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第10章
430話
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新王であるカールがゆっくりと、歩き王座に到着する。
「皆んな、顔を上げていいよ」
カールの声に一同が一斉に頭を上げる。
「マーズよ……あのカールとか言う若輩者が次の王なのか……?」
「えぇ。あの方がラシェン王の次の王様です」
「むむぅ……納得いかん……」
小声でリンクスが唸る。
「既に知っていると思うが改めて挨拶をさせて貰おうかな──俺が新しく王様になったカールだ、よろしくね」
以前のラシェン王とは違い、親しみやすいカールは、部下や国民からも、なかなかの人気の様だ。
……まだ、王様になってから全然月日が経っていないのに、凄いな……
「今日集まって貰ったのは他でも無い。この前の戦いの事と今後の戦いの事について話し合いたいと思っている」
カールの言葉に一同が表情を引き締める。
「ラシェン王が死んだ今、我々は断固とした結束を持って劣等種共を打ち破り奴隷にする必要がある!」
カールの意見に皆が賛同している様で、講堂の中が騒がしくなる。
「我々が負ける事は万に一つも無いが、劣等種共の中には、特段強い者達も居る為、油断は禁物だ──そこで、今後の話をする前に、まずはこの前の戦いについて報告をして貰いたい」
この前と言うのは、人間族の住処に侵入して来た獣人族と私達が襲撃したエルフの村の事だろう。
「では、まずここ、人間族の住処で起きた事を話して貰おうか──グンドウ話してくれ」
「……」
横に付き従っていたグンドウに対して、ことの顛末を話す様に指示をした後に王座に座る。
カールの指示に、何やら思う事があるのかグンドウは唇の端を噛み締めていた。
「ほら、グンドウ。早く話してくれ」
何やら二人の間に確執的なのがあるのか、カールはニヤニヤしながら、グンドウを見ていた。
「……」
そして、グンドウは一歩前に出て声を出す。
「皆も知っていると思うが、我らが最高の王であるラシェン王が亡くなられた……」
グンドウに取って、ラシェン王は一生仕える相手だった為、まだ心の整理が付いていないみたいだ。
「ラシェン王を殺したのは……」
ん? 何故か、一瞬だけカールを見たな……
「ラシェン王を殺したのは、我々の国に侵入して来た獣人族共だ──その獣人族は奴隷としてこの国に侵入した」
成る程、こんな強固である人間族の住処に、どの様にして侵入したのか、想像付かなかった。
「ことの発端は、プブリウ殿が自身の為に買った獣人奴隷が今回の事件を動かした」
グンドウは鋭い視線をプブリウに向ける。すると睨まれたプブリウが冷や汗を大量にかいていた。
「わ、私は、ま、まさかこんなじたいになるとは思ってなくて……えぇ……」
ポケットから取り出した布で額の汗を拭いている。
「そ、それに私は最初お断り致しました──それなのにラシェン王とカール王に無理やり……」
何やら、話していたかと思うと、カールの名前が出てきた瞬間、本人が指をパチンと鳴らした。
すると、部下なのか兵士達がプブリウスの所まで移動してきて、両脇を掴み無理やり退場させていた。
「な、何をするのですか?!」
「「……」」
「こ、コラ、離しなさい! 私を誰だと思っているんですかッ!」
何やら、騒いだ後、プブリウスは兵士達によって強制退出させられた。
「グンドウ、プブリウスの話はもういいから、殺された時の事を話せ」
カールの指示に又もや、唇を噛み締めたグンドウであったが、再び口を開く。
「ラシェン王が亡くなった日の夜、非常事態を知らせる鐘の音が鳴り響いた為、俺は急いでラシェン王の寝室に向かった──すると、ラシェン王は既に殺されており、そこには……カール王と、その部下達がいた」
そこまでグンドウが説明すると、王座に座っていたカールが立ち上がる。
「その後は、実際に目撃した俺から話そう──ラシェン王は、奴隷として紛れ込んだ獣人族に殺された」
カールの言葉に誰もが嘆くよう様に頭を横に振ったり、顔を抑えたりしている。
そう、私の隣の者も……
「ラシェン王よ……どうして……」
そんな悲しむ一同に向けてカール王は続ける。
「ラシェン王の殺害を見た俺は、もちろん全力で捕まえようとした……しかし、相手は私からまんまと逃げ切ったんだ……」
その言葉に、次は驚きの声が上がる。
「お、おいカール王は確か、国一番の速さじゃなかったか?」
「あ、あぁそうだ。カール王に追い付ける者なんて居ないさ」
「なら、そんなカール王から逃げ切った獣人はどれくらい早いんだよ……」
一同の疑問に応えるかの様にカールは言葉を発する。
「俺から逃げ切った者はランクAの身体強化持ちだ──更にはダブル持ちでもあり、白い閃光なんて言われたりもしているらしい」
カールの言葉に動揺する一同。
「ラ、ランクAだって……? グンドウ様と同じランク帯かよ……」
「それに、ダブル持ちって言ったらヘラデス様と同じだぞ?!」
「白い閃光ってなんだよ……」
人間族のトップ2と同様の能力がある事に、驚いている様子だ。
「いいか、皆んな! ラシェン王を殺害した獣人の名前はシクだ! 白い閃光のシク、この名前を決して忘れるな──我々のラシェン王の為にもシクだけは生かして置く事は出来ない!」
カールの声に周りは賛同し、そして誓う。
ラシェン王を殺したシクを決して許さないと……
「皆んな、顔を上げていいよ」
カールの声に一同が一斉に頭を上げる。
「マーズよ……あのカールとか言う若輩者が次の王なのか……?」
「えぇ。あの方がラシェン王の次の王様です」
「むむぅ……納得いかん……」
小声でリンクスが唸る。
「既に知っていると思うが改めて挨拶をさせて貰おうかな──俺が新しく王様になったカールだ、よろしくね」
以前のラシェン王とは違い、親しみやすいカールは、部下や国民からも、なかなかの人気の様だ。
……まだ、王様になってから全然月日が経っていないのに、凄いな……
「今日集まって貰ったのは他でも無い。この前の戦いの事と今後の戦いの事について話し合いたいと思っている」
カールの言葉に一同が表情を引き締める。
「ラシェン王が死んだ今、我々は断固とした結束を持って劣等種共を打ち破り奴隷にする必要がある!」
カールの意見に皆が賛同している様で、講堂の中が騒がしくなる。
「我々が負ける事は万に一つも無いが、劣等種共の中には、特段強い者達も居る為、油断は禁物だ──そこで、今後の話をする前に、まずはこの前の戦いについて報告をして貰いたい」
この前と言うのは、人間族の住処に侵入して来た獣人族と私達が襲撃したエルフの村の事だろう。
「では、まずここ、人間族の住処で起きた事を話して貰おうか──グンドウ話してくれ」
「……」
横に付き従っていたグンドウに対して、ことの顛末を話す様に指示をした後に王座に座る。
カールの指示に、何やら思う事があるのかグンドウは唇の端を噛み締めていた。
「ほら、グンドウ。早く話してくれ」
何やら二人の間に確執的なのがあるのか、カールはニヤニヤしながら、グンドウを見ていた。
「……」
そして、グンドウは一歩前に出て声を出す。
「皆も知っていると思うが、我らが最高の王であるラシェン王が亡くなられた……」
グンドウに取って、ラシェン王は一生仕える相手だった為、まだ心の整理が付いていないみたいだ。
「ラシェン王を殺したのは……」
ん? 何故か、一瞬だけカールを見たな……
「ラシェン王を殺したのは、我々の国に侵入して来た獣人族共だ──その獣人族は奴隷としてこの国に侵入した」
成る程、こんな強固である人間族の住処に、どの様にして侵入したのか、想像付かなかった。
「ことの発端は、プブリウ殿が自身の為に買った獣人奴隷が今回の事件を動かした」
グンドウは鋭い視線をプブリウに向ける。すると睨まれたプブリウが冷や汗を大量にかいていた。
「わ、私は、ま、まさかこんなじたいになるとは思ってなくて……えぇ……」
ポケットから取り出した布で額の汗を拭いている。
「そ、それに私は最初お断り致しました──それなのにラシェン王とカール王に無理やり……」
何やら、話していたかと思うと、カールの名前が出てきた瞬間、本人が指をパチンと鳴らした。
すると、部下なのか兵士達がプブリウスの所まで移動してきて、両脇を掴み無理やり退場させていた。
「な、何をするのですか?!」
「「……」」
「こ、コラ、離しなさい! 私を誰だと思っているんですかッ!」
何やら、騒いだ後、プブリウスは兵士達によって強制退出させられた。
「グンドウ、プブリウスの話はもういいから、殺された時の事を話せ」
カールの指示に又もや、唇を噛み締めたグンドウであったが、再び口を開く。
「ラシェン王が亡くなった日の夜、非常事態を知らせる鐘の音が鳴り響いた為、俺は急いでラシェン王の寝室に向かった──すると、ラシェン王は既に殺されており、そこには……カール王と、その部下達がいた」
そこまでグンドウが説明すると、王座に座っていたカールが立ち上がる。
「その後は、実際に目撃した俺から話そう──ラシェン王は、奴隷として紛れ込んだ獣人族に殺された」
カールの言葉に誰もが嘆くよう様に頭を横に振ったり、顔を抑えたりしている。
そう、私の隣の者も……
「ラシェン王よ……どうして……」
そんな悲しむ一同に向けてカール王は続ける。
「ラシェン王の殺害を見た俺は、もちろん全力で捕まえようとした……しかし、相手は私からまんまと逃げ切ったんだ……」
その言葉に、次は驚きの声が上がる。
「お、おいカール王は確か、国一番の速さじゃなかったか?」
「あ、あぁそうだ。カール王に追い付ける者なんて居ないさ」
「なら、そんなカール王から逃げ切った獣人はどれくらい早いんだよ……」
一同の疑問に応えるかの様にカールは言葉を発する。
「俺から逃げ切った者はランクAの身体強化持ちだ──更にはダブル持ちでもあり、白い閃光なんて言われたりもしているらしい」
カールの言葉に動揺する一同。
「ラ、ランクAだって……? グンドウ様と同じランク帯かよ……」
「それに、ダブル持ちって言ったらヘラデス様と同じだぞ?!」
「白い閃光ってなんだよ……」
人間族のトップ2と同様の能力がある事に、驚いている様子だ。
「いいか、皆んな! ラシェン王を殺害した獣人の名前はシクだ! 白い閃光のシク、この名前を決して忘れるな──我々のラシェン王の為にもシクだけは生かして置く事は出来ない!」
カールの声に周りは賛同し、そして誓う。
ラシェン王を殺したシクを決して許さないと……
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