6 / 101
マサオさん
6話
しおりを挟む
「さて、大学行くか!」
普段では考えられない程のテンションでベットから起き上がり準備を始めるオカ。
「いやー、講義も何も無いけど大学行くのって新鮮だな」
そうなのだ。オカは本来大学に行く必要無い日なのだがカリンとマサオさんについて話したいが為に大学に行くのだ。
「準備良し。あ、もしもの為にタブレットも持っていくか」
こういう準備周到な所は流石オタクなだけある。そしてオカは家を出て大学に向かう。
電車を乗り継ぎ自身が通う大学に到着する。
「カリンはどこにいるかな?」
オカは校内を探し回る。するとある一角で学生の一帯が大声で騒いでいるのが聞こえる。
「全く、ああいう奴らとは絶対関わりたくないもんだな」
そこにはオタク達が苦手としている者達が居た。
そしてその集団の中にカリンを見つけたオカは咄嗟に素知らぬフリをして通り過ごそうとした。
「ギャハハ、そういえばよカリン。例の件は順調なのか?」
見た目が明らかにチャラそうな男がカリンに話しかける。
「……」
だがカリンはダンマリして話さない。
「罰ゲームなんだから、ちゃんと最後まで貫き通せよ?」
すると、周りの若者が騒ぎ出す。
「あはは、カリンみたいな芸能人ばりに容姿がいい奴が普通あんなオタクみたいな奴相手しねぇーんだから罰ゲームでも嬉しいと思うぜ?」
その言葉を聞いて、オカは察してしまう……。
別にオカの名前が出た訳でも無いし、詳細を聞いた訳でも無いのに大体の流れを想像し、それが間違ってない事を確信する。
オカはそのまま素通りして遠回りし、家に帰ろうと決め歩き出した……。
「お前らうっさいよ! 私が誰と仲良くなろうが関係ねぇーだろ!」
「おいおい、何怒っているんだよ。ゲームに負けたんだから、罰ゲームとしてちゃんとやってもらうぜ?」
チャラ男はカリンに対してヘラヘラしながら話す。
「そうだよ。それにカリンが告白しなくても、昨日一緒に帰った奴なら、向こうから告白してくるよー」
昨日オカと帰る直前まで一緒に居た女友達がカリンに言う。
「まぁー、どうしても嫌なら俺と一回デートしてくれるなら無しでいいぜ?」
「あ! お前狡いぞ! なら俺もカリンとデートしてぇーよ!」
「お、俺も!」
チャラ男を始め、次々とカリンとのデートを巡って騒ぎ出す男達を見てカリンはため息を吐く。
彼女は幼少の頃から容姿が良い為男から言い寄られる事が多かった。中学までは清楚な見た目だった為、不良から普通の生徒まで満遍なく告白されていたのだ。
そこで高校に入ると同時に化粧を濃くする事により、人を寄せ付けない様にしようとした。
その成果は半分成功して、半分失敗に終わる。まず化粧を濃くした事によりギャルと認識される事によって普通の男は近づいて来なくなった。
だが化粧が濃くなり実際には更に綺麗になり街などを歩くと直ぐにチャラそうな奴らに声を掛けられる毎日だった。
男に嫌気を指し、高校は女性友達としか交流を深め無かったし、大学に入っても極力男とは関わらない様にしてきたカリンだが、やはり男がほっとくわけも無く、仕方なく最低限の付き合いとして今のグループに属しているのだ。
「お前らとデートするくらいなら、私は断然オカとデートするわ!」
そう言って、カリンは女友達だけに挨拶をしてその場から離れた。
きっと、このやり取りを最後までオカが聞いていれば、オカはカリンの事を見直しただろうがその場にオカは既に居なかった……。
「なんだアイツ?」
「お前が嫌だから帰ったんじゃねぇーの?」
「あはは、あり得るわー。お前みたいなチャラ男はノーサンキューなんだよ!」
「うるせッ!」
集団は直ぐに別の話で盛り上がるのであった。
「やっぱり、何か裏があってカリンは俺に接触してたんだな……」
なんとなく疑いの目を向けながらカリンとは接していたせいか、オカはそこまで傷付いて無かった。
むしろ不思議に思っていたくらいの為理由が分かって良かったとさえ思ったオカはどうせ来たならご飯を食べて帰ろうと思い食堂に向かった。
「おー、オカ! お前今日は休みじゃ無かったか?」
「ちょっと予定が合ってな。だがもう終わったから飯食って帰る所だ」
食堂に行くと友人の一人がご飯を食べていたので、先程の出来事を話す。
「マジかよ……。やっぱりギャルこぇーな」
「だよなー」
オカと友人は、女性は信じられないと結論を出したのだ。
「やっぱり、俺達には二次元だな!」
「その通りだぜ!」
二人でアニメの話で盛り上がっていると窓をコンコンと叩かれた。窓の奥には派手な格好をした女性が笑顔で手を振っている。
「カリンかよ……」
オカの表情を見た女性はムッとした表情になり学食に入ってきた。
「おいおい、悪魔が来ちまったぞ!?」
友人が慌てた様に言う。
「お、俺だってもう会いたくてねぇーよ!」
オカも慌てており二人はオロオロしている内にカリンが目の前まで来てしまう。
「ちょっとオカ! アンタのその態度は何なのよ!」
いつぞやのセリフを吐きながらカリンが歩いてくる。だが少し違った事もある。
「オカの友人の方だよね? この前は本当にごめんねー」
「い、いや怒ってないし、気にしてない……」
先程まで悪魔と言っていた人間とは考えられない程静かになってしまった友人を横目で見ながらオカは問う。
「何しに来たんだよ?」
「オカが会おうって昨日メールで言ったんじゃん!」
先程の出来事ですっかり忘れていたオカだったが、確かにそうだったと思い出すのであった。
「いや、もう無理しなくていいぞカリン」
「え? 何が?」
カリンが首を傾げる。昨日までのオカ達なら、イチコロだったが裏側の事情を知ってしまった二人は前回みたいに恥ずかしがったりしない様だ。
「いや、何でもない……」
「何よそれー!」
オカはこの場で全て先程の事を言ってやろうかと思ったが、そんな事はしなかった。
「お、俺そろそろ予定があるから行くわ」
友人が逃げる様に食堂から出て行く。そしてカリンと二人になったオカは……。
「カリン、都市伝説マサオさん見たか?」
「うんうん、見たよ!」
この男は、どうしてもマサオさん友達が欲しいが為に先程の事を言わなかったのであろう……。
オカの友人がこの場を見たら、そこまでして話したいのかよと呆れる所である。
そこからは、マサオさんの話をして、次会う時までに全ての記事を目を通すと約束して二人は別れたのであった。
そして、その頃にはオカもカリンの事を意識しないで話せる様になっていた。恐らくオカの中でカリンは恋愛対象から外れたのだろう……。
普段では考えられない程のテンションでベットから起き上がり準備を始めるオカ。
「いやー、講義も何も無いけど大学行くのって新鮮だな」
そうなのだ。オカは本来大学に行く必要無い日なのだがカリンとマサオさんについて話したいが為に大学に行くのだ。
「準備良し。あ、もしもの為にタブレットも持っていくか」
こういう準備周到な所は流石オタクなだけある。そしてオカは家を出て大学に向かう。
電車を乗り継ぎ自身が通う大学に到着する。
「カリンはどこにいるかな?」
オカは校内を探し回る。するとある一角で学生の一帯が大声で騒いでいるのが聞こえる。
「全く、ああいう奴らとは絶対関わりたくないもんだな」
そこにはオタク達が苦手としている者達が居た。
そしてその集団の中にカリンを見つけたオカは咄嗟に素知らぬフリをして通り過ごそうとした。
「ギャハハ、そういえばよカリン。例の件は順調なのか?」
見た目が明らかにチャラそうな男がカリンに話しかける。
「……」
だがカリンはダンマリして話さない。
「罰ゲームなんだから、ちゃんと最後まで貫き通せよ?」
すると、周りの若者が騒ぎ出す。
「あはは、カリンみたいな芸能人ばりに容姿がいい奴が普通あんなオタクみたいな奴相手しねぇーんだから罰ゲームでも嬉しいと思うぜ?」
その言葉を聞いて、オカは察してしまう……。
別にオカの名前が出た訳でも無いし、詳細を聞いた訳でも無いのに大体の流れを想像し、それが間違ってない事を確信する。
オカはそのまま素通りして遠回りし、家に帰ろうと決め歩き出した……。
「お前らうっさいよ! 私が誰と仲良くなろうが関係ねぇーだろ!」
「おいおい、何怒っているんだよ。ゲームに負けたんだから、罰ゲームとしてちゃんとやってもらうぜ?」
チャラ男はカリンに対してヘラヘラしながら話す。
「そうだよ。それにカリンが告白しなくても、昨日一緒に帰った奴なら、向こうから告白してくるよー」
昨日オカと帰る直前まで一緒に居た女友達がカリンに言う。
「まぁー、どうしても嫌なら俺と一回デートしてくれるなら無しでいいぜ?」
「あ! お前狡いぞ! なら俺もカリンとデートしてぇーよ!」
「お、俺も!」
チャラ男を始め、次々とカリンとのデートを巡って騒ぎ出す男達を見てカリンはため息を吐く。
彼女は幼少の頃から容姿が良い為男から言い寄られる事が多かった。中学までは清楚な見た目だった為、不良から普通の生徒まで満遍なく告白されていたのだ。
そこで高校に入ると同時に化粧を濃くする事により、人を寄せ付けない様にしようとした。
その成果は半分成功して、半分失敗に終わる。まず化粧を濃くした事によりギャルと認識される事によって普通の男は近づいて来なくなった。
だが化粧が濃くなり実際には更に綺麗になり街などを歩くと直ぐにチャラそうな奴らに声を掛けられる毎日だった。
男に嫌気を指し、高校は女性友達としか交流を深め無かったし、大学に入っても極力男とは関わらない様にしてきたカリンだが、やはり男がほっとくわけも無く、仕方なく最低限の付き合いとして今のグループに属しているのだ。
「お前らとデートするくらいなら、私は断然オカとデートするわ!」
そう言って、カリンは女友達だけに挨拶をしてその場から離れた。
きっと、このやり取りを最後までオカが聞いていれば、オカはカリンの事を見直しただろうがその場にオカは既に居なかった……。
「なんだアイツ?」
「お前が嫌だから帰ったんじゃねぇーの?」
「あはは、あり得るわー。お前みたいなチャラ男はノーサンキューなんだよ!」
「うるせッ!」
集団は直ぐに別の話で盛り上がるのであった。
「やっぱり、何か裏があってカリンは俺に接触してたんだな……」
なんとなく疑いの目を向けながらカリンとは接していたせいか、オカはそこまで傷付いて無かった。
むしろ不思議に思っていたくらいの為理由が分かって良かったとさえ思ったオカはどうせ来たならご飯を食べて帰ろうと思い食堂に向かった。
「おー、オカ! お前今日は休みじゃ無かったか?」
「ちょっと予定が合ってな。だがもう終わったから飯食って帰る所だ」
食堂に行くと友人の一人がご飯を食べていたので、先程の出来事を話す。
「マジかよ……。やっぱりギャルこぇーな」
「だよなー」
オカと友人は、女性は信じられないと結論を出したのだ。
「やっぱり、俺達には二次元だな!」
「その通りだぜ!」
二人でアニメの話で盛り上がっていると窓をコンコンと叩かれた。窓の奥には派手な格好をした女性が笑顔で手を振っている。
「カリンかよ……」
オカの表情を見た女性はムッとした表情になり学食に入ってきた。
「おいおい、悪魔が来ちまったぞ!?」
友人が慌てた様に言う。
「お、俺だってもう会いたくてねぇーよ!」
オカも慌てており二人はオロオロしている内にカリンが目の前まで来てしまう。
「ちょっとオカ! アンタのその態度は何なのよ!」
いつぞやのセリフを吐きながらカリンが歩いてくる。だが少し違った事もある。
「オカの友人の方だよね? この前は本当にごめんねー」
「い、いや怒ってないし、気にしてない……」
先程まで悪魔と言っていた人間とは考えられない程静かになってしまった友人を横目で見ながらオカは問う。
「何しに来たんだよ?」
「オカが会おうって昨日メールで言ったんじゃん!」
先程の出来事ですっかり忘れていたオカだったが、確かにそうだったと思い出すのであった。
「いや、もう無理しなくていいぞカリン」
「え? 何が?」
カリンが首を傾げる。昨日までのオカ達なら、イチコロだったが裏側の事情を知ってしまった二人は前回みたいに恥ずかしがったりしない様だ。
「いや、何でもない……」
「何よそれー!」
オカはこの場で全て先程の事を言ってやろうかと思ったが、そんな事はしなかった。
「お、俺そろそろ予定があるから行くわ」
友人が逃げる様に食堂から出て行く。そしてカリンと二人になったオカは……。
「カリン、都市伝説マサオさん見たか?」
「うんうん、見たよ!」
この男は、どうしてもマサオさん友達が欲しいが為に先程の事を言わなかったのであろう……。
オカの友人がこの場を見たら、そこまでして話したいのかよと呆れる所である。
そこからは、マサオさんの話をして、次会う時までに全ての記事を目を通すと約束して二人は別れたのであった。
そして、その頃にはオカもカリンの事を意識しないで話せる様になっていた。恐らくオカの中でカリンは恋愛対象から外れたのだろう……。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】知られてはいけない
ひなこ
ホラー
中学一年の女子・遠野莉々亜(とおの・りりあ)は、黒い封筒を開けたせいで仮想空間の学校へ閉じ込められる。
他にも中一から中三の男女十五人が同じように誘拐されて、現実世界に帰る一人になるために戦わなければならない。
登録させられた「あなたの大切なものは?」を、互いにバトルで当てあって相手の票を集めるデスゲーム。
勝ち残りと友情を天秤にかけて、ゲームは進んでいく。
一つ年上の男子・加川準(かがわ・じゅん)は敵か味方か?莉々亜は果たして、元の世界へ帰ることができるのか?
心理戦が飛び交う、四日間の戦いの物語。
(第二回きずな文学賞で奨励賞受賞)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
代償
とろろ
ホラー
山下一郎は、どこにでもいる平凡な工員だった。
彼の唯一の趣味は、古い骨董品店の中を見て回ること。
ある日、彼は謎の本をその店で手に入れる。
それは、望むものなら何でも手に入れることができる本だった。
その本が、導く先にあるものとは...!
【完結】『霧原村』~少女達の遊戯が幽の地に潜む怪異を招く~
潮ノ海月
ホラー
五月の中旬、昼休中に清水莉子と幸村葵が『こっくりさん』で遊び始めた。俺、月森和也、野風雄二、転校生の神代渉の三人が雑談していると、女子達のキャーという悲鳴が。その翌日から莉子は休み続け、学校中に『こっくりさん』の呪いや祟りの噂が広まる。そのことで和也、斉藤凪紗、雄二、葵、渉の五人が莉子の家を訪れると、彼女の母親は憔悴し、私室いた莉子は憑依された姿になっていた。莉子の家から葵を送り届け、暗い路地を歩く渉は不気味な怪異に遭遇する。それから恐怖の怪奇現象が頻発し、ついに女子達が犠牲に。そして怪異に翻弄されながらも、和也と渉の二人は一つの仮説を立て、思ってもみない結末へ導かれていく。【2025/3/11 完結】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる