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第1章 ヒーロー見参
20話 ノラとの別れ その2
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スクエは道に迷いながらも、やっとの思いで家に到着する。
「ふぅ……なんとか家まで着いた」
ロメイが背後から追って来るんじゃ無いかとビビリながら歩いていた為家に戻るまでかなりの時間を有した様だ。
「ん?」
家の前に着くと室内から何やら金属を叩く音が何度も何度も鳴り響き、外まで消える程の高い音が鳴っていた。
「なんだ?」
その音は家に近づけば近づく程大きくなり、更には何やら声まで聞こえて来る。
「オラ──ぶっ壊れろ! あははは!」
不穏な声にスクエは玄関から家に入らず、裏手に回り家の様子を確認しようとする。
「──ッな!?」
思わずスクエは叫びそうになる口を自分の手で無理やり押さえ込む。
──ノラが!?
スクエが見た光景はロメイと大柄の金髪の男グロックが倒れているノラの頭に向けて何度も鉄パイプを振り下ろしている姿だった。
──え?! な、なにが起きている!?
スクエはこの世界に来て一番動揺しているのか、心臓はバクバクして頭が回らない。
「あははは、テメェが直ぐに奴隷の居場所を言わねぇーから、こうなるんだよ!」
「グロックさん、お、俺もやってもいいですか?」
──グロック?
混乱しているスクエの耳にはロメイの声が入って来た様だ。
「あぁ、オメェもやってみろ──気持ちいいぞ!」
ロメイはグロックに鉄パイプを渡されると、満面の笑みで何度も振り下ろす。
「俺を見下した目で見てたよな、お前!」
既にノラはスクラップ状態にも関わらずロメイは怨念を溢すように延々と叩き殴る。
──に、逃げねぇと……
リプレス二人の笑い声と金属が叩かれる音を後にスクエは静かに家から離れて走り出す。
「はぁはぁ──ノラの顔が無かった……バラバラだった……」
走っているから息切れしているのか、先程の光景を見た事で動悸がするのか分からないスクエ──しかしひたすら家から離れる。
「く、くそ……これからどうすれゃいいんだよ……」
この世界で頼れる存在はノラしか居なかった。
そんなノラが二人のリプレスに襲われて頭部をバラバラになる程殴られた様子を見てスクエは震える。
「なんで、俺の事を捕まえようとしたんだ……」
考えて推測出来る事はきっと人間三原則だろう……
「俺にメンタルチップが入って無い事がそんなに珍しくて、金にでもなるのかよ!」
一体、スクエにどれ程の価値があるかは分からないが、ただでさえ見た目が珍しいスクエは奴隷競売の際に信じられない程の額が付いたが、更にはメンタルチップが無いともなればその金額は想像付かないだろう。
「とにかく身を隠す場所を見つけねぇーと」
これまで決まった道しか行った事無いスクエ──更にはノラがスクエに仕事などを頼む事も無かったので一日の大半を家の中で過ごして居た為、何処にどんな施設などがあるかさえ分からない状況の様だ。
そして、暫く走っていたスクエだったが、やはり人間の為体力に限界があり、足を止める。
「はぁはぁ……大分離れたけどまだ安心出来ねぇ……」
疲れている足に鞭を打つ様に歩き出す。
そしてひたすら隠れられる様な場所を見つける為人通りが少ない道を選んで進んで行ったスクエはある場所に到着する。
「ここが良さそうだ……」
一体どれ程歩いたかは分からないが既に空は真っ暗になっておりスクエの目の前には廃墟とも言えるくらいボロい建物が立ち並んで居た。
技術が発達したこの世界では考えられ無い程のボロさの建物ばかりである。
「確か、ノラがアクアスにはスラム街があると言ってたけどココの事か?」
ゆっくりと周囲を見ながら進むと、何やら視線を感じるがスクエは気にせず歩き続ける。
「スラム街は人間しか居ないらしいから今の俺には丁度良さそうだな」
ある程度スラム街の奥まで歩くとスクエは建物と建物の隙間に入り込み座り込む。
「ふぅ……やっと一息付けるな」
夜の闇に目が慣れて来たのかスクエは改めて周りを見るとチラホラとスクエの様に座り込んでいる人間が居た。
「ここで当面は隠れられるか……?」
しかしスラム街にもリプレスが来る可能性を捨てるわけにはいかない。
「リプレスだけは注意しねぇーとな──もう奴隷なんて絶対にごめんだぜ」
ここのスラム街に居る人間達も頭にはメンタルチップは入っているが奴隷の契約はされていない人間達である。
「流石にノラみたいなリプレスは他に居ないだろうな……」
ロメイやグロック──そして今まで見てきたリプレスを思い出すと、全員が人間を物としか見ていない事が分かる。
そんな中ノラだけは異質で人間であるスクエを物では無く人として見ていた。
「なんだよ……あんな奴に負ける気はしないとか言いやがって──簡単に壊されてるんじゃねぇーよ」
少し落ち着いた所で頭が冷静になり、今頃になってスクエはノラがスクラップにされた悲しみが湧いて来た様だ。
「また……俺が原因で……」
スクエは膝で自身の顔を埋める様にしながら、泣いていた……
「やっぱり、こんな俺が人を助けようと考えちゃダメなんだ……」
ノラが壊れた原因は元を辿ればスクエがロメイから店員を助けようとした所為である。
「俺なんかがヒーローになれる訳がねぇ……」
今のスクエの頭の中には自分のせいで犠牲になったパルムの死ぬ記憶が何度もリピート再生で流れている様だ──そして……これからはノラの姿も何かある度に思い出す事になるだろう……
「ふぅ……なんとか家まで着いた」
ロメイが背後から追って来るんじゃ無いかとビビリながら歩いていた為家に戻るまでかなりの時間を有した様だ。
「ん?」
家の前に着くと室内から何やら金属を叩く音が何度も何度も鳴り響き、外まで消える程の高い音が鳴っていた。
「なんだ?」
その音は家に近づけば近づく程大きくなり、更には何やら声まで聞こえて来る。
「オラ──ぶっ壊れろ! あははは!」
不穏な声にスクエは玄関から家に入らず、裏手に回り家の様子を確認しようとする。
「──ッな!?」
思わずスクエは叫びそうになる口を自分の手で無理やり押さえ込む。
──ノラが!?
スクエが見た光景はロメイと大柄の金髪の男グロックが倒れているノラの頭に向けて何度も鉄パイプを振り下ろしている姿だった。
──え?! な、なにが起きている!?
スクエはこの世界に来て一番動揺しているのか、心臓はバクバクして頭が回らない。
「あははは、テメェが直ぐに奴隷の居場所を言わねぇーから、こうなるんだよ!」
「グロックさん、お、俺もやってもいいですか?」
──グロック?
混乱しているスクエの耳にはロメイの声が入って来た様だ。
「あぁ、オメェもやってみろ──気持ちいいぞ!」
ロメイはグロックに鉄パイプを渡されると、満面の笑みで何度も振り下ろす。
「俺を見下した目で見てたよな、お前!」
既にノラはスクラップ状態にも関わらずロメイは怨念を溢すように延々と叩き殴る。
──に、逃げねぇと……
リプレス二人の笑い声と金属が叩かれる音を後にスクエは静かに家から離れて走り出す。
「はぁはぁ──ノラの顔が無かった……バラバラだった……」
走っているから息切れしているのか、先程の光景を見た事で動悸がするのか分からないスクエ──しかしひたすら家から離れる。
「く、くそ……これからどうすれゃいいんだよ……」
この世界で頼れる存在はノラしか居なかった。
そんなノラが二人のリプレスに襲われて頭部をバラバラになる程殴られた様子を見てスクエは震える。
「なんで、俺の事を捕まえようとしたんだ……」
考えて推測出来る事はきっと人間三原則だろう……
「俺にメンタルチップが入って無い事がそんなに珍しくて、金にでもなるのかよ!」
一体、スクエにどれ程の価値があるかは分からないが、ただでさえ見た目が珍しいスクエは奴隷競売の際に信じられない程の額が付いたが、更にはメンタルチップが無いともなればその金額は想像付かないだろう。
「とにかく身を隠す場所を見つけねぇーと」
これまで決まった道しか行った事無いスクエ──更にはノラがスクエに仕事などを頼む事も無かったので一日の大半を家の中で過ごして居た為、何処にどんな施設などがあるかさえ分からない状況の様だ。
そして、暫く走っていたスクエだったが、やはり人間の為体力に限界があり、足を止める。
「はぁはぁ……大分離れたけどまだ安心出来ねぇ……」
疲れている足に鞭を打つ様に歩き出す。
そしてひたすら隠れられる様な場所を見つける為人通りが少ない道を選んで進んで行ったスクエはある場所に到着する。
「ここが良さそうだ……」
一体どれ程歩いたかは分からないが既に空は真っ暗になっておりスクエの目の前には廃墟とも言えるくらいボロい建物が立ち並んで居た。
技術が発達したこの世界では考えられ無い程のボロさの建物ばかりである。
「確か、ノラがアクアスにはスラム街があると言ってたけどココの事か?」
ゆっくりと周囲を見ながら進むと、何やら視線を感じるがスクエは気にせず歩き続ける。
「スラム街は人間しか居ないらしいから今の俺には丁度良さそうだな」
ある程度スラム街の奥まで歩くとスクエは建物と建物の隙間に入り込み座り込む。
「ふぅ……やっと一息付けるな」
夜の闇に目が慣れて来たのかスクエは改めて周りを見るとチラホラとスクエの様に座り込んでいる人間が居た。
「ここで当面は隠れられるか……?」
しかしスラム街にもリプレスが来る可能性を捨てるわけにはいかない。
「リプレスだけは注意しねぇーとな──もう奴隷なんて絶対にごめんだぜ」
ここのスラム街に居る人間達も頭にはメンタルチップは入っているが奴隷の契約はされていない人間達である。
「流石にノラみたいなリプレスは他に居ないだろうな……」
ロメイやグロック──そして今まで見てきたリプレスを思い出すと、全員が人間を物としか見ていない事が分かる。
そんな中ノラだけは異質で人間であるスクエを物では無く人として見ていた。
「なんだよ……あんな奴に負ける気はしないとか言いやがって──簡単に壊されてるんじゃねぇーよ」
少し落ち着いた所で頭が冷静になり、今頃になってスクエはノラがスクラップにされた悲しみが湧いて来た様だ。
「また……俺が原因で……」
スクエは膝で自身の顔を埋める様にしながら、泣いていた……
「やっぱり、こんな俺が人を助けようと考えちゃダメなんだ……」
ノラが壊れた原因は元を辿ればスクエがロメイから店員を助けようとした所為である。
「俺なんかがヒーローになれる訳がねぇ……」
今のスクエの頭の中には自分のせいで犠牲になったパルムの死ぬ記憶が何度もリピート再生で流れている様だ──そして……これからはノラの姿も何かある度に思い出す事になるだろう……
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