人間三原則

こーぷ

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第2章 ヒューマンバトル

50話 日常を取り戻したスクエ2

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「なぁー、イナメイト買うって何用買うんだ?」
「ふふ、それは店に行ってから教えてやろう──そもそも目的なものが売っているか分からん」

 スクエとノラはイナメイトを買う為に店に向かって歩いている。

 空を見上げれば、相変わらずドローン型のイナメイトが飛び交い、そんなイナメイト達よりも更に高くそびえ立っているビルが建ち並んでいる。

──やっぱり、いつ見てもすげぇーな

 スクエはノラの少し後ろを歩きながら、上空を見上げていた。

 そして、ノラの後を付いて行き大通りに出ると……

「うわー……なんだよこれ……」
「ん? どうかしたか?」
「い、いや圧倒されてな……」
「圧倒される物なんてあるか?」

 ノラからしたら大した事の無い物でもスクエからしたら、驚きの連続の様だ。

「こんなに、高い建物ばかり建ち並んで居るのに、圧迫感が全然無いな──なんだか不思議な感覚だ」

 スクエの言う通り、リプレス達が良く集まる場所なのか、建物との感覚がどんどん密集して来ているのに圧迫感を全く感じない。

 それは何故なのかスクエは考えた結果、一つの答えに辿り着く。

「そうか……緑が多いんだな」
「そうか?」
「あぁ……建物の密集具合は東京どころか、もっと密集しているのに植物が凄い扱われているからなのか全然圧迫感が無い……」
「ん? 東京とはなんだ?」

 ノラの質問が聴こえてないのかスクエは上ばかり見上げる。

 スクエが言う緑が多いとは、建物に巻きつく様に木の枝が生えており、そこから葉っぱや花などが咲いており圧迫感を無くしている様だ。

「これじゃ、まるで高い建物って言うよりも、大きな木が建ち並んでいる様に見えるな──これいいな……俺好きだ」

 自然と人工物の調和を堪能しながら、二人は更に足を進めて目的の店に到着する。

「この店だな」

 ノラの言葉にスクエはまたもや、空を見上げる。

「……」
「ここの、150階に良い店があるんだよ」
「150!? ここ一体何階まであるんだよ……」
「ん? 正確には知らないが300階くらいあるんじゃないか?」

 数値を聞いて驚愕するスクエ。

「確か、地球上で世界一高いビルでも200階くらいが最高って聞いたけど、それを上回るのかよ……」

 もう何に驚いて良いのか分からなくなるスクエ。

「ぼけっとして無いで行くぞ」

 そして、二人はエレベーターで150階に到着する。

 そこのフロアは全てがイナメイトを取り扱う店の様であり、色々なイナメイトが売られていた。

「いらっしゃいませ、ノラ様」

 エレベーターを降りて少し歩くと接客用イナメイトが声を掛けてきた。

──人間そっくりだな……

 接客用なのか、外見は殆ど人間であったが、表情は常に笑顔のままで固まっていた。

 そこは、やはりリプレスとの作りの差なのか、確かに人間そっくりではあるが、やはり何処か違うので、イナメイトだと直ぐに分かる。

「本日はどの様なご用件でしょうか?」
「あぁ、今日は家事用のイナメイトを探しているだが……」
「畏まりました、こちらへどうぞ」

 イナメイトはゆっくりした歩調で歩き出し目的の場所まで誘導してくれる。

「こちらになります」
「あぁ、後はこちらで探し回るから対応不要だ」
「かしこまりました。御用の際はお声掛けください」

 そう言って、イナメイトは自身の持ち場に戻る。

「イナメイトってあんな人間よりの形もあるんだな」
「あぁ──アレは接客用のイナメイトだからな」

 それから、ノラはアチコチと見て周り一つのリプレスの前に止まる。

「ふむ。やっと見つけた」
「ん?このイナメイトがどうかしたのか?」
「コイツを買う為に来たんだ」
「へー、何用なんだ?」

 スクエとノラの前にあるイナメイトは無機物感が凄い感じられる、唯の四角い鉄の箱に足部分には車輪、手の部分には手の様なものが二本生えているだけのものであった。

「これは料理用だな」
「料理用?」
「あぁ。スクエはご飯買いに行った時に、あんな事があったからな、これから飯を買いに行かなくても平気な様にコイツを買う」

 ノラは値段を見て頷き、近くに居たイナメイトを呼び出し会計をする。

「コイツが居れば料理を勝手に作ってくれるのか?」
「あぁ。コイツ一台で買い物から料理まで全てしてくれる」
「買い物も?」
「あぁ。コイツがネットワークを通じて注文して、ドローン型のイナメイトが食料を運んでくれるからな──後はその材料で料理を作ってくれる」
「それはすげぇ……そして、便利過ぎるだろ……」
「ふふふ、感謝しろよ?」

 スクエの言葉にスクエは大仰しく頭を下げる。

「ノラ様、ありがとうございます」
「ふふ、分かれば良い」
「「はは」」

 二人は、お互いの顔を見て笑い合う。

「それにしても、イナメイトとか結構高いんだろ? 大丈夫なのかよ」
「あぁ、このイナメイトに関しては問題無いな」

 会計を終わらしたノラはスクエに説明する。

「このイナメイトは人間のご飯を作る為に発明された物だが、そもそも奴隷の為に何か物を買ってやるもんかと考えるリプレスが多くてな」

 少し苦笑いをするノラ。

「そんなんだから、どんどんと売れ残り、今では製造されて無いし、在庫も余りまくっているらしくて、値段がとても安い」

──奴隷である人間を快適にする物は買い与えないって事か……

 少しだけ、表情を歪めたスクエだったが直ぐに戻す。

「よし、会計も済ませたし、配達はイナメイトがしてくれるし、ノーブルメタルとスクエのご飯を買って帰るか」

 こうして、二人はその後もビル内を見て周り家に帰宅した。
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