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第10章
427話
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なんだ……あの、モンスターは?
気配に誘われて視線を動かすと、そこには真っ黒なモンスターが居た。
そのモンスターは見ているだけで不安を煽る様な気配を発しており、無意識に手が震えている事に気が付く。
「お、お兄さん……アレ……何……?」
真っ黒なモンスターに怯えているのかロピはカウントをするのも忘れ俺の背中に自身の身体を隠す様に移動する。
「わ、分からない……」
「とても不気味で、なんだか怖いよ……」
その、漆黒のモンスターはこちらに近付く気配は無く、ただただ俺達の方をジッと見ているだけであった……
空が薄暗くなり、それなりに周りも暗くなってはいるが、そんな暗さなんて比べ物にならい程、黒いモンスターは、そこから一歩も動かずに居る。
傷だらけの中型に真っ黒なモンスターと、俺達が知るモンスターの情報には無い事ばかりが目の前で起きていた。
すると、ディングの部下達が漆黒のモンスターに向かって、突撃する様に走って行くのが見えた。
「あ、あのモンスターをやっちまうぞッ!」
「そうだな! あんな小さいんだし俺達でも余裕だろ!!」
確かに、オーク達が言う様に漆黒のモンスターは小さい──小型と比べてもかなり小さく感じる。
ドダドダと決して早くは無いがオーク達はモンスターに向かって武器を掲げながら走って行くのであった。
「お、お前ら、止まれッ!」
得体の知れないしっこくのモンスターにディングは部下達に止まる様に命じるが、聞こえて無いのか止まる気配は無い。
「「──ッ!?」」
そんな様子を見ていた俺とロピだったが、目の前に居る傷だらけの中型が動いた事により、慌てて目の前に集中する。
「お、お兄さん動き出して来たよ?!」
「と、とにかくもう一発ツェーンショットだ!」
「わ、わかったよ!」
ロピがスリリングショットを再び構えるが、中型の回復速度が早いのか、大きな身体はどんどん動く様になり、遂には完全に身体を起き上がらせたのであった……
「ロ、ロピ、逃げるぞ……」
「う、うん。その方が良さそうだね!」
俺とロピは無駄だと思いながらも足音を立てずにゆっくり、静かに中型から距離を取ろうとする。
だが、案の定中型は俺達の方に顔を向けた。
「ば、バレている様だよ……?」
どうすればこの場をやり過ごせるか、急ピッチで考え始めるが、どうやら考える必要は無かった様だ。
中型は俺達の事を一瞥すると、その場から一瞬で消えて、漆黒のモンスターの所に向かって移動する。
ロピのツェーンショットで尻尾には大きな穴が空いているのにも関わらず、怪我を感じさせ無い程のスピードであっという間に漆黒のモンスターの場所に到着した。
「なんなんだよ……あのモンスター達は……」
そして、デァングの部下達の目の前に中型が現れた。その様子はまるで漆黒のモンスターを護るかの様な騎士の様な立ち振る舞いだ。
「やばそうだなッ!」
俺は、すぐ様オーク達に向かってスキルを発動する。
「ガードッ!」
オーク達は中型に吹き飛ばされ俺同様に木に激突した。ディングはそんな部下達を心配して駆けつける。
中型がトドメを刺そうと追撃しようとすると、漆黒のモンスターが何やら鳴き声を上げて、静止させる。
そして、漆黒のモンスターも傷だらけの中型も何故か俺とロピの方に身体を向けていた……
「お、お兄さん……なんか私達──いや、お兄さんの事見てない……?」
「お、俺の事をか……? いや流石に違うだろ……」
ロピが言うには、二体のモンスターは俺の事を見ている様だが気のせいだよな?
「ちょっとお兄さんだけ動いてみれば?」
「お、おう」
言われた通り、俺は移動する。すると、確かにモンスター達は俺の事を追って顔が動いている様な感じがする……
おいおい、何で俺がモンスター達に注目され無いといけないんだよ……
本来であれば脅威であるロピか珍しいスキルを持つリガスに注目する所だろ?
そして、暫くの間俺はモンスター達に観察されていたが、二体のモンスターが動きを見せた。
「な、なんか去っていくね」
「そうだな」
「私達助かったの……?」
「多分……」
実際このまま戦っていたら、どうなっていたか分からない。
しかし、漆黒のモンスターが現れなかったら、恐らく傷だらけの中型は倒せたと思うが……
二体のモンスターは俺達を全滅させる訳でも無く、踵を返してジャングルの奥に消えていったのであった……
気配に誘われて視線を動かすと、そこには真っ黒なモンスターが居た。
そのモンスターは見ているだけで不安を煽る様な気配を発しており、無意識に手が震えている事に気が付く。
「お、お兄さん……アレ……何……?」
真っ黒なモンスターに怯えているのかロピはカウントをするのも忘れ俺の背中に自身の身体を隠す様に移動する。
「わ、分からない……」
「とても不気味で、なんだか怖いよ……」
その、漆黒のモンスターはこちらに近付く気配は無く、ただただ俺達の方をジッと見ているだけであった……
空が薄暗くなり、それなりに周りも暗くなってはいるが、そんな暗さなんて比べ物にならい程、黒いモンスターは、そこから一歩も動かずに居る。
傷だらけの中型に真っ黒なモンスターと、俺達が知るモンスターの情報には無い事ばかりが目の前で起きていた。
すると、ディングの部下達が漆黒のモンスターに向かって、突撃する様に走って行くのが見えた。
「あ、あのモンスターをやっちまうぞッ!」
「そうだな! あんな小さいんだし俺達でも余裕だろ!!」
確かに、オーク達が言う様に漆黒のモンスターは小さい──小型と比べてもかなり小さく感じる。
ドダドダと決して早くは無いがオーク達はモンスターに向かって武器を掲げながら走って行くのであった。
「お、お前ら、止まれッ!」
得体の知れないしっこくのモンスターにディングは部下達に止まる様に命じるが、聞こえて無いのか止まる気配は無い。
「「──ッ!?」」
そんな様子を見ていた俺とロピだったが、目の前に居る傷だらけの中型が動いた事により、慌てて目の前に集中する。
「お、お兄さん動き出して来たよ?!」
「と、とにかくもう一発ツェーンショットだ!」
「わ、わかったよ!」
ロピがスリリングショットを再び構えるが、中型の回復速度が早いのか、大きな身体はどんどん動く様になり、遂には完全に身体を起き上がらせたのであった……
「ロ、ロピ、逃げるぞ……」
「う、うん。その方が良さそうだね!」
俺とロピは無駄だと思いながらも足音を立てずにゆっくり、静かに中型から距離を取ろうとする。
だが、案の定中型は俺達の方に顔を向けた。
「ば、バレている様だよ……?」
どうすればこの場をやり過ごせるか、急ピッチで考え始めるが、どうやら考える必要は無かった様だ。
中型は俺達の事を一瞥すると、その場から一瞬で消えて、漆黒のモンスターの所に向かって移動する。
ロピのツェーンショットで尻尾には大きな穴が空いているのにも関わらず、怪我を感じさせ無い程のスピードであっという間に漆黒のモンスターの場所に到着した。
「なんなんだよ……あのモンスター達は……」
そして、デァングの部下達の目の前に中型が現れた。その様子はまるで漆黒のモンスターを護るかの様な騎士の様な立ち振る舞いだ。
「やばそうだなッ!」
俺は、すぐ様オーク達に向かってスキルを発動する。
「ガードッ!」
オーク達は中型に吹き飛ばされ俺同様に木に激突した。ディングはそんな部下達を心配して駆けつける。
中型がトドメを刺そうと追撃しようとすると、漆黒のモンスターが何やら鳴き声を上げて、静止させる。
そして、漆黒のモンスターも傷だらけの中型も何故か俺とロピの方に身体を向けていた……
「お、お兄さん……なんか私達──いや、お兄さんの事見てない……?」
「お、俺の事をか……? いや流石に違うだろ……」
ロピが言うには、二体のモンスターは俺の事を見ている様だが気のせいだよな?
「ちょっとお兄さんだけ動いてみれば?」
「お、おう」
言われた通り、俺は移動する。すると、確かにモンスター達は俺の事を追って顔が動いている様な感じがする……
おいおい、何で俺がモンスター達に注目され無いといけないんだよ……
本来であれば脅威であるロピか珍しいスキルを持つリガスに注目する所だろ?
そして、暫くの間俺はモンスター達に観察されていたが、二体のモンスターが動きを見せた。
「な、なんか去っていくね」
「そうだな」
「私達助かったの……?」
「多分……」
実際このまま戦っていたら、どうなっていたか分からない。
しかし、漆黒のモンスターが現れなかったら、恐らく傷だらけの中型は倒せたと思うが……
二体のモンスターは俺達を全滅させる訳でも無く、踵を返してジャングルの奥に消えていったのであった……
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