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第10章
415話
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夜の静まり返った場所に聞こえる音は複数の寝息と、虫の声、そして木々が風によって擦れる音だけであった。
そんな三つの音に一つの音がプラスされた。
「アトスよ、見張り交換の時間だ」
ディングに声を掛けられて目が覚める。
夜の見張りとして四人ずつ交代制にした──どうやら見張りの時間になった様でディングが起こしに来てくれた様だ。
「あ、あぁ……今起きる……」
野宿と言う事もあり、熟睡なんて出来る筈も無いので俺は直ぐに身体を起こす事が出来た。
周りを見ると、既にリガスとチルは起きており、見張りに立つ為の準備を手早くしている。
そして、俺は自分が寝ていた場所の隣に視線を向ける。
「むにゅ……あはは……お肉があるよ……」
夜ご飯は、とても質素であり育ち盛りのロピには足りなかったのだろう……ロピは夢でもご飯を食べている様だ。
「うふふ、これはお兄さん……そっちはチルちゃん……魔族さんはそれ……そして……私はこの大きなヤツだよ……」
とても、幸せそうな表情と寝言に起こすのが申し訳ないが、俺は心を鬼にしてロピを起こす。
「ロピ、起きろ……見張りの時間だぞ」
身体を軽く揺するが、起きる気配は無い。
「ほら、起きないと皆んなが迷惑するから、起きなさい」
次は少し強めに揺する。
「あはは……お兄さん……そんな所触っちゃダメだよ……」
一体どんな夢を見ているのやら……
すると、後ろに誰かが立つ気配を感じて、後ろを振り向くと、そこにはチルが立っていた。
「アトス様、お任せください」
そう言って、何故だか少し怒っている様子のチルは手早く姉の目の前まで歩き、得意のチョップを姉のデコに落とす。
「──ッイデ!」
チョップした後は、何事も無かった様に再び見張りの準備を行なっていた。
「な、なんか痛い……なんでー?」
「ロピ、おはよう……み、見張り時間だから用意しなさい」
「見張り……? うん、分かった……用意する……」
まだ、半分寝ぼけているが、もそもそと起き出して準備を始めるロピ。
素早く準備を整えて、俺達はディング達と見張りを交換する。
「異常の方は?」
「いや、今の所は何も無しだ」
「そうか、なら後は俺達が引き受ける」
「頼む」
それだけ、言葉を交わし、見張りを交換する俺とディングであったが急に大きな揺れを感じた。
「「──ッなんだ?!」」
大きな揺れに驚きながらも、俺とディングは一瞬で腰を落とし周囲の状況を確認する。
「お、お兄さん無事?!」
「あぁ、大丈夫だ! 他の皆んなも無事か?!」
俺の言葉に次々と返答があり、全員無事な事を確認する。
「リガス! さっきの揺れは何か分かるか?!」
「ふむ。説明する必要は、どうやら無い様ですぞ!」
リガスの言葉を聞くのと同時に、目の前から大きな物体が近付いて来るのが分かった。
最初は夜という事もあり、見え辛かったが、その姿は次第に大きくなり今ではハッキリと見える。
中型か……
「中型が現れたぞッ!!」
ディングの声に緊張が走る。
そして、次第に暗闇に目が慣れて来たのか中型の姿がハッキリと見える様になる。
「お、おいアトスよ……なんだ……あれは……?」
中型の様子を見たディングがポツリと呟く。
他の者達も中型を見て、開いた口が塞がらない様だ。
なんだ、あの中型は……?
俺の目に映っている中型は異様であった。別に形が変形していたり普通のモンスターと異なっていたりなど、変異型って訳では無い。
ただ、変異型と同じくらいインパクトが有るのは確かである。
なんとその中型は傷だらけであった。
その傷は身体のあっちこっちにある。
「あんな異様な姿のモンスターは初めてだぞ……」
ディングの言う通り、異様過ぎる。何故、あんなにも複数の傷があるのかは謎だが、中型の身体に刻まれた傷は無数にあり、むしろ傷が無い箇所を見つける方が大変である。
「ディ、ディングさん! どうすりゃいい?!」
「と、突撃か?」
ディングの部下である四人のオーク達が慌てる様にしてディングに指示を仰ぐ。
恐らく、中型を見るのが初めてだったのだろう、オーク達は武器を構えつつもも腰は引けていた。
「アトス、どうする!?」
ディングも流石に中型を相手にするのは初めてなのか、どうすれば良いか分からない様だ。
「ディング、一度皆んなを一箇所に集めてくれ」
「分かった!」
俺の言葉にディングは大声を上げて、皆んなに集まる様に指示を飛ばした。
その間、俺は中型を観察するが、既にこの時点でおかしい事がある。
この中型なんで襲って来ないんだ……?
ハッキリ言えば、中型からすれば今が、絶好のチャンスだろう。
ロピ、チルとリガスはこれまでの経験から中型に標的にされても、なんとかなるだろう。
しかし、オーク達は別だ──今まで小型しか相手にして来た事が無い為、非常に困惑している様子である。
恐らく今なら直ぐにでも捕食可能だろう……しかし、中型は特に襲い掛かって来る様な事はせず、姿を現してからはずっと俺達の方をずっと見ているのであった……
そんな三つの音に一つの音がプラスされた。
「アトスよ、見張り交換の時間だ」
ディングに声を掛けられて目が覚める。
夜の見張りとして四人ずつ交代制にした──どうやら見張りの時間になった様でディングが起こしに来てくれた様だ。
「あ、あぁ……今起きる……」
野宿と言う事もあり、熟睡なんて出来る筈も無いので俺は直ぐに身体を起こす事が出来た。
周りを見ると、既にリガスとチルは起きており、見張りに立つ為の準備を手早くしている。
そして、俺は自分が寝ていた場所の隣に視線を向ける。
「むにゅ……あはは……お肉があるよ……」
夜ご飯は、とても質素であり育ち盛りのロピには足りなかったのだろう……ロピは夢でもご飯を食べている様だ。
「うふふ、これはお兄さん……そっちはチルちゃん……魔族さんはそれ……そして……私はこの大きなヤツだよ……」
とても、幸せそうな表情と寝言に起こすのが申し訳ないが、俺は心を鬼にしてロピを起こす。
「ロピ、起きろ……見張りの時間だぞ」
身体を軽く揺するが、起きる気配は無い。
「ほら、起きないと皆んなが迷惑するから、起きなさい」
次は少し強めに揺する。
「あはは……お兄さん……そんな所触っちゃダメだよ……」
一体どんな夢を見ているのやら……
すると、後ろに誰かが立つ気配を感じて、後ろを振り向くと、そこにはチルが立っていた。
「アトス様、お任せください」
そう言って、何故だか少し怒っている様子のチルは手早く姉の目の前まで歩き、得意のチョップを姉のデコに落とす。
「──ッイデ!」
チョップした後は、何事も無かった様に再び見張りの準備を行なっていた。
「な、なんか痛い……なんでー?」
「ロピ、おはよう……み、見張り時間だから用意しなさい」
「見張り……? うん、分かった……用意する……」
まだ、半分寝ぼけているが、もそもそと起き出して準備を始めるロピ。
素早く準備を整えて、俺達はディング達と見張りを交換する。
「異常の方は?」
「いや、今の所は何も無しだ」
「そうか、なら後は俺達が引き受ける」
「頼む」
それだけ、言葉を交わし、見張りを交換する俺とディングであったが急に大きな揺れを感じた。
「「──ッなんだ?!」」
大きな揺れに驚きながらも、俺とディングは一瞬で腰を落とし周囲の状況を確認する。
「お、お兄さん無事?!」
「あぁ、大丈夫だ! 他の皆んなも無事か?!」
俺の言葉に次々と返答があり、全員無事な事を確認する。
「リガス! さっきの揺れは何か分かるか?!」
「ふむ。説明する必要は、どうやら無い様ですぞ!」
リガスの言葉を聞くのと同時に、目の前から大きな物体が近付いて来るのが分かった。
最初は夜という事もあり、見え辛かったが、その姿は次第に大きくなり今ではハッキリと見える。
中型か……
「中型が現れたぞッ!!」
ディングの声に緊張が走る。
そして、次第に暗闇に目が慣れて来たのか中型の姿がハッキリと見える様になる。
「お、おいアトスよ……なんだ……あれは……?」
中型の様子を見たディングがポツリと呟く。
他の者達も中型を見て、開いた口が塞がらない様だ。
なんだ、あの中型は……?
俺の目に映っている中型は異様であった。別に形が変形していたり普通のモンスターと異なっていたりなど、変異型って訳では無い。
ただ、変異型と同じくらいインパクトが有るのは確かである。
なんとその中型は傷だらけであった。
その傷は身体のあっちこっちにある。
「あんな異様な姿のモンスターは初めてだぞ……」
ディングの言う通り、異様過ぎる。何故、あんなにも複数の傷があるのかは謎だが、中型の身体に刻まれた傷は無数にあり、むしろ傷が無い箇所を見つける方が大変である。
「ディ、ディングさん! どうすりゃいい?!」
「と、突撃か?」
ディングの部下である四人のオーク達が慌てる様にしてディングに指示を仰ぐ。
恐らく、中型を見るのが初めてだったのだろう、オーク達は武器を構えつつもも腰は引けていた。
「アトス、どうする!?」
ディングも流石に中型を相手にするのは初めてなのか、どうすれば良いか分からない様だ。
「ディング、一度皆んなを一箇所に集めてくれ」
「分かった!」
俺の言葉にディングは大声を上げて、皆んなに集まる様に指示を飛ばした。
その間、俺は中型を観察するが、既にこの時点でおかしい事がある。
この中型なんで襲って来ないんだ……?
ハッキリ言えば、中型からすれば今が、絶好のチャンスだろう。
ロピ、チルとリガスはこれまでの経験から中型に標的にされても、なんとかなるだろう。
しかし、オーク達は別だ──今まで小型しか相手にして来た事が無い為、非常に困惑している様子である。
恐らく今なら直ぐにでも捕食可能だろう……しかし、中型は特に襲い掛かって来る様な事はせず、姿を現してからはずっと俺達の方をずっと見ているのであった……
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