過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第9章

381話

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「……」

 誰もが口を開かない。

 理由はカールの何気ない一言である。
 どうやら、炎弾ことヘラデス率いる軍がそろそろ戻って来る様だ。

「シク様……どうしますか?」

 ガルルが皆の代表として口を開いた。

「明日……だな」

 私の決断に反対する者は居なく、皆が表情を引き締めた。

「明日か……」
「うふふ、さすがシク様、良い判断ですわ。いつまでも長引かせても炎弾がいつ帰国するか分かりませんわ」
「わ、私も、さ、賛成です!」

 皆が言う様に、あまり先に伸ばしていると、炎弾達がいつも取って来るか分からない。

「よし、なら明日決行する」
「よっしゃ! そうと決まったら、明日に備えようぜ!」

 ググガの言葉に、リッテが呆れる。

「アンタ達兄弟って本当に単純ねぇ……」
「──ッちょっと待て! 私は何も言ってないぞ?! 言ったのはググガだ」
「アンタの弟でしょ? なら、弟はアンタの背中を見て成長したんだし!アンタが言ったようなものね」
「な、なんて女だ……」

 リッテの言葉にググガでは無く、ガルルの方が、心外そう顔をしていた。

「み、皆さん。は、早く詳細を決めましょう……」

 脱線していた話をキャリが戻す。

「でも、作戦と言っても、別に決める事なんてあるか?」
「はぁ……バカ兄弟ね……」
「「なんだと?!」」

 ガルルとググガが2人揃ってリッテに突っ込む。

「まさか、アンタ達は、十人全員でラシェン王の所に向かって、暗殺しようときているのかしら?」

 半目で二人を見るリッテ。
 そんな視線にガルルとググガは目を逸らす。

 そして……

「べ、別にそんな事は思ってねぇーけど、お、お前は何か作戦あるのか?」
「はぁ……よく聞きなさい。私なら二つにグループを分けるわ」
「な、なんでですか?」

 リッテの作戦にキャリが首を傾げる。

「簡単よ。一つのグループがラシェン王の暗殺チームで、もう一つのグループが逃走ルート確保するチームね」
「逃走ルートの確保?」
「基本はラシェン王を殺害して、誰にも見付からず逃走するのが理想よね?」

 私を含めて全員が頷く。

「だけど、人間族の王だし、更には寝室ともなれば見張りがどれくらい居るか分からないわ──そこで、もしバレたら完全に逃走ルートを潰されて終わりね」

 確かに……バレずに殺害出来れば良いが、想定外は考えてとくべきである。

「そうならない為にバレた時に、もう一つのグループが対処するのよ」
「よっしゃ! 理解したぜ──でも、グループ分けはどうするんだ?」
「そこなのよね……暗殺の方は勿論だけど逃走ルートを確保する方にもある程度強い者が居る必要があるわ」

 それからは、誰が、どっちのグループになるかを考え始める。

 そして、結果的には暗殺チームには私とガルル、ググガに他二人を含めた五人になった。

 もう一つの逃走ルートを確保するチームにはリッテとキャリ、他三人を含めた五人に決定する。

「よし、明日はこのチームで動く。そして決行は夜──ラシェン王が寝静まった時に行う」

 私の言葉に全員が頷いた。

「ラシェン王殺害後は速やかに人間族の住処から脱出する。その際に外で待機しているネーク達に合図するが、リッテ頼めるか?」

 私はリッテとキャリの方に顔を向ける。

「うふふ。シク様の頼みで有れば、この命に替えてでも実行致しますわ」
「わ、私も、ぜ、全力です!」
「よろしく頼む」
「「はい!」」

 頼もしい返事をする二人に頷く。

「明日は決して楽では無いが、作戦を必ずや成功させよう」
「「「「「はい!」」」」」

 それからは夕飯を作り、皆で食べる。
 
 ご飯を食べているとググガが思い出す様に話し始めた。

「そういえばよ、明日は集団戦するらしいな。折角の決行日だというのめんどくせぇーぜ」 
「あまり、体力を取られたく無いがしょうがない」
「うふふ。1対1で勝てなかったから、今度は集団戦とは単純ね」

 リッテは遊撃隊を嘲笑う。

「と、とにかく、明日は皆んな無理なく怪我無く訓練を終えましょうね」


 そして明日も訓練がある為、皆が早めに床に付いた。

 だが、私は何故か寝付けなかった為、小屋から出て外を出歩いている。

「明日決行か……絶対に失敗は許されないな」

 この作戦が失敗したら、もはやラシェン王を殺害出来るチャンスは無いだろう。

 失敗すれば全員捕まって殺されるだろうし、もしかしたら拷問されるかもしれない。

「私は……夢に出てくる男の子と会うまでは死ぬ訳に行かない……」

 こうして作戦成功する事を祈り小屋に戻る。

 外を歩いた事が良かったのか程良い睡魔が襲って来たので、私は明日に備えて寝る事にした……
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