人間三原則

こーぷ

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第2章 ヒューマンバトル

51話 アバエフ王からのメッセージ

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「ご飯が出来あがりました」
「あ、あぁ……ありがとう」

 そこには、先日買ったイナメイトが作った料理がテーブルに並べられていた。

──う、旨そうだな……

 何の料理かは分からないが、なにやらカレーの様な物だったり、スープだったりと色々ある。

「い、いただきます」

 スクエは手を合わせてイナメイトが作った料理を口に運んだ。

「──ッん!? 美味い!」

 どうやら、とても美味しかった様で、口一杯に駆け込む。

 そんな時、部屋から、いつも通り白衣を着たノラが居間に姿を現した。

「お? 早速イナメイトを使っている様だな」

 テーブルに並ぶ料理を見ながらノラはスクエに話す。

「あぁ、早速利用させて貰っている!」
「ふむ、そのスクエのガッつき具合を見る限り料理の腕も高い様だ」
「メチャクチャ美味いわ」

 スクエは皿を片手に持ち残りの料理をかきこむ様にして口に入れた。

「ふふ、それは良かった」

 スクエが美味しそうに食べる姿を堪能したノラはスクエの対面に座り、新聞を開きノーブルメタルを吸い始めた。

「ふむ、ここ最近いつも記載されているな……」

 何やら一言を言っているノラにスクエが質問する。

「記載されているって何がだ?」
「ん?」

 スクエの声にノラは新聞から視線を外す。

「そんなに毎日記載されているからには、何か凄いニュースでもあるのか?」

 これまでのスクエは自身の命を守る為に必死に生きて来た。
 だがウーヴェだったりグロックを倒した事により平和な日常が戻って来た。

 そんな平和な日常がここ最近続いた事により、スクエの中でも心の余裕が生まれた様で、アクアス内でのニュースなどにも興味が出て来た様だ。

「ふふ」

 そんなスクエの変化に嬉しそうに笑うノラ。

「なんだよ──隠さないで教えてくれよ」
「あぁ、すまないすまない」

 ノラは自然に溢れた笑みのまま、スクエに説明した。

「毎日記載されているとは言ったが、特に内容は無いな」
「ん?」
「これを見てみろ」

 ノラが持っている新聞をスクエにも見やすい様にテーブルの上に広げた。

 そして、そこには大きい見出しで何やらデカデカと文字が書かれている。

「読めねぇーよ……」
「あぁ、そうか悪い」

 そう言うとノラが新聞に書かれている言葉を読み上げた。

「近々、アバエフ王から国民に重大発表が有ると書かれている」
「なんだそれ? 結局何の事か書かれてないのか?」
「ふふ、だから言っただろ?」

 ノラはスクエの顔を見て笑った。

「何日前から、この状態なんだ?」
「詳しくは分からないが、私達があの戦いを終えてこの家に戻って来た時には既に記載されていたな」
「なんだそれ──手抜きじゃねぇーか?」

 スクエが住んでいた日本ではあり得ない事であろう──毎朝来る新聞の内容が同じなんて事は…… 

「なんか、気になってくるな──ノラは見当付かないのか?」
「ん? まぁ粗方見当は付いているな」
「お? なんだよ教えてくれよ」

 ノラがスクエに何やら説明しようと口を開き掛けた時に家の呼び鈴が鳴った。

「──おっと、ちょっと待っていろ」

 ノラは玄関に向かい直ぐに戻って来る。

「ふふ、スクエ喜べ」

 何やら手に持っている様だ。

「何を喜ぶんだよ?」
「さっき、アバエフ王が言う重大発表の内容が気になると言っていただろ?」

 ノラの言葉に頷くスクエ。

「その答えが届いた」

 そして、ノラは片手に何やら小さい茶色の袋を持っていた。

「そのゴミ袋みたいなのが答えか?」
「いや、この中身だな」

 ノラは袋を解き中を取り出す。

 すると、ノラの手には小さいメモリーカードみたいな物があった。

「なんだこれ?」
「これは、誰かに何かを伝えたい時に使うもので──こいつを専用のイナメイトで読み込むと送り手のメッセージを受け取れる訳だ」

 そう言うとノラはイナメイトに近付きメモリーカードを読み込ませようとしていた。

──手紙みたいなものか?

 スクエの認識はどうやら合っていた様だ。
 しかし手紙よりも全然ハイテクであった……

「よし、セット完了だな」

 どうやら、イナメイトの読み込み作業か終わった様である。

「スイッチをオンにしてと……」

 ノラがイナメイトの再生ボタンの様な物を押すと、いきなり目の前にリプレスが現れた。

「──ッなんだこれ?!」
「ふふふ、落ち着けスクエ──これはホログラムだ」

 ノラの言うように、どうやらイナメイトが映し出したホログラムの様だ。

「す、すげぇ……マジで本物にしか見えないぜ?」

 スクエは映像と思えない様な精巧に映し出されたホログラムに近付き触ろうと手を伸ばすが……

「ふふ、掴めないだろ?」
「あぁ……手がホログラムを突き通る」

 手を伸ばしてホログラムを触ろうとするスクエだったが、触れる筈も無く手は空を切るだけであった。

「そもそもコイツ誰だ?」

 ホログラムとして映し出された人物を訝しげに見る。

「その方がこの国の王で有るアバエフ様だ」

 ノラの言葉に一瞬驚いた顔をしたスクエだった。

──コイツか……

 この先人間達を救う為に倒そうと思っている相手をスクエは凝視する。

──絶対に倒す……

 スクエはアバエフのホログラムを睨み付けていると、ホログラムが話し始めた。

「リプレスの皆元気にしているか?」

 突っ込む様な低い声で話し始めたホログラム。

「最近、近々重大発表すると通達していたが、その内容に付いて伝えよう」

 アバエフのホログラムが続けて言う。

「結論から言う、ヒューマンバルトを開催する」

──ヒューマンバトル?

 スクエからしたら、何の事か分からないが、ノラは少し驚いた様子でホログラムが次に何を話すか注目していた。
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