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第10章
413話
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朝食を済ませた俺達は、現在村の入り口に居た。
そこには俺達四人意外にもディングと他のオーク達が立ち並ぶ。
「お前達聞けッ!」
ディングの声にオーク達が注目する。
「今から俺達は問題となっている中型を討伐しに行く」
歴戦の戦士達が頷く。
「とても、危険な戦闘になる事だけは覚悟していろ──しかし、俺達にはアトスが居る!」
ディングが俺の肩に手を置く。
「皆んなも知っている通り、以前グダのクソ野郎の作戦によって俺達オークは半分以上の仲間を失い、更には小型も攻めて来た」
ディングの言葉に悔しそうな表情や怒りに震える様子のオーク達。
「恐らく、クソ野郎の作戦通りに事がすすんでいれば、俺達が今、こうして立っている事は無かっただろう」
何も知らない者からすればディングの言葉をオーバーに聞こえるかもしれないが、グダの作戦を、目の当たりにした俺からすれば、決してオーバーでは無かった。
「俺達が、今こうして生きているのは間違えなくアトス達のお陰だ──そして、そのアトス達が今回の中型討伐に力を貸してくれるから、安心してくれていいぞ!」
ディングの言葉に全員が頷き、となりに在るロピは面白おかしく笑っていた。
「ふふ、さっき私達が言った事を言っているね」
「シー。姉さん黙ってて」
ロピは口元を手で隠しながら笑っている。
「それでは早速向かおうとしよう」
先程まで、村人達と抱き合ったりして居たディングだったが、直ぐにこちらに戻って来る。
「もう、村人達への挨拶はいいのか?」
「あぁ、大丈夫だ」
それだけ言うと、ディングが歩み始める。
村総出と言うと少しオーバーかもしれないが、今回戦闘に参加しない者達が見送りに来ていた。
「ディングさん、絶対戻って来てくれよ!?」
「そうよ。貴方が居ないとこの村はダメだわ」
この村でディングの存在が如何に大きいのかが分かるな。
それから、村に残るオーク達は俺達が見えなくなるまで手を振り、声を掛けて居た。
「ディング、良い仲間達を持ったな」
「がははは、そうだろうそうだろう。俺としても自慢の仲間だな」
自身の仲間達が褒められて嬉しかったのか、歩くスピードが少しアップした。
そして、目的他は思っていた以上に村から近かった。
「アトス殿、気配がしますな……」
「魔族さんの言う通り、大きな気配が一つあるね」
「はい。恐らく目的の中型でしょう」
俺以外の何人かは何かを察知して歩みを止めるが俺からしたら全く分からない感覚であった。
「どこだ……?」
中型の位置を確認したい為、ロピ達に聞くが首を振られる。
「うーん、流石に分かんないや」
「近くに相手のモンスターがいる事は確かですが気配を殺しているのか、読み辛いです」
気配を殺している……? モンスターがそんな事を考えるのだろうか……
直ぐ近くに敵が居ることの緊張感を味わないながら、俺達は周囲を見渡して、中型がどこに居るかを確認する。
恐らく、この中で一番気配を読むのに長けているリガスに視線を向けるが、首を振られる。
「申し訳ございません。近くに居る事だけは確かなのですが、正確な位置までは分かりません」
リガスで分からないのだ、他の者達でも恐らくわからないだろう。
しかし、いくら木々で生い茂っているジャングルであっても、あれ程大きいモンスターが消えると言う事は無い──慎重に周囲を探すしか無いな。
「ディング」
「なんだ?」
「恐らく、この近くに居るから慎重に探そう」
「分かった──では、二手に分ける」
ディングが仲間のオーク達に声を掛けようとするが、それを止める。
「いや、待ってくれ──分けずに全員で探した方がいい」
「ふむ。アトス殿の言う通りですな。二手に分かれて、私達が居ない方が狙われたら助ける事が出来ませぬ」
俺達四人が居れば中型一体なら、倒せると思うが、バラバラになったら流石に無理だ。
「分かった。では、俺が先頭になろう」
「ほっほっほ。それなら私も前方の方が良さそうですな」
そうだな……リガスであれば中型の攻撃だろうが、防ぐ事が出来るだろうし、ディングは身体強化持ちだから、二人が先頭を歩くのがいいだろう。
「アトス様、私もリガスの後ろに控えていようと思います」
チルの言葉に、一瞬危険では無いか? という気持ちになるが、直ぐ様リガスが口を開いた。
「ほっほっほ。チル様は何があっても私が守ります」
リガスであれば大丈夫だろうという事で、チルも先頭に配置する事になった。
「お兄さん、私達はどうするのー?」
「俺達は、後方だな」
「分かったー!」
俺とロピの能力が生きる配置は後方の為、列の後ろの方に移動する。
その際に、ディングが仲間のオーク達にシッカリと俺とロピを守る様にと指示をした為、俺とロピの周りを強靭なオーク達が囲む様に配置に着いた。
「あはは、なんだか暑苦しいねー!」
「おまッ! 失礼だろ!」
ロピが頭に思い付いた事をそのまま口にしたが、それを聞いたオーク達は苦笑いしていた。
こうして、総勢9名による、陣形を組んだ俺達は中型を探す為に慎重に移動を始めた……
そこには俺達四人意外にもディングと他のオーク達が立ち並ぶ。
「お前達聞けッ!」
ディングの声にオーク達が注目する。
「今から俺達は問題となっている中型を討伐しに行く」
歴戦の戦士達が頷く。
「とても、危険な戦闘になる事だけは覚悟していろ──しかし、俺達にはアトスが居る!」
ディングが俺の肩に手を置く。
「皆んなも知っている通り、以前グダのクソ野郎の作戦によって俺達オークは半分以上の仲間を失い、更には小型も攻めて来た」
ディングの言葉に悔しそうな表情や怒りに震える様子のオーク達。
「恐らく、クソ野郎の作戦通りに事がすすんでいれば、俺達が今、こうして立っている事は無かっただろう」
何も知らない者からすればディングの言葉をオーバーに聞こえるかもしれないが、グダの作戦を、目の当たりにした俺からすれば、決してオーバーでは無かった。
「俺達が、今こうして生きているのは間違えなくアトス達のお陰だ──そして、そのアトス達が今回の中型討伐に力を貸してくれるから、安心してくれていいぞ!」
ディングの言葉に全員が頷き、となりに在るロピは面白おかしく笑っていた。
「ふふ、さっき私達が言った事を言っているね」
「シー。姉さん黙ってて」
ロピは口元を手で隠しながら笑っている。
「それでは早速向かおうとしよう」
先程まで、村人達と抱き合ったりして居たディングだったが、直ぐにこちらに戻って来る。
「もう、村人達への挨拶はいいのか?」
「あぁ、大丈夫だ」
それだけ言うと、ディングが歩み始める。
村総出と言うと少しオーバーかもしれないが、今回戦闘に参加しない者達が見送りに来ていた。
「ディングさん、絶対戻って来てくれよ!?」
「そうよ。貴方が居ないとこの村はダメだわ」
この村でディングの存在が如何に大きいのかが分かるな。
それから、村に残るオーク達は俺達が見えなくなるまで手を振り、声を掛けて居た。
「ディング、良い仲間達を持ったな」
「がははは、そうだろうそうだろう。俺としても自慢の仲間だな」
自身の仲間達が褒められて嬉しかったのか、歩くスピードが少しアップした。
そして、目的他は思っていた以上に村から近かった。
「アトス殿、気配がしますな……」
「魔族さんの言う通り、大きな気配が一つあるね」
「はい。恐らく目的の中型でしょう」
俺以外の何人かは何かを察知して歩みを止めるが俺からしたら全く分からない感覚であった。
「どこだ……?」
中型の位置を確認したい為、ロピ達に聞くが首を振られる。
「うーん、流石に分かんないや」
「近くに相手のモンスターがいる事は確かですが気配を殺しているのか、読み辛いです」
気配を殺している……? モンスターがそんな事を考えるのだろうか……
直ぐ近くに敵が居ることの緊張感を味わないながら、俺達は周囲を見渡して、中型がどこに居るかを確認する。
恐らく、この中で一番気配を読むのに長けているリガスに視線を向けるが、首を振られる。
「申し訳ございません。近くに居る事だけは確かなのですが、正確な位置までは分かりません」
リガスで分からないのだ、他の者達でも恐らくわからないだろう。
しかし、いくら木々で生い茂っているジャングルであっても、あれ程大きいモンスターが消えると言う事は無い──慎重に周囲を探すしか無いな。
「ディング」
「なんだ?」
「恐らく、この近くに居るから慎重に探そう」
「分かった──では、二手に分ける」
ディングが仲間のオーク達に声を掛けようとするが、それを止める。
「いや、待ってくれ──分けずに全員で探した方がいい」
「ふむ。アトス殿の言う通りですな。二手に分かれて、私達が居ない方が狙われたら助ける事が出来ませぬ」
俺達四人が居れば中型一体なら、倒せると思うが、バラバラになったら流石に無理だ。
「分かった。では、俺が先頭になろう」
「ほっほっほ。それなら私も前方の方が良さそうですな」
そうだな……リガスであれば中型の攻撃だろうが、防ぐ事が出来るだろうし、ディングは身体強化持ちだから、二人が先頭を歩くのがいいだろう。
「アトス様、私もリガスの後ろに控えていようと思います」
チルの言葉に、一瞬危険では無いか? という気持ちになるが、直ぐ様リガスが口を開いた。
「ほっほっほ。チル様は何があっても私が守ります」
リガスであれば大丈夫だろうという事で、チルも先頭に配置する事になった。
「お兄さん、私達はどうするのー?」
「俺達は、後方だな」
「分かったー!」
俺とロピの能力が生きる配置は後方の為、列の後ろの方に移動する。
その際に、ディングが仲間のオーク達にシッカリと俺とロピを守る様にと指示をした為、俺とロピの周りを強靭なオーク達が囲む様に配置に着いた。
「あはは、なんだか暑苦しいねー!」
「おまッ! 失礼だろ!」
ロピが頭に思い付いた事をそのまま口にしたが、それを聞いたオーク達は苦笑いしていた。
こうして、総勢9名による、陣形を組んだ俺達は中型を探す為に慎重に移動を始めた……
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