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第1章 ヒーロー見参
19話 ノラとの別れ
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「はぁはぁ──もう走れねぇ!」
ロメイから必死に逃げていたスクエだがずっと全力疾走だった為遂に疲れが溜まり膝に手を置いて息を整える。
「はぁはぁ──なんで俺に人間三原則が効かない事がバレたんだよ?」
本当はバレた理由など分かりきっているが、今は疲れのあまり思考が纏まらない様だ。
「それにしても……ここどこだよ?」
暫くの間、荒い息を整えていると楽になったかのか周りを見回す。
「完全に迷ったな……」
ここがどこが分からない程スクエは入り込んだ道を選び、追い付かれない様に何度も道を曲がり続けた。
「とりあえず、城が見えるから目印にして家に戻るか……」
スクエは最新の注意を払いノラのいる所に戻ろうと歩く。
そしてノラの方はいつまでも帰って来ないスクエを心配しつつも作業室で何やら作っている様だ。
「ふぅ……これで完成だ……」
ノラの手には小さい真っ黒のチップがある。
「これの凄さが分かればスクエだってきっと……」
小さいチップの様な物をノラは大切に自身の身体に仕舞う。
「スクエが帰って来たらもう一度説得するか」
ノラは一息入れようと居間に戻りノーブルメタルを吸い始める。
「ふぅ……完成祝いには相応しい程の純度が高いノーブルメタルだな──実に美味い」
ノラがノーブルメタルに夢中になっている時、玄関の扉がゆっくりと開かれる──しかしノラは気付いていない。
扉を開けて家に入って来たのは二人の男達であった。
一人はロメイでもう一人は金髪のグロックである。
ここで、何故ロメイとグロックがスクエの住んでいる家を知っていたかは、分からないが二人は静かにノラに向かって歩み寄る。
「おい、アイツか?」
「は、はい。赤目なので気を付けて下さい」
グロックの質問に静かに応えるロメイ。
グロックの右手に何やら鉄パイプみたいな物がにぎられているのが見える。
そして、ゆっくりゆっくりノラに近付き直ぐ真後ろに付くとグロックはその鉄パイプをノラの脳天目掛けて思いっきり振り降ろす。
「死ねや──」
「──ッ?!」
ノラは咄嗟に頭を動かし急所を避けるが鉄パイプは首元に直撃する。
「ッ……なんだ貴様らは?!」
転がる様に距離を取り家の侵入者に叫ぶノラ。
「こんばんは~アンタには死んで貰うわ」
「いきなり、何を言っている……?」
「まぁ──いきなり俺らみたいな者が家に入ってきたらそうなるわな」
グロックは鉄パイプを片手でクルクルと回しながらノラに質問を問い掛けた。
「お前の奴隷はどこだ?」
「──私の?」
「あぁ、このロメイが言ってたんだが、お前の奴隷は、人間三原則が効かないって聞いてな──これゃ売れば相当な金になると思ったんだよ」
グロックは自慢の金髪を手で掻き上げる。
「何の事だ……? 私の奴隷ならちゃんと人間三原則が効いて、命令を聞くが?」
何故、二人にバレたのかノラは頭の中で考えるが思い当たる節が無い様子だ。
「あははは、まぁいい。取り敢えずお前の奴隷を俺に寄越せ」
ニヤリと笑うグロック。
「嫌だと言ったら……?」
「そんな選択肢はお前にはねぇーんだよ」
グロックは鉄パイプをノラに突きつける。
「──ッ」
すると、ノラは全力で作業室に走り鍵を掛ける。
「ここ開けろや!」
グロックとロメイが扉を叩くがノラは無視して、ある物を探している様だ。
「バレたか──だがスクエだけは守らないと……」
何やら設計図みたいな紙をノラは丸めて、先ほど完成したチップと同じ所にしまった──そしてその瞬間扉をこじ開けられる。
「オラッ! ──へへもう逃げられねぇーぜ?」
「グロックさん、も、儲けは山分けでお願いしますよ?」
「あぁ、分かったよ」
少し面倒臭そうな表情をしているが直ぐに好戦的な表情に戻る。
「さーて、奴隷の居場所はどこか教えてくれねーか?」
「知らん、今朝出て行ってから戻って来てない」
「ッチ、ロメイが追い掛けてから戻って来てねぇーのかよ──まぁいいや」
ゆっくりとノラに近付く。
「──!? 魔法が使えない……」
「お? ──あぶねぇ~コイツ魔法持ちだったか?」
「だ、だから言ったじゃないですか、赤目だって」
「うるせえ!」
暴力的なグロックはロメイを鉄パイプで軽く小突く。
「や、やめて下さいよー」
「なら黙って俺の言う事聞いとけばいいんだよ!」
それからグロックは再度ノラの方に向く。
「もう一度聞くが本当に何処にいるか分からねぇーのか?」
「何度も言わすな、私はし──」
「──オラ!」
ノラの返答を聞くやグロックは何度も鉄パイプをノラに振り下ろす。
「へへ、人間殺すのも面白れぇーけどリプレス壊すのもいいもんだな!」
グロックは興奮し過ぎているのか目の焦点が合って居らず、ひたすらノラに向かって鉄パイプを振り下ろす。
ノラの方は地面に倒れ抵抗する事も出来ず真っ赤に燃える赤目がまるで機能停止した様に灰色に切り替わった──そしてノラ自身も動かなくなる。
「グロックさん、も、もう壊れて機能停止してます」
「あははは、良いんだよ! こんな綺麗なリプレスを壊せるなんて中々ねぇーんだから、余韻に浸らせろよ!」
バキっと音が何度も部屋内に鳴り響き、既にノラの顔は原型を留めておらず首から上が粉粉になっていた……
ロメイから必死に逃げていたスクエだがずっと全力疾走だった為遂に疲れが溜まり膝に手を置いて息を整える。
「はぁはぁ──なんで俺に人間三原則が効かない事がバレたんだよ?」
本当はバレた理由など分かりきっているが、今は疲れのあまり思考が纏まらない様だ。
「それにしても……ここどこだよ?」
暫くの間、荒い息を整えていると楽になったかのか周りを見回す。
「完全に迷ったな……」
ここがどこが分からない程スクエは入り込んだ道を選び、追い付かれない様に何度も道を曲がり続けた。
「とりあえず、城が見えるから目印にして家に戻るか……」
スクエは最新の注意を払いノラのいる所に戻ろうと歩く。
そしてノラの方はいつまでも帰って来ないスクエを心配しつつも作業室で何やら作っている様だ。
「ふぅ……これで完成だ……」
ノラの手には小さい真っ黒のチップがある。
「これの凄さが分かればスクエだってきっと……」
小さいチップの様な物をノラは大切に自身の身体に仕舞う。
「スクエが帰って来たらもう一度説得するか」
ノラは一息入れようと居間に戻りノーブルメタルを吸い始める。
「ふぅ……完成祝いには相応しい程の純度が高いノーブルメタルだな──実に美味い」
ノラがノーブルメタルに夢中になっている時、玄関の扉がゆっくりと開かれる──しかしノラは気付いていない。
扉を開けて家に入って来たのは二人の男達であった。
一人はロメイでもう一人は金髪のグロックである。
ここで、何故ロメイとグロックがスクエの住んでいる家を知っていたかは、分からないが二人は静かにノラに向かって歩み寄る。
「おい、アイツか?」
「は、はい。赤目なので気を付けて下さい」
グロックの質問に静かに応えるロメイ。
グロックの右手に何やら鉄パイプみたいな物がにぎられているのが見える。
そして、ゆっくりゆっくりノラに近付き直ぐ真後ろに付くとグロックはその鉄パイプをノラの脳天目掛けて思いっきり振り降ろす。
「死ねや──」
「──ッ?!」
ノラは咄嗟に頭を動かし急所を避けるが鉄パイプは首元に直撃する。
「ッ……なんだ貴様らは?!」
転がる様に距離を取り家の侵入者に叫ぶノラ。
「こんばんは~アンタには死んで貰うわ」
「いきなり、何を言っている……?」
「まぁ──いきなり俺らみたいな者が家に入ってきたらそうなるわな」
グロックは鉄パイプを片手でクルクルと回しながらノラに質問を問い掛けた。
「お前の奴隷はどこだ?」
「──私の?」
「あぁ、このロメイが言ってたんだが、お前の奴隷は、人間三原則が効かないって聞いてな──これゃ売れば相当な金になると思ったんだよ」
グロックは自慢の金髪を手で掻き上げる。
「何の事だ……? 私の奴隷ならちゃんと人間三原則が効いて、命令を聞くが?」
何故、二人にバレたのかノラは頭の中で考えるが思い当たる節が無い様子だ。
「あははは、まぁいい。取り敢えずお前の奴隷を俺に寄越せ」
ニヤリと笑うグロック。
「嫌だと言ったら……?」
「そんな選択肢はお前にはねぇーんだよ」
グロックは鉄パイプをノラに突きつける。
「──ッ」
すると、ノラは全力で作業室に走り鍵を掛ける。
「ここ開けろや!」
グロックとロメイが扉を叩くがノラは無視して、ある物を探している様だ。
「バレたか──だがスクエだけは守らないと……」
何やら設計図みたいな紙をノラは丸めて、先ほど完成したチップと同じ所にしまった──そしてその瞬間扉をこじ開けられる。
「オラッ! ──へへもう逃げられねぇーぜ?」
「グロックさん、も、儲けは山分けでお願いしますよ?」
「あぁ、分かったよ」
少し面倒臭そうな表情をしているが直ぐに好戦的な表情に戻る。
「さーて、奴隷の居場所はどこか教えてくれねーか?」
「知らん、今朝出て行ってから戻って来てない」
「ッチ、ロメイが追い掛けてから戻って来てねぇーのかよ──まぁいいや」
ゆっくりとノラに近付く。
「──!? 魔法が使えない……」
「お? ──あぶねぇ~コイツ魔法持ちだったか?」
「だ、だから言ったじゃないですか、赤目だって」
「うるせえ!」
暴力的なグロックはロメイを鉄パイプで軽く小突く。
「や、やめて下さいよー」
「なら黙って俺の言う事聞いとけばいいんだよ!」
それからグロックは再度ノラの方に向く。
「もう一度聞くが本当に何処にいるか分からねぇーのか?」
「何度も言わすな、私はし──」
「──オラ!」
ノラの返答を聞くやグロックは何度も鉄パイプをノラに振り下ろす。
「へへ、人間殺すのも面白れぇーけどリプレス壊すのもいいもんだな!」
グロックは興奮し過ぎているのか目の焦点が合って居らず、ひたすらノラに向かって鉄パイプを振り下ろす。
ノラの方は地面に倒れ抵抗する事も出来ず真っ赤に燃える赤目がまるで機能停止した様に灰色に切り替わった──そしてノラ自身も動かなくなる。
「グロックさん、も、もう壊れて機能停止してます」
「あははは、良いんだよ! こんな綺麗なリプレスを壊せるなんて中々ねぇーんだから、余韻に浸らせろよ!」
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