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マサオさん
18話
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山を下山しようとしたオカ達だが不思議と同じ所をぐるぐると周り下山出来なかった為、結局村まで戻ってきてしまったらしい。
「もう、いやだ……」
緊迫状態の中、一番精神的ダメージを負っていた姫だったが、下山出来ない事実を知りとうとう心がダメになってしまった。
「姫ちゃん、大丈夫。きっと助けが来るから」
ヒューズは甲斐甲斐しく姫をサポートしてあげているが、姫は虚ろな目をして反応が鈍い。
(姫さん、大丈夫かな……?)
「皆さん、どういう訳か分かりませんが、下山が出来ないので本日もこの村に泊まります」
正男の呼び掛けに、皆の表情が歪む。
それもそうだろう。ここの村には既に死体が一つあり、そんな所で寝泊まりなんてしたくないのは当たり前の事である。
だが、それは表向きの理由であり、本当の理由は……。
(皆んな気付いていると思うけどクイーンさんを殺した人がこの中に居るんだよな……)
オカは言葉にはして無いが、クイーンの死体を見て、ハサミが口に突き立てられているのを確認している。
そのハサミをクイーンに突き立てた者が居るはずだが、こんな山の中にオカ達以外居るわけも無く、ここに居る誰かが犯人だとオカは思っている様だ。
正男の指示により再びテントを張り始める一同だが、初日と違って建てるテントは一つになった。
「バラバラで過ごすのは危険の為一つのテントで皆んなで夜を明かしましょう」
「正男さんの意見に賛成です。どこに誰が潜んでいるか分かりませんしね」
ヒューズの言葉に一同は頷き、自分達の役割を実行する為黙々とテントを張る。
テントが張り終わった頃には日も沈み、辺りはすっかり暗く唯一の光源は、頼りない焚き火の光だけである。
「ふむ。何泊するか分かりませんでしたし一応食料を多めに持ってきて良かった」
「正男さん、後何日分あるんですか?」
「うーん、切り詰めていけば後三日程は保ちますね」
正男とヒューズがどんどん打開策や今後の事を決めていくので、オカ達は不安ながらも頼もしさを彼らに抱いている様だ。
「オカ、私達帰れるかな?」
「だ、大丈夫だよ」
オカとカリンは皆んなから少し離れた位置で小声で話している。
「この殺され方ってマサオさんの……」
「うん、マサオさんの真似事をして殺したんだと思う……」
「それと、犯人ってさ」
「大きな声では言えないけど皆んなの中にいると……思う……」
「や、やっぱり?」
カリンは強張った表情を浮かべながら焚き火を囲んでいる皆んなに視線を向ける。
「だ、誰だか分かるの?」
「いや、そこまでは分からないけど。恐らくマサオさんやヒューズさんも気付いているからこそ、テントを一つにしたんだと思う」
「どう言う事?」
「皆んながいる前では流石に出来ないでしょ?」
何が出来ないのかは、敢えて伏せてカリンに伝えたオカだが、言葉の流れ的にカリンはしっかりと理解した。
「私達これからどうすればいいの?」
「ひとまずお互いあまり離れないで行動しよ」
(一人になったら、何されるか分からない……)
「それから、あまり他の人を刺激しない様に」
「そ、そうだよね。誰が犯人か分からないしね」
「後は、直ぐに逃げられる様に常に気を配る」
オカとカリンは話に夢中になっていたのか後ろから近づいて来る人間に気付いていなかった……。
「何の悪巧み?」
「「!?」」
二人は直ぐに後ろを向くと、そこにはスーツ姿のプルさんが居た。
「な、なんだプルさんか……」
「驚かさないで下さいよー」
「なんだとは失礼しちゃうわね」
プルは二人の側に座り込む。
「何の話をしていたの?」
プルの質問に、オカとカリンは一度お互いの顔を見合わせて、頷きあう。
(プルさんなら話しても大丈夫か)
「実は……」
オカはプルに対して先程までカリンと話していた事を伝える。
「なるほど……。良ければ私も二人の側に居ていいかしら……?」
やはりプルもこの状況は不安なのか、いつもの隙のない雰囲気では無く、頼りない感じであった。
「えぇ、もちろんです」
「私達だけじゃ不安だったのでプルさんが居た方が助かりますよー」
「ふふ、なら宜しくね」
仲間に入れてもらえた事に安心したのか、プルは笑った。
「とりあえずは、様子見かしら?」
「ですね。ただ今日の夜はテント一つで過ごすとの事でしたので、三人でローテションで見張りしませんか?」
「オカ、どう言うこと?」
(他の人だと、いつ寝首をかかれるか分からないしな)
どうやら、オカの考え方としては、三人で見張りをローテンションして、一人が見張りをしている間に二人が睡眠を取るという考えらしい。
「そうね……。三人共寝たら誰か分からない犯人に何されるか……」
「はい。二人だとキツイと思ってたんですがプルさんのお陰で何とか出来そうです」
「何か怪しい動きを見つけたら二人を叩き起こすわ」
冗談めかしに言うプルに対してオカとカリンは苦笑いしながら、宜しくお願いしますと頭を下げるのであった。
すると、正男とヒューズの話し合いが終わる。どうやら明日の朝にもう一度下山する事にしたらしい。
(明日は何事も無く下山したいな)
オカの考えも虚しくまた次の日に犠牲者が発見された……。
「もう、いやだ……」
緊迫状態の中、一番精神的ダメージを負っていた姫だったが、下山出来ない事実を知りとうとう心がダメになってしまった。
「姫ちゃん、大丈夫。きっと助けが来るから」
ヒューズは甲斐甲斐しく姫をサポートしてあげているが、姫は虚ろな目をして反応が鈍い。
(姫さん、大丈夫かな……?)
「皆さん、どういう訳か分かりませんが、下山が出来ないので本日もこの村に泊まります」
正男の呼び掛けに、皆の表情が歪む。
それもそうだろう。ここの村には既に死体が一つあり、そんな所で寝泊まりなんてしたくないのは当たり前の事である。
だが、それは表向きの理由であり、本当の理由は……。
(皆んな気付いていると思うけどクイーンさんを殺した人がこの中に居るんだよな……)
オカは言葉にはして無いが、クイーンの死体を見て、ハサミが口に突き立てられているのを確認している。
そのハサミをクイーンに突き立てた者が居るはずだが、こんな山の中にオカ達以外居るわけも無く、ここに居る誰かが犯人だとオカは思っている様だ。
正男の指示により再びテントを張り始める一同だが、初日と違って建てるテントは一つになった。
「バラバラで過ごすのは危険の為一つのテントで皆んなで夜を明かしましょう」
「正男さんの意見に賛成です。どこに誰が潜んでいるか分かりませんしね」
ヒューズの言葉に一同は頷き、自分達の役割を実行する為黙々とテントを張る。
テントが張り終わった頃には日も沈み、辺りはすっかり暗く唯一の光源は、頼りない焚き火の光だけである。
「ふむ。何泊するか分かりませんでしたし一応食料を多めに持ってきて良かった」
「正男さん、後何日分あるんですか?」
「うーん、切り詰めていけば後三日程は保ちますね」
正男とヒューズがどんどん打開策や今後の事を決めていくので、オカ達は不安ながらも頼もしさを彼らに抱いている様だ。
「オカ、私達帰れるかな?」
「だ、大丈夫だよ」
オカとカリンは皆んなから少し離れた位置で小声で話している。
「この殺され方ってマサオさんの……」
「うん、マサオさんの真似事をして殺したんだと思う……」
「それと、犯人ってさ」
「大きな声では言えないけど皆んなの中にいると……思う……」
「や、やっぱり?」
カリンは強張った表情を浮かべながら焚き火を囲んでいる皆んなに視線を向ける。
「だ、誰だか分かるの?」
「いや、そこまでは分からないけど。恐らくマサオさんやヒューズさんも気付いているからこそ、テントを一つにしたんだと思う」
「どう言う事?」
「皆んながいる前では流石に出来ないでしょ?」
何が出来ないのかは、敢えて伏せてカリンに伝えたオカだが、言葉の流れ的にカリンはしっかりと理解した。
「私達これからどうすればいいの?」
「ひとまずお互いあまり離れないで行動しよ」
(一人になったら、何されるか分からない……)
「それから、あまり他の人を刺激しない様に」
「そ、そうだよね。誰が犯人か分からないしね」
「後は、直ぐに逃げられる様に常に気を配る」
オカとカリンは話に夢中になっていたのか後ろから近づいて来る人間に気付いていなかった……。
「何の悪巧み?」
「「!?」」
二人は直ぐに後ろを向くと、そこにはスーツ姿のプルさんが居た。
「な、なんだプルさんか……」
「驚かさないで下さいよー」
「なんだとは失礼しちゃうわね」
プルは二人の側に座り込む。
「何の話をしていたの?」
プルの質問に、オカとカリンは一度お互いの顔を見合わせて、頷きあう。
(プルさんなら話しても大丈夫か)
「実は……」
オカはプルに対して先程までカリンと話していた事を伝える。
「なるほど……。良ければ私も二人の側に居ていいかしら……?」
やはりプルもこの状況は不安なのか、いつもの隙のない雰囲気では無く、頼りない感じであった。
「えぇ、もちろんです」
「私達だけじゃ不安だったのでプルさんが居た方が助かりますよー」
「ふふ、なら宜しくね」
仲間に入れてもらえた事に安心したのか、プルは笑った。
「とりあえずは、様子見かしら?」
「ですね。ただ今日の夜はテント一つで過ごすとの事でしたので、三人でローテションで見張りしませんか?」
「オカ、どう言うこと?」
(他の人だと、いつ寝首をかかれるか分からないしな)
どうやら、オカの考え方としては、三人で見張りをローテンションして、一人が見張りをしている間に二人が睡眠を取るという考えらしい。
「そうね……。三人共寝たら誰か分からない犯人に何されるか……」
「はい。二人だとキツイと思ってたんですがプルさんのお陰で何とか出来そうです」
「何か怪しい動きを見つけたら二人を叩き起こすわ」
冗談めかしに言うプルに対してオカとカリンは苦笑いしながら、宜しくお願いしますと頭を下げるのであった。
すると、正男とヒューズの話し合いが終わる。どうやら明日の朝にもう一度下山する事にしたらしい。
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