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第10章
458話
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「ほっほっほ。カネル!」
リガスが小型の攻撃を纏めて受け止める。
「まだまだ、行きますぞ? オーハン!」
そして、一斉に攻撃して来た小型を第二の盾で遠くに吹き飛ばす。
「あはは、流石魔族さんだよ! これで、大分差が開いたかな?」
現在俺達は、小型20体から逃げている最中である。
グイン達を助け出す作戦は半分成功して、半分失敗した……
「アトス様、我々の為に……すみません」
「いや、気にするな!」
モンスターの子供達を全て倒し、グイン達と合流した所までは良かったが、どうしても小型達を振り切る事が出来ないでいた。
このままではいずれ犠牲者が出るのは確実だろう。
「アトス殿……このままでは……」
「あぁ分かっている」
リガスが声を潜めて話しかけて来る。
「どうされるおつもりで?」
「……とにかく、今は逃げるしか方法は無い」
このまま、小型達を振り切れば一番良いが、それは無理だろう。
足の速い者であれば、逃げ切れるかもしれないが、全員が全員、速い訳では無い。
リガス、ロピ、チル辺りであれば全力を出しさえすれば逃げ切れる可能性があるが、俺は無理だしリザードマン達も無理だ。
それに、グインに限ってはトッポに肩を貸している為、少しずつだが遅れてきている。
「お、おいグイン。肩を貸してもらって言う事じゃ無いが大丈夫か? 遅れて来ているぞ?」
「あぁ。まだ大丈夫だ……」
最初の方は問題なく着いて来ていたグインとトッポだが今は一番後ろに居る状況だ。
どうする……? 追って来る小型を倒すか?
俺達を追い掛けて来るモンスター達を確認するが、向こうは疲れた様子を見せず当初から変わらないスピードで追って来ている。
「リガス、あの小型達を倒し切れると思うか?」
「ふむ。真正面から立ち向かっても返り討ちに合うだけでしょうな」
やはりそうか……
「各個撃破で徐々に減らすのが無難でしょう」
「そうしたいのは、山々だが俺達に出来るかだよな……」
そんな事を考えながら逃げていると、とうとうグインとトッポが目に見えて遅れているのに気が付く。
「グイン、もう少しスピードを上げられるか?」
「はぁはぁ……すみませんアトス様。これ以上は無理の様です──いざとなれば私達の事は置いて行って構いません」
リザードマンの村長であるグインの言葉に仲間達が反応する。
「グインさん、それはダメだぜ」
「あぁ。それだけは認められねぇ──貴方が居ないとあの村はお終いだ」
グインを信頼する仲間達の言葉にグインが表情を顰める。
「グインさん、やっぱりソイツを置いていきましょうよ!」
「俺も、その意見に賛成です──トッポなんて助けても、どうせ最終的には殺すのですから、此処に置いて行くべきです」
そんな意見を聞き、当人であるトッポは慌てる様に声を上げる。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ──流石にこの場で置いていくのは勘弁してくれ」
「うるせぇーぞ、裏切り者!」
トッポか話せば、烈火の如く怒りを露わにするリザードマン達。
それが分かっているからこそ、トッポも先程まで一度も口を開かなかったのだろうが、流石に置いてかれるとの意見が出れば、黙っていられる訳無い。
「ア、アトスさんよ! 俺の事はおぼえているかい? 頼む、助けてくれよ」
ここに来て、初めてトッポが俺に声を掛けて来る。
はぁ……そんな顔で、こっちを見るかよな……
「みんな、良く聞いてくれ」
俺は小型から逃げながらも、全員に聴こえる様に少し大きな声を上げて周りに話し掛ける。
「別にトッポを助けるつもりで言っている訳では無いが、このままじゃ、いずれ俺達全員が死ぬ事になる」
「な、なんでだよ……?」
リザードマンの一人が質問する。
「俺達はいずれ体力が切れて、小型達に追いつかれて終わるだろう──リガスやロピ、チルだけであれば、全力を出せば引き離せるが、俺達は無理だ」
先程考えていた事を説明すると、既に薄々気が付いていたのか、俺の言葉に反論する者はいない。
「だから、逃げながらも一体ずつモンスターを倒そうと思うのだが、どうだろう?」
俺は先程、リガスが提案した事をリザードマン達に提案するが皆が首を傾げる。
「アトス様……そんな事が出来るのでしょうか?」
先程まで黙り込んでいていたグインが質問する。
「あぁ、出来る。やる事は単純だ。一体ずつモンスターを倒すだけ」
そんなの当たり前だろ? と言った表情をする一同に更に言葉を続ける。
「リザードマン達には、一斉に小型の同じ箇所を攻撃して貰う──そうする事で、一人では破れないモンスターの硬い装甲を複数であれば剥がす事が出来る」
元々、小型一体の適正討伐人数は五人である。そして、今この場にリザードマン達が十人以上いる。
「俺がサポートすれば更に楽に小型達にダメージを与える事が出来るだろう──だから、トッポを置いて行くと言うよりも、まずは俺の作戦を試してみないか?」
間を置かず、リガス、ロピ、チルからは賛同を貰う。
「ほっほっほ。私はアトス殿の考えに賛成ですな」
「私もー! お兄さんの言う事であれば間違え無いもん!」
「流石、アトス様です。その神領なる考えに、私は感動しました」
そして、三人に続いてグインも賛同する。
「私もアトス様の意見に賛成します」
「お、俺も!」
グインに肩を貸して貰っているトッポも、首を縦に何度も振り、賛同する。
そして、グインは迷っている仲間達に向けて声を掛けた。
「お前達……トッポの事は一度忘れて、今は生き延びる事だけを考えないか?」
グインの真摯な呼び掛けに、リザードマンの誰かが、返事をする。
そして、その流れで他のリザードマン達も頷き、納得するのであった……
リガスが小型の攻撃を纏めて受け止める。
「まだまだ、行きますぞ? オーハン!」
そして、一斉に攻撃して来た小型を第二の盾で遠くに吹き飛ばす。
「あはは、流石魔族さんだよ! これで、大分差が開いたかな?」
現在俺達は、小型20体から逃げている最中である。
グイン達を助け出す作戦は半分成功して、半分失敗した……
「アトス様、我々の為に……すみません」
「いや、気にするな!」
モンスターの子供達を全て倒し、グイン達と合流した所までは良かったが、どうしても小型達を振り切る事が出来ないでいた。
このままではいずれ犠牲者が出るのは確実だろう。
「アトス殿……このままでは……」
「あぁ分かっている」
リガスが声を潜めて話しかけて来る。
「どうされるおつもりで?」
「……とにかく、今は逃げるしか方法は無い」
このまま、小型達を振り切れば一番良いが、それは無理だろう。
足の速い者であれば、逃げ切れるかもしれないが、全員が全員、速い訳では無い。
リガス、ロピ、チル辺りであれば全力を出しさえすれば逃げ切れる可能性があるが、俺は無理だしリザードマン達も無理だ。
それに、グインに限ってはトッポに肩を貸している為、少しずつだが遅れてきている。
「お、おいグイン。肩を貸してもらって言う事じゃ無いが大丈夫か? 遅れて来ているぞ?」
「あぁ。まだ大丈夫だ……」
最初の方は問題なく着いて来ていたグインとトッポだが今は一番後ろに居る状況だ。
どうする……? 追って来る小型を倒すか?
俺達を追い掛けて来るモンスター達を確認するが、向こうは疲れた様子を見せず当初から変わらないスピードで追って来ている。
「リガス、あの小型達を倒し切れると思うか?」
「ふむ。真正面から立ち向かっても返り討ちに合うだけでしょうな」
やはりそうか……
「各個撃破で徐々に減らすのが無難でしょう」
「そうしたいのは、山々だが俺達に出来るかだよな……」
そんな事を考えながら逃げていると、とうとうグインとトッポが目に見えて遅れているのに気が付く。
「グイン、もう少しスピードを上げられるか?」
「はぁはぁ……すみませんアトス様。これ以上は無理の様です──いざとなれば私達の事は置いて行って構いません」
リザードマンの村長であるグインの言葉に仲間達が反応する。
「グインさん、それはダメだぜ」
「あぁ。それだけは認められねぇ──貴方が居ないとあの村はお終いだ」
グインを信頼する仲間達の言葉にグインが表情を顰める。
「グインさん、やっぱりソイツを置いていきましょうよ!」
「俺も、その意見に賛成です──トッポなんて助けても、どうせ最終的には殺すのですから、此処に置いて行くべきです」
そんな意見を聞き、当人であるトッポは慌てる様に声を上げる。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ──流石にこの場で置いていくのは勘弁してくれ」
「うるせぇーぞ、裏切り者!」
トッポか話せば、烈火の如く怒りを露わにするリザードマン達。
それが分かっているからこそ、トッポも先程まで一度も口を開かなかったのだろうが、流石に置いてかれるとの意見が出れば、黙っていられる訳無い。
「ア、アトスさんよ! 俺の事はおぼえているかい? 頼む、助けてくれよ」
ここに来て、初めてトッポが俺に声を掛けて来る。
はぁ……そんな顔で、こっちを見るかよな……
「みんな、良く聞いてくれ」
俺は小型から逃げながらも、全員に聴こえる様に少し大きな声を上げて周りに話し掛ける。
「別にトッポを助けるつもりで言っている訳では無いが、このままじゃ、いずれ俺達全員が死ぬ事になる」
「な、なんでだよ……?」
リザードマンの一人が質問する。
「俺達はいずれ体力が切れて、小型達に追いつかれて終わるだろう──リガスやロピ、チルだけであれば、全力を出せば引き離せるが、俺達は無理だ」
先程考えていた事を説明すると、既に薄々気が付いていたのか、俺の言葉に反論する者はいない。
「だから、逃げながらも一体ずつモンスターを倒そうと思うのだが、どうだろう?」
俺は先程、リガスが提案した事をリザードマン達に提案するが皆が首を傾げる。
「アトス様……そんな事が出来るのでしょうか?」
先程まで黙り込んでいていたグインが質問する。
「あぁ、出来る。やる事は単純だ。一体ずつモンスターを倒すだけ」
そんなの当たり前だろ? と言った表情をする一同に更に言葉を続ける。
「リザードマン達には、一斉に小型の同じ箇所を攻撃して貰う──そうする事で、一人では破れないモンスターの硬い装甲を複数であれば剥がす事が出来る」
元々、小型一体の適正討伐人数は五人である。そして、今この場にリザードマン達が十人以上いる。
「俺がサポートすれば更に楽に小型達にダメージを与える事が出来るだろう──だから、トッポを置いて行くと言うよりも、まずは俺の作戦を試してみないか?」
間を置かず、リガス、ロピ、チルからは賛同を貰う。
「ほっほっほ。私はアトス殿の考えに賛成ですな」
「私もー! お兄さんの言う事であれば間違え無いもん!」
「流石、アトス様です。その神領なる考えに、私は感動しました」
そして、三人に続いてグインも賛同する。
「私もアトス様の意見に賛成します」
「お、俺も!」
グインに肩を貸して貰っているトッポも、首を縦に何度も振り、賛同する。
そして、グインは迷っている仲間達に向けて声を掛けた。
「お前達……トッポの事は一度忘れて、今は生き延びる事だけを考えないか?」
グインの真摯な呼び掛けに、リザードマンの誰かが、返事をする。
そして、その流れで他のリザードマン達も頷き、納得するのであった……
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