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あの、都市伝説が再び……

97話

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「なぁ……本気なのか?」
「うん……一度裏切ったから信じて貰えないと思うけど、私は本気だよ!」

 現在、作戦の為にそれぞれが配置に付く為、移動を始めた。
 オカとハルカはソラタとアケミを惹きつける担当の為、二人でマサオさん家に向かっている。

「本当に出来るのかよ……お前の家族だろ?」
「……」

 ハルカは、オカの質問を聞き一度目を瞑った。
 恐らく、今までの家族の思い出を思い出しているのだろう……

「出来るよ! それに私に優しくしてくれたのはパパだけだもん!」

 ハルカは苦笑いを顔に張り付けてオカに応える。

(確かに……ハルカだけは都市伝説上で何も悪い事をして無いし、何故か前から感情移入してしまっている所があるな……)

 オカ自身もハルカの生い立ちには同情していた。

「あはは、オカは優しいね……」
「お前、その能力ここでも使えるのかよ……」
「まぁね……」

 二人の雰囲気はシミジミとしているが、オカ自身は先程の怒りは、もう無くなっている様で、ゆっくりとマサオさん家に向かって歩いている。

「俺、あの二人に殺されるかな……?」
「ううん、オカなら大丈夫! いずれ死ぬけど、あの二人には殺されないよ!」
「はは、いずれ死ぬって、お前……もっと良い言い方とかあるだろ」
「ご、ごめん。私友達とか居た事なくて空気読めないみたい」

 二人は笑いながら歩く……

「ふぅ……上手く逃げ切れれば良いんだけどな」
「兄は馬鹿だけど身体能力だけで言えばパパより上かも」
「マサオさんより上とかどんだけだよ……」

 走る前から、物凄い倦怠感を感じてしまう様な事実を聞き、オカは深い溜息を吐く。

「見えた……」

 ハルカの言葉に身を屈めてマサオさん家の様子を伺うと、ソラタが玄関前に座り込んで何かをしている様だ。

「ムシ、チギル」

 どうやら、ソラタはアリなどを捕まえては手足を引き抜いて遊んでいる様だ。

「アハハ、オモシロイ、モウイチド」

 次から次へとアリを見つけては手足を引き抜く行為をしていると、何かを思い出した様に立ち上がる。

「ソウダ、アイツラノ、アシモヤロウ」

 そう言って、一度玄関から家の中に入っていく。

「な、なにやっているんだ?」
「分からない……兄の考えている事は私でも見えないの……」

 その時のハルカの表情は忌々しそうソラタを見ていた。

 しばらくして、ソラタが戻って来たと思ったら何やら抱えている様だ。

「あ……ぁ……プルさん?」

 ソラタは、プルやパーク、フィブ、ミズキ、カメラマンの死体を抱えて戻って来た。

「あぁ……」

 頭の何処かでは、皆がもしかしたら生き残っているかも……と考えていたオカだったが、その考えは覆された様だ。

 そしてソラタが持ってきたプル達の死体の指は既に全て切り取られていた。

「コイツラ、アシ、イラナイ」

 ソラタにとって、やはり一番は指らしく、足は剥製にする価値が無いのか残していた様だ。

 すると、ソラタはカメラマンの死体に近付き足を捥ぎ取る。

「アハハ、ムシヨリ、カンショク、イイ!」

 続いてもう片方の足も引き抜く。

(狂っている……)

 オカはソラタの行動を見て心の中で呟く。だが、更に次の行動を見て吐き気を催す……

(なぁ!?)

 なんと、ソラタはカメラマンの足を食べ始めたのだ。

「オトコ、アシ、カタイ」

 何を言っているのか頭の理解が追い付かないオカは開いた口が塞がらない……

「ヤッパリ、オンナガ、イイ」

 そう言うと、ソラタはミズキの死体に近付き足を引き千切る。

「アハハ」

 何がそんなに面白いのか、ソラタは暫くその場で笑い、ミズキの足を食べ始める。

「ヤワラカイ……ウマイ」

 何やら、テンションが上がったソラタは勢い良く食べ始める。

「ウマイ、ウマイ!」

(クソ……気持ち悪いぜ……)

 既に、ソラタの事を直視出来なかなったオカだったが、そうも言ってられなくなった。

「タリナイ……モットクウ!」

 そう言って、ソラタが次に手を差し伸べたのは……

「ヤッパリ、クウナラ、オンナガイイ」

 ソラタは次にプルに近付いて行く

(それはさせない!)

 オカ自身、勝手に身体が動いた……と言ってしまう程、自然と身体を動かしソラタの前に出る。

「おい!」
「ン?」
「プルさん達に近付くな!」
「イキテイル、ニンゲン!」

 もう、興味が死体からオカに移った様だ。

「ユビ、クレ!」

 ソラタが立ち上がると、玄関の扉が開く。

「なんだい、ソラタ。どうかしたのかい?」

 アケミが姿を現した。

「ママ、ニンゲン、ミツケタ!」
「おやおや、そうかい」

 アケミはオカを見てニヤリと微笑む。

(どうやら、依代がこちらにあるのはバレて無い様だな……)

 オカはいつでも逃げ出せる様にと重心を少し落とす。

「ママ、ツカマエテ、イイ?」
「そうだね……なら一緒に狩でもするかい?」

 優しい声色でソラタに話し掛けるアケミに、声を掛けるものが居た。

「ママ、オカはやめてって言ったでしょ!!」

 声の正体はハルカであり、あたかも今、玄関から出てきましたと装う形での登場だ。

「あ、アンタ!! 誰に口を聞いているんだい!!」

 娘のハルカに強い口調で言われた事に腹を立てたアケミは扇子でハルカを叩き始める。

「出来損ないが!!」

 普段なら、ここで黙って叩かれるだけで終わる筈だが、今回は違う。

「私、出来損ないじゃ無いもん! 兄より、頭も良いもん!!」

 
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