人間三原則

こーぷ

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第2章 ヒューマンバトル

48話 アバエフ王からの召集

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 そこは、とても大きな講堂の様な場所である。

 一体何人のリプレス達が居るか分からない程集まっている。

 恐らく講堂内に集まっているリプレス達は城で勤務している兵士や地位の高い者達であろう。

「いやー、それにしてもアバエフ王がいきなり召集を掛けた事に驚きですな」
「えぇ、これは何かあると、もっぱらの噂ですよ」

 とても、高級そうな服装を着ている者達が何事かと、本日集まった理由を話している。

 そんな地位の高い者達とは別に鎧の様なモノを着込んだリプレス達が何か有れば直ぐにでも対応出来る様にと部屋を囲む様に等間隔の距離を開けて立ち並ぶ。

 本来であれば、そんな見張りなどは人間にやらせれば良い事なのだが、人間嫌いであるアバエフ王は城内に人間を極力入れない様にしている。

 なので、城の見張りも、城内のありとあらゆる仕事をリプレスかイナメイトで行っている。

 そして、講堂内に集まる予定である全てのリプレスが到着した頃──大きなシンバルの音が響き渡る。

 そのシンバルの音は王の入場の意味を表しているのか、ガヤガヤと騒がしかった構内は一瞬にしてシーンと静まり返る。
 そして、講堂内に居る全てのリプレスが片膝をつきアバエフ王の入場を待つ。

 ゆっくりとした歩調で歩く音が構内に響く。
 その後たっぷりと時間を掛けてアバエフ王が講堂の奥にある、少し小高い場所まで到着すると、もう一度大きなシンバルが鳴った。

 シンバルの音と共にリプレスが顔を上げる。

 そしてそこにはアクアスの王であるアバエフが立っていた……

 その姿は正に王と断言出来る程の威厳を持っていた。

 それとアバエフ王は誰もが一目見れば分かる程、全身が真っ赤であった。

 何が真っ赤かと言うと、髪、目の瞳、そして真っ赤なロングコートを着込んでいる。

 髪は短くした赤髪を後ろに持っていきオールバック状態であり、目の瞳は、まるで火が灯っているかの様に赤い。

 そして、表情はとても厳格であり、その瞳で見られると、つい敬ってしまう程である。

 そんなアバエフ王は、一度リプレスを見渡し一言。

「今日は急な収集にも関わらず集まってくれた事に感謝する」

 表情は決して笑っては居ないが、どこかリプレス達に掛ける言葉の音色は柔らかい。
 まるで、我が子を見る父親──もしくは孫を見る様な感じであろう。

「今日集まって貰った理由は他でも無い──ヒューマンバトルを近々開催しようと考えている事を伝えたくてな」

 アバエフの言葉に他のリプレスは湧き立つ。

「皆も知っている通り、ヒューマンバトルの勝者には、ノーブルメタル一年分と奴隷である人間の高スキルを進展しよう」

 賞品の話を聞きますます喜びを見せるリプレス達。

「全体的な発表はもう少し先だが皆も最高の奴隷を用意してくれ」

 アバエフの低い声に他のリプレスが返事を返した。


「それと、もう一つ」

 アバエフの声にリプレス達が集中する。

「優勝した者──すなわち奴隷には私の奴隷であるフリップと戦ってもらう」

 アバエフの言葉に一歩前に出てリプレス達に頭を下げた。

 その人物はアバエフの奴隷である。

 フリップと言うアバエフの奴隷は、髪が青空の様に青く、目がつり上がっていた。

 サラサラの髪、鋭い目付き、そして身長もそこそこありスタイルも抜群である。
 人間の女性であれば、一目見てカッコイイと思ってしまう程の容姿を持っているフリップだが、やはりアバエフの奴隷だからなのか、それとも、元々そういう顔付きなのか、表情は人間とは思えない程に厳格を持っていた。

 そんなフリップだが、普通の奴隷とは決定的に違う点があった。

 それは……服装である。

 本来、奴隷は上下共に真っ白な服装しか着るのが許されない筈なのだが、フリップだけは真っ黒なのである。

 それは何故か?

 アバエフ王の奴隷にして人間最強であるからだ。

 ヒューマンバトルは毎回、優勝者である奴隷はアバエフの奴隷であるフリップと戦う事になっている。

 そこで、フリップは一度も負けた事が無い所か毎回圧勝している。

 そんなフリップはアバエフの奴隷と言う事もあり、人間なのにも関わらずリプレス達の中でも一目置かれている存在であった。

 一度頭を下げたフリップは再びアバエフ王の一歩後ろまで下がり、姿勢を正した。

「ヒューマンバトルのルールなどは追って連絡する──先駆けて皆には伝えとこうと思って集まって貰った次第だ」

 そして、話は終わったと言わんばかりに、アバエフが何か手で合図を送ると、シンバルの音が大きく響き渡った。

 それと同時にリプレス達はまた
片膝を付いてアバエフ王の退場を待つのであった……

 このヒューマンバトルを巡って、リプレス達は優勝する為に動き始めたのであった……
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