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パクト
48話
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昨日の夜同様工場に忍び込むと、誰か人が立っていた。
「だ、誰か居ますよ……?」
ダルマは懐中電灯の光を失礼の無い程度まで人物に近付けて目を凝らして誰なのか見極めようと頑張るが暗すぎる為、シルエットしか見れない様だ。
(こんな、時間にこんな場所で、なんで、人が居るんだよ)
「どうする……?」
「そうね、もしかしたら似たような職種の人かもしれないわね」
「似たような人?」
オカの疑問に対してプルが応える。
「そうよ。私達みたいな仕事は、フリーランスも合わせれば、かなりの人数がいるし、副業とかで記事を書いている人も沢山居るわ」
「な、なるほど。そうしたらあそこに立っている人も都市伝説の事を調べる為にですかね?」
「その可能性はあるわね。それに今なら動画などを撮ったりしてサイトに投稿する仕事だってある訳だし……」
どうやらプル自身も自分で無理やり理由を付けては、この場所に人がいる事を正当化しようとしている様に見える。
しかし、オカ達が話している間も人影はその場から一切動かず、こちらに身体を向けて観察している様だ。
(なんで、こっち見たまま近寄って来ないんだ?)
「あ、挨拶はした方がいいんですかね?」
「うーん、仕事の邪魔もされたくないでしょうし、しなくても良いとは思うけど……」
ダルマの質問に対して、プルはあまり危険な事をしたく無い為挨拶はしない方向に決めたらしい。
「あの人、ずっとこっち見ている……」
「俺も、それ思っていたんだけど不気味だよな」
一同の視線が立っている人物に向けられる。こんな真夜中の廃棄工場に一人で居て、話し掛けて来ない不気味さに四人は少しずつ恐怖を感じている様だ。
「さ、さぁ、昨日探して無い場所を探しましょう」
プルを先頭に四人は人物とは逆方向に向かって昨日探せなかった場所を見ていく様だ。
「ま、まだこっち見ていますね」
「ちょっと怖い……」
「本当だよな、なんで話しかけて来ないんだよ……」
「こういう職種は変わっている人も多いから、あまり関わらない方向でいきましょう」
四人は完全に背を向けて、さっさと移動を始める。
だが、一同はその人物から目を離した後に、声を出さずに身体を震わせてオカ達の方を見ていた事を見逃していたのだ……
「えっと、確かこの辺りまで昨日は確認したのかしら?」
「そ、そうですね。後はこの階と上の階を確認すれば全てです」
「ダルマ君、助かるわ」
「意外と優秀なダルマ……」
「人は見かけによらないな」
「お前らどういう事だよ!」
「ふふ、貴方達三人は仲が良いわね」
(でも、確かにダルマは優秀だな)
昨日もダルマが地図を見ながら誘導したりと、頭の回転などは速い様だ。昔からなのか、元々なのか、または誰かに影響されて最近から頑張ったのか……。
「今日は昨日より早く終わるわね」
「嬉しい……」
「そうしたら、一度宿に戻って睡眠取ってから観光でもしましょうか」
(よっしゃ! そうと決まればやる気が出て来るものだな)
ゴールが見えて来た為オカとフィブは気合を入れて周囲に何かが無いか探し始める。
「お前ら単純だよな」
ダルマの呟きは二人の耳には入って来ていない様だ。
四人は暫く何か無いか探し回ったが特に見つからず、一個上の階に移動する様だ。
「この階も特に何も無かったわね」
「あ、後は上の階を探せば終わりです」
「あと少し……」
「少しと言っても、上の階を探すだけで相当な時間が掛かりそうだぞ?」
オカの言葉は正しく、残り1フロアと言っても、元々がかなり大きい為時間は掛かってしまうだろう。
四人は次の場所に向かう為工場内を歩く。
「えっと、階段がここだから……」
地図と睨めっこしながらもダルマの先導で進む四人だが、特に会話は無く歩く音とダルマの呟きだけが辺りに響き渡る。
そして、フィブが急に止まる。
「フィブちゃんどうかしたかしら?」
「……」
「お手洗いか?」
「違う……気のせいだった……」
なんの事が分からない三人だったが再び歩き出し階段を目指す。
(いきなりどうしたんだろ?)
暫く歩くとまたブィブがいきなり止まる。
「おい、そんなに限界なのか?」
デリカシー無いオカの言葉を無視してフィブは一度周囲をグルリと見る。
「多分だけど、つけられてる……」
フィブの言葉に最初何を言っているか分からない三人。
「なんの事だ?」
「恐らく、さっき居た人が私達をつけている……」
「「「え!?」」」
フィブの発した言葉を聞いた三人は背筋に冷や汗が流れた気がした……
「もう一度歩けば分かる。足音が五人分ある……」
フィブの言葉を意識して、四人は再び歩きだす。先程と違って次は目では無く耳をフル活用する様に音に集中していると確かに四人分以外の足音が聞こえて来る……
「ほ、ほんとだわ……」
「お、おい誰だよ……」
「誰って……さっきいた奴しか考えられないだろ……?」
四人の恐怖は今やここに来た時の比ではない様だ。それもそうだろう。
まず何故着いてくるのか。
次に何故話し掛けて来ないのか。
最後に何故オカ達四人の歩調に合わせて歩き、止まるのか……
「だ、誰か居ますよ……?」
ダルマは懐中電灯の光を失礼の無い程度まで人物に近付けて目を凝らして誰なのか見極めようと頑張るが暗すぎる為、シルエットしか見れない様だ。
(こんな、時間にこんな場所で、なんで、人が居るんだよ)
「どうする……?」
「そうね、もしかしたら似たような職種の人かもしれないわね」
「似たような人?」
オカの疑問に対してプルが応える。
「そうよ。私達みたいな仕事は、フリーランスも合わせれば、かなりの人数がいるし、副業とかで記事を書いている人も沢山居るわ」
「な、なるほど。そうしたらあそこに立っている人も都市伝説の事を調べる為にですかね?」
「その可能性はあるわね。それに今なら動画などを撮ったりしてサイトに投稿する仕事だってある訳だし……」
どうやらプル自身も自分で無理やり理由を付けては、この場所に人がいる事を正当化しようとしている様に見える。
しかし、オカ達が話している間も人影はその場から一切動かず、こちらに身体を向けて観察している様だ。
(なんで、こっち見たまま近寄って来ないんだ?)
「あ、挨拶はした方がいいんですかね?」
「うーん、仕事の邪魔もされたくないでしょうし、しなくても良いとは思うけど……」
ダルマの質問に対して、プルはあまり危険な事をしたく無い為挨拶はしない方向に決めたらしい。
「あの人、ずっとこっち見ている……」
「俺も、それ思っていたんだけど不気味だよな」
一同の視線が立っている人物に向けられる。こんな真夜中の廃棄工場に一人で居て、話し掛けて来ない不気味さに四人は少しずつ恐怖を感じている様だ。
「さ、さぁ、昨日探して無い場所を探しましょう」
プルを先頭に四人は人物とは逆方向に向かって昨日探せなかった場所を見ていく様だ。
「ま、まだこっち見ていますね」
「ちょっと怖い……」
「本当だよな、なんで話しかけて来ないんだよ……」
「こういう職種は変わっている人も多いから、あまり関わらない方向でいきましょう」
四人は完全に背を向けて、さっさと移動を始める。
だが、一同はその人物から目を離した後に、声を出さずに身体を震わせてオカ達の方を見ていた事を見逃していたのだ……
「えっと、確かこの辺りまで昨日は確認したのかしら?」
「そ、そうですね。後はこの階と上の階を確認すれば全てです」
「ダルマ君、助かるわ」
「意外と優秀なダルマ……」
「人は見かけによらないな」
「お前らどういう事だよ!」
「ふふ、貴方達三人は仲が良いわね」
(でも、確かにダルマは優秀だな)
昨日もダルマが地図を見ながら誘導したりと、頭の回転などは速い様だ。昔からなのか、元々なのか、または誰かに影響されて最近から頑張ったのか……。
「今日は昨日より早く終わるわね」
「嬉しい……」
「そうしたら、一度宿に戻って睡眠取ってから観光でもしましょうか」
(よっしゃ! そうと決まればやる気が出て来るものだな)
ゴールが見えて来た為オカとフィブは気合を入れて周囲に何かが無いか探し始める。
「お前ら単純だよな」
ダルマの呟きは二人の耳には入って来ていない様だ。
四人は暫く何か無いか探し回ったが特に見つからず、一個上の階に移動する様だ。
「この階も特に何も無かったわね」
「あ、後は上の階を探せば終わりです」
「あと少し……」
「少しと言っても、上の階を探すだけで相当な時間が掛かりそうだぞ?」
オカの言葉は正しく、残り1フロアと言っても、元々がかなり大きい為時間は掛かってしまうだろう。
四人は次の場所に向かう為工場内を歩く。
「えっと、階段がここだから……」
地図と睨めっこしながらもダルマの先導で進む四人だが、特に会話は無く歩く音とダルマの呟きだけが辺りに響き渡る。
そして、フィブが急に止まる。
「フィブちゃんどうかしたかしら?」
「……」
「お手洗いか?」
「違う……気のせいだった……」
なんの事が分からない三人だったが再び歩き出し階段を目指す。
(いきなりどうしたんだろ?)
暫く歩くとまたブィブがいきなり止まる。
「おい、そんなに限界なのか?」
デリカシー無いオカの言葉を無視してフィブは一度周囲をグルリと見る。
「多分だけど、つけられてる……」
フィブの言葉に最初何を言っているか分からない三人。
「なんの事だ?」
「恐らく、さっき居た人が私達をつけている……」
「「「え!?」」」
フィブの発した言葉を聞いた三人は背筋に冷や汗が流れた気がした……
「もう一度歩けば分かる。足音が五人分ある……」
フィブの言葉を意識して、四人は再び歩きだす。先程と違って次は目では無く耳をフル活用する様に音に集中していると確かに四人分以外の足音が聞こえて来る……
「ほ、ほんとだわ……」
「お、おい誰だよ……」
「誰って……さっきいた奴しか考えられないだろ……?」
四人の恐怖は今やここに来た時の比ではない様だ。それもそうだろう。
まず何故着いてくるのか。
次に何故話し掛けて来ないのか。
最後に何故オカ達四人の歩調に合わせて歩き、止まるのか……
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