人間三原則

こーぷ

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第2章　ヒューマンバトル

52話　ヒューマンバトルのルール

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　そこには、スクエとノラ以外に、ホログラム化されたアクアスの王であるアバエフが立っていた。

　赤い髪、赤い目、赤いロングコートと、全身が燃えているかの様に赤いアバエフ。
　ホログラムだと言うのに厳格さが滲み出ている。

「ヒューマンバトルの日程は追って連絡するつもりだが、ルールについて先に説明しとこう」

──そもそも、ヒューマンバトルって何だよ……

　スクエはノラにヒューマンバトルについて聞こうとする。

　しかし、ノラの視線はあまりにも真剣であり、アバエフの言う事を聞き逃さない様にしていた。

──なんか、聴ける雰囲気じゃねぇーな……

　スクエは取り敢えずアバエフの説明が終わってからノラに聞こうと思ったのか、視線をアバエフに戻す。

「ルールは、前回と変わらないが一応説明しとこう──コイツを見てくれ」

　身体の芯に届く様な低い声で話すアバエフは一度指を鳴らした。

　すると、アバエフの隣から更にホログラムが具現化され石版が映し出された。

　そこにはヒューマンバトルのルールが書かれていた。

ヒューマンバトル5箇条

1.奴隷のどちらかが戦闘不能状態になるまで戦わせる

2.奴隷のスキルや武器に制限は無い
　
3.リプレスは戦闘に介入してはならない

4.何かしらの不正を見つけ次第奴隷を処罰する

5.リプレス一人に対して一人の奴隷しか参加を認めない

「1に関しては相手を殺しても一向に構わん──むしろ、それくらいの方が見応えがある」

　アバエフが補足で説明する。

「なお、ヒューマンバトルでの降参は認めん──勝負が始まったら両者のどちらかが死ぬか、戦闘不能になるまで戦え」

──おいおい、メチャクチ危なそうなルールだな……

「2に関しては、万全な状態で試合に望ませる事を期待する。そうで無いと詰まらんからな」

　相変わらずノラは真剣な様子でアバエフの言葉を聞いている様だ。

「スキルは好きに奴隷にインストールするが良い、特に禁止スキルなども無い──また、武器も同じく何を使用しても良い」

　スキルと言われても未だによく分からないスクエであった。

「3に関しては、そのままの意味だ。戦闘中の介入は禁止する──介入が分かった時点で失格とする」

　アバエフの言葉にノラが少し顔をしかめる。

「介入は無しか……」

　何やらブツブツと言っているが、余りにも小さい声の為、スクエには聞こえなかった様だ。

「4に関しても同じく、不正を見つけ次第、その場で失格とする──また、奴隷を殺すので注意しろ」

──殺す事は無いだろ……しかも、奴隷だけかよ

「5に関しては、リプレス一人に対して、ヒューマンバトルに出場させる奴隷を一人とする──以上がヒューマンバトルのルールになる」

　アバエフがルールを説明し終わると、石版のホログラムが消えた。

「そして、皆も気になるヒューマンバトルで優勝したリプレスの賞品だが、今回は二つある」

　アバエフの言葉にノラが、身を乗り出す様にして聞き入る。

「一つ目の賞品についてはノーブルメタルだ。こちらは次のヒューマンバトルが開始するまでの間、好きなだけやろう」

　恐らく、この賞品はリプレス達に取って、とんでもない事なのであろう。

「好きなだけだと！？」

　アバエフの言葉にノラが大声で反応する。

「しかも、純度の高いノーブルメタルを優先的に渡してやるつもりだ」

　どうやら、同じノーブルメタルでも美味しさやランク的なのがある様だ。

「そして二つ目の賞品についてだが、こちらは奴隷が使用するスキルになる──このスキルは珍しく、店でインストール出来るものでは無い。だが、優勝奴隷にはインストールする許可をやろう」

　その言葉に、又もやノラが呟く。

「ふむ、スキルか……スクエの強化に繋がるな……」

　何やら色々と考えている様子である。

「説明は以上だ。ヒューマンバトル開催日については、また追って告知するつもりだ──それまでは少しでも盛り上がる様に奴隷を強化する事だ」

　伝えたい事を伝え終わったのかアバエフを映し出していたホログラムが消える。

　そして、居間には最初と同じくスクエとノラの姿だけになる。

　未だに何やらブツブツ呟きながら、考え事をしているノラにスクエが声を掛ける。

「なぁ、ヒューマンバトルってなんだ？」

　スクエに声を掛けられた事により、やっと自分の世界から戻って来たノラ。

「あぁ、そうか。スクエはヒューマンバトルが何かすら知らないんだったな」
「あぁ、ルールは今ので何となく分かったが、そもそもヒューマンバトルが何なのか分からねぇ」

　スクエ自身も言葉としてはちょくちょくと耳に入って来てたが、以前まではそんな事を気にしている余裕が無かった。

「そうだな、この際だ、ヒューマンバトルの説明をしとくか」
「俺にも分かりやすく説明してくれよ？」

　スクエの言葉にノラは頬を緩める。

「はは、分かった──赤子でも分かる様に説明してやろう」
「べ、別にそこまでレベルを落とさなくてもいいぜ……？」

　流石にそこまで頭が悪い訳では無い事をアピールする為かスクエは口を挟むが、ノラはより一層口角が上がるだけであった。

　そして、ノラはスクエにヒューマンバトルについての説明をし始めた……

　

　

　

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