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第11章
479話
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「おい、テメェ! 何してやがる?!」
「な、何もして無いッス!?」
ん? ラバが何かやらかしたか? 俺とベムはお互い顔を見合わせた後に怒鳴り声の方に移動する。
「オメェ、人間族だろ?!」
「そ、そうッスけど……」
「なら、ここから早く出て行きやがれッ!」
またか……。
この店の亭主なんだろう。筋肉で盛り上がった見事な腕には武器作りの道具が握られていた。
「おい、ラバ。お前何かしたのか?」
ドワーフとラバの間に割って入る俺にドワーフは睨みつけて来る。
「お前もか! 言っとくが俺の店には人間族に売る武器なんて一切ねぇッ!」
ドワーフは今にも襲い掛かって来そうな勢いでこちらを睨みつけて来る。
「おいおい、あまり穏やかじゃねぇーな。俺達は客だぜ?」
まぁ……金は持ってないし、ここで買うつもりはねぇーけどな。
そんな俺の思考が読まれているのか、ドワーフは断固たる意思で俺達から武器を売る事は無かった。
「ったく一体どうなってやがる!? 昨日に引き続きここでも目の敵にされている」
「私達が何かしたとか……」
「でも、ベムさん。私達がここに来てから、まだ2日目ですよ?」
レギュの言う通りたまたまなのか? いや、違うな……あのドワーフは人間族という言葉を発していた。
「デグ、どう思う……?」
「分からねぇ。ただ、あの様子を見る限り、俺達個人と言うよりかは、人間族に対して何か思う事がある様子だったな……」
「それは私も思った……」
昨日の宿屋の亭主も寝床の奴らも、そして今の武器屋の亭主も皆んな同じ目つきで俺達の事を睨みつけていたな。
それから、他の武器屋に回ってみるが、結果は先程と同じだった。
最初は愛想良く笑顔で近づいて来た亭主達だったが俺達四人の姿を見た瞬間に烈火の如く表情が切り替わり、店を追い出すのであった。
そして、ここもそうだ……
「オメェら人間族だな? ならさっさと出て行きやがれ!」
「なぁ、教えてくれ。俺達を見た奴らは皆んなアンタみたいな態度を取って来る、理由はなんだ?」
俺の質問にドワーフが何を言っているんだ? と言いたそうな表情を一瞬だけ浮かべるが、また直ぐに先程の様子に戻る。
「お前らと話す事なんてねぇんだよ! 早くここから出ていきやがれ!」
「な、なぁ。少しくらい教えてくれてもいいじゃねぇか?」
「オメェら、ここを出て行かないなら無理矢理にでも出て行ってもらうぞ?」
そう言って、ドワーフは店にある片手剣を持ち刀身を抜く。
「わ、分かった。俺らは出て行くッ」
ドワーフの様子が尋常では無かった為、慌てて店から出る俺達。
「こ、怖かったです!」
「あ、あの亭主、絶対何人か殺った事あるッス! そういう顔をしてたッス!」
「野蛮……」
俺も含めて、全員があのドワーフにビビったが、無理も無いよな?
それからは、慎重に店に入り、そして丁寧に話し掛けるが、ドワーフ達の態度は変わらない。
「デグさん、ベムさん、これからどうしましょう? 私達、このままだと武器が買えないです!」
「そ、それはダメッスよ! 自分は強くなりたいんッスから!」
なんで、ここの村人達は俺達を敵視するんだ?
ドワーフ達が人間族に対して、ここまでキツい当たりをして来るなんて聞いた事無いぞ?
「デグどうする……?」
「流石に、武器が無いとこの先生きていけねぇーよな……」
このまま、ラバを鍛えるにしても、武器が無いと始まらねぇーな。
「とにかく、ダメ元で奥の店まで回っていくぞ」
「デグさんに賛成ッス!」
「無駄な気がする……」
「ベ、ベムさん一応行くだけ行ってみましょうよ!」
俺達は、とにかく武器を売ってくれる店を探す為にどんどん奥の道に入って行く。
「なんか、奥に行けば行くほど、お店がこじんまりしてきましたね」
「きっと全然武器が売れないからだと思う……だから金が無い……」
……ベムの奴、ハッキリと言うな。俺は店の者達が聞いてないからヒヤヒヤしながら周りを見る。
「でも、もしベムさんの言う通りだったら、自分達に武器を売ってくれるかもしれないッスね!」
「ですよね。私達にもとうとう武器が手に入るかもしれませんね!」
そう言うと二人は一際小さく、寂れている店を探し始める。
奥に行けば行くほど店の門構えは古く、汚くなって行くが、やはり俺達を見ると、どんなに汚い店の亭主でも武器を売る様な事はしなかった。
「もう、ここの店が最後ッス……」
「なんだか、随分と……アレですね……」
ラバとレギュは一本道の最奥にある店を見て呟く。
その店はこれまでで一番汚く、寂れていた。
「むしろ、これは店とは言えないと思う……」
ベムの言う通り、店とは……言えないかもな。
一応、工房もある様だが、壁などは無い。風が吹けばそのまま突き通る開放感があり、唯一雨からは武器や道具を守れる様に屋根が付いているが、今にも壊れそうである。
そんな事を思いながら俺達は少しの間店の前に立ち止まっていると、俺達の話し声が聞こえたのか店から亭主が出てきた。
そして、その亭主は眼鏡を掛けたエルフであった……
「な、何もして無いッス!?」
ん? ラバが何かやらかしたか? 俺とベムはお互い顔を見合わせた後に怒鳴り声の方に移動する。
「オメェ、人間族だろ?!」
「そ、そうッスけど……」
「なら、ここから早く出て行きやがれッ!」
またか……。
この店の亭主なんだろう。筋肉で盛り上がった見事な腕には武器作りの道具が握られていた。
「おい、ラバ。お前何かしたのか?」
ドワーフとラバの間に割って入る俺にドワーフは睨みつけて来る。
「お前もか! 言っとくが俺の店には人間族に売る武器なんて一切ねぇッ!」
ドワーフは今にも襲い掛かって来そうな勢いでこちらを睨みつけて来る。
「おいおい、あまり穏やかじゃねぇーな。俺達は客だぜ?」
まぁ……金は持ってないし、ここで買うつもりはねぇーけどな。
そんな俺の思考が読まれているのか、ドワーフは断固たる意思で俺達から武器を売る事は無かった。
「ったく一体どうなってやがる!? 昨日に引き続きここでも目の敵にされている」
「私達が何かしたとか……」
「でも、ベムさん。私達がここに来てから、まだ2日目ですよ?」
レギュの言う通りたまたまなのか? いや、違うな……あのドワーフは人間族という言葉を発していた。
「デグ、どう思う……?」
「分からねぇ。ただ、あの様子を見る限り、俺達個人と言うよりかは、人間族に対して何か思う事がある様子だったな……」
「それは私も思った……」
昨日の宿屋の亭主も寝床の奴らも、そして今の武器屋の亭主も皆んな同じ目つきで俺達の事を睨みつけていたな。
それから、他の武器屋に回ってみるが、結果は先程と同じだった。
最初は愛想良く笑顔で近づいて来た亭主達だったが俺達四人の姿を見た瞬間に烈火の如く表情が切り替わり、店を追い出すのであった。
そして、ここもそうだ……
「オメェら人間族だな? ならさっさと出て行きやがれ!」
「なぁ、教えてくれ。俺達を見た奴らは皆んなアンタみたいな態度を取って来る、理由はなんだ?」
俺の質問にドワーフが何を言っているんだ? と言いたそうな表情を一瞬だけ浮かべるが、また直ぐに先程の様子に戻る。
「お前らと話す事なんてねぇんだよ! 早くここから出ていきやがれ!」
「な、なぁ。少しくらい教えてくれてもいいじゃねぇか?」
「オメェら、ここを出て行かないなら無理矢理にでも出て行ってもらうぞ?」
そう言って、ドワーフは店にある片手剣を持ち刀身を抜く。
「わ、分かった。俺らは出て行くッ」
ドワーフの様子が尋常では無かった為、慌てて店から出る俺達。
「こ、怖かったです!」
「あ、あの亭主、絶対何人か殺った事あるッス! そういう顔をしてたッス!」
「野蛮……」
俺も含めて、全員があのドワーフにビビったが、無理も無いよな?
それからは、慎重に店に入り、そして丁寧に話し掛けるが、ドワーフ達の態度は変わらない。
「デグさん、ベムさん、これからどうしましょう? 私達、このままだと武器が買えないです!」
「そ、それはダメッスよ! 自分は強くなりたいんッスから!」
なんで、ここの村人達は俺達を敵視するんだ?
ドワーフ達が人間族に対して、ここまでキツい当たりをして来るなんて聞いた事無いぞ?
「デグどうする……?」
「流石に、武器が無いとこの先生きていけねぇーよな……」
このまま、ラバを鍛えるにしても、武器が無いと始まらねぇーな。
「とにかく、ダメ元で奥の店まで回っていくぞ」
「デグさんに賛成ッス!」
「無駄な気がする……」
「ベ、ベムさん一応行くだけ行ってみましょうよ!」
俺達は、とにかく武器を売ってくれる店を探す為にどんどん奥の道に入って行く。
「なんか、奥に行けば行くほど、お店がこじんまりしてきましたね」
「きっと全然武器が売れないからだと思う……だから金が無い……」
……ベムの奴、ハッキリと言うな。俺は店の者達が聞いてないからヒヤヒヤしながら周りを見る。
「でも、もしベムさんの言う通りだったら、自分達に武器を売ってくれるかもしれないッスね!」
「ですよね。私達にもとうとう武器が手に入るかもしれませんね!」
そう言うと二人は一際小さく、寂れている店を探し始める。
奥に行けば行くほど店の門構えは古く、汚くなって行くが、やはり俺達を見ると、どんなに汚い店の亭主でも武器を売る様な事はしなかった。
「もう、ここの店が最後ッス……」
「なんだか、随分と……アレですね……」
ラバとレギュは一本道の最奥にある店を見て呟く。
その店はこれまでで一番汚く、寂れていた。
「むしろ、これは店とは言えないと思う……」
ベムの言う通り、店とは……言えないかもな。
一応、工房もある様だが、壁などは無い。風が吹けばそのまま突き通る開放感があり、唯一雨からは武器や道具を守れる様に屋根が付いているが、今にも壊れそうである。
そんな事を思いながら俺達は少しの間店の前に立ち止まっていると、俺達の話し声が聞こえたのか店から亭主が出てきた。
そして、その亭主は眼鏡を掛けたエルフであった……
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