上 下
11 / 101
マサオさん

11話

しおりを挟む
「私はカリンと言います! オカと同じ大学生で今は四年になります。オカの影響でマサオさんに興味を持ちました、よろしくお願いします!」

 いつもの完璧な笑顔を振りまいて自己紹介をしたカリンにある男を除いて全員好印象らしい。

「可愛いぜ……」
「ふふ、本気になってしまうかもな」

 誰も気付いて無いが、カリンの自己紹介を聞いて、パークとヒューズは心の声が漏れていた。

 そしてオカの隣に居るダルマが又しても呟く。

「顔は良いがピッチだな……」

 それを聞いたオカは、カリンに対する第一印象は同じ事を思ったなと思い、ダルマに少し共感したのか、先程距離を取った分を元に戻すかの様に距離を詰めた。

 そして次にプルが自己紹介を始める。

「プルと言います。今回はマサオさんの都市伝説に興味を持ったのと、仕事としても良いネタだと思い参加しました」
「ほう。仕事ですか?」

 管理人のマサオが興味を示した。

「えぇ。私フリーのジャーナリストですので、面白ければ記事などにしようかと」

 プルの自己紹介が終わると又もやダルマが呟く。

「アイツ顔付怖いな……。ああいう女は願い下げだな」

 どうやらダルマは自分の事を棚に起き文句を言うタイプらしい。

 続いてオカと同じくらいの女性が自己紹介の為一歩前に出た。

「フィブ、宜しく……」

 フィブと名乗った女はそれだけ言うと一度頭を下げて、自己紹介はもう終わりよ? と言わんばかりに黙り込む。

「え? もう終わりなのか!? もっと自分をアピールした方がいいんじゃないか!?」

 パークはフィブに問い掛けるが、無視を決め込んでいるのか話そうとはしない。見兼ねた次の女性が自己紹介を始める。

「私はー、姫っていいまーす」

 姫と名乗る女は一言で言えばオタサーの姫だろう。黒髪ロングで清楚な見た目、そして甘い声に仕草が一々可愛らしい。

「マサオさんの都市伝説に興味持っちゃって参加しちゃいましたー! 皆さん宜しくお願いしまーす」

 夏だと言うのに、ゴスロリでヒラヒラしたスカートを履いて暑そうである。

「か、可愛い……。アイツは俺の彼女にしても問題無いレベルだな……」

 ダルマの評価は高い様だ。

「あぁ、あの子は可愛い……」

 どうやらオカも気に入ったらしく、恥ずかしがりながらも、チラチラ姫を盗み見ている。
 それを見ていたカリンはとても焦っており、オカとは違う理由で姫をチラチラ盗み見ている。

「オカはあんな感じの子がいいのかな……」

 どうやら姫は色々な意味でトラブルメーカーになりそうな存在である。
 姫本人も、どうやらヒューズの事が気になっている様で先程から視線を寄越している。

 そして姫の隣に居る者達が挨拶をする。

「俺の名前はキング!」
「私の名前はクイーン!」
「僕の名前はジャック!」

 キングと名乗る男はメガネを掛けたノッポであった。

「我々三騎士は姫様を守る為に今回参加した。そして俺は三騎士の中で護衛を担当するキングだ、宜しく頼む」

 続いてクイーンと名乗った女がキングの横に並ぶ。

「私は姫様の日常的なサポートを担当するクイーンよ、宜しく頼むわ」

 クイーンと名乗った女は前髪で目が全く見えない状態の為表情が読み取り難い。

「僕は三騎士の頭脳を司る者。姫様の頭脳担当のジャックです、宜しくお願いします」

 ジャックと名乗った男はキングとは逆で、とても小さい男であった。

「な、なんだあの三騎士とか言う奴ら! 姫の彼氏か?!」

 ダルマは姫の側に男がいる事にかなり焦っている様だ。

「三騎士とかカッコいいな……」

 オカは三騎士に混ざりたい様子である。

「それでは、全員自己紹介終わりましたかね?」

 管理人の正男が全員を見回す。

「では、以上12名でマサオさんの聖地巡礼を始めたいと思います。何泊泊まるかは聖地巡礼の進捗次第ですかね」
「正男さん、大体何泊くらいを予定しているんですか?」

 プルが正男に問い掛ける。

「何も決めてませんね。特に、面白い物が無ければ一泊で良いと思いますし、何かマサオさんに繋がる事や面白い事があれば何泊でもしようと思っています」
「おー! キャンプとか久しぶりで燃えるぜ!!」
「君は常に暑いね」

 それから一同は正男を先頭に歩き出す。

「ッチ、マジで暑いな……、こんな所歩かせるなよ、車くらい用意してろよ……」
「ダルマ君、あまりそう言う事は口に出して言わない方がいいよ」
「え!? あ……す、すみません」

 ダルマは誰も聞いてないと思っていたが、どうやらヒューズが隣で聞いていたらしく、注意され顔を真っ赤にしている。

「ダルマさん、車をご用意出来なくて申し訳ない。ですがもう少し歩けば木々が多くなって来るので日陰も出来ますので今よりは涼しくなりますよ」

 正男がダルマに気を使い説明してくれるが、ダルマは恥ずかしいらしく、返事をしなかった。

 そして正男が言っていた様に道の周りに木々が増えてきて、今では木々に覆われて歩く場所は全て日陰になっている。だが、その分木の根っこや石なども増えてきたので歩き辛くなってきた。

「もう暫く歩きますが、お昼までには村に到着しますので皆さん頑張って下さい」 

 正男の掛け声と共に一同はとにかく歩いた。
 



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

秘密の仕事

桃香
ホラー
ホラー 生まれ変わりを信じますか? ※フィクションです

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

最終死発電車

真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。 直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。 外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。 生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。 「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

THE TOUCH/ザ・タッチ -呪触-

ジャストコーズ/小林正典
ホラー
※アルファポリス「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」サバイバルホラー賞受賞。群馬県の山中で起こった惨殺事件。それから六十年の時が経ち、夏休みを楽しもうと、山にあるログハウスへと泊まりに来た六人の大学生たち。一方、爽やかな自然に場違いなヤクザの三人組も、死体を埋める仕事のため、同所へ訪れていた。大学生が謎の老人と遭遇したことで事態は一変し、不可解な死の連鎖が起こっていく。生死を賭けた呪いの鬼ごっこが、今始まった……。

【短編】怖い話のけいじばん【体験談】

松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。 スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...