過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第10章

444話

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「ここか?」
「は、はい! シク様、この場所がネークさんに頼まれた場所です」
「うふふ、ネークさんも人使いが荒いですね」

 今、私達はネークの頼みという事で、一年後に行われる人間族と戦う場所の下見に来ていた。

「ここは、見晴らしがあまり良く無いな」
「そうですね。見回しても木々が密集していて遠くまで見渡せませんね」

 リッテが当たりを見渡しながら呟く。

「ネ、ネークさんが言うには、その密になっている所が、こ、この戦場の重要な点らしいです」

 キャリが何やら書物の様な物と周りを見比べながら説明してくれる。

「うふふ、確かに私達と人間族では人数の差が凄いですからね。こういう場所の方が私達に取っては戦い易いかもしれまんせんね」
「リッテの言う通りだな。障害物が多い方が、私達に取っては戦い易いな」

 身体能力が低い人間族であれば、素早く木に登る事も出来なそうだし、いいかもしれないな。

「うふふ、キャリ、この戦場はどこら辺にあるのかしら?」
「は、はい。ち、地図に寄ると人間族の住処からそれ程離れてない場所になります」

 人間族の住処から離れ過ぎた場合、そこに人間族を誘き寄せるのが難しい。だが、この位の距離であれば相手にバレずに上手く誘きだす事が可能かもしれないという事か。

「後は、ここまで、どの様にして人間族を誘き出すかだな」
「は、はい、そうですよね……」
「うふふ。人間族も馬鹿では無い様ですし、そのままですと、誘いに乗って来なそうですよね」

 私達三人は如何にして人間族達をこの戦場に引っ張り込めばいいか考える。

 全体的な作戦は、また別の者が考えるそうだが、実際に下見に来た私達でしか気が付かない点などもある。

「うふふ。シク様、ここで考えても良い案が浮びそうにありませんし、一度お茶にしませんか?」
「そうだな。一旦休憩でもするか」
「さ、賛成です!」

 ネークの依頼を受けて私達は直ぐにこの場所に向かった。
 人間族の住処から程よく近い為、何かあった際、危険だと思い私一人で行くつもりだったが、リッテとキャリがどうしても付いて来ると言うので仕方なく連れてきた。

 私一人で有れば、どんな事があっても逃げ切れる自信が有ったんだがな……
 
 それに二人が居る為、あまり無茶な行動も出来ない……ん? もしかして、私が危険な事をしない様に付いて来たのか?

「流石に考え過ぎだな」

 自分で出した考えを自分で打ち消す。

「ん?シク様、な、何か言いましたか?」
「いや、なんでも無い」
「うふふ、シク様、キャリお茶の準備が出来ましたよ?」

 リッテが香りの良いお茶を淹れてくれて、即席で作った木の台に置いてくれる。

「熱いので気を付けて飲んで下さいね」
「あぁ、ありがとう」
「リッテさん、あ、ありがとうございます!」

 コップに入ったお茶を飲む為に口にを近付ける。

 うん……いい香りだ。コップを口元に近づけるに従いお茶の熱気を感じながらも、お茶を口に運ぶ。

「リッテ、美味いな」
「うふふ。ありがとうございます──シク様の好みを、まだ把握仕切れて無いので、前に飲んだ際に反応が良かった物を淹れました」
「リ、リッテさん、凄いです! 私はこんなに上手にお茶を淹れられません……」

 何やら、少し落ち込み気味なキャリだったが、リッテが直ぐにフォローする。

「うふふ、簡単だから後で教えてあげるわ」
「お、お願いします!」
「上手く淹れられる様になったら、ガルルにでも淹れてあげなさいな」

 リッテの言葉にキャリは顔を真っ赤にしてコクリと頷くのであった。

 それから、私達は暫くの間お茶を飲んでまったりとする。

「シク様、この後はどうされますか?」
「このまま、もう少し見て回ろうと思う、その後は他の候補を見に行くか」

 ネークから頼まれた戦場はここだけでは無く幾つか候補があり、どの戦場が一番良さそうなのか教えて欲しいとの事だった。
 そして、今見ている戦場はその候補の一つ目である。

「キャリ、候補となる戦場は全部で何個あるんだ?」
「ネ、ネークさんから依頼された場所は、こ、ここを合わせて全部で三箇所になります!」
「うふふ。三箇所だったら、今日中に回り切るのは無理そうですね」
「は、はい。なので、ど、何処かで野宿する準備が必要です」

 それから私達は改めて、戦場を見て周り次の場所に向かうのであった……
 
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