420 / 492
第10章
419話
しおりを挟む
ヤバイ……と思った時には既に身体が動いていた。
中型はある一人に攻撃を加える。その人物は……ロピである。
恐らく、中型は自身を倒せるのはロピだけだと推測し確実に始末出来る機会を伺っていたのだろう。
「ロピッ!」
ロピはいきなりの事で反応が出来ていない。
それは全員同じで、リガスが声を上げたと思ったら既に中型は目の前にいた。
皆は反応も出来ずにロピが攻撃される所を見ている中、俺だけはロピが近くに居たという事もあり、なんとか反応する。
間に合え……!
周りの景色がゆっくりと動くのを感じる。
一歩でも早くロピに近付こうとするが、俺のスピードは変わらない。
でもなんとか、ロピに手が届く範囲まで移動出来た俺は素早くロピを中型の攻撃から守る為に抱きしめる。
そして、ロピを抱きしめたと思った次の瞬間は背中に強烈な衝撃が襲い、ロピ共々吹き飛ばされた。
「──ッいつ……」
「お、お兄さん?!」
俺とロピはボールの様に飛ばされる。
そんな様子を見たチルが慌てる。
「アトス様! 姉さん無事ですか?!」
少し離れた場所からチルの心配する声が上がり、問題無い事を伝えたいが、中型の攻撃を食らった俺は口を開けずに居た。
「お兄さん、無事?!」
地面に横たわり、苦しそうにしていると直ぐに近寄って来て、俺の様子を伺うロピ。
中型の攻撃を直撃した俺は、なんとかして立ち上がろうとするが、出来なかった。
クソ……動けねぇ……
あまりの攻撃の威力に起き上がる所か指一本動かす事も出来ないでいた。
そして、非常にも中型の攻撃は続いた。
ロピを仕留め切れなかった中型は直ぐに移動して再びロピに攻撃をする。
しかし、次の攻撃は誰にも当たる事はなかった。
「ふむ。流石にその攻撃は通しませぬッ。カネル!」
中型の強烈な一撃を抑え込むリガスに、驚いた様子の雰囲気を見せる中型。
更にリガスは続ける。
「貴方はこのテリトリーから出て行って貰います。オーハン!!」
リガスの第二の盾が発動し、中型を吹き飛ばした。
中型自体にダメージは無いが、自身より何倍も小さい者に吹き飛ばされた事に更に驚く中型。
その間に他の者達が吹き飛ばされた俺達の所まで集まって来た。
「アトス様、姉さん無事ですか?!」
「チ、チルちゃん! お兄さんが動かないんだよッ!!」
倒れる俺の側でロピが泣きそうな表情で妹のチルに状況を説明する。
それを聞いたチルも、また慌てて俺の様子を伺うが、ロピの言葉を聞いてオロオロするだけであった。
俺は無事だぞ……
意識がある事を伝えたかったが身体が動かない為、伝える事が出来ない。
「ほっほっほ。お二人ともアトス殿は大丈夫ですぞ、息をしておりますので無事です。それよりも今は前の敵に集中しなさい」
「「──!?」」
リガスの言葉に二人は安堵し、そして立ち上がる。
「魔族さん、私は何したらいい?」
「ふむ。中型はロピ殿をかなり危険視しております、なので当たらなくても良いのでツェーンショットをお願いします」
「分かったよ! あの中型をビビらせればいいって事だね!」
「ほっほっほ。その通りですな」
すると、ロピは腰にある中型のスリリングショットでは無く、背後に背負っている、自身と同じくらいの大きさが漆黒のスリリングショットを構えた。
「お兄さんをこんなにして、私許さないよ!」
ロピは漆黒のスリリングショットを地面に突き刺す。
そして、カウントを数え始めた。
「1……2……3」
ロピが今、使用しているスリリングショットはドワーフ族の村長であるキルが貴重な材料を使用して製作した自信作であり、使用者のスキルランクを一つ上げるという、とんでもない武器である。
その為、まだカウントを始めたばかりだと言うのにロピのスリリングショットからは、バチバチと煩いくらいの音が発している。
そんなロピを離れた場所から様子を伺っている中型は、どうするか悩んでいるのか、動かずジッとしている。
「4……5……6」
ロピのカウントが進むに連れて、音はどんどん大きくなって、既に耳を塞ぎたくなる程である。
「ふむ……ロピ殿、もうカウントを止めていいですぞ」
「7……えッ?!」
リガスの言葉にロピはカウントを止める。
「どうやら、中型は去った様ですぞ?」
「え? そうなの?」
ロピも含めて、皆が周りの様子を伺う。
「本当だー。中型の気配が消えたね?」
「うん。何も感じなくなった」
「どうやら、日が登って来たので部が悪いと思ったのでしょう」
リガスが顔を上げる。
リガスに続いて顔を上げると、そこには太陽が登り始め、次第に周りが明るくなって来た……
「ふぅ……やっと、逃げ切れたって事か? それとも、また俺達が認識出来ていないだけか?」
ディングは未だ、戦闘態勢を崩さずに辺りの様子を伺う。
「ふむ。恐らく今回は問題無いでしょう」
「そうか……」
リガスの言葉にディングはやっと構えを解く。
そして、その後は俺の怪我もある為、一旦村に戻る事にした。
怪我自体は大した事も無く、一日寝たら、いつも通り動く事が出来た。
そして、このまま中型を、そのままにしとく訳にはいかない為、俺達は再度中型を倒す為にオークの村を出る事にしたのであった……
中型はある一人に攻撃を加える。その人物は……ロピである。
恐らく、中型は自身を倒せるのはロピだけだと推測し確実に始末出来る機会を伺っていたのだろう。
「ロピッ!」
ロピはいきなりの事で反応が出来ていない。
それは全員同じで、リガスが声を上げたと思ったら既に中型は目の前にいた。
皆は反応も出来ずにロピが攻撃される所を見ている中、俺だけはロピが近くに居たという事もあり、なんとか反応する。
間に合え……!
周りの景色がゆっくりと動くのを感じる。
一歩でも早くロピに近付こうとするが、俺のスピードは変わらない。
でもなんとか、ロピに手が届く範囲まで移動出来た俺は素早くロピを中型の攻撃から守る為に抱きしめる。
そして、ロピを抱きしめたと思った次の瞬間は背中に強烈な衝撃が襲い、ロピ共々吹き飛ばされた。
「──ッいつ……」
「お、お兄さん?!」
俺とロピはボールの様に飛ばされる。
そんな様子を見たチルが慌てる。
「アトス様! 姉さん無事ですか?!」
少し離れた場所からチルの心配する声が上がり、問題無い事を伝えたいが、中型の攻撃を食らった俺は口を開けずに居た。
「お兄さん、無事?!」
地面に横たわり、苦しそうにしていると直ぐに近寄って来て、俺の様子を伺うロピ。
中型の攻撃を直撃した俺は、なんとかして立ち上がろうとするが、出来なかった。
クソ……動けねぇ……
あまりの攻撃の威力に起き上がる所か指一本動かす事も出来ないでいた。
そして、非常にも中型の攻撃は続いた。
ロピを仕留め切れなかった中型は直ぐに移動して再びロピに攻撃をする。
しかし、次の攻撃は誰にも当たる事はなかった。
「ふむ。流石にその攻撃は通しませぬッ。カネル!」
中型の強烈な一撃を抑え込むリガスに、驚いた様子の雰囲気を見せる中型。
更にリガスは続ける。
「貴方はこのテリトリーから出て行って貰います。オーハン!!」
リガスの第二の盾が発動し、中型を吹き飛ばした。
中型自体にダメージは無いが、自身より何倍も小さい者に吹き飛ばされた事に更に驚く中型。
その間に他の者達が吹き飛ばされた俺達の所まで集まって来た。
「アトス様、姉さん無事ですか?!」
「チ、チルちゃん! お兄さんが動かないんだよッ!!」
倒れる俺の側でロピが泣きそうな表情で妹のチルに状況を説明する。
それを聞いたチルも、また慌てて俺の様子を伺うが、ロピの言葉を聞いてオロオロするだけであった。
俺は無事だぞ……
意識がある事を伝えたかったが身体が動かない為、伝える事が出来ない。
「ほっほっほ。お二人ともアトス殿は大丈夫ですぞ、息をしておりますので無事です。それよりも今は前の敵に集中しなさい」
「「──!?」」
リガスの言葉に二人は安堵し、そして立ち上がる。
「魔族さん、私は何したらいい?」
「ふむ。中型はロピ殿をかなり危険視しております、なので当たらなくても良いのでツェーンショットをお願いします」
「分かったよ! あの中型をビビらせればいいって事だね!」
「ほっほっほ。その通りですな」
すると、ロピは腰にある中型のスリリングショットでは無く、背後に背負っている、自身と同じくらいの大きさが漆黒のスリリングショットを構えた。
「お兄さんをこんなにして、私許さないよ!」
ロピは漆黒のスリリングショットを地面に突き刺す。
そして、カウントを数え始めた。
「1……2……3」
ロピが今、使用しているスリリングショットはドワーフ族の村長であるキルが貴重な材料を使用して製作した自信作であり、使用者のスキルランクを一つ上げるという、とんでもない武器である。
その為、まだカウントを始めたばかりだと言うのにロピのスリリングショットからは、バチバチと煩いくらいの音が発している。
そんなロピを離れた場所から様子を伺っている中型は、どうするか悩んでいるのか、動かずジッとしている。
「4……5……6」
ロピのカウントが進むに連れて、音はどんどん大きくなって、既に耳を塞ぎたくなる程である。
「ふむ……ロピ殿、もうカウントを止めていいですぞ」
「7……えッ?!」
リガスの言葉にロピはカウントを止める。
「どうやら、中型は去った様ですぞ?」
「え? そうなの?」
ロピも含めて、皆が周りの様子を伺う。
「本当だー。中型の気配が消えたね?」
「うん。何も感じなくなった」
「どうやら、日が登って来たので部が悪いと思ったのでしょう」
リガスが顔を上げる。
リガスに続いて顔を上げると、そこには太陽が登り始め、次第に周りが明るくなって来た……
「ふぅ……やっと、逃げ切れたって事か? それとも、また俺達が認識出来ていないだけか?」
ディングは未だ、戦闘態勢を崩さずに辺りの様子を伺う。
「ふむ。恐らく今回は問題無いでしょう」
「そうか……」
リガスの言葉にディングはやっと構えを解く。
そして、その後は俺の怪我もある為、一旦村に戻る事にした。
怪我自体は大した事も無く、一日寝たら、いつも通り動く事が出来た。
そして、このまま中型を、そのままにしとく訳にはいかない為、俺達は再度中型を倒す為にオークの村を出る事にしたのであった……
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
欠損奴隷を治して高値で売りつけよう!破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公が転生したのは、ゲームに出てくる噛ませ犬の悪役奴隷商人だった!このままだと破滅フラグしかないから、奴隷に反乱されて八つ裂きにされてしまう!
そうだ!子供の今から回復魔法を練習して極めておけば、自分がやられたとき自分で治せるのでは?しかも奴隷にも媚びを売れるから一石二鳥だね!
なんか自分が助かるために奴隷治してるだけで感謝されるんだけどなんで!?
欠損奴隷を安く買って高値で売りつけてたらむしろ感謝されるんだけどどういうことなんだろうか!?
え!?主人公は光の勇者!?あ、俺が先に治癒魔法で回復しておきました!いや、スマン。
※この作品は現実の奴隷制を肯定する意図はありません
なろう日間週間月間1位
カクヨムブクマ14000
カクヨム週間3位
他サイトにも掲載
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる