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マサオさん
24話
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「あははは、お前らはここに居たのか」
そこにはマサオさんが現れた……。
「ひぃぃぃ」
姫は引き攣った声を上げる。
「姫か……、アイツに比べると格段に下がるな」
マサオさんは、少し残念そうな表情をする。
「マ、マサオさん貴方の目的はなんですか……?」
ヒューズは掠れた声で問い掛ける。
「目的だと」
「えぇ。何故こんな事を?」
「あははは、楽しいから?」
ヒューズは悟った。今のマサオさんには何を言っても無駄だと……。
「あははは、楽しいんだよ! 人間を殺るのは」
マサオは興奮しており、もはやヒューズ達の事を見ておらず、自分の世界に入り込んでしまっているようだ。
「ダルマ君……また、走れるかい?」
マサオさんから視線を逸らさずヒューズは静かにダルマに話し掛ける。
それに応える様にダルマも小声で話す。
「だ、大丈夫です。無理でも走ります」
「その意気だ」
そしてヒューズは更に姫の所にも行き話しかける。
「姫ちゃん、言いたい事はお互いあるかもしれないが、今は……分かるね……?」
姫は真っ青な顔をしてコクリと頷く。ヒューズは姫とダルマの手を引きながら、物音を立てずユックリとマサオさんから離れる。
「俺は、あの日から殺るのが楽しくてな……あはは……その代わり少しおかしくもなったな……あははは」
マサオさんは、焦点の合っていない目で周囲を見渡すとヒューズ達が走って逃げる所だった。
「アハ、次はお前らと鬼ごっこか?」
マサオさんはヒューズ達を追い掛け始めた。
「はぁはぁ……」
「ダルマ君、キツくても走るんだ」
「はぁはぁ、大丈夫です」
やはり、元々の体力の無さに加え、先程まで走り続けていたので限界をとうに越えている。
だが、マサオさんはそんな事を気にしてくれる訳もなく笑いながら追いかけている。
「ほーら、そろそろ追いつくぞ」
マサオさんの手が今にも三人の首を掴もうとしている。
(逃げきれないか……)
ヒューズは三人の誰かが捕まるだろうと確信してしまう。
(俺が捕まれば、少しは時間が……)
自身を囮にして、その間二人を逃そうとヒューズは足を止めようとした、その時。
「アンタが殺されなさい!」
姫は走っているダルマに脚を掛けて転ばしたのである。
少し脚を掛けただけで、ダルマは面白い程盛大に転けてしまう。
「姫ちゃん!?」
「さぁ、これで少しは時間を稼げますよ、逃げましょう!」
姫は笑顔でヒューズに言うが、ダルマが転んだ瞬間にヒューズも、また脚を止めてダルマを助け起こしたのである。
「ダルマ君、大丈夫かい!?」
「ヒュ、ヒューズさん、なんで……?」
ダルマはまさかヒューズが足を止めるとは思って居なかった様だ。それもそうだろう、マサオさんに捕まった瞬間殺されるのが分かっているのに、足を止める者などいるはずも無い……。
「ッチ、せっかく私が助けてやろうとしたのに、結局ソイツを選ぶのかよ」
姫は二人から直ぐに視線を逸らし走り出す。
「せいぜい、二人仲良く殺されればいいわ。あははは」
「あは、何を笑っている? 最初に死ぬのはお前だぞ?」
「……え?」
何故かマサオさんは転んだダルマや足を止めたヒューズの事を通り越して姫を追い続けて居た。
「な、なんでよ!」
「あははは、どっちにしろ全員殺すが、俺はなお前みたいに他者を蹴落とす者が嫌いでな」
「い、意味分かんない!」
姫はまさか自身が追い掛けれると思っていなかった為、どうすれば良いか考え付かない様だ。
「はぁはぁ……い、いやだ……」
「何が嫌なんだ? 言ってみろ」
「はぁはぁ、わ、私まだ何も楽しい事してない……死にたくない……」
暇の顔は涙や鼻水などでグチャグチャである。
恐らくこの先自分がどうなるか想像してしまったのだろう。
「なんで、アンタみたいな都市伝説に殺されないと行けないのよ!」
「アハ、それはお前がオフ会に参加したからだな」
姫は必死に走るが、やはり徐々に息切れが激しくなり、心臓もばくばくと鳴り続ける。
「はぁはぁ……私……死んじゃうの?」
「そうだぞ?」
そして、とうとうマサオさんに捕まってしまった。
「つーかーまーえーた」
「やめて、離して! た、助けて」
姫の悲痛の叫びは誰にも届かない……。
ここが森という事もあり、悲鳴の様な叫び声が響くが助けが来ないのは分かりきった事実である。
「お前がもしダルマに優しかったから助けが来たかもな、あははは」
恐怖のあまりマサオさんの話が全然頭に入って来ない姫は助けを呼ぶ様に叫び続ける。
ヒューズとダルマが居た場所から大分走って来た為姫がいくら叫ぼうが他の者達に届く事は無かった……。
そしてマサオさんは大きなハサミで姫の口目掛けて刺し込む。
「ウグゥ」
刺された衝撃で姫の口からは、くぐもった声が出る。
「うーん、良いもんだ……、やはり女性は肉が柔らかい」
マサオさんはいつも通りハサミを口に何度も何度も刺す。
ハサミを口に突き立てる度にマサオさんの顔には血が飛び散るが、その感触すら楽しむ様にマサオさんは手を動き続ける。
「アハ、次は誰を殺ろうかな……」
そこにはマサオさんが現れた……。
「ひぃぃぃ」
姫は引き攣った声を上げる。
「姫か……、アイツに比べると格段に下がるな」
マサオさんは、少し残念そうな表情をする。
「マ、マサオさん貴方の目的はなんですか……?」
ヒューズは掠れた声で問い掛ける。
「目的だと」
「えぇ。何故こんな事を?」
「あははは、楽しいから?」
ヒューズは悟った。今のマサオさんには何を言っても無駄だと……。
「あははは、楽しいんだよ! 人間を殺るのは」
マサオは興奮しており、もはやヒューズ達の事を見ておらず、自分の世界に入り込んでしまっているようだ。
「ダルマ君……また、走れるかい?」
マサオさんから視線を逸らさずヒューズは静かにダルマに話し掛ける。
それに応える様にダルマも小声で話す。
「だ、大丈夫です。無理でも走ります」
「その意気だ」
そしてヒューズは更に姫の所にも行き話しかける。
「姫ちゃん、言いたい事はお互いあるかもしれないが、今は……分かるね……?」
姫は真っ青な顔をしてコクリと頷く。ヒューズは姫とダルマの手を引きながら、物音を立てずユックリとマサオさんから離れる。
「俺は、あの日から殺るのが楽しくてな……あはは……その代わり少しおかしくもなったな……あははは」
マサオさんは、焦点の合っていない目で周囲を見渡すとヒューズ達が走って逃げる所だった。
「アハ、次はお前らと鬼ごっこか?」
マサオさんはヒューズ達を追い掛け始めた。
「はぁはぁ……」
「ダルマ君、キツくても走るんだ」
「はぁはぁ、大丈夫です」
やはり、元々の体力の無さに加え、先程まで走り続けていたので限界をとうに越えている。
だが、マサオさんはそんな事を気にしてくれる訳もなく笑いながら追いかけている。
「ほーら、そろそろ追いつくぞ」
マサオさんの手が今にも三人の首を掴もうとしている。
(逃げきれないか……)
ヒューズは三人の誰かが捕まるだろうと確信してしまう。
(俺が捕まれば、少しは時間が……)
自身を囮にして、その間二人を逃そうとヒューズは足を止めようとした、その時。
「アンタが殺されなさい!」
姫は走っているダルマに脚を掛けて転ばしたのである。
少し脚を掛けただけで、ダルマは面白い程盛大に転けてしまう。
「姫ちゃん!?」
「さぁ、これで少しは時間を稼げますよ、逃げましょう!」
姫は笑顔でヒューズに言うが、ダルマが転んだ瞬間にヒューズも、また脚を止めてダルマを助け起こしたのである。
「ダルマ君、大丈夫かい!?」
「ヒュ、ヒューズさん、なんで……?」
ダルマはまさかヒューズが足を止めるとは思って居なかった様だ。それもそうだろう、マサオさんに捕まった瞬間殺されるのが分かっているのに、足を止める者などいるはずも無い……。
「ッチ、せっかく私が助けてやろうとしたのに、結局ソイツを選ぶのかよ」
姫は二人から直ぐに視線を逸らし走り出す。
「せいぜい、二人仲良く殺されればいいわ。あははは」
「あは、何を笑っている? 最初に死ぬのはお前だぞ?」
「……え?」
何故かマサオさんは転んだダルマや足を止めたヒューズの事を通り越して姫を追い続けて居た。
「な、なんでよ!」
「あははは、どっちにしろ全員殺すが、俺はなお前みたいに他者を蹴落とす者が嫌いでな」
「い、意味分かんない!」
姫はまさか自身が追い掛けれると思っていなかった為、どうすれば良いか考え付かない様だ。
「はぁはぁ……い、いやだ……」
「何が嫌なんだ? 言ってみろ」
「はぁはぁ、わ、私まだ何も楽しい事してない……死にたくない……」
暇の顔は涙や鼻水などでグチャグチャである。
恐らくこの先自分がどうなるか想像してしまったのだろう。
「なんで、アンタみたいな都市伝説に殺されないと行けないのよ!」
「アハ、それはお前がオフ会に参加したからだな」
姫は必死に走るが、やはり徐々に息切れが激しくなり、心臓もばくばくと鳴り続ける。
「はぁはぁ……私……死んじゃうの?」
「そうだぞ?」
そして、とうとうマサオさんに捕まってしまった。
「つーかーまーえーた」
「やめて、離して! た、助けて」
姫の悲痛の叫びは誰にも届かない……。
ここが森という事もあり、悲鳴の様な叫び声が響くが助けが来ないのは分かりきった事実である。
「お前がもしダルマに優しかったから助けが来たかもな、あははは」
恐怖のあまりマサオさんの話が全然頭に入って来ない姫は助けを呼ぶ様に叫び続ける。
ヒューズとダルマが居た場所から大分走って来た為姫がいくら叫ぼうが他の者達に届く事は無かった……。
そしてマサオさんは大きなハサミで姫の口目掛けて刺し込む。
「ウグゥ」
刺された衝撃で姫の口からは、くぐもった声が出る。
「うーん、良いもんだ……、やはり女性は肉が柔らかい」
マサオさんはいつも通りハサミを口に何度も何度も刺す。
ハサミを口に突き立てる度にマサオさんの顔には血が飛び散るが、その感触すら楽しむ様にマサオさんは手を動き続ける。
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