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第10章
422話
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「魔族さん、すごーい!」
「リガスのお陰で助かった……ありがとう」
「ほっほっほ。いえいえ」
ロピとチルの二人は絶賛する。
本当にリガスのお陰で助かったな……
俺は倒れて来た大木に目を向ける。
「あんなのに下敷きになったら死んでたな」
「本当だねー。魔族さんが居なかったら今頃、みんなペチャンコだったね」
「しかし、なんでいきなり大木が倒れて来たんだ?」
ディングが不思議そうに首を傾げ、そして皆も一緒に考えるが答えが分かる筈も無い。
しかし、俺は何となくだが予想が付いている。そんな、俺の表情を読み取ったのかリガスが聞いてくる。
「アトス殿、何か思い付きましたかな?」
「いや……どうだろう──しかし突拍子も無い事だしな……」
俺が考えている事を皆に伝えても、馬鹿らしいと思われてしまうだろう。
「ふむ。今は少しでも情報を共有した方がいいでしょ。少しでも何か分かれば是非教えて下さい」
ニコリと笑みを浮かべながらリガスが俺に話す様に視線を向けて来る。
その視線に皆も連れて俺の方を見る。
「実は……今の出来事で俺の中で一つの仮説を立てた」
「仮説ですか?」
「あぁ。さっき大木が倒れてきたのは……中型の罠だと思う……」
以前からモンスターが何かを考えて行動しているのを目の当たりにしていた。
そして、今回の傷だらけの中型も、その類いだろうと感じて居たが、今回は更に頭を使用するモンスターだと感じていた。
そんなモンスターなら、罠の一つや二つ……簡単に出来るだろう。
俺の言葉を聞いた皆は一度静まり返っていた。
そして……
「あはははは、お兄さん面白~い! モンスターが罠を仕掛けたっで言いたいのー?」
「あはは、流石にそれは無いでしょう!」
そ、そうだよな……やっぱり俺の考え過ぎだか?
「お兄さん、考え過ぎだよ!」
「がはは、俺も雷弾の意見と同じだろぜ」
ロピとディングに言われて、俺自身
やはり考え過ぎだと思えてきた。
「なら、早く帰ろう──ここに来て、またもや木が倒れて来たら大変だ」
「そうだねー」
大木の件は一度置いといて、今は村に帰る事に集中した方が良さそうだな……
そんな風な考えていると、俺の言葉に考え過ぎだと言ってくる二人とは別でチルとリガスは俺の考え方に賛同してくれている様だ。
「私はアトス様の考えに感銘を覚えました。まさか、モンスターによる罠とはは、その発想がありませんでした」
「ほっほっほ。流石、アトス殿ですな前々から思ってましたが我々とは着眼点が違いますな」
二人の言葉に照れ臭そうにしているとロピから声がかかる。
「ほら、お兄さん早く行かないと日が暮れちゃうよー!」
「分かったー!」
既にロピとディング、そして部下達はは先に進んでおり、いつまで経っても動かない俺に大きな声で声を掛けてきた。
「ほっほっほ。ロピ殿は張り切っていますな」
「きっと、このまま野宿になったら美味いご飯が食べられないからだと思う」
「ほっほっほ。流石、姉妹ですな。チル様はロピ殿の考えなら、何でも分かるのですな」
俺達が尚も話しているとほっぺを含まらせて、ロピが大声で抗議して来る。
「むー。早く来ないと置いて言っちゃうよ!!」
ロピの機嫌がみるみる悪くなるのを感じた俺達。
「そろそろ、向かうか」
「そうですね。あのままだと姉さんが煩そうです」
「ほっほっほ。本日は夕飯でご機嫌取らないとですな」
俺達三人もロピやディング達の方に向かって走り出そうとした時に事件は起きた……
「「「──ッな?!」」」
なんと、俺達が前に進もうとしたら、俺達とロピ達の間の木々が面白い様に倒れて来た。
「み、みんな?!」
俺達はロピの言葉に反応している暇は無く、倒れて来る大木を避けるのに集中する。
倒れて来る木を先読みするッ!
「チル、リガス! 俺の真後に!」
「「はい!」」
俺の言葉に素早く行動した二人は一瞬で俺の背後についてくれた。
集中……集中……倒れて来る大木の着地点を読むんだ……
俺はその場から最小限の動きで大木を避ける。
時間にしたら一瞬である。
そしてなんとか全ての大木を避けた俺は安堵の為、ため息を一つ付いて、背後に居るチル達に様子を確認しようと後ろを向いた時……ソイツは居た。
「──ッな、なんで、いきなり……?」
目の前にはさっきまで居なかった傷だらけの中型が立っていたのであった……
「リガスのお陰で助かった……ありがとう」
「ほっほっほ。いえいえ」
ロピとチルの二人は絶賛する。
本当にリガスのお陰で助かったな……
俺は倒れて来た大木に目を向ける。
「あんなのに下敷きになったら死んでたな」
「本当だねー。魔族さんが居なかったら今頃、みんなペチャンコだったね」
「しかし、なんでいきなり大木が倒れて来たんだ?」
ディングが不思議そうに首を傾げ、そして皆も一緒に考えるが答えが分かる筈も無い。
しかし、俺は何となくだが予想が付いている。そんな、俺の表情を読み取ったのかリガスが聞いてくる。
「アトス殿、何か思い付きましたかな?」
「いや……どうだろう──しかし突拍子も無い事だしな……」
俺が考えている事を皆に伝えても、馬鹿らしいと思われてしまうだろう。
「ふむ。今は少しでも情報を共有した方がいいでしょ。少しでも何か分かれば是非教えて下さい」
ニコリと笑みを浮かべながらリガスが俺に話す様に視線を向けて来る。
その視線に皆も連れて俺の方を見る。
「実は……今の出来事で俺の中で一つの仮説を立てた」
「仮説ですか?」
「あぁ。さっき大木が倒れてきたのは……中型の罠だと思う……」
以前からモンスターが何かを考えて行動しているのを目の当たりにしていた。
そして、今回の傷だらけの中型も、その類いだろうと感じて居たが、今回は更に頭を使用するモンスターだと感じていた。
そんなモンスターなら、罠の一つや二つ……簡単に出来るだろう。
俺の言葉を聞いた皆は一度静まり返っていた。
そして……
「あはははは、お兄さん面白~い! モンスターが罠を仕掛けたっで言いたいのー?」
「あはは、流石にそれは無いでしょう!」
そ、そうだよな……やっぱり俺の考え過ぎだか?
「お兄さん、考え過ぎだよ!」
「がはは、俺も雷弾の意見と同じだろぜ」
ロピとディングに言われて、俺自身
やはり考え過ぎだと思えてきた。
「なら、早く帰ろう──ここに来て、またもや木が倒れて来たら大変だ」
「そうだねー」
大木の件は一度置いといて、今は村に帰る事に集中した方が良さそうだな……
そんな風な考えていると、俺の言葉に考え過ぎだと言ってくる二人とは別でチルとリガスは俺の考え方に賛同してくれている様だ。
「私はアトス様の考えに感銘を覚えました。まさか、モンスターによる罠とはは、その発想がありませんでした」
「ほっほっほ。流石、アトス殿ですな前々から思ってましたが我々とは着眼点が違いますな」
二人の言葉に照れ臭そうにしているとロピから声がかかる。
「ほら、お兄さん早く行かないと日が暮れちゃうよー!」
「分かったー!」
既にロピとディング、そして部下達はは先に進んでおり、いつまで経っても動かない俺に大きな声で声を掛けてきた。
「ほっほっほ。ロピ殿は張り切っていますな」
「きっと、このまま野宿になったら美味いご飯が食べられないからだと思う」
「ほっほっほ。流石、姉妹ですな。チル様はロピ殿の考えなら、何でも分かるのですな」
俺達が尚も話しているとほっぺを含まらせて、ロピが大声で抗議して来る。
「むー。早く来ないと置いて言っちゃうよ!!」
ロピの機嫌がみるみる悪くなるのを感じた俺達。
「そろそろ、向かうか」
「そうですね。あのままだと姉さんが煩そうです」
「ほっほっほ。本日は夕飯でご機嫌取らないとですな」
俺達三人もロピやディング達の方に向かって走り出そうとした時に事件は起きた……
「「「──ッな?!」」」
なんと、俺達が前に進もうとしたら、俺達とロピ達の間の木々が面白い様に倒れて来た。
「み、みんな?!」
俺達はロピの言葉に反応している暇は無く、倒れて来る大木を避けるのに集中する。
倒れて来る木を先読みするッ!
「チル、リガス! 俺の真後に!」
「「はい!」」
俺の言葉に素早く行動した二人は一瞬で俺の背後についてくれた。
集中……集中……倒れて来る大木の着地点を読むんだ……
俺はその場から最小限の動きで大木を避ける。
時間にしたら一瞬である。
そしてなんとか全ての大木を避けた俺は安堵の為、ため息を一つ付いて、背後に居るチル達に様子を確認しようと後ろを向いた時……ソイツは居た。
「──ッな、なんで、いきなり……?」
目の前にはさっきまで居なかった傷だらけの中型が立っていたのであった……
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