過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第10章

407話

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「お兄さん、まだ着かないのー?」
「いや、そろそろだと思うんだけどな……」

 俺達がエルフの村を出てから、一ヶ月以上経過している。
 目的地に向かう為ひたすら歩き続けている俺達。

「まーだー?」

 ロピは今日、何度めか分からない質問を口にする。

「もう少しだ」
「もー。そればっかり!」

 口を膨らませて、むくれるロピを見て俺は笑う。

「あーッ! 今笑った?!」

 慌てて首を横に振り、否定する。

「嘘だー! 絶対笑った!」
「ほっほっほ。アトス殿はロピ殿の様子を懐かしんでいたのですよ」
「ん? なんで懐かしむのー?」

 ロピが首を傾げる。

「ふむ。先程ロピ殿が口一杯に空気を取り込み、ホッペを膨らます行為ですが、前は良くされておりましたから」
「えー? そうだっけ?」

 リガスは俺が考えていた事を全てロピに話してくれた。

「はは、リガスの言う通り。ロピは良くホッペを膨らませていたからな……それが懐かしくて笑ったんだよ」
「私は無意識やっている事だから全然知らなかった!」

 理由に納得してくれたのか、ロピは直ぐに笑顔に戻り、前を、向いて歩き出す。

 そんな姉を……

「単純な姉さんが、とても素敵です」
「ほっほっほ。それがロピ殿の利点でもありますからな」

 それからも、歩き続ける。
 ロピにはもう少しだと言ったが結局目的地到着したのは、更に二週間程経過した頃であった。

「はは、やっと着いたな」
「ほっほっほ。思ってたより距離がありましたな」
「予想ではもっと早く到着すると思いました」

 リガスとチルは目の前の簡素な村を見る。

 だが、約1名は目の前の村を見るのでは無く、どこかあらぬ所を見ていた。

「「「…………」」」

 俺達三人は一度顔を見合わせてから、代表で俺が声を掛ける。

「ロ、ロピ……? ど、どうしたんだよ、着いたぞ?」
「つーん!」

 俺の言葉を聞いていません! と言う様な態度で華麗に無視を決め込むロピ。

「わ、悪かったよ、もう直ぐとか適当な事を言って」

 どうやら、ロピはもう直ぐ着くと言う言葉を信じたにも関わらず結局二週間経過した事に腹を立てている様だ。

「姉さん、アトス様が謝っているから許してあげて?」
「許せないよッ! 私は今か今かと思いながら歩いていたのに、着いたのは結局二週間後なんだもん!」
「アトス様だって、間違える事はあるよ? 神様だけどミスはするもんだよ?」
「チ、チルちゃん……お兄さんは神様じゃ無いよ……?」
「ううん。アトス様は神様なんだよ? 
これは、何度もお話したよね?」

 何やら、俺に怒っていたロピだったが、今はその事をすっかり忘れて、妹の事を心配そうに見つめる。

「チルちゃん、そろそろ理解しようよッ! お兄さんは人間なんだよ?!」
「はぁ……」

 姉の言葉にチルは首を数度横に振ってから俺の方に身体を向けて、いきなり頭を下げ始めた。

「アトス様、申し訳ございません──私の姉が未だアトス様を神様だと信じてくれません。これも私の信仰心の弱さが原因でしょう」

 チルは、とても申し訳なさそうに口を開く。

「こんなんだけど、一応は私の姉です。どうかお許し下さい──これからは毎日アトス様が如何に神なのかを伝えます」
「チ、チルちゃん……? わ、私は別にチルちゃんから神様のお話なんて聞きたく無いよ……?」
「姉さんは黙ってて」
「はい……」

 妹の圧力に負けたロピはトボトボと俺の所に来た。

「お兄さん、チルちゃんの、この性癖だけは理解出来ないよ」
「俺もだよ……」

 先程までロピは俺に対して怒っていた様子だったが、今はチル悪癖が出て、それどころでは無い様子だ。

「これから毎日、姉さんには朝と夜にアトス様が神である事を説明しないと……睡眠時間は減るけど、姉さんの為ッ!」

 チルがブツブツと呟いている。

「お兄さん、私嫌だよ……夜は早く寝たいし、朝はギリギリまで寝ていたいよー」
「あきらめろ……」
「ほっほっほ。チル様は頑固ですからな──私とアトス殿は先に寝かせて頂き、朝はギリギリまで寝かせて貰いますよ?」
「ッえ?! それはズルイよ!」
「ほっほっほ。安眠を貪りますぞー!」
「うーっ!!」

 リガスは、ここぞと言わんばりにロピを楽しそうに揶揄う。

 リガスを追い掛けようとするが、以前の事を学んだのかロピは出しかけた足を引っ込めて、チルに向かって声を上げた。

「チルちゃーん! 魔族さんも私と一緒にお兄さんの事を毎日聞きたいって!」
「分かった。最近のリガスの態度は目に余る……アトス様の話を聞いて心を浄化するべき」
「あはは、これで魔族さんも一緒に夜は遅くまで起きて、朝は早く起きないとだねー」
「……ほっほっほ。これは一本取られましたな」

 俺達が目的地の目の前で騒いでいると声を掛けられた。

「がははは、もしかしてお前、アトスか?」

 そこにはとても大きな体格をしたオークが現れた……
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