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第11章

489話

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「デグ……食料と水分が……」
「あぁ……どうにかしないとな」

 木の上を移動する様になってから三日が経過した。
 朝は移動して、日が沈めば木の上で交代で見張りを立てて休息を取って居たが、木の上でちゃんと寝れる筈も無く体力的にも限界に近い。

 そして、何より不味い状況は食料と水分が、もう殆ど残っていない事だ。

「節約してたのに、もう今日までの分しか残って無いッス……」

 大分切り詰めていたが、とうとう今日で食料と水分が尽きる。
 もともと、そこまで大量に持ってきたわけじゃ無かったが、こうなる事が分かっていれば、もっと持ってくれば良かったぜ。

「デグさん、モンスターが下を通過します」

 アレから、モンスター達は昼夜問わずに、現れる。
 幸いな事にモンスター達は俺達には気が付いて無い様だが、常に餌である俺達を探し回っている様にも見える。

「見つかって無いのは良いが、下には降りられねぇーな」
「降りたら、直ぐに食べられちゃう……」

 既にそこら中にモンスター達がいる為、少しでも地面に降りたら直ぐ見つかってしまう可能性がある。

「でも、一度は下に降りないと食料や水分がとれないッスよ?」
「あぁ、分かっている」

 現状、八方塞がり状態の中、ジャングルの奥へと進んでいると、ベムが目を見開く。

「デグ……凄いの見つけた……」
「凄いもの?」

 普段から、あまり感情を表に出さないベムであるが、今は驚いている様子である。

「ベムさん、何か見えたッスか?」
「うん……アレは使える……」
「え? ベムさん何を見つけたんですか?」
「……家?」

 家だと?

「木の上に家が立っている……」
「え?! じゃ、誰か居るッスか?!」
「ここからじゃ分からない……」

 どうやら、ベムはスキルを発動させている様で、ジャングルの奥に家を見つけた様だ。

「ベム、木の上に家と言っているが、何個ある?」
「正確な数は分からないけど……複数ある……」
「ここから、あとどれくらいだ?」
「この速度だったら、一時間も掛からないと思う……」

 木の上に家を作るくらいだから、住んでいるのは人間だろうが、果たして今も住んでいるのだろうか?

「デグさん、どうしますか?」
「取り敢えず、近付いてみよう」

 家の中に誰が住んでいるか分からないが、用心するのに越した事は無い。

「ベム、先導してくれ」
「うん……」
「レギュは引き続き周囲のモンスターの気配を探ってくれ」
「わかりました!」
「俺とラバは目視出来る範囲で異常が無いか確認するぞ」
「分かったッス!」

 俺達はベムの先導の元、ゆっくりと近づいて行く。
 途中で何体ものモンスターが下を通過するが、その度に立ち止まり息を潜め、過ぎ去るのを待つ。
 そして、またベムを先導に移動をする。

「そろそろ皆んなにも見えて来ると思う……」

 ベムが口を開いた次の瞬間にはレギュが声を上げる。

「あ、私も見えました!」
「ど、どこッスか? ──あっ、あったッス!」

 続いてラバも見つけ、俺も家を視認する。
 家と言っても、立派な感じのものでは無く、木の上に屋根の無い家を建てた感じである。

「ベム、誰か居るか?」
「今、探っている……」

 屋根が無く壁なども簡易的なモノで作られている為、外から家の中が丸見えである。

「どうやら誰も居ないみたい……」
「よし、なら行ってみよう」

 俺達は周りの木よりも大分太く長い木まで移動した。そして、その木には5つの家が太い枝に作られており、一つの家に大体四人程が寝られる様になっていた。

「作りは簡易的だけど、凄い……」
「本当ですね! これなら木の上に居ながら寝っ転がれますよ!」

 そう言って、ベムとレギュが早速ねっ転がり始めた。

「久しぶりに足を伸ばして寝られる……」
「これで、溜まった疲れも少しは取り除けそうですね!」

 二人に習い、ラバも寝っ転がり寝心地の具合を確かめていた。

「じ、自分……こんな足を伸ばせるって言う当たり前の事に感動しているッス!」

 この数日間は木の上で過ごし、制限された動きしか出来なかった為、今の現状に感動している様だ。

 俺も、腰を下ろし一息着く。

「ふぅ……俺達としては、凄い有難いが何でこんな所に家があるんだ?」

 周りを見回しても居るのはモンスターだけで有り人間の気配が全くしない。

「この家を作った人間達は戻って来ますかね?」
「分からない……ただ、状況から見て暫く使った形跡が無いから戻って来ない可能性の方が高いかも……」

 ベムの言う通り、家の床には木の葉っぱが落ちており、その葉っぱが枯れている所を見ると、暫くの間この家を使っていない事が分かる。

「もし、誰か居たら助けを求めようと思っていましたが残念でした……」
「この地獄から抜け出せると思ったのに残念ッス……」

 家を誰も使って無い事に気が付き、二人はとても落胆していた……

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