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第11章

486話

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「ベムさん、そろそろですよね!」
「うん……今日中には目的地に着くと思う……」
「楽しみッスね! なら特訓は明日からッスか?」
「そうだな。今日は到着と同時に野宿の準備だ。それと長く滞在するなら、ちゃんとした場所に寝床を作りたいから明日は寝床探しが先になるかもな」

 本日はドワーフの村を出て四日目だ。幸いな事にモンスターとは一度も遭遇する事なく、ここまでやって来れた。
 これも、ベムとレギュのお陰である。

 しかし、日が経つに連れてモンスターの気配が多くなって来た事だけが気がかりである。

 二日目は三体の気配……三日目は四体……そして今日は既に五体の気配を察知した。

「これ以上増えたら引き返す事も考えないとな……」

 毎回、モンスターが俺達に気がつく前に、レギュのセンサーに引っ掛かり気が付かれる前に離れる事が出来たが、レギュが居なければ気が付かない内に遭遇して、どうなっていた事か……

「デグさん、特訓って何から始める予定ッスか?」
「あ、それ私も気になります!」

 俺がモンスターについて考えていると、ラバとレギュに声を掛けられて、思考を停止する。

「ん? 特訓か? そうだな……」
「自分は早くこの剣を使いたいッス!」

 ラバは背中にある剣の柄を握りながらワクワクした様子で呟く。

「私も、早くこのグローブと盾を使用してみたいです!」
「二人共やる気があっていいと思う……」
「はは、そうだな。だが、俺の特訓は厳しいぜ?」

 厳しくするつもりは、あまり無いが二人に喝を入れる為に、少し大袈裟に言ってみる。

「自分は、どんな厳しい特訓でも耐えてみせるッス!」
「私もです! 体力には自信あるので、耐え抜いてみせます!」
「よし! その覚悟を買って、お前達を全力で強くしてやろう!」

 二人はよろしくお願いしますと、大きな声で頭を下げる。

「二人共……モンスターに気付かれるかもしれないから静かに……」
「ご、ごめんなさい」
「き、気をつけるッス……」

 はは、やはり若い者達が居ると、こっちまで元気になって、若い気持ちになれていいな。

 そんな風に思って二人を見て笑っているとハッと気が付く。

「ダメだ、ダメだ俺もまだ若いんだ……守りに入るな、俺!」

 また、年寄りくさい部分が出てしまった事に気がつき、慌てて考え方を切り替える様努力する。

 それから、目的地に着くまでに、一度モンスターの気配を感じつつも遭遇などはせずに、なんとか無事に目的地に到着する事が出来た。

「ここが……あのドワーフ二人に教えて貰った場所……」
「なんだか、思った感じと違いますね?」
「今まで、歩いて来た場所と何の変化も無いッス!」

 確かに。目的地となった場所は何か拓けた場所でも無ければ、特別感がある訳でも無く、この四日間歩き続けた風景と何の変化も無かった。

「なんか、場所間違えたんじゃねぇーか?」
「そんな事無い……確かに地図に書いて貰った場所はココの筈……」

 そう言って、ベムは自身の持っている地図を見せて来た。

「確かに、ここ辺りだな。もう少し周りを見て回るか?」
「それがいいと思う……」

 俺達は周囲を歩き回り、何か無いか探して回るが、やはり今まで歩いていた風景と何の変わりも無かった。

「詳しくは聞かなかったが、あの二人が言ってた場所はここの事なのか?」
「そう言えば、綺麗な湖があるとか言ってたッス!」
「そうですよね。そこで水の確保も出来るとも言ってましたね!」

 確かに、その様な事も言ってたな。

「なら、もう少し奥に進んでみるか?」
「奥に行ったら、湖があるかもしれません!」

 まだ、日没までは少し時間がある為俺達は更に奥に進む事にした。

「ここからは、行き方とか何も書いて無いけど……どうする……?」

 今まで、地図を頼りにここまで来た為、一体どちらに進んでいけば良いか分からない。

「取り敢えず、このまま真っ直ぐ進んで行くか?」

 俺達は更に進むか、一度泊まるか悩んだ末に、今日は一旦ここで野宿する事に決めた。

「まぁ、無理する必要も無いし今日はここで野宿の準備だな」
「え? まだ全然明るいッスよ?」

 ラバは上を向いて口を開く。

 確かに、進もうと思えば、まだ行けるが情報が無い場所を進まないと行けないから、これまで以上に慎重に進む必要がある。

 その為、結局日没までと考えたら大した距離を稼ぐ事は出来ないだろう。

 俺の考えを皆に話し、明日の朝から再度ジャングルの奥に進む事になった。

 しかし、この行動は失敗だったという事は、ジャングルを突き進んで、次の日に気がつくのであった。

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