16 / 67
第1章 ヒーロー見参
15話 原初のリプレスとは
しおりを挟む
荒んだ目をした男は先程まで蹴り続けた人間から一度離れてノラの方に向き直る。
「俺に何か様か?」
男の声にノラは目を瞑りながら頭を左右に振りながら話す。
「特に用は無かったんだが、お前のその行為が不愉快だからな──辞める様に言いに来ただけだ」
ノラはスクエに向けていた優しい微笑みとはまるで逆で、真っ赤に燃える様な瞳を吊り上げて鋭い眼光を男に向けると、男は急に態度を変える。
「あ、赤目!?」
何やら慌てた様な表情をした後に直ぐに態度を変える。
「へへ、これは申し訳ありませんでした。コイツが粗相していたので叱っていた所なんですよ」
男は急に媚びた笑みをノラに向けて、腰を少し折り曲げて少しでも抵抗する意思が無い事を示す。
「おい、今日はもう良い帰るぞ」
ノラの前だからなのか男は手で軽く小突く様に奴隷の頭を叩く。
「はい……ロメイ様」
先程まで男に蹴り続けられた奴隷が起き上がる。
真っ白な服は泥やゴミなどがへばり付いていた。
「では、私はこの辺で帰らせて頂きます、失礼しましたー」
逃げる様にスタスタ歩いていく男の後ろを店員が追い掛ける。
スクエとノラの間をすり抜ける際にノラにお礼をする様に頭を下げると早々とリプレスを追い掛けて行った。
「スクエ、大丈夫だったか?」
「あ、あぁ……今のどうなっているんだ?」
何故、あのリプレスはノラを見て急に態度を変えたのか不思議に思うスクエにノラは説明する。
「まぁ、リプレスにも色々あってな」
「色々?」
「あぁ、製造する際に珍しい部品を使ったり、造り手が有名だったりで色々変わってくるんだよ」
先程のリプレスに向けた鋭い表情は無くなり再び優しい笑顔でスクエに説明するノラ。
「それで何故かは分からないが造り終わり電源を入れ込むと目に色が現れる──大体の量産型は青色だが、他の色だと何か特別な部品や造り手が有名だったりする証だな」
「他の部品を使用すると何かが変わって来るのか?」
スクエの質問にノラが少し考える仕草をする。
「そうだな……良い部品を使用すればその分処理速度が上がるな」
「処理速度上がってなんか意味あるのかよ?」
「ふむ。まぁ、基本良い部品を使用した方が戦闘力が高いという認識でな、先程のリプレスも恐らく喧嘩しても私に負けると思って逃げたんだろう」
ノラは少し誇らしげな表情をする。
「ノラはさっきの奴と戦闘になったら勝てるのか?」
「まぁ、ノーマルのリプレスになら一対一では負けないと思うぞ?」
──確かに、俺を殴った時ノラはとんでも無く早いスピードで重い一撃だったもんな……
殴られた時の記憶を思い出しているスクエに向かってノラが呟く。
「それじゃ、帰るか」
ノラとスクエは家に帰る為歩を進める。
「私は諦めんぞ?」
何を? と聞く必要も無い言葉にスクエはノラの言葉を無視して話題を変える。
「リプレスは全員奴隷を所持しているものなのか?」
「あぁ。何かしらの理由が無い限りは所持しているな」
「理由?」
「例えば、先程の様な奴らは自分で奴隷を殺してしまったりするから次の奴隷を見つけるまでの期間は所持していない状態とかはあるな」
──確かに、あのまま何もし無かったら、あの店員は殺されていたかもしれない
「他は、単純にお金が無いリプレスだな」
「金が無い?」
「あぁ、別に一切働かなくても不自由無くリプレスの場合は暮らしていけるからな──働かない奴らも中にはいる」
ノラの横を歩きながらスクエは話に耳を傾ける。
「働かなくても暮らしてはいけるが、ノーブルメタルやイナメイト、奴隷を買う事が出来ないから幸せかと言えばまた別だな──まぁ奴隷の場合は一日働けば直ぐに買えたりする」
──奴隷ってどれくらい安いんだよ……
「だが、そういう奴らは奴隷を買ったとしてもご飯などを賄える金が無いから結局は餓死させてしまうけどな」
ノラの言葉にスクエは心の奥でまたチクリと痛みを感じる。
ノラから人間達の現状を聞けば聞く程酷い扱いを受けているのを実感してしまう。
「なぁ……なんで、そもそも人間はリプレスの奴隷になったんだ?」
スクエの言葉にノラの表情が少し険しくなる。
「それは私にも分からない……いつから人間がリプレスに奴隷として扱われていたか知っているのは恐らく国王であるアバエフ様くらいだろう」
「王様は知っているのか?」
「あぁ、アバエフ様は原初のリプレスと言われているからな」
ノラの言葉に首を傾げる。
「原初?」
「あぁ、この世界が誕生して初めてのリプレスだ──そして原初のリプレスはアバエフ様合わせて全部で四人いらっしゃる」
「四人もか」
スクエの言葉に頷くノラ。
「その四人がそれぞれ納めている国があり、その一つがこの国であるアクアスだな」
「そういう事か、ノラが俺にここの世界は四つの国しか無いって言ってたのは原初のリプレスが納めている国の事か?」
「おー、スクエ──今日は冴えているな?」
スクエの理解力に少し驚く様な仕草で目を見開くが、恐らく演技でありスクエを揶揄っているのだろう。
「う、うるせぇ! 俺でもそれくらい分かるわ!」
「はは、それは悪かった」
どうやら、家を出る前の微妙な空気感は既に無くなり二人は楽しそうに家に帰っていく。
「俺に何か様か?」
男の声にノラは目を瞑りながら頭を左右に振りながら話す。
「特に用は無かったんだが、お前のその行為が不愉快だからな──辞める様に言いに来ただけだ」
ノラはスクエに向けていた優しい微笑みとはまるで逆で、真っ赤に燃える様な瞳を吊り上げて鋭い眼光を男に向けると、男は急に態度を変える。
「あ、赤目!?」
何やら慌てた様な表情をした後に直ぐに態度を変える。
「へへ、これは申し訳ありませんでした。コイツが粗相していたので叱っていた所なんですよ」
男は急に媚びた笑みをノラに向けて、腰を少し折り曲げて少しでも抵抗する意思が無い事を示す。
「おい、今日はもう良い帰るぞ」
ノラの前だからなのか男は手で軽く小突く様に奴隷の頭を叩く。
「はい……ロメイ様」
先程まで男に蹴り続けられた奴隷が起き上がる。
真っ白な服は泥やゴミなどがへばり付いていた。
「では、私はこの辺で帰らせて頂きます、失礼しましたー」
逃げる様にスタスタ歩いていく男の後ろを店員が追い掛ける。
スクエとノラの間をすり抜ける際にノラにお礼をする様に頭を下げると早々とリプレスを追い掛けて行った。
「スクエ、大丈夫だったか?」
「あ、あぁ……今のどうなっているんだ?」
何故、あのリプレスはノラを見て急に態度を変えたのか不思議に思うスクエにノラは説明する。
「まぁ、リプレスにも色々あってな」
「色々?」
「あぁ、製造する際に珍しい部品を使ったり、造り手が有名だったりで色々変わってくるんだよ」
先程のリプレスに向けた鋭い表情は無くなり再び優しい笑顔でスクエに説明するノラ。
「それで何故かは分からないが造り終わり電源を入れ込むと目に色が現れる──大体の量産型は青色だが、他の色だと何か特別な部品や造り手が有名だったりする証だな」
「他の部品を使用すると何かが変わって来るのか?」
スクエの質問にノラが少し考える仕草をする。
「そうだな……良い部品を使用すればその分処理速度が上がるな」
「処理速度上がってなんか意味あるのかよ?」
「ふむ。まぁ、基本良い部品を使用した方が戦闘力が高いという認識でな、先程のリプレスも恐らく喧嘩しても私に負けると思って逃げたんだろう」
ノラは少し誇らしげな表情をする。
「ノラはさっきの奴と戦闘になったら勝てるのか?」
「まぁ、ノーマルのリプレスになら一対一では負けないと思うぞ?」
──確かに、俺を殴った時ノラはとんでも無く早いスピードで重い一撃だったもんな……
殴られた時の記憶を思い出しているスクエに向かってノラが呟く。
「それじゃ、帰るか」
ノラとスクエは家に帰る為歩を進める。
「私は諦めんぞ?」
何を? と聞く必要も無い言葉にスクエはノラの言葉を無視して話題を変える。
「リプレスは全員奴隷を所持しているものなのか?」
「あぁ。何かしらの理由が無い限りは所持しているな」
「理由?」
「例えば、先程の様な奴らは自分で奴隷を殺してしまったりするから次の奴隷を見つけるまでの期間は所持していない状態とかはあるな」
──確かに、あのまま何もし無かったら、あの店員は殺されていたかもしれない
「他は、単純にお金が無いリプレスだな」
「金が無い?」
「あぁ、別に一切働かなくても不自由無くリプレスの場合は暮らしていけるからな──働かない奴らも中にはいる」
ノラの横を歩きながらスクエは話に耳を傾ける。
「働かなくても暮らしてはいけるが、ノーブルメタルやイナメイト、奴隷を買う事が出来ないから幸せかと言えばまた別だな──まぁ奴隷の場合は一日働けば直ぐに買えたりする」
──奴隷ってどれくらい安いんだよ……
「だが、そういう奴らは奴隷を買ったとしてもご飯などを賄える金が無いから結局は餓死させてしまうけどな」
ノラの言葉にスクエは心の奥でまたチクリと痛みを感じる。
ノラから人間達の現状を聞けば聞く程酷い扱いを受けているのを実感してしまう。
「なぁ……なんで、そもそも人間はリプレスの奴隷になったんだ?」
スクエの言葉にノラの表情が少し険しくなる。
「それは私にも分からない……いつから人間がリプレスに奴隷として扱われていたか知っているのは恐らく国王であるアバエフ様くらいだろう」
「王様は知っているのか?」
「あぁ、アバエフ様は原初のリプレスと言われているからな」
ノラの言葉に首を傾げる。
「原初?」
「あぁ、この世界が誕生して初めてのリプレスだ──そして原初のリプレスはアバエフ様合わせて全部で四人いらっしゃる」
「四人もか」
スクエの言葉に頷くノラ。
「その四人がそれぞれ納めている国があり、その一つがこの国であるアクアスだな」
「そういう事か、ノラが俺にここの世界は四つの国しか無いって言ってたのは原初のリプレスが納めている国の事か?」
「おー、スクエ──今日は冴えているな?」
スクエの理解力に少し驚く様な仕草で目を見開くが、恐らく演技でありスクエを揶揄っているのだろう。
「う、うるせぇ! 俺でもそれくらい分かるわ!」
「はは、それは悪かった」
どうやら、家を出る前の微妙な空気感は既に無くなり二人は楽しそうに家に帰っていく。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界に転生したもののトカゲでしたが、進化の実を食べて魔王になりました。
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
異世界に転生したのだけれど手違いでトカゲになっていた!しかし、女神に与えられた進化の実を食べて竜人になりました。
エブリスタと小説家になろうにも掲載しています。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる