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第9章
396話
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早いッ!?
正面から鋭い踏み込みと共に大剣を振るグンドウが居た。
私は咄嗟にスキルを発動させて後ろに下がる。
「ッチ、避けやがったか。カールはともかく奴隷の方にも避けられるとは思わなかったぞ?」
グンドウは大剣を肩に乗せて私の方をチラリと見る。
あんなのを食らったら終わりだろう。
「グンドウさん、誤解なので辞めましょうよ」
カールがグンドウを宥める為に声を掛けるが、聞く耳を一切持たずに、再び剣を振るう。
そして、次は先程より早く。
「ッ!?」
カールは咄嗟に飛び込む様にして避ける──先程まで優雅に避けていた時とは大違いだ。
「はは……参ったな……これは本当に不味い……」
表情は笑っているが、余裕は無さそうだ。
カールは腰に指していた双剣を取り出し、構える。
「ほぅ……ヤル気か?」
「えぇ……流石にタダで殺される分けには行きませんからね……」
「無駄なことを……」
忌々しそうにカールを一瞥した後に、再び大剣を両手で持ちカールに向かって振り下ろす。
「ック」
カールは先程と違って避ける事は無く、双剣を上手い具合にグンドウの大剣に這わせて受け流す。
しかし、今回は一撃で終わらず直ぐ様ニ撃、三撃と剣を振るう。
カールはその度に受け流すが、やはり元々の力量──いや、それだけでは無く身体能力の差もある様で、受け流す度に身体の軸がブレる。
「さっさと諦めろ」
「グンドウさん、ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
「ならんッ!」
「アンタ、俺の事捕まえる気無いだろうッ!」
そして、とうとうカールは両手に持っていた剣を吹き飛ばされ、丸腰しになる。
「死ねッ!」
グンドウは今までで一番早い振りで剣をカール目掛けて振り下ろす。
だが、やはりタダではやられないカールなのか、地面に転がりながらもグンドウの一撃を避け切る。
そして、部屋内には床を剣で叩く音が鳴り響いた。
叩くと言う表現では軽すぎる、グンドウの一撃は地面を抉り取っている。
避けられた事に、悔しそうな表情を浮かべるグンドウ。
どうやら標的は完全にカールの様だ。
これなら、逃げられるか……?
恐らく、このままスキルを全力で使用すればこの場から逃げられるだろう……ただ、心配なのはガルル達が無事に逃げられたかだ。
私がゆっくりと気が付かれない様に扉に向かって移動すると、それを見たカールは声を上げる。
「グ、グンドウさん奴隷が逃げますよ!」
カールに向かってゆっくりと歩いていくグンドウは一度立ち止まり、後ろを振り返り私を視認する。
「奴隷よ、動くな。お前もラシェン王の殺害に関与しているのだろう? なら、逃す気は無い」
カールの奴……余計な事を……
逃げようと思えば、恐らく可能だろう……だが、もう少し時間を稼ぐか。
私はグンドウに言われた通り、その場から動かないという意思を示す。
「物分かりの良い奴隷だ──さて、先ずはお前からだな」
グンドウの雰囲気に、流石のカールも笑みを浮かべる事が出来ない様子だ。
「グ、グンドウさん分かりました! 俺、グンドウさんに大人しく捕まりますから!」
この場を生き残るのは、それしか無いと考えたのかカールは降参と言わんばかりに両手を上げて無抵抗の意思を伝える。
しかし……グンドウは歩みを止めない。
「グンドウさん……?」
「お前は、人間族の害になる──だからここでお前を殺しとくのが得策だと俺は考えた」
「ま、待ってくださいよ! 流石にそれは無いでしょう」
もはや、カールの言葉はグンドウには届かず、一方的にグンドウが語り続ける。
「お前が遊撃隊隊長になってから、おかしな事ばかりが起こる」
「な、なんのことですか……」
「ラシェン王は元々他種族嫌いではあったが、お前が来てから更に潔癖と言っても良いくらいに他種族を敵視する様になった」
「偶々ですよ……」
「……かと言って、戦闘奴隷としてオーガやゴブリンを使う様になったのも、お前がラシェン王を唆したからだろう?」
「ち、違いますって!」
グンドウの言葉が本当か嘘かなんて、カール以外に分かる筈も無いが、グンドウは今回の他種族奴隷化の戦争の起因はカールだと思っている様だ。
「お前を殺して、この戦争を止められるか分からんが、お前はこの世にいない方がいいのだけは分かる」
話を聞く限り、グンドウは今回の全面戦争には反対の様子だ。
そして、とうとうカールの目の前に到着するグンドウ。
「向こうに行ったら、ラシェン王に謝るんだな──では、さらばッ!」
グンドウの両腕が淡く光る。
そして、自身と同じくらいの大剣を高々に掲げて、カールに狙いを定め、一刀しようとした、その時──
「──ッグンドウ殿お待ちあれ!」
室内でグンドウを止める声が響き渡る。
その声にグンドウは振り下ろす手を一旦止める。
すると、扉から室内に次々と人が雪崩れ込んで来た。
ん? なんだコイツらは……?
室内に入って来た者達はどいつも豪華そうな服装をしている為、全員が相当高い地位の者達だと見て取れる。
「ふふふふあははははは、お前ら遅いよ、全く」
すると、いきなりカールが笑い出した……
正面から鋭い踏み込みと共に大剣を振るグンドウが居た。
私は咄嗟にスキルを発動させて後ろに下がる。
「ッチ、避けやがったか。カールはともかく奴隷の方にも避けられるとは思わなかったぞ?」
グンドウは大剣を肩に乗せて私の方をチラリと見る。
あんなのを食らったら終わりだろう。
「グンドウさん、誤解なので辞めましょうよ」
カールがグンドウを宥める為に声を掛けるが、聞く耳を一切持たずに、再び剣を振るう。
そして、次は先程より早く。
「ッ!?」
カールは咄嗟に飛び込む様にして避ける──先程まで優雅に避けていた時とは大違いだ。
「はは……参ったな……これは本当に不味い……」
表情は笑っているが、余裕は無さそうだ。
カールは腰に指していた双剣を取り出し、構える。
「ほぅ……ヤル気か?」
「えぇ……流石にタダで殺される分けには行きませんからね……」
「無駄なことを……」
忌々しそうにカールを一瞥した後に、再び大剣を両手で持ちカールに向かって振り下ろす。
「ック」
カールは先程と違って避ける事は無く、双剣を上手い具合にグンドウの大剣に這わせて受け流す。
しかし、今回は一撃で終わらず直ぐ様ニ撃、三撃と剣を振るう。
カールはその度に受け流すが、やはり元々の力量──いや、それだけでは無く身体能力の差もある様で、受け流す度に身体の軸がブレる。
「さっさと諦めろ」
「グンドウさん、ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
「ならんッ!」
「アンタ、俺の事捕まえる気無いだろうッ!」
そして、とうとうカールは両手に持っていた剣を吹き飛ばされ、丸腰しになる。
「死ねッ!」
グンドウは今までで一番早い振りで剣をカール目掛けて振り下ろす。
だが、やはりタダではやられないカールなのか、地面に転がりながらもグンドウの一撃を避け切る。
そして、部屋内には床を剣で叩く音が鳴り響いた。
叩くと言う表現では軽すぎる、グンドウの一撃は地面を抉り取っている。
避けられた事に、悔しそうな表情を浮かべるグンドウ。
どうやら標的は完全にカールの様だ。
これなら、逃げられるか……?
恐らく、このままスキルを全力で使用すればこの場から逃げられるだろう……ただ、心配なのはガルル達が無事に逃げられたかだ。
私がゆっくりと気が付かれない様に扉に向かって移動すると、それを見たカールは声を上げる。
「グ、グンドウさん奴隷が逃げますよ!」
カールに向かってゆっくりと歩いていくグンドウは一度立ち止まり、後ろを振り返り私を視認する。
「奴隷よ、動くな。お前もラシェン王の殺害に関与しているのだろう? なら、逃す気は無い」
カールの奴……余計な事を……
逃げようと思えば、恐らく可能だろう……だが、もう少し時間を稼ぐか。
私はグンドウに言われた通り、その場から動かないという意思を示す。
「物分かりの良い奴隷だ──さて、先ずはお前からだな」
グンドウの雰囲気に、流石のカールも笑みを浮かべる事が出来ない様子だ。
「グ、グンドウさん分かりました! 俺、グンドウさんに大人しく捕まりますから!」
この場を生き残るのは、それしか無いと考えたのかカールは降参と言わんばかりに両手を上げて無抵抗の意思を伝える。
しかし……グンドウは歩みを止めない。
「グンドウさん……?」
「お前は、人間族の害になる──だからここでお前を殺しとくのが得策だと俺は考えた」
「ま、待ってくださいよ! 流石にそれは無いでしょう」
もはや、カールの言葉はグンドウには届かず、一方的にグンドウが語り続ける。
「お前が遊撃隊隊長になってから、おかしな事ばかりが起こる」
「な、なんのことですか……」
「ラシェン王は元々他種族嫌いではあったが、お前が来てから更に潔癖と言っても良いくらいに他種族を敵視する様になった」
「偶々ですよ……」
「……かと言って、戦闘奴隷としてオーガやゴブリンを使う様になったのも、お前がラシェン王を唆したからだろう?」
「ち、違いますって!」
グンドウの言葉が本当か嘘かなんて、カール以外に分かる筈も無いが、グンドウは今回の他種族奴隷化の戦争の起因はカールだと思っている様だ。
「お前を殺して、この戦争を止められるか分からんが、お前はこの世にいない方がいいのだけは分かる」
話を聞く限り、グンドウは今回の全面戦争には反対の様子だ。
そして、とうとうカールの目の前に到着するグンドウ。
「向こうに行ったら、ラシェン王に謝るんだな──では、さらばッ!」
グンドウの両腕が淡く光る。
そして、自身と同じくらいの大剣を高々に掲げて、カールに狙いを定め、一刀しようとした、その時──
「──ッグンドウ殿お待ちあれ!」
室内でグンドウを止める声が響き渡る。
その声にグンドウは振り下ろす手を一旦止める。
すると、扉から室内に次々と人が雪崩れ込んで来た。
ん? なんだコイツらは……?
室内に入って来た者達はどいつも豪華そうな服装をしている為、全員が相当高い地位の者達だと見て取れる。
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