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる