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マサオさん
35話
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先程まで暗かった空は、日が昇って来た為少し明るくなって来た。
「そろそろ、夜が明けるな」
オカは空を見ながら呟く。周りには誰も居なく、それぞれが配置に付いている状態である。
「後はマサオさんが家から出てくるのを待つだけだな」
オカ達が考えた作戦はそれ程難しく無く、オカ自身の役目はマサオさんを惹きつけて、目標地点までひたすら走り続ける事だ。
「カリン、絶対仇を討つからな」
オカは笑いながら空を見上げる。
そして、家から誰かが出て来る音がして見てみると案の定マサオさんだった。
「ん? お前こんな所で何している?」
今は正気状態の様だ。
「マサオさん、最後にもう一度聞きますが、なんでこんな事を?」
「あはは、何度も言うが楽しいからだよ!」
(やっぱり、話にならそうだな)
「それと、俺の大事な写真を返せ」
マサオさんから殺意を感じたオカは背を向けて走り出す。
「お? また鬼ごっこか?」
オカに釣られてマサオさんが追いかけてくる。
「こんなに長い間俺から逃げ続けたのはお前らが初めてだよ」
そう言いながらマサオさんはオカと一定の距離を保ちながら追いかけ続けている。
(ここまでは、順調だけどここからだな……)
オカはどんどん足場の悪い場所に入って行く。何故その様な場所を選んでいるのか……。
(足場が悪すぎて早く走れないな)
オカとは逆でマサオさんは足場など関係無いのか少しずつオカとの距離を詰めて来ている様だ。
「ほらほら、もっと早く走らんと捕まえるぞ?」
家を出てきた時は少し険しい表情をしていたマサオさんだったが、今では楽しいのか、いつものニタニタとした表情で追いかけ回している。
(き、きつい……)
オカは疲れ切った身体に鞭を打って無理やり走らせる。昨日からマサオさんに追い掛け回されてろくに睡眠も取ってない為オカ達の体力は限界の筈だが、オカはそれでも走り続ける。
(あ、後少しだな)
オカの視線は山の頂上を見ており、そこまで高い山では無いのであと少しである。
「お前との追い掛けっこも飽きたし、そろそろ終わりにしないか?」
そう言うと、マサオさんは地面に落ちていた石を掴みオカに向けて投げたのである。
その石は足場の悪い所で投げたスピードとは思えない早さでオカの背中に当たる。
「ヴッ!?」
背中から強い衝撃を受けたオカは一度地面に手を付いてしまい止まってしまった。
「つーかーまーえーた!」
マサオさんは、オカの前に立ちそのままハサミを振り下ろした。
(まずい!)
だが、オカは転がる様に身をくねらせる。
「クソ。これ絶対ヤバイだろ……」
オカは脇腹を手で抑えながら頂上に向かって再度走り続ける。どうやらマサオさんのハサミが脇腹を突き刺した様だ。
(めちゃくちゃ痛いし意識が……)
マサオさんの家から、ここまで一度も止まらず来た為、息切れは激しく、おまけに脇腹を刺されて、睡眠も取ってないオカは朦朧とした中で、ひたすら頂上に向けて足を動かし続ける。
「おーい、走るの辛いだろ?」
「はぁはぁ……」
「そろそろ、楽になれよ。あはは」
マサオさんの問いに答える余裕の無いオカは転ばない様に一歩一歩確実に足を動かし続ける。
そして、なんとか頂上に着くと、そこには、とても立派な大木が立っていた。
「あはは、おめでとう。良くここまで走り続けたな」
マサオさんはすぐ後ろで呟く。
「お?」
頂上に着いたオカだったがまだ走り続けていた。
(あそこまで行かないと……)
「おいおい、まだ走り続けるのかよ……」
そろそろ、飽き飽きとしたのかマサオさんは不満そうな表情を浮かべながらオカを追い掛ける。
(あと少し、あと少し)
疲れて何も考えられないオカだが、目標地点に視線を定めて最後のラストスパートを掛ける。
そして、目標地点に到着し倒れ込む。
「はぁはぁ……着いた……」
「お前、こんな所に用事があったのか? それよりも俺の大事な写真を返せ」
マサオさんは倒れ込むオカの前まで着くと、何処からか声が聞こえた。
「ダルマ君、飛ぶんだ!!」
茂みに隠れていたヒューズが木の上に登っていたダルマに合図を送る。
「こ、怖くない!」
木の上に居たダルマは目を瞑りながら、その場からジャンプする。すると、ダルマに括り付けていた紐がダルマに引っ張られる。
「あ? 自殺か?」
ダルマの飛び降りにマサオさんが呟くが、なんとマサオさんの足元に隠れていた紐が足に絡みつきマサオさんは宙に引っ張られたのである。
気付いた時にはマサオさんは縄により木に吊るされていた……。
その光景はまるで罠に引っかかった動物の様だ。
木から飛び降りたダルマの足から着地したとは言え、相当な負担が掛かっており倒れ込む様に地面に横たわる。
だが、作戦はまだ続いている様だ。
「次!」
「任せろ!」
ヒューズの掛け声に合わせてパークが木から飛び降りて来た。
「これを頂くぜ?」
マサオさんに抱き着く様に着地したパークは右手で持っていたハサミを力尽くで奪う。
「な、なにをする!?」
相当焦るマサオさんに対してパークは言い放つ。
「お前に関係ねぇーだろ! そこで写真が壊されるのを見とけ。オカッ!」
パークは奪ったハサミをオカに投げ渡す。ハサミをシッカリとキャッチしたオカ。
(こいつで、写真を壊して終わりだ……)
茂みからプルとフィブが写真を持って、オカの所に到着する……
「そろそろ、夜が明けるな」
オカは空を見ながら呟く。周りには誰も居なく、それぞれが配置に付いている状態である。
「後はマサオさんが家から出てくるのを待つだけだな」
オカ達が考えた作戦はそれ程難しく無く、オカ自身の役目はマサオさんを惹きつけて、目標地点までひたすら走り続ける事だ。
「カリン、絶対仇を討つからな」
オカは笑いながら空を見上げる。
そして、家から誰かが出て来る音がして見てみると案の定マサオさんだった。
「ん? お前こんな所で何している?」
今は正気状態の様だ。
「マサオさん、最後にもう一度聞きますが、なんでこんな事を?」
「あはは、何度も言うが楽しいからだよ!」
(やっぱり、話にならそうだな)
「それと、俺の大事な写真を返せ」
マサオさんから殺意を感じたオカは背を向けて走り出す。
「お? また鬼ごっこか?」
オカに釣られてマサオさんが追いかけてくる。
「こんなに長い間俺から逃げ続けたのはお前らが初めてだよ」
そう言いながらマサオさんはオカと一定の距離を保ちながら追いかけ続けている。
(ここまでは、順調だけどここからだな……)
オカはどんどん足場の悪い場所に入って行く。何故その様な場所を選んでいるのか……。
(足場が悪すぎて早く走れないな)
オカとは逆でマサオさんは足場など関係無いのか少しずつオカとの距離を詰めて来ている様だ。
「ほらほら、もっと早く走らんと捕まえるぞ?」
家を出てきた時は少し険しい表情をしていたマサオさんだったが、今では楽しいのか、いつものニタニタとした表情で追いかけ回している。
(き、きつい……)
オカは疲れ切った身体に鞭を打って無理やり走らせる。昨日からマサオさんに追い掛け回されてろくに睡眠も取ってない為オカ達の体力は限界の筈だが、オカはそれでも走り続ける。
(あ、後少しだな)
オカの視線は山の頂上を見ており、そこまで高い山では無いのであと少しである。
「お前との追い掛けっこも飽きたし、そろそろ終わりにしないか?」
そう言うと、マサオさんは地面に落ちていた石を掴みオカに向けて投げたのである。
その石は足場の悪い所で投げたスピードとは思えない早さでオカの背中に当たる。
「ヴッ!?」
背中から強い衝撃を受けたオカは一度地面に手を付いてしまい止まってしまった。
「つーかーまーえーた!」
マサオさんは、オカの前に立ちそのままハサミを振り下ろした。
(まずい!)
だが、オカは転がる様に身をくねらせる。
「クソ。これ絶対ヤバイだろ……」
オカは脇腹を手で抑えながら頂上に向かって再度走り続ける。どうやらマサオさんのハサミが脇腹を突き刺した様だ。
(めちゃくちゃ痛いし意識が……)
マサオさんの家から、ここまで一度も止まらず来た為、息切れは激しく、おまけに脇腹を刺されて、睡眠も取ってないオカは朦朧とした中で、ひたすら頂上に向けて足を動かし続ける。
「おーい、走るの辛いだろ?」
「はぁはぁ……」
「そろそろ、楽になれよ。あはは」
マサオさんの問いに答える余裕の無いオカは転ばない様に一歩一歩確実に足を動かし続ける。
そして、なんとか頂上に着くと、そこには、とても立派な大木が立っていた。
「あはは、おめでとう。良くここまで走り続けたな」
マサオさんはすぐ後ろで呟く。
「お?」
頂上に着いたオカだったがまだ走り続けていた。
(あそこまで行かないと……)
「おいおい、まだ走り続けるのかよ……」
そろそろ、飽き飽きとしたのかマサオさんは不満そうな表情を浮かべながらオカを追い掛ける。
(あと少し、あと少し)
疲れて何も考えられないオカだが、目標地点に視線を定めて最後のラストスパートを掛ける。
そして、目標地点に到着し倒れ込む。
「はぁはぁ……着いた……」
「お前、こんな所に用事があったのか? それよりも俺の大事な写真を返せ」
マサオさんは倒れ込むオカの前まで着くと、何処からか声が聞こえた。
「ダルマ君、飛ぶんだ!!」
茂みに隠れていたヒューズが木の上に登っていたダルマに合図を送る。
「こ、怖くない!」
木の上に居たダルマは目を瞑りながら、その場からジャンプする。すると、ダルマに括り付けていた紐がダルマに引っ張られる。
「あ? 自殺か?」
ダルマの飛び降りにマサオさんが呟くが、なんとマサオさんの足元に隠れていた紐が足に絡みつきマサオさんは宙に引っ張られたのである。
気付いた時にはマサオさんは縄により木に吊るされていた……。
その光景はまるで罠に引っかかった動物の様だ。
木から飛び降りたダルマの足から着地したとは言え、相当な負担が掛かっており倒れ込む様に地面に横たわる。
だが、作戦はまだ続いている様だ。
「次!」
「任せろ!」
ヒューズの掛け声に合わせてパークが木から飛び降りて来た。
「これを頂くぜ?」
マサオさんに抱き着く様に着地したパークは右手で持っていたハサミを力尽くで奪う。
「な、なにをする!?」
相当焦るマサオさんに対してパークは言い放つ。
「お前に関係ねぇーだろ! そこで写真が壊されるのを見とけ。オカッ!」
パークは奪ったハサミをオカに投げ渡す。ハサミをシッカリとキャッチしたオカ。
(こいつで、写真を壊して終わりだ……)
茂みからプルとフィブが写真を持って、オカの所に到着する……
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