409 / 492
第10章
408話
しおりを挟む
「ん? お前アトスか?」
「よッ! ディング久しぶりだな」
オークの村の前で騒いでいた為、村長であるディングが様子を見にきた様だ。
「おぉ……。おおッ!!!!」
「「!?」」
ディングが少しの間を置いたと思ったら、いきなり大声を出し始めた。
あまりにも大きな声にロピとチルがビックリしてお互い身を寄せあって抱き合う。
そして、俺はディングと抱き合う……
「アトス、久しぶりだなッ!」
「いてぇーよッ! 加減しろ!」
「がははは、まぁそう言うな。俺はお前に感謝しているんだ、もう少しこうさせて来れ!」
ディングの逞しい胸板に挟まれる俺は、抵抗してどうにか出来ると思っていないのでされるがまま身を任す。
「あはは、お兄さん喜んでくれて良かったねー!」
「ほっほっほ。これは面白い」
クソ、あの二人……
「姉さんも、リガスも笑って無いでアトス様を助けないとッ!」
唯一チルだけは俺の事を心配そうに見ながらオロオロする。
やっぱりチルはいい子だ……
チルはディングと知り合いの為、攻撃をして良いのか悩んでいる様子だ。
結局俺はディングの気が済むまで、ずっと厚い胸板に押さえつけられる様にして抱擁を受けた。
「本当に久しぶりだな……それに……」
ディングは一瞬だけ俺の無い筈の腕を見る。
「そうか……ここ最近噂になっている隻腕とはお前の事か?」
「え?」
俺はまさか、ディング達の所まで噂が流されている事に驚く。
そしてディングが説明してくれた。
「がははは。ここ最近、妙に噂を聞いてな──信じられない程強い四人組がいるってな」
「四人組?」
「あぁ、そうだ。その噂では二つ名でその四人の活躍を言い表していた」
まさか、こんな辺鄙な所にも俺達の噂が?
「噂に出て来る者達はそれぞれ、隻腕、雷弾、剛腕、鉄壁と言われていたな」
「あはは。完璧に私達だねー」
商人達は一体何処まで話しているんだらうか?
「アトス……頑張ったんだな」
「はは、まぁ……な色々あったよ……」
「かははは。立ち話もなんだし、入ってくれ。これまでの話を聞かせてくれよ」
そして、ディングの前にリガスが姿を表す。
「ほっほっほ。お久しぶりです、あの時はどうもありがとうございますあなた方達のお陰でチル様に出会う事が出来ましたぞ?」
「そ、そうか。それなら良かった」
いくら、副村長であるゴブリン族のグダが考えた作戦だとしても、ディングは村長として、その作戦を許している。
その為、どうしてもリガスをボロボロになるまで放置したディングは気まずさを感じている様子だ。
そして、恐らくリガスはそんなディングの心情を知って敢えてディングに近付いているのだろう。
リガスの表情は実に楽しそうであった。
リガスが一通りディングを揶揄った後は、ロピ達が挨拶をする。
「お久しぶりー! 元気してたー?」
「お久しぶりです」
ロピとチルの言葉に反応したディングであったが暫くの間二人を見つめて、そして気がつく。
「アッ!? もしかして、この二人ってあの時の獣人のガキ達か?!」
「あはは、そうだよー!」
「あの時はお世話になりました」
ディングは大きくなった二人にとても驚いている。
それも、そうか……今では俺よりも全然身長が大きいロピとチルだが、当時はまだ俺の方が大きかった記憶がある。
ディングは二人を懐かしむ様にして見つめる。
「がははは。これは驚いた。ここまで成長しているなんて思わなかったぞ。うん、実に大きくなったな」
「私達、獣人族は成長するのが早いんだって!」
「あの時は子供でした」
俺から見れば、二人はまだまだ子供だけどな……
「ほっほっほ。私から見ればアトス殿も、まだまだ子供ですな」
「……俺の心を読むなよ」
「ほっほっほ」
こうして、俺達は再会を喜び合う。
そして、以前同様に村長であるディング宅にお邪魔する事になった。
「我が家だと思って寛いでくれ! それと、当分はこの村にいるんだろう?」
ディングは、まるで友人の様に俺達に接してくれる。
「いや、用を済ませたら直ぐにでも立つよ」
「何を言うかッ! 折角再会したんだし、懐かしむ事は沢山あるはずだらう!」
ディングの言葉に俺達は心が暖かくなるを感じた。
「はは、済まない。本当に急用なんだ──改めて、この村には遊びに行くよ」
「ぬぅ……それは……残念だ」
本当に残念そうにしているディングを見て微笑む俺達は一息入れた後に現在起きている事を話そうと決める……
「よッ! ディング久しぶりだな」
オークの村の前で騒いでいた為、村長であるディングが様子を見にきた様だ。
「おぉ……。おおッ!!!!」
「「!?」」
ディングが少しの間を置いたと思ったら、いきなり大声を出し始めた。
あまりにも大きな声にロピとチルがビックリしてお互い身を寄せあって抱き合う。
そして、俺はディングと抱き合う……
「アトス、久しぶりだなッ!」
「いてぇーよッ! 加減しろ!」
「がははは、まぁそう言うな。俺はお前に感謝しているんだ、もう少しこうさせて来れ!」
ディングの逞しい胸板に挟まれる俺は、抵抗してどうにか出来ると思っていないのでされるがまま身を任す。
「あはは、お兄さん喜んでくれて良かったねー!」
「ほっほっほ。これは面白い」
クソ、あの二人……
「姉さんも、リガスも笑って無いでアトス様を助けないとッ!」
唯一チルだけは俺の事を心配そうに見ながらオロオロする。
やっぱりチルはいい子だ……
チルはディングと知り合いの為、攻撃をして良いのか悩んでいる様子だ。
結局俺はディングの気が済むまで、ずっと厚い胸板に押さえつけられる様にして抱擁を受けた。
「本当に久しぶりだな……それに……」
ディングは一瞬だけ俺の無い筈の腕を見る。
「そうか……ここ最近噂になっている隻腕とはお前の事か?」
「え?」
俺はまさか、ディング達の所まで噂が流されている事に驚く。
そしてディングが説明してくれた。
「がははは。ここ最近、妙に噂を聞いてな──信じられない程強い四人組がいるってな」
「四人組?」
「あぁ、そうだ。その噂では二つ名でその四人の活躍を言い表していた」
まさか、こんな辺鄙な所にも俺達の噂が?
「噂に出て来る者達はそれぞれ、隻腕、雷弾、剛腕、鉄壁と言われていたな」
「あはは。完璧に私達だねー」
商人達は一体何処まで話しているんだらうか?
「アトス……頑張ったんだな」
「はは、まぁ……な色々あったよ……」
「かははは。立ち話もなんだし、入ってくれ。これまでの話を聞かせてくれよ」
そして、ディングの前にリガスが姿を表す。
「ほっほっほ。お久しぶりです、あの時はどうもありがとうございますあなた方達のお陰でチル様に出会う事が出来ましたぞ?」
「そ、そうか。それなら良かった」
いくら、副村長であるゴブリン族のグダが考えた作戦だとしても、ディングは村長として、その作戦を許している。
その為、どうしてもリガスをボロボロになるまで放置したディングは気まずさを感じている様子だ。
そして、恐らくリガスはそんなディングの心情を知って敢えてディングに近付いているのだろう。
リガスの表情は実に楽しそうであった。
リガスが一通りディングを揶揄った後は、ロピ達が挨拶をする。
「お久しぶりー! 元気してたー?」
「お久しぶりです」
ロピとチルの言葉に反応したディングであったが暫くの間二人を見つめて、そして気がつく。
「アッ!? もしかして、この二人ってあの時の獣人のガキ達か?!」
「あはは、そうだよー!」
「あの時はお世話になりました」
ディングは大きくなった二人にとても驚いている。
それも、そうか……今では俺よりも全然身長が大きいロピとチルだが、当時はまだ俺の方が大きかった記憶がある。
ディングは二人を懐かしむ様にして見つめる。
「がははは。これは驚いた。ここまで成長しているなんて思わなかったぞ。うん、実に大きくなったな」
「私達、獣人族は成長するのが早いんだって!」
「あの時は子供でした」
俺から見れば、二人はまだまだ子供だけどな……
「ほっほっほ。私から見ればアトス殿も、まだまだ子供ですな」
「……俺の心を読むなよ」
「ほっほっほ」
こうして、俺達は再会を喜び合う。
そして、以前同様に村長であるディング宅にお邪魔する事になった。
「我が家だと思って寛いでくれ! それと、当分はこの村にいるんだろう?」
ディングは、まるで友人の様に俺達に接してくれる。
「いや、用を済ませたら直ぐにでも立つよ」
「何を言うかッ! 折角再会したんだし、懐かしむ事は沢山あるはずだらう!」
ディングの言葉に俺達は心が暖かくなるを感じた。
「はは、済まない。本当に急用なんだ──改めて、この村には遊びに行くよ」
「ぬぅ……それは……残念だ」
本当に残念そうにしているディングを見て微笑む俺達は一息入れた後に現在起きている事を話そうと決める……
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
底辺召喚士の俺が召喚するのは何故かSSSランクばかりなんだが〜トンビが鷹を生みまくる物語〜
ああああ
ファンタジー
召喚士学校の卒業式を歴代最低点で迎えたウィルは、卒業記念召喚の際にSSSランクの魔王を召喚してしまう。
同級生との差を一気に広げたウィルは、様々なパーティーから誘われる事になった。
そこでウィルが悩みに悩んだ結果――
自分の召喚したモンスターだけでパーティーを作ることにしました。
この物語は、底辺召喚士がSSSランクの従僕と冒険したりスローライフを送ったりするものです。
【一話1000文字ほどで読めるようにしています】
召喚する話には、タイトルに☆が入っています。
料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~
斬原和菓子
ファンタジー
ここは異世界の中都市にある料理屋。日々の疲れを癒すべく店に来るお客様は様々な問題に悩まされている
酒と食事に癒される人々をさらに幸せにするべく奮闘するマスターの異世界食事情冒険譚
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる