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第1章 ヒーロー見参
39話 ウーヴェからの提案
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「ノラ、どこでアイツらに仕掛ける?」
スクエとノラはロメイとウーヴェから離れて、リプレス二人組の後をバレない様に後を追っている。
「ふむ。向こうも警戒しているのか、なかなか隙を見せないな」
ノラの言う通り、リプレス達は良く訓練されているのか、常に二人でお互いの死角を消し合う様に周囲に気を配っていた。
「罠の所に、なんとか誘導するしか無いな」
「なら俺が囮りになるか……」
「気を付けろよ?」
「──はは、もう今までの俺じゃねぇーからな、任せてくれ」
「ふふ、どうやらそうらしいな」
二人は一度笑い合い、直ぐに表情を引き締める。
「じゃ、俺が囮りになって罠に誘導するから、タイミングはノラに任す」
「あぁ、絶対に捕まるんじゃ無いぞ」
そう言ってスクエは二人組のリプレス達にバレない様に先回りする。
そして、ノラは罠の方に向かって移動した。
スクエはどの様に誘き寄せるか思案する。
「さて、あのリプレス達をどうやって罠まで誘導するかだな」
あまり、近い位置で姿を見せてしまうと、身体能力の差で直ぐに追い付かれてしまうだろう。
「流石に、100mくらい離れてれば追いつかれ無いよな……?」
まだ、リプレス達の身体能力がどれ程か測り切れて無いスクエは念の為に十分な距離を取る。
「よし、今回もさり気なく、さり気なく」
スクエはゆっくりと──まるで散歩しているかの様子を出してリプレス達の前を横切る様に歩く。
周りが静かな事も有り、100m離れた場所からでもスクエの足音を聞き取ったリプレス達は全力で走り出した。
「よし、食いついた」
スクエはリプレス達に一度顔を向けて驚く演技をした後に全力で罠の場所に向かって走り出す。
「一体俺が、ここの世界に来てどれくらい逃げ回ったと思っているんだよ!」
まるで二人のリプレスに言う様に呟くスクエは更に足の回転を早める。
だが、やはり身体能力では勝て無いのかスクエを追うリプレス達は徐々に距離を詰めていく。
「クソー、不公平過ぎるだろ!」
愚痴りながらも、スクエは罠を仕掛けた場所まで到着し──そのまま通り過ぎる。
「頼むぞ……」
小さい声で何処か近くに潜んでいるノラに呟く。
そして、少ししてリプレス達が罠の仕掛けた所まで差し掛かった瞬間──大きな音を立てながら山が崩れた。
「──どうだ?!」
スクエは山が崩れた瞬間に足を止めて後ろを振り返る。
暫くの間、周りのゴミや土埃が舞い上がり視界を塞いだ。
「スクエ、どうだ?」
土埃が収まるのを見ているスクエにノラが近付いて来て話し掛ける。
「分からねぇーけど、何も聞こえない所を見るとやったんじゃねぇーか?」
そして、少しすると土埃が収まる。
「「──っな?!」」
なんと、二人のリプレスは無傷で立っていたのだ。
「ッチ、やはり罠の重量が軽過ぎたか……」
ノラは舌打ちしながらも、リプレス達を警戒する。
「ノラ、逃げるか?」
「あぁ、対面で戦っても、こちらが不利だからな……」
二人が後ろを振り返り走り出そうと足を上げた所で更に驚く事が起きた。
「やっと見つけたぞ」
そこには何故かウーヴェとロメイ──先程入り口で見たリプレス達全員が揃っていたのだ。
「な、なんでだ……?」
スクエの驚きにウーヴェが答える。
「不思議そうだな人間──コレだよ」
ウーヴェが手に持っていたのは何やら小型の機械であった。
「通信装置……」
ノラの呟きでスクエは理解する。
「俺を見つけた瞬間から連絡を取り合っていたのか」
「はははは、その通りだ──そして先回りさせて貰った──人間よ抵抗は辞めて大人しく捕まってくれないか?」
まるで、家畜を見る様にスクエを見るウーヴェに一瞬だけ怯んでしまうスクエ。
無意識に腕輪を触り気持ちを落ち着かせる。
「誰が捕まるかよ」
スクエはウーヴェを睨み付けながら言い放つ。
そしてスクエの隣に居たノラが一歩だけ前に足を踏み出しウーヴェに話し掛ける。
「ウーヴェとか言ったか? この人間は私が買った奴隷だから手を出すな──そして理解したらさっさと私達の前から消え去れ」
赤い目をウーヴェに向ける。
すると、次はウーヴェの隣に居たロメイが口を開く。
「な、なんでアイツが……? 俺とグロックさんで壊した筈なのに……」
目を見開きノラを見つめるロメイにウーヴェが言い放つ。
「そんなに難しい事では無かろう──そこの人間が治したのでは無いか?」
「人間ごときがリプレスを……?」
そして、ウーヴェはノラに視線を合わせて話し掛ける。
「どうやらお前は分かっている様だが、そこの人間はとても価値がある──それこそ売る相手を選べば一生遊んでいけるだろう」
「……」
「そこで、どうだろうか──全ての手続きは我々の方で手配しよう、そして売って得た金額の三割を渡す──三割だとしてもお前が再び壊れるまで一生働かずにノーブルメタルを楽しめるぞ?」
リプレスなら誰もが魅力的に感じる提案をウーヴェが持ち掛ける。
「いや、断る──私にはする事があってな、その為にはこの人間が必要になる──諦めて立ち去れ」
言葉では確実に解決しないと分かりつつもノラはウーヴェ達に立ち去る様に言う。
「その人間を渡さなければ再び壊れる事になっても渡さないのか?」
少しずつであるが、ウーヴェから殺気が漏れ出してくるのをスクエとノラは感じ取る。
「クドイ──いいから立ち去れ」
ノラの言葉に一度深い溜息を吐くウーヴェ。
「はぁ……しょうがない──お前達人間は絶対傷付けるんじゃ無いぞ?」
「「「「「「「はい」」」」」」」
こうしてウーヴェの言葉をキッカケに二十人程がスクエ達を囲む様に立ち位置を移動するのであった……
スクエとノラはロメイとウーヴェから離れて、リプレス二人組の後をバレない様に後を追っている。
「ふむ。向こうも警戒しているのか、なかなか隙を見せないな」
ノラの言う通り、リプレス達は良く訓練されているのか、常に二人でお互いの死角を消し合う様に周囲に気を配っていた。
「罠の所に、なんとか誘導するしか無いな」
「なら俺が囮りになるか……」
「気を付けろよ?」
「──はは、もう今までの俺じゃねぇーからな、任せてくれ」
「ふふ、どうやらそうらしいな」
二人は一度笑い合い、直ぐに表情を引き締める。
「じゃ、俺が囮りになって罠に誘導するから、タイミングはノラに任す」
「あぁ、絶対に捕まるんじゃ無いぞ」
そう言ってスクエは二人組のリプレス達にバレない様に先回りする。
そして、ノラは罠の方に向かって移動した。
スクエはどの様に誘き寄せるか思案する。
「さて、あのリプレス達をどうやって罠まで誘導するかだな」
あまり、近い位置で姿を見せてしまうと、身体能力の差で直ぐに追い付かれてしまうだろう。
「流石に、100mくらい離れてれば追いつかれ無いよな……?」
まだ、リプレス達の身体能力がどれ程か測り切れて無いスクエは念の為に十分な距離を取る。
「よし、今回もさり気なく、さり気なく」
スクエはゆっくりと──まるで散歩しているかの様子を出してリプレス達の前を横切る様に歩く。
周りが静かな事も有り、100m離れた場所からでもスクエの足音を聞き取ったリプレス達は全力で走り出した。
「よし、食いついた」
スクエはリプレス達に一度顔を向けて驚く演技をした後に全力で罠の場所に向かって走り出す。
「一体俺が、ここの世界に来てどれくらい逃げ回ったと思っているんだよ!」
まるで二人のリプレスに言う様に呟くスクエは更に足の回転を早める。
だが、やはり身体能力では勝て無いのかスクエを追うリプレス達は徐々に距離を詰めていく。
「クソー、不公平過ぎるだろ!」
愚痴りながらも、スクエは罠を仕掛けた場所まで到着し──そのまま通り過ぎる。
「頼むぞ……」
小さい声で何処か近くに潜んでいるノラに呟く。
そして、少ししてリプレス達が罠の仕掛けた所まで差し掛かった瞬間──大きな音を立てながら山が崩れた。
「──どうだ?!」
スクエは山が崩れた瞬間に足を止めて後ろを振り返る。
暫くの間、周りのゴミや土埃が舞い上がり視界を塞いだ。
「スクエ、どうだ?」
土埃が収まるのを見ているスクエにノラが近付いて来て話し掛ける。
「分からねぇーけど、何も聞こえない所を見るとやったんじゃねぇーか?」
そして、少しすると土埃が収まる。
「「──っな?!」」
なんと、二人のリプレスは無傷で立っていたのだ。
「ッチ、やはり罠の重量が軽過ぎたか……」
ノラは舌打ちしながらも、リプレス達を警戒する。
「ノラ、逃げるか?」
「あぁ、対面で戦っても、こちらが不利だからな……」
二人が後ろを振り返り走り出そうと足を上げた所で更に驚く事が起きた。
「やっと見つけたぞ」
そこには何故かウーヴェとロメイ──先程入り口で見たリプレス達全員が揃っていたのだ。
「な、なんでだ……?」
スクエの驚きにウーヴェが答える。
「不思議そうだな人間──コレだよ」
ウーヴェが手に持っていたのは何やら小型の機械であった。
「通信装置……」
ノラの呟きでスクエは理解する。
「俺を見つけた瞬間から連絡を取り合っていたのか」
「はははは、その通りだ──そして先回りさせて貰った──人間よ抵抗は辞めて大人しく捕まってくれないか?」
まるで、家畜を見る様にスクエを見るウーヴェに一瞬だけ怯んでしまうスクエ。
無意識に腕輪を触り気持ちを落ち着かせる。
「誰が捕まるかよ」
スクエはウーヴェを睨み付けながら言い放つ。
そしてスクエの隣に居たノラが一歩だけ前に足を踏み出しウーヴェに話し掛ける。
「ウーヴェとか言ったか? この人間は私が買った奴隷だから手を出すな──そして理解したらさっさと私達の前から消え去れ」
赤い目をウーヴェに向ける。
すると、次はウーヴェの隣に居たロメイが口を開く。
「な、なんでアイツが……? 俺とグロックさんで壊した筈なのに……」
目を見開きノラを見つめるロメイにウーヴェが言い放つ。
「そんなに難しい事では無かろう──そこの人間が治したのでは無いか?」
「人間ごときがリプレスを……?」
そして、ウーヴェはノラに視線を合わせて話し掛ける。
「どうやらお前は分かっている様だが、そこの人間はとても価値がある──それこそ売る相手を選べば一生遊んでいけるだろう」
「……」
「そこで、どうだろうか──全ての手続きは我々の方で手配しよう、そして売って得た金額の三割を渡す──三割だとしてもお前が再び壊れるまで一生働かずにノーブルメタルを楽しめるぞ?」
リプレスなら誰もが魅力的に感じる提案をウーヴェが持ち掛ける。
「いや、断る──私にはする事があってな、その為にはこの人間が必要になる──諦めて立ち去れ」
言葉では確実に解決しないと分かりつつもノラはウーヴェ達に立ち去る様に言う。
「その人間を渡さなければ再び壊れる事になっても渡さないのか?」
少しずつであるが、ウーヴェから殺気が漏れ出してくるのをスクエとノラは感じ取る。
「クドイ──いいから立ち去れ」
ノラの言葉に一度深い溜息を吐くウーヴェ。
「はぁ……しょうがない──お前達人間は絶対傷付けるんじゃ無いぞ?」
「「「「「「「はい」」」」」」」
こうしてウーヴェの言葉をキッカケに二十人程がスクエ達を囲む様に立ち位置を移動するのであった……
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