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第1章 ヒーロー見参
25話 迫り来る二つの影
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「オラッ!」
スクラップ場でスクエが何やら振り回していた。
「フンッ!」
刃物の様な物を振り回していたのはスクエだ。
どうやら、リプレスと戦う事になった際に自分でも攻撃を喰らわせてやろうと考えているのか訓練をしている様だが──どうも素人がやたらめったらに振り回している様にしか見えない。
「ふぅ──大分良くなったんじゃないか?」
自分的には上手く得物を振り回せている様で、嬉しそうな顔をする。
「はは、まさか剣の練習をするなんて思わなかったけど楽しいな!」
どうやら今の状況──悪者に追われている状況を無理やり楽しんでいる様である。
「これで、誰かを救う状況だったら最高のシュチュエーションだったんだけどな!」
スクエは今のピンチ的な状況に心が折れない様にと妄想してなんとか保つ様に努めている。
「罠も仕掛けたし、後はアイツらが来るのを待つだけだな──来ない方がいいけど……」
実際に罠を作ったり、また逃走ルートを作ったりと色々準備をしたスクエであったが、あの二人のリプレス達がスクラップ場に来るかは分からない──もしかしたら一生この場所に来ない可能性だってある。
「このまま来なかったら俺はずっとココに住まないといけないのか?」
ふと、我に返ったスクエは辺りをぐるりと見回す。
「ジャンク部品ばかり……」
高く積み上げられたジャンク品の数々。
「質素な家……」
次に目線を向けたのは自前で作った簡易的なドラム缶の家。
「食いもん無い……」
そして最後に昨日の夜、こっそりとスクラップ場を抜けてゴミ箱を漁り、ご飯と水を調達したが、朝に食べて全て無くなった様だ。
「ダメだ……ここでずっと住める訳が無い……」
暫くは、この様な生活を続ける事も可能だと思われるが、実際にずっとスクラップ場で住めと言われると、普通の人間が暮らせる訳もなく、やはり生き残るなら、いずれは街に戻らないとダメだろう。
「でもな……また奴隷なんてなりたくねぇーし──ノラみたいな良い奴なんてもう居ないだろうな……」
この国の国民性というのか──リプレス達が人間を奴隷にし家畜同然の扱いをしているので、今のスクエみたいな生活でも、まだ奴隷になるよりはマシだと言えるだろう。
「結局、俺がこの街で安心して暮らすには秘密を知っている二人をどうにかしないとだな……」
スクエを追っている、ロメイとグロックの二人をどうにかすれば、後はスラム街に戻り今よりは良い生活が出来るだろう。
「その為には訓練、訓練!」
そして再びスクエは剣の様な得物を振り回す。
ここ最近スクエは、罠製作しつつも得物を振り続けている。
だが、やはり改めて見ても子供が木の棒を振り回している様にしか見えない。
「──やぁ!」
すると、遠くでジャンク品の山が崩れる音が聞こえた。
「──ッ?! 誰か来た……」
その音を聞いてスクエは直ぐ様素振りを辞めて、周りに散らばっている自身が居た形跡を消す。
何故、スクエが誰かが来た事を察知出来たかと言うと──こちらも罠を仕掛けたからである。
「スクラップ場の入り口に仕掛けといて良かった……」
入り口付近で敢えて、崩れやすい様に──まるで子供達が友達と遊ぶ際に使うジェンガーの要領で、幾つかのジャンク品を抜き取り少しの衝撃でも崩れる様にしていたのだ。
「あの二人じゃ無かったら良いけど……」
スクエは入り口の様子を確認する為にゆっくり、静かに入り口向かって移動する。
「いた……」
スクエが入り口付近で隠れながら様子を見ると人影が二人居るのが見えた。
「クソ……やっぱり、アイツらか……」
スクラップ場の入り口には案の定、ロメイとグロックの二人組が居た。
「グロックさん、人間がこんな場所に居ますかね?」
「バーカ、スラム街以外で人間が俺達リプレスにバレずに暮らせる場所なんてココくらいしかねぇーだろ」
「た、確かに……」
粗暴そうな見た目に反して意外に頭が回る様子のグロックにロメイは関心している様子であった。
「それにしても、あの人間が高値で売れるのは分かりますが、一体どれくらいで売れますかね?」
二人のリプレス達はスクエを探す様にあちこち顔を動かしながら会話を続ける。
「さぁーな──しかし、お前が想像している以上の値段は確実に着くな」
「え、ぇ? そんなにですか?」
「あぁ──あの人間は何故か知らねぇーが、人間三原則が効かねぇーからな。マニアに売ってもかなり高値がつく」
「うわー、夢広がりますよ──毎日ノーブルメタルが吸えますかね?」
「まぁーな、それくらいの値段は着くな──だけどよ、もっと高く買ってくれる相手だっているんだぜ?」
ニヤリと笑うグロックにロメイは不思議そうに聞く。
「マニアより高くって誰が買い取ってくれるんですか?」
「それは秘密だ」
「えー、グロックさんそれは無いですよー、折角ここまで一緒なんだから教えてくださいよー」
ロメイは必死にグロックに頼み込む──そんなロメイが煩わしいのかグロックは嫌そうにしながらも応える。
「あー、分かったよ! 暑苦しいから離れろ!」
グロックの言葉に従う様に直ぐに五歩程下がったロメイは答えを聞く為にグロックの顔をまじまじと見る。
「はぁ……誰にも言うんじゃねぇーぞ?」
コクリと頷くロメイ。
「マニアより高く買い取ってくれる相手は──アクアスの王であるアバエフ様だ」
グロックの言葉にロメイは驚いた表情をする。
スクラップ場でスクエが何やら振り回していた。
「フンッ!」
刃物の様な物を振り回していたのはスクエだ。
どうやら、リプレスと戦う事になった際に自分でも攻撃を喰らわせてやろうと考えているのか訓練をしている様だが──どうも素人がやたらめったらに振り回している様にしか見えない。
「ふぅ──大分良くなったんじゃないか?」
自分的には上手く得物を振り回せている様で、嬉しそうな顔をする。
「はは、まさか剣の練習をするなんて思わなかったけど楽しいな!」
どうやら今の状況──悪者に追われている状況を無理やり楽しんでいる様である。
「これで、誰かを救う状況だったら最高のシュチュエーションだったんだけどな!」
スクエは今のピンチ的な状況に心が折れない様にと妄想してなんとか保つ様に努めている。
「罠も仕掛けたし、後はアイツらが来るのを待つだけだな──来ない方がいいけど……」
実際に罠を作ったり、また逃走ルートを作ったりと色々準備をしたスクエであったが、あの二人のリプレス達がスクラップ場に来るかは分からない──もしかしたら一生この場所に来ない可能性だってある。
「このまま来なかったら俺はずっとココに住まないといけないのか?」
ふと、我に返ったスクエは辺りをぐるりと見回す。
「ジャンク部品ばかり……」
高く積み上げられたジャンク品の数々。
「質素な家……」
次に目線を向けたのは自前で作った簡易的なドラム缶の家。
「食いもん無い……」
そして最後に昨日の夜、こっそりとスクラップ場を抜けてゴミ箱を漁り、ご飯と水を調達したが、朝に食べて全て無くなった様だ。
「ダメだ……ここでずっと住める訳が無い……」
暫くは、この様な生活を続ける事も可能だと思われるが、実際にずっとスクラップ場で住めと言われると、普通の人間が暮らせる訳もなく、やはり生き残るなら、いずれは街に戻らないとダメだろう。
「でもな……また奴隷なんてなりたくねぇーし──ノラみたいな良い奴なんてもう居ないだろうな……」
この国の国民性というのか──リプレス達が人間を奴隷にし家畜同然の扱いをしているので、今のスクエみたいな生活でも、まだ奴隷になるよりはマシだと言えるだろう。
「結局、俺がこの街で安心して暮らすには秘密を知っている二人をどうにかしないとだな……」
スクエを追っている、ロメイとグロックの二人をどうにかすれば、後はスラム街に戻り今よりは良い生活が出来るだろう。
「その為には訓練、訓練!」
そして再びスクエは剣の様な得物を振り回す。
ここ最近スクエは、罠製作しつつも得物を振り続けている。
だが、やはり改めて見ても子供が木の棒を振り回している様にしか見えない。
「──やぁ!」
すると、遠くでジャンク品の山が崩れる音が聞こえた。
「──ッ?! 誰か来た……」
その音を聞いてスクエは直ぐ様素振りを辞めて、周りに散らばっている自身が居た形跡を消す。
何故、スクエが誰かが来た事を察知出来たかと言うと──こちらも罠を仕掛けたからである。
「スクラップ場の入り口に仕掛けといて良かった……」
入り口付近で敢えて、崩れやすい様に──まるで子供達が友達と遊ぶ際に使うジェンガーの要領で、幾つかのジャンク品を抜き取り少しの衝撃でも崩れる様にしていたのだ。
「あの二人じゃ無かったら良いけど……」
スクエは入り口の様子を確認する為にゆっくり、静かに入り口向かって移動する。
「いた……」
スクエが入り口付近で隠れながら様子を見ると人影が二人居るのが見えた。
「クソ……やっぱり、アイツらか……」
スクラップ場の入り口には案の定、ロメイとグロックの二人組が居た。
「グロックさん、人間がこんな場所に居ますかね?」
「バーカ、スラム街以外で人間が俺達リプレスにバレずに暮らせる場所なんてココくらいしかねぇーだろ」
「た、確かに……」
粗暴そうな見た目に反して意外に頭が回る様子のグロックにロメイは関心している様子であった。
「それにしても、あの人間が高値で売れるのは分かりますが、一体どれくらいで売れますかね?」
二人のリプレス達はスクエを探す様にあちこち顔を動かしながら会話を続ける。
「さぁーな──しかし、お前が想像している以上の値段は確実に着くな」
「え、ぇ? そんなにですか?」
「あぁ──あの人間は何故か知らねぇーが、人間三原則が効かねぇーからな。マニアに売ってもかなり高値がつく」
「うわー、夢広がりますよ──毎日ノーブルメタルが吸えますかね?」
「まぁーな、それくらいの値段は着くな──だけどよ、もっと高く買ってくれる相手だっているんだぜ?」
ニヤリと笑うグロックにロメイは不思議そうに聞く。
「マニアより高くって誰が買い取ってくれるんですか?」
「それは秘密だ」
「えー、グロックさんそれは無いですよー、折角ここまで一緒なんだから教えてくださいよー」
ロメイは必死にグロックに頼み込む──そんなロメイが煩わしいのかグロックは嫌そうにしながらも応える。
「あー、分かったよ! 暑苦しいから離れろ!」
グロックの言葉に従う様に直ぐに五歩程下がったロメイは答えを聞く為にグロックの顔をまじまじと見る。
「はぁ……誰にも言うんじゃねぇーぞ?」
コクリと頷くロメイ。
「マニアより高く買い取ってくれる相手は──アクアスの王であるアバエフ様だ」
グロックの言葉にロメイは驚いた表情をする。
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