39 / 67
第1章 ヒーロー見参
38話 ウーヴェ現る
しおりを挟む
「スクエ、これで罠は何個だ?」
「三つだな……」
スクエの職業が分からない為、結局は以前グロックを倒した時と同じ様に罠をせっせと作る二人。
「作らないよりマシだけど、あんまり意味なさそうだな……」
「つべこべ言ってないで作るんだ」
スクエの言葉が正しい事は分かるノラであるが、今は手が無い為、罠を作るしか無い。
「相手は六人──そして罠は三つ……ふむ、二人計算で全滅だな」
「……」
ノラの単純な計算にスクエは唖然として見る。
「ん? ──なんだ?」
「い、いや──見た目は白衣なんか着て賢そうだけど、中身は賢く無いんだ──イテッ!」
スクエが何かを言い終わる前に武力を持って黙らせるノラであった。
「ふふ──どうやら勘違いしている様だな?」
「な、何がだよ」
ノラの不敵な笑みにスクエは少し身構える。
「私は、賢い──何故ならメンタルチップを作ったからな! それだけで無く更にはマインドチップまで作った、この私が賢く無い訳が無い!」
言いたい事は分かるが、言っている事は馬鹿丸出しである。
──ノラの奴、前からこんな感じだったか?
何やら、壊れる前と壊れた後のノラの違いに少し違和感を感じながらスクエは罠を仕掛ける為に更なる山を探し始める。
「いいか、スクエ──私は本気を出せばなんだって出来るが、今は私の土俵と言うべき研究室が無い──」
何やら後ろでブツブツスクエに話し掛けて居るノラであったが、完全に無視をして罠作りに集中するスクエであった。
それからも二人は歩き回り、色々探すが結局何も見つけられず一度ドラム缶の家に戻ることにした。
「やはり二人計算……」
「──無理に決まっているだろ……」
二人が話しながら歩いていると、山の崩れる音が響き渡る。
「「──ッ!?」」
二人は素早い反応で直ぐに音の方に向く。
「──今のは入り口の罠か?」
ノラの呟きに頷くスクエ。
「あぁ──とうとう来た様だな……」
「スクエよ先ずは様子見かな?」
「そうだな──取り敢えず相手にバレない様に移動しよう」
こうしてスクエ達は急いで入り口に向かう。
程良く近くにいた事もあり、直ぐに侵入者の姿を発見する。
そして、隠れる様にして様子を伺うスクエ達。
「おいおい、マジかよ……」
「スクエ……お前は計算出来ないのか? ──6人どころか20人くらい居るぞ?」
スクエとノラの視線の先にはロメイとウーヴェが居た。
しかし、他にもリプレス達が居て、その数20人。
「一つ7人計算か……」
本気か冗談か判断付かないスクエはノラを無視して、どうするか考える。
──このまま見つかったら絶対に勝てない……ここはやり過ごすしかねぇ……
ノラも同じ意見なのか二人はお互いの顔を見合って一度頷く。
「ウーヴェさん、本当に此処にいるのでしょうか?」
作り笑顔でロメイがウーヴェに質問する。
「絶対居るだろうな、一ヶ月以上探し続けて何の情報も見つけられなかったんだ、後は此処くらいしか無い」
ギロリとロメイを睨み付ける形で脅しを掛けるウーヴェ。
「は、はい!」
ビビリまくるロメイは更には小さい体を縮み込ませる。
そして、ウーヴェはそんなロメイから直ぐに視線を外し、部下達に指示を下す。
「お前達、なんとしてでも探し出せ──必ずこのスクラップ場の何処かにいる筈だ」
「「「「「はい!」」」」」
ウーヴェの言葉に他の者全員が返事をする。
「よし──常に二人以上で行動を取れ、一人だと、いつかのグロックみたいにスクラップにされるぞ」
ウーヴェはスクエ達に襲われてもフォロー出来る様にツーマンセル以上で部下達を組ませてスクエを探し出す様に指示する。
「見つけたら、直ぐに合図を送れ」
ウーヴェの指示に頷くとリプレス達は一斉に走り散らばるのであった。
「さて、俺達も行くぞ」
ロメイに言い、歩き出すウーヴェにロメイは質問する。
「な、なんで俺がウーヴェさんと組むんですか?」
この緊張感から早く抜け出したいロメイは、あわよくば他の者と組ませてくれと願うが、それは無理な様だ。
「俺が一番強くて、お前が一番弱いからだ」
ウーヴェの言葉に反論したいロメイであったが、事実だったので見えない位置で悔しがる。
そんな様子を隠れながら観察していたスクエとノラは小声で話し始めた。
「なぁ……ノラ、これ、不味く無いか?」
「あぁ──見つかるのも時間の問題だろうな……」
どうやらウーヴェの作戦は、先ず最初にスクラップ場の最果てまで部下達を行かせて、そして徐々に内側に移動して探索範囲を狭めて行く様子である。
「まるで狩られる側の動物の気分だぜ……」
「アイツら今回は見つかるまで帰らなそうだな……」
二人で小声で話している内も着々と逃げる範囲を狭められ、魔の手がスクエに伸びようとしている。
「こうなったら、戦うしか……無いか……?」
スクエの疑問にノラは答える。
「追い詰められて全員を相手にするよりかは二人ずつ相手した方が良さそうだな」
「分かった──まずはここから離れようぜ」
こうして二人はロメイとウーヴェに背を向けて、他に倒す為の敵を静かに探し始めるのであった……
「三つだな……」
スクエの職業が分からない為、結局は以前グロックを倒した時と同じ様に罠をせっせと作る二人。
「作らないよりマシだけど、あんまり意味なさそうだな……」
「つべこべ言ってないで作るんだ」
スクエの言葉が正しい事は分かるノラであるが、今は手が無い為、罠を作るしか無い。
「相手は六人──そして罠は三つ……ふむ、二人計算で全滅だな」
「……」
ノラの単純な計算にスクエは唖然として見る。
「ん? ──なんだ?」
「い、いや──見た目は白衣なんか着て賢そうだけど、中身は賢く無いんだ──イテッ!」
スクエが何かを言い終わる前に武力を持って黙らせるノラであった。
「ふふ──どうやら勘違いしている様だな?」
「な、何がだよ」
ノラの不敵な笑みにスクエは少し身構える。
「私は、賢い──何故ならメンタルチップを作ったからな! それだけで無く更にはマインドチップまで作った、この私が賢く無い訳が無い!」
言いたい事は分かるが、言っている事は馬鹿丸出しである。
──ノラの奴、前からこんな感じだったか?
何やら、壊れる前と壊れた後のノラの違いに少し違和感を感じながらスクエは罠を仕掛ける為に更なる山を探し始める。
「いいか、スクエ──私は本気を出せばなんだって出来るが、今は私の土俵と言うべき研究室が無い──」
何やら後ろでブツブツスクエに話し掛けて居るノラであったが、完全に無視をして罠作りに集中するスクエであった。
それからも二人は歩き回り、色々探すが結局何も見つけられず一度ドラム缶の家に戻ることにした。
「やはり二人計算……」
「──無理に決まっているだろ……」
二人が話しながら歩いていると、山の崩れる音が響き渡る。
「「──ッ!?」」
二人は素早い反応で直ぐに音の方に向く。
「──今のは入り口の罠か?」
ノラの呟きに頷くスクエ。
「あぁ──とうとう来た様だな……」
「スクエよ先ずは様子見かな?」
「そうだな──取り敢えず相手にバレない様に移動しよう」
こうしてスクエ達は急いで入り口に向かう。
程良く近くにいた事もあり、直ぐに侵入者の姿を発見する。
そして、隠れる様にして様子を伺うスクエ達。
「おいおい、マジかよ……」
「スクエ……お前は計算出来ないのか? ──6人どころか20人くらい居るぞ?」
スクエとノラの視線の先にはロメイとウーヴェが居た。
しかし、他にもリプレス達が居て、その数20人。
「一つ7人計算か……」
本気か冗談か判断付かないスクエはノラを無視して、どうするか考える。
──このまま見つかったら絶対に勝てない……ここはやり過ごすしかねぇ……
ノラも同じ意見なのか二人はお互いの顔を見合って一度頷く。
「ウーヴェさん、本当に此処にいるのでしょうか?」
作り笑顔でロメイがウーヴェに質問する。
「絶対居るだろうな、一ヶ月以上探し続けて何の情報も見つけられなかったんだ、後は此処くらいしか無い」
ギロリとロメイを睨み付ける形で脅しを掛けるウーヴェ。
「は、はい!」
ビビリまくるロメイは更には小さい体を縮み込ませる。
そして、ウーヴェはそんなロメイから直ぐに視線を外し、部下達に指示を下す。
「お前達、なんとしてでも探し出せ──必ずこのスクラップ場の何処かにいる筈だ」
「「「「「はい!」」」」」
ウーヴェの言葉に他の者全員が返事をする。
「よし──常に二人以上で行動を取れ、一人だと、いつかのグロックみたいにスクラップにされるぞ」
ウーヴェはスクエ達に襲われてもフォロー出来る様にツーマンセル以上で部下達を組ませてスクエを探し出す様に指示する。
「見つけたら、直ぐに合図を送れ」
ウーヴェの指示に頷くとリプレス達は一斉に走り散らばるのであった。
「さて、俺達も行くぞ」
ロメイに言い、歩き出すウーヴェにロメイは質問する。
「な、なんで俺がウーヴェさんと組むんですか?」
この緊張感から早く抜け出したいロメイは、あわよくば他の者と組ませてくれと願うが、それは無理な様だ。
「俺が一番強くて、お前が一番弱いからだ」
ウーヴェの言葉に反論したいロメイであったが、事実だったので見えない位置で悔しがる。
そんな様子を隠れながら観察していたスクエとノラは小声で話し始めた。
「なぁ……ノラ、これ、不味く無いか?」
「あぁ──見つかるのも時間の問題だろうな……」
どうやらウーヴェの作戦は、先ず最初にスクラップ場の最果てまで部下達を行かせて、そして徐々に内側に移動して探索範囲を狭めて行く様子である。
「まるで狩られる側の動物の気分だぜ……」
「アイツら今回は見つかるまで帰らなそうだな……」
二人で小声で話している内も着々と逃げる範囲を狭められ、魔の手がスクエに伸びようとしている。
「こうなったら、戦うしか……無いか……?」
スクエの疑問にノラは答える。
「追い詰められて全員を相手にするよりかは二人ずつ相手した方が良さそうだな」
「分かった──まずはここから離れようぜ」
こうして二人はロメイとウーヴェに背を向けて、他に倒す為の敵を静かに探し始めるのであった……
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
異世界に転生したのだけれど手違いでトカゲになっていた!しかし、女神に与えられた進化の実を食べて竜人になりました。
エブリスタと小説家になろうにも掲載しています。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる