435 / 492
第10章
434話
しおりを挟む
「お兄さーん、次はどこに向かうのー?」
オークの村を出て、数日が経過した。
「んー? 内緒だな」
「えー? なんでよー!」
「アトス様、私も気になります」
「はは」
二人は次の目的地が気になる様だ。
すると、隣を歩いていたリガスが笑い始める。
「ほっほっほ。次もお二人に取って懐かしい場所ですぞ?」
「「──ッ!?」」
リガスの言葉に二人が目を開き反応する……あれ? この展開どこかで見たぞ?
「なんで、魔族さんが次の所知っているの?!」
「私達は知らないのに……」
「ほっほっほ。どうやら又もアトス殿に取って一番信頼されているの私の様ですな」
前と同じじゃねぇーかよ……
「そんな事無いもん! 絶対魔族さんより私の方がお兄さんの役に立てるもん!」
「姉さん、それは違う。アトス様に取って一番必要なのは、姉さんでも無くリガスでも無く、この私!」
二人がそれぞれ自身の有能さを語り始める。
「ほっほっほ。私はアトス様に向かって来る火の粉を全て防ぐ事が可能ですな」
「あはは、魔族さんったらオカシイー! 私はお兄さんが邪魔だと思った相手を排除する事が出来るよ!」
リガスに対して、ロピは如何に自分の方が俺に役に立つかを自身満々にして答える。
「姉さんもリガスもその程度? 私はアトス様の為なら、何でも出来るし、アトス様の為ならモンスターに食べられたって構わない」
いやいやッ! そこはかまえよ!
チルの発言に俺だけでは無く他の二人も焦る。
「ほ、ほっほっほ。チ、チル様……流石にそれはやめて頂きたいですな」
「なんで? これはアトス様に取って如何に役に立つかを決める話し合いでしょ?」
チルは嘘を付かない為、恐らく本気で思っている事だろう……だからこそ、やめて欲しいものだが。
「チルちゃん……? 仮にお兄さんが危なくなってもモンスターに食べられちゃダメだよ……?」
「分かっている。最後の最後まで全力で抵抗するから、安心して?」
「う、うん。分かっているならいいよ?」
チルの表情へ本当に分かっているのか怪しいが、とりあえず信じる事にしたらしいロピとリガス。
「それで、アトス様、これからは何処に向かっているのですか?」
「ふふ。着いてからのお楽しみだな」
「気になります……」
「そうだ、そうだ! 大人しく教えた方がいいと思うよ!」
ロピとチルはよっぽど次の目的地が気になる様で、さっきから俺を挟むかの様にジャングル内を移動する。
歩みを進める度にロピからは何処行くのかと聞かれ、チルからは無言の圧力を感じる。
「はぁ……分かった。ヒントならあげよう」
俺の言葉に二人はムムッと口を閉じて一言も聞き逃さない様に集中し始める。
「まぁ、ヒントと言うよりかは、目的かな?」
「目的って、人間族を倒す為に一緒に戦ってと頼みに行くんでしょ?」
「あぁ、そうだな。しかし俺にはもう一つ目的がある」
「もう一つの目的ですか?」
二人は、何の事か首を傾げながらも、考え始める。
「ほっほっほ。お二人共、頑張って考えて下さい」
「もう! 魔族さんは黙ってて!」
「リガスは喋ってはダメ」
「ほっほっほ。これは手厳しいですな」
「お兄さん、もっとヒントちょーだい!」
ロピが更なるヒントを求める。
「そうだな……その目的はチルに関係あるな」
「私ですか?」
「あぁ。そうだ」
俺は意味ありげに微笑む。
「えー、なんだろ? チルちゃん分かる?」
「……うん、分かった気がする」
「え?! どこー?」
どうやら、チルはこれから行く所の検討がついた様だ。
「アトス様、あの願い事覚えて頂いていたんですか?」
「はは、もちろんだ。ただ、俺ではどうにも出来ないからな、頼みに行く」
「ほっほっほ。これでチル様も一歩前進出来そうですな」
「うん」
俺、リガス、チルは次の目的地が分かるが、ロピだけは、まだ分からない様子で、少し焦っている。
「え、え!? 私分かんないよ、教えてよ!」
「はは、教えて欲しいか?」
「うん、教えてー!」
「しょうがない、チルは分かった様だしな。次、俺達が向かう場所は──」
「──アトス様、お待ち下さい」
俺がロピに次の目的地を伝えようとすると、チルが止めに掛かる。
「ん?」
「アトス様、姉さんには教えないで下さい」
「なんでだ?」
俺が首を傾げていると、チルは姉に近付き、ロピの両肩に手を置く。
「姉さん」
「……チルちゃんが教えてくれるの?」
ロピは妹の顔を見て首を傾げる。だが、チルはロピの問いに首をゆっくり振ると、衝撃の言葉をロピに向かって発した。
「姉さん、どうやらアトス様の考えを読める私の僕がアトス様の役に立てるみたいだね?」
「──ッ!?」
チルには珍しく、姉の顔を見てドヤ顔をする。
その表情はさすがの姉妹という事もあり、ロピがドヤ顔した際とそっくりであった。
オークの村を出て、数日が経過した。
「んー? 内緒だな」
「えー? なんでよー!」
「アトス様、私も気になります」
「はは」
二人は次の目的地が気になる様だ。
すると、隣を歩いていたリガスが笑い始める。
「ほっほっほ。次もお二人に取って懐かしい場所ですぞ?」
「「──ッ!?」」
リガスの言葉に二人が目を開き反応する……あれ? この展開どこかで見たぞ?
「なんで、魔族さんが次の所知っているの?!」
「私達は知らないのに……」
「ほっほっほ。どうやら又もアトス殿に取って一番信頼されているの私の様ですな」
前と同じじゃねぇーかよ……
「そんな事無いもん! 絶対魔族さんより私の方がお兄さんの役に立てるもん!」
「姉さん、それは違う。アトス様に取って一番必要なのは、姉さんでも無くリガスでも無く、この私!」
二人がそれぞれ自身の有能さを語り始める。
「ほっほっほ。私はアトス様に向かって来る火の粉を全て防ぐ事が可能ですな」
「あはは、魔族さんったらオカシイー! 私はお兄さんが邪魔だと思った相手を排除する事が出来るよ!」
リガスに対して、ロピは如何に自分の方が俺に役に立つかを自身満々にして答える。
「姉さんもリガスもその程度? 私はアトス様の為なら、何でも出来るし、アトス様の為ならモンスターに食べられたって構わない」
いやいやッ! そこはかまえよ!
チルの発言に俺だけでは無く他の二人も焦る。
「ほ、ほっほっほ。チ、チル様……流石にそれはやめて頂きたいですな」
「なんで? これはアトス様に取って如何に役に立つかを決める話し合いでしょ?」
チルは嘘を付かない為、恐らく本気で思っている事だろう……だからこそ、やめて欲しいものだが。
「チルちゃん……? 仮にお兄さんが危なくなってもモンスターに食べられちゃダメだよ……?」
「分かっている。最後の最後まで全力で抵抗するから、安心して?」
「う、うん。分かっているならいいよ?」
チルの表情へ本当に分かっているのか怪しいが、とりあえず信じる事にしたらしいロピとリガス。
「それで、アトス様、これからは何処に向かっているのですか?」
「ふふ。着いてからのお楽しみだな」
「気になります……」
「そうだ、そうだ! 大人しく教えた方がいいと思うよ!」
ロピとチルはよっぽど次の目的地が気になる様で、さっきから俺を挟むかの様にジャングル内を移動する。
歩みを進める度にロピからは何処行くのかと聞かれ、チルからは無言の圧力を感じる。
「はぁ……分かった。ヒントならあげよう」
俺の言葉に二人はムムッと口を閉じて一言も聞き逃さない様に集中し始める。
「まぁ、ヒントと言うよりかは、目的かな?」
「目的って、人間族を倒す為に一緒に戦ってと頼みに行くんでしょ?」
「あぁ、そうだな。しかし俺にはもう一つ目的がある」
「もう一つの目的ですか?」
二人は、何の事か首を傾げながらも、考え始める。
「ほっほっほ。お二人共、頑張って考えて下さい」
「もう! 魔族さんは黙ってて!」
「リガスは喋ってはダメ」
「ほっほっほ。これは手厳しいですな」
「お兄さん、もっとヒントちょーだい!」
ロピが更なるヒントを求める。
「そうだな……その目的はチルに関係あるな」
「私ですか?」
「あぁ。そうだ」
俺は意味ありげに微笑む。
「えー、なんだろ? チルちゃん分かる?」
「……うん、分かった気がする」
「え?! どこー?」
どうやら、チルはこれから行く所の検討がついた様だ。
「アトス様、あの願い事覚えて頂いていたんですか?」
「はは、もちろんだ。ただ、俺ではどうにも出来ないからな、頼みに行く」
「ほっほっほ。これでチル様も一歩前進出来そうですな」
「うん」
俺、リガス、チルは次の目的地が分かるが、ロピだけは、まだ分からない様子で、少し焦っている。
「え、え!? 私分かんないよ、教えてよ!」
「はは、教えて欲しいか?」
「うん、教えてー!」
「しょうがない、チルは分かった様だしな。次、俺達が向かう場所は──」
「──アトス様、お待ち下さい」
俺がロピに次の目的地を伝えようとすると、チルが止めに掛かる。
「ん?」
「アトス様、姉さんには教えないで下さい」
「なんでだ?」
俺が首を傾げていると、チルは姉に近付き、ロピの両肩に手を置く。
「姉さん」
「……チルちゃんが教えてくれるの?」
ロピは妹の顔を見て首を傾げる。だが、チルはロピの問いに首をゆっくり振ると、衝撃の言葉をロピに向かって発した。
「姉さん、どうやらアトス様の考えを読める私の僕がアトス様の役に立てるみたいだね?」
「──ッ!?」
チルには珍しく、姉の顔を見てドヤ顔をする。
その表情はさすがの姉妹という事もあり、ロピがドヤ顔した際とそっくりであった。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
欠損奴隷を治して高値で売りつけよう!破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公が転生したのは、ゲームに出てくる噛ませ犬の悪役奴隷商人だった!このままだと破滅フラグしかないから、奴隷に反乱されて八つ裂きにされてしまう!
そうだ!子供の今から回復魔法を練習して極めておけば、自分がやられたとき自分で治せるのでは?しかも奴隷にも媚びを売れるから一石二鳥だね!
なんか自分が助かるために奴隷治してるだけで感謝されるんだけどなんで!?
欠損奴隷を安く買って高値で売りつけてたらむしろ感謝されるんだけどどういうことなんだろうか!?
え!?主人公は光の勇者!?あ、俺が先に治癒魔法で回復しておきました!いや、スマン。
※この作品は現実の奴隷制を肯定する意図はありません
なろう日間週間月間1位
カクヨムブクマ14000
カクヨム週間3位
他サイトにも掲載
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる