490 / 492
第11章
489話
しおりを挟む
「デグ……食料と水分が……」
「あぁ……どうにかしないとな」
木の上を移動する様になってから三日が経過した。
朝は移動して、日が沈めば木の上で交代で見張りを立てて休息を取って居たが、木の上でちゃんと寝れる筈も無く体力的にも限界に近い。
そして、何より不味い状況は食料と水分が、もう殆ど残っていない事だ。
「節約してたのに、もう今日までの分しか残って無いッス……」
大分切り詰めていたが、とうとう今日で食料と水分が尽きる。
もともと、そこまで大量に持ってきたわけじゃ無かったが、こうなる事が分かっていれば、もっと持ってくれば良かったぜ。
「デグさん、モンスターが下を通過します」
アレから、モンスター達は昼夜問わずに、現れる。
幸いな事にモンスター達は俺達には気が付いて無い様だが、常に餌である俺達を探し回っている様にも見える。
「見つかって無いのは良いが、下には降りられねぇーな」
「降りたら、直ぐに食べられちゃう……」
既にそこら中にモンスター達がいる為、少しでも地面に降りたら直ぐ見つかってしまう可能性がある。
「でも、一度は下に降りないと食料や水分がとれないッスよ?」
「あぁ、分かっている」
現状、八方塞がり状態の中、ジャングルの奥へと進んでいると、ベムが目を見開く。
「デグ……凄いの見つけた……」
「凄いもの?」
普段から、あまり感情を表に出さないベムであるが、今は驚いている様子である。
「ベムさん、何か見えたッスか?」
「うん……アレは使える……」
「え? ベムさん何を見つけたんですか?」
「……家?」
家だと?
「木の上に家が立っている……」
「え?! じゃ、誰か居るッスか?!」
「ここからじゃ分からない……」
どうやら、ベムはスキルを発動させている様で、ジャングルの奥に家を見つけた様だ。
「ベム、木の上に家と言っているが、何個ある?」
「正確な数は分からないけど……複数ある……」
「ここから、あとどれくらいだ?」
「この速度だったら、一時間も掛からないと思う……」
木の上に家を作るくらいだから、住んでいるのは人間だろうが、果たして今も住んでいるのだろうか?
「デグさん、どうしますか?」
「取り敢えず、近付いてみよう」
家の中に誰が住んでいるか分からないが、用心するのに越した事は無い。
「ベム、先導してくれ」
「うん……」
「レギュは引き続き周囲のモンスターの気配を探ってくれ」
「わかりました!」
「俺とラバは目視出来る範囲で異常が無いか確認するぞ」
「分かったッス!」
俺達はベムの先導の元、ゆっくりと近づいて行く。
途中で何体ものモンスターが下を通過するが、その度に立ち止まり息を潜め、過ぎ去るのを待つ。
そして、またベムを先導に移動をする。
「そろそろ皆んなにも見えて来ると思う……」
ベムが口を開いた次の瞬間にはレギュが声を上げる。
「あ、私も見えました!」
「ど、どこッスか? ──あっ、あったッス!」
続いてラバも見つけ、俺も家を視認する。
家と言っても、立派な感じのものでは無く、木の上に屋根の無い家を建てた感じである。
「ベム、誰か居るか?」
「今、探っている……」
屋根が無く壁なども簡易的なモノで作られている為、外から家の中が丸見えである。
「どうやら誰も居ないみたい……」
「よし、なら行ってみよう」
俺達は周りの木よりも大分太く長い木まで移動した。そして、その木には5つの家が太い枝に作られており、一つの家に大体四人程が寝られる様になっていた。
「作りは簡易的だけど、凄い……」
「本当ですね! これなら木の上に居ながら寝っ転がれますよ!」
そう言って、ベムとレギュが早速ねっ転がり始めた。
「久しぶりに足を伸ばして寝られる……」
「これで、溜まった疲れも少しは取り除けそうですね!」
二人に習い、ラバも寝っ転がり寝心地の具合を確かめていた。
「じ、自分……こんな足を伸ばせるって言う当たり前の事に感動しているッス!」
この数日間は木の上で過ごし、制限された動きしか出来なかった為、今の現状に感動している様だ。
俺も、腰を下ろし一息着く。
「ふぅ……俺達としては、凄い有難いが何でこんな所に家があるんだ?」
周りを見回しても居るのはモンスターだけで有り人間の気配が全くしない。
「この家を作った人間達は戻って来ますかね?」
「分からない……ただ、状況から見て暫く使った形跡が無いから戻って来ない可能性の方が高いかも……」
ベムの言う通り、家の床には木の葉っぱが落ちており、その葉っぱが枯れている所を見ると、暫くの間この家を使っていない事が分かる。
「もし、誰か居たら助けを求めようと思っていましたが残念でした……」
「この地獄から抜け出せると思ったのに残念ッス……」
家を誰も使って無い事に気が付き、二人はとても落胆していた……
「あぁ……どうにかしないとな」
木の上を移動する様になってから三日が経過した。
朝は移動して、日が沈めば木の上で交代で見張りを立てて休息を取って居たが、木の上でちゃんと寝れる筈も無く体力的にも限界に近い。
そして、何より不味い状況は食料と水分が、もう殆ど残っていない事だ。
「節約してたのに、もう今日までの分しか残って無いッス……」
大分切り詰めていたが、とうとう今日で食料と水分が尽きる。
もともと、そこまで大量に持ってきたわけじゃ無かったが、こうなる事が分かっていれば、もっと持ってくれば良かったぜ。
「デグさん、モンスターが下を通過します」
アレから、モンスター達は昼夜問わずに、現れる。
幸いな事にモンスター達は俺達には気が付いて無い様だが、常に餌である俺達を探し回っている様にも見える。
「見つかって無いのは良いが、下には降りられねぇーな」
「降りたら、直ぐに食べられちゃう……」
既にそこら中にモンスター達がいる為、少しでも地面に降りたら直ぐ見つかってしまう可能性がある。
「でも、一度は下に降りないと食料や水分がとれないッスよ?」
「あぁ、分かっている」
現状、八方塞がり状態の中、ジャングルの奥へと進んでいると、ベムが目を見開く。
「デグ……凄いの見つけた……」
「凄いもの?」
普段から、あまり感情を表に出さないベムであるが、今は驚いている様子である。
「ベムさん、何か見えたッスか?」
「うん……アレは使える……」
「え? ベムさん何を見つけたんですか?」
「……家?」
家だと?
「木の上に家が立っている……」
「え?! じゃ、誰か居るッスか?!」
「ここからじゃ分からない……」
どうやら、ベムはスキルを発動させている様で、ジャングルの奥に家を見つけた様だ。
「ベム、木の上に家と言っているが、何個ある?」
「正確な数は分からないけど……複数ある……」
「ここから、あとどれくらいだ?」
「この速度だったら、一時間も掛からないと思う……」
木の上に家を作るくらいだから、住んでいるのは人間だろうが、果たして今も住んでいるのだろうか?
「デグさん、どうしますか?」
「取り敢えず、近付いてみよう」
家の中に誰が住んでいるか分からないが、用心するのに越した事は無い。
「ベム、先導してくれ」
「うん……」
「レギュは引き続き周囲のモンスターの気配を探ってくれ」
「わかりました!」
「俺とラバは目視出来る範囲で異常が無いか確認するぞ」
「分かったッス!」
俺達はベムの先導の元、ゆっくりと近づいて行く。
途中で何体ものモンスターが下を通過するが、その度に立ち止まり息を潜め、過ぎ去るのを待つ。
そして、またベムを先導に移動をする。
「そろそろ皆んなにも見えて来ると思う……」
ベムが口を開いた次の瞬間にはレギュが声を上げる。
「あ、私も見えました!」
「ど、どこッスか? ──あっ、あったッス!」
続いてラバも見つけ、俺も家を視認する。
家と言っても、立派な感じのものでは無く、木の上に屋根の無い家を建てた感じである。
「ベム、誰か居るか?」
「今、探っている……」
屋根が無く壁なども簡易的なモノで作られている為、外から家の中が丸見えである。
「どうやら誰も居ないみたい……」
「よし、なら行ってみよう」
俺達は周りの木よりも大分太く長い木まで移動した。そして、その木には5つの家が太い枝に作られており、一つの家に大体四人程が寝られる様になっていた。
「作りは簡易的だけど、凄い……」
「本当ですね! これなら木の上に居ながら寝っ転がれますよ!」
そう言って、ベムとレギュが早速ねっ転がり始めた。
「久しぶりに足を伸ばして寝られる……」
「これで、溜まった疲れも少しは取り除けそうですね!」
二人に習い、ラバも寝っ転がり寝心地の具合を確かめていた。
「じ、自分……こんな足を伸ばせるって言う当たり前の事に感動しているッス!」
この数日間は木の上で過ごし、制限された動きしか出来なかった為、今の現状に感動している様だ。
俺も、腰を下ろし一息着く。
「ふぅ……俺達としては、凄い有難いが何でこんな所に家があるんだ?」
周りを見回しても居るのはモンスターだけで有り人間の気配が全くしない。
「この家を作った人間達は戻って来ますかね?」
「分からない……ただ、状況から見て暫く使った形跡が無いから戻って来ない可能性の方が高いかも……」
ベムの言う通り、家の床には木の葉っぱが落ちており、その葉っぱが枯れている所を見ると、暫くの間この家を使っていない事が分かる。
「もし、誰か居たら助けを求めようと思っていましたが残念でした……」
「この地獄から抜け出せると思ったのに残念ッス……」
家を誰も使って無い事に気が付き、二人はとても落胆していた……
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった
仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。
そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

半分異世界
月野槐樹
ファンタジー
関東圏で学生が行方不明になる事件が次々にしていた。それは異世界召還によるものだった。
ネットでも「神隠しか」「異世界召還か」と噂が飛び交うのを見て、異世界に思いを馳せる少年、圭。
いつか異世界に行った時の為にとせっせと準備をして「異世界ガイドノート」なるものまで作成していた圭。従兄弟の瑛太はそんな圭の様子をちょっと心配しながらも充実した学生生活を送っていた。
そんなある日、ついに異世界の扉が彼らの前に開かれた。
「異世界ガイドノート」と一緒に旅する異世界

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

異世界転移~治癒師の日常
コリモ
ファンタジー
ある日看護師の真琴は仕事場からの帰り道、地面が陥没する事故に巻き込まれた。しかし、いつまでたっても衝撃が来ない。それどころか自分の下に草の感触が…
こちらでは初投稿です。誤字脱字のご指摘ご感想お願いします
なるだけ1日1話UP以上を目指していますが、用事がある時は間に合わないこともありますご了承ください(2017/12/18)
すいません少し並びを変えております。(2017/12/25)
カリエの過去編を削除して別なお話にしました(2018/01/15)
エドとの話は「気が付いたら異世界領主〜ドラゴンが降り立つ平原を管理なんてムリだよ」にて掲載させてもらっています。(2018/08/19)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる