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第10章

437話

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 マーズの部下達から貰った手紙の内容は想像以上に、とんでもない事が書かれていた。

「そんな事……可能なのか……?」

 信じられない気持ちを抑えつけて、私は午後の会議に参加する。

「シャレよ、マーズはなんと?」

 キルはまだ手紙を読んでいない。

「会議で話す……」
「そうか?」

 私は頭が整理が出来なくフラフラしながら自身の席に座り込む。

 既に全員揃っていた為、早速会議が始まった。
 内容は、今後の事という事で、どの様な方法で戦力を集めるかや、戦場を何処にするかや、食料や物資がどれくらい必要で用意出来るかなど、話し合う。

 そんな、会議を私は全然聞いていなかった。いや、聞いてはいたが頭に入って来なかったのだ……

「シャレ様、シャレ様」 

 気が付いたら、会議は終盤に差し掛かったいた様で、心配したニネットに身体を揺さぶられた。

「な、なんた?」
「先程、人間族が来た理由の説明です。それが終われば解散の様なのでお願いします」
「あ、あぁ……」

 私が心此処にあらず状態に心配する様子のニネットを、手で大丈夫だと合図を送り、席を立ち上がる。

「みんな、聞いてくれ……これから話す内容は信じられない内容で馬鹿らしく思うかもしれないが全て本当の事らしい……」

 私が、よく分からない前置きをした為、ますます心配する様な視線を受ける。

「シャレ、話してくれ」
「あぁ、分かった」

 キルの言葉に頷き、私は、手紙に書いてあった内容を読み上げる。

 そこには、人間族の戦力規模などが書かれている。戦力規模に関しては大体予想通りだった為、驚く様な事では無かった。

 しかし、次に書かれていた事が問題であった。

「どうやら、人間族がモンスターの奴隷化に成功したらしい」
「「「「「ッ!?」」」」」

 私の言葉にほぼ、全員が驚いた様子を浮かべるが、獣人族の三人に関しては他の者達と若干違う表情であった。
 私は特に気にせず話を進める。

「どうやら、モンスターを捕まえて人間族はモンスターをペットの様にする事が出来る様だ。それも既に戦闘としての実用化が可能で、現在は数を増やす段階の様だ……」
「シャレよ、それは本当の事なのか?」
「あぁ、全てマーズの、手紙に書かれている」

 死闘を共にした仲間であるマーズが書いた事なので私とキルは信じるが、他の者達は、未だに信じる事ができない様だ。

「いくら、シクさんの言う事でも信じられないですね……」

 エルトンの呟きに、トラクやニネット、ドワーフの他の者達まで何度も頷く。

 どうすれば、信じてくれるか悩んでいると、一人の獣人族が手を上げた。

「その事は本当だ」

 獣人族のリーダーであるネークが口を開く。

「どう言う事だ?」

 エルトンの問いにネークが説明を始めた。

「前に簡単にだが人間族の住処に侵入してラシェン王の暗殺をした事を伝えたと思う」
「それがどうした?」
「その際に、侵入した者の内二人は、此処に居るガルルとグガガです」

 ネークの言葉から、皆が視線を二人に移す。

「兄貴……なんか注目されてね?」
「うむ……その様だな……」

 兄弟だという獣人族は恥ずかしそうにしながらも、しっかりと説明をしてくれる。

「俺と兄貴は獣人族が大好きな気味の悪いおっさんに買われただが、その際に人間族の見せ物としての戦闘に参加させられたんだ」

 戦闘だと?

「俺と兄貴は対戦相手が人間族であれば問題無いと踏んでいたが、相手するのは人間族じゃ無かったんだよ……」
「相手は誰だったんだ?」
「モンスターだった……」
「ッ?!」

 グガガが言うには、モンスターの実用化は本当の様で、二人は実際に、奴隷化されたモンスターとの戦った経験を話してくれた。

「なるほど……どうやら本当の様だ」

 先程まで信じられなかった者達だが
実際に目の前で戦った事のある、獣人族の二人の話を聞いて、最終的には皆んな信じた様だ。

「話は分かりましたが、シャレさんこれからどうしますか? ただでさえ不利なこの状態なのに、モンスターの戦力が人間族側に付いたら我々に勝ち目は無いでは……?」
「……」

 これは、本当に不味い……ただでさえ戦力不足を抱えているこの状況で敵側の戦力が更に増えるなんてな……

「勝てるのか……?」

 誰が呟いた言葉だが、一体誰が話したかは分からない。

「今日は此処までにしよう──戦力をどう増やすか各自考えておいてくれ」

 こうして、一度作戦会議は終わり次の会議の時までに各自、この状況を打破する考えを出し合うという事で話がまとまったのであった……

 また、私達もアトス同様、他の種族に力を貸してもらう為に各自村を出る事になっている。
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