380 / 492
第9章
379話
しおりを挟む
なんで、こんな場所にガバイが居る……
私は頭は混乱する。
人間族の住処に居る可能性はあったが、まさか城内に入れる程の身分だとは思ってもいなかった。
「ガバイさんは、城内には何の用事で?」
「ふふふ、少しラシェン王にお伝えする事がありましてね──カールさんは、何故城内に?」
ガバイはチラリと布を頭から被り、腕を鎖で繋がれたいる私達の事を見た。
「私は、つい最近奴隷を手に入れましてね」
「えぇ、その事は聞いていますよ。なんでもプブリウスさんから獣人奴隷をもぎ取った様ですね?」
何がおかしいのか、ガバイはとても良い表情をしている。
「流石、ガバイさん。お耳が早いですね」
「いやー、その事に関してはアナタに感謝しているんですよ。あのプブリウスさんの惨めな様子を見て、とても愉快でしたよ」
笑いを堪え切れないのか、口元を隠しているが、肩が小刻みに動いていた。
「それで、その者達がプブリウスさんか、奪い取ったという獣人奴隷ですかな?」
「えぇ、そうです。こちらの獣人はコロシアムで小型を討伐した程の実力を持っていますよ」
カールがガルルの方を指差す。
「それは、凄いですね……まぁ、所詮は獣人です、我々の様な上位種族に比べたら、なんともありませんね」
コイツ……やはり、あの時から何一つ変わらない……
私ですら、心の内がムカムカしているのだ──もし、この場でネークが居れば耐え切れず、確実にガバイを殺しているだろう……
「それにしても、獣人ですか……」
「ん? ガバイさんは獣人に興味が?」
カールがガバイの様子を見て質問する。
「いえいえ、獣人族とは少し縁がありましてね」
「ほぅ、どんな事が?」
「ふふふ、アレは愉快でしたよ──私が少しの間、ココを出ていたのは知っていますか?」
「えぇ、ラシェン王の指示で近くにある集落を落とす為に出掛けられたんですよね?」
カールの言葉にゆっくりと頷くガバイ。
「そうですそうです。そこでは人間族が村の村長をされていたのですが、おぞましい事に、他種族歓迎の村でしてね……」
「あはは、それはガバイさんに取って許せない事ですね」
「えぇ、そうなんですよ。至高種族である我々人間族以外を迎え入れると聞いて背筋が凍りましたよ」
ガバイは大袈裟に自身の巨体を震わせる。
「その村で、暫く過ごしていると、獣人族が村にワラワラと増えてきてしまったんですよ」
それは、恐らく私やネーク達の事だろう。
「もう、私にとって、それは耐え切れるものでは無かったですね」
「それで、ガバイさんはどうされたんです?」
「あはは、その獣人族のリーダー的な存在の妻を殺して村の道端に放置してやりましたよ」
ガバイの笑い声に、又もや私の身体は無意識に反応する。
ふぅ……落ち着け私……
「あはは、ガバイさんは本当に他種族相手に容赦無いですねー。その後はどうなったんです?」
「その後は、怒り狂った獣人族達が私の前に現れましたが、例の玉を使用して追い払ってやりましたよ」
「あぁ……あの玉を使用したんですね」
そして、ガバイがゆっくりと私達に近付いて来る。
「まぁ、結果を見たら大満足なんですが、一つだけ心残りがあるんですよね……」
「ほぅ。それはなんです?」
ガバイは私達の前で一度止まる。
「その獣人族の中には、ダブル持ちが居たんですよ」
「──ッ!? ダブル持ちって、ヘラデスさんみたいにです?」
カールに珍しく、少し驚く様子でガバイに確認する。
「えぇ、そうです。ヘラデス様と同じダブル持ちですね……まぁ、その時はまだ、発見して直ぐでしたので大した事はありませんでした──ですが、もしモンスター達から逃げ切った場合、恐らく我々の強敵になる事は確かですね」
そう言うと、ガバイはいきなり布を取り上げた。
「──ッ!?」
「…………ほぅ、この獣人は美しいですな」
「うふふ。お褒め頂き光栄ですわ。私はリッテと申します」
ガバイが取り上げた布は私では無く隣に居たリッテであった。
もし、ここでバレていれば作戦は全て水の泡になっていただろう。
私は身体全体から冷や汗が流れるのを感じた。
そして、リッテを見たガバイは少し関心していた。
「ほぅ。貴方は獣人族の癖に、言葉遣いがきれいですね?」
「ありがとうございます。ガバイ様の様な方に少しでも見て欲しくて練習致しました」
「なるほど。身の程を弁えていて好感がもてますね──もしカールさんに嫌気が刺したら私に言いなさい貴方であれば引き取ってあげましょう」
ガバイはリッテの身体を舐め回す様にして上から下まで、ネットリと見ていた。
「うふふ。とても嬉しいお誘いありがとうございます。ですが今の所はカール様に優しくして頂いていますので問題ありません」
「ご主人様を立てる事も出来る奴隷ですか……これは、いいですね」
どうやらガバイは完全にリッテの事が気に入った様で、私やガルルの事は目に入っていない様子だ。
さすが、リッテだな……
それから、ガバイは上機嫌のままラシェン王の所へと向かった。
帰り際の最後までリッテを自分の奴隷になる様に説得していたが、リッテは綺麗に交わすのであった。
「はは、あのガバイを惹きつけるなんて、リッテさんやるねー」
「うふふ。いえいえ、私なんて全然ですよ」
「いやいや、そんな事無いよ。あのガバイとか言う奴は凄い嫌な奴だが頭が回るんだよ──そんなガバイから気に入られるのは凄いよ」
カールの意見に同意だな。
私が、デグ達の村に居た時は、常に敵視する視線でこちらを見ていたからな。
それから、私達は一通り城内を見て周り小屋へと帰宅した……
私は頭は混乱する。
人間族の住処に居る可能性はあったが、まさか城内に入れる程の身分だとは思ってもいなかった。
「ガバイさんは、城内には何の用事で?」
「ふふふ、少しラシェン王にお伝えする事がありましてね──カールさんは、何故城内に?」
ガバイはチラリと布を頭から被り、腕を鎖で繋がれたいる私達の事を見た。
「私は、つい最近奴隷を手に入れましてね」
「えぇ、その事は聞いていますよ。なんでもプブリウスさんから獣人奴隷をもぎ取った様ですね?」
何がおかしいのか、ガバイはとても良い表情をしている。
「流石、ガバイさん。お耳が早いですね」
「いやー、その事に関してはアナタに感謝しているんですよ。あのプブリウスさんの惨めな様子を見て、とても愉快でしたよ」
笑いを堪え切れないのか、口元を隠しているが、肩が小刻みに動いていた。
「それで、その者達がプブリウスさんか、奪い取ったという獣人奴隷ですかな?」
「えぇ、そうです。こちらの獣人はコロシアムで小型を討伐した程の実力を持っていますよ」
カールがガルルの方を指差す。
「それは、凄いですね……まぁ、所詮は獣人です、我々の様な上位種族に比べたら、なんともありませんね」
コイツ……やはり、あの時から何一つ変わらない……
私ですら、心の内がムカムカしているのだ──もし、この場でネークが居れば耐え切れず、確実にガバイを殺しているだろう……
「それにしても、獣人ですか……」
「ん? ガバイさんは獣人に興味が?」
カールがガバイの様子を見て質問する。
「いえいえ、獣人族とは少し縁がありましてね」
「ほぅ、どんな事が?」
「ふふふ、アレは愉快でしたよ──私が少しの間、ココを出ていたのは知っていますか?」
「えぇ、ラシェン王の指示で近くにある集落を落とす為に出掛けられたんですよね?」
カールの言葉にゆっくりと頷くガバイ。
「そうですそうです。そこでは人間族が村の村長をされていたのですが、おぞましい事に、他種族歓迎の村でしてね……」
「あはは、それはガバイさんに取って許せない事ですね」
「えぇ、そうなんですよ。至高種族である我々人間族以外を迎え入れると聞いて背筋が凍りましたよ」
ガバイは大袈裟に自身の巨体を震わせる。
「その村で、暫く過ごしていると、獣人族が村にワラワラと増えてきてしまったんですよ」
それは、恐らく私やネーク達の事だろう。
「もう、私にとって、それは耐え切れるものでは無かったですね」
「それで、ガバイさんはどうされたんです?」
「あはは、その獣人族のリーダー的な存在の妻を殺して村の道端に放置してやりましたよ」
ガバイの笑い声に、又もや私の身体は無意識に反応する。
ふぅ……落ち着け私……
「あはは、ガバイさんは本当に他種族相手に容赦無いですねー。その後はどうなったんです?」
「その後は、怒り狂った獣人族達が私の前に現れましたが、例の玉を使用して追い払ってやりましたよ」
「あぁ……あの玉を使用したんですね」
そして、ガバイがゆっくりと私達に近付いて来る。
「まぁ、結果を見たら大満足なんですが、一つだけ心残りがあるんですよね……」
「ほぅ。それはなんです?」
ガバイは私達の前で一度止まる。
「その獣人族の中には、ダブル持ちが居たんですよ」
「──ッ!? ダブル持ちって、ヘラデスさんみたいにです?」
カールに珍しく、少し驚く様子でガバイに確認する。
「えぇ、そうです。ヘラデス様と同じダブル持ちですね……まぁ、その時はまだ、発見して直ぐでしたので大した事はありませんでした──ですが、もしモンスター達から逃げ切った場合、恐らく我々の強敵になる事は確かですね」
そう言うと、ガバイはいきなり布を取り上げた。
「──ッ!?」
「…………ほぅ、この獣人は美しいですな」
「うふふ。お褒め頂き光栄ですわ。私はリッテと申します」
ガバイが取り上げた布は私では無く隣に居たリッテであった。
もし、ここでバレていれば作戦は全て水の泡になっていただろう。
私は身体全体から冷や汗が流れるのを感じた。
そして、リッテを見たガバイは少し関心していた。
「ほぅ。貴方は獣人族の癖に、言葉遣いがきれいですね?」
「ありがとうございます。ガバイ様の様な方に少しでも見て欲しくて練習致しました」
「なるほど。身の程を弁えていて好感がもてますね──もしカールさんに嫌気が刺したら私に言いなさい貴方であれば引き取ってあげましょう」
ガバイはリッテの身体を舐め回す様にして上から下まで、ネットリと見ていた。
「うふふ。とても嬉しいお誘いありがとうございます。ですが今の所はカール様に優しくして頂いていますので問題ありません」
「ご主人様を立てる事も出来る奴隷ですか……これは、いいですね」
どうやらガバイは完全にリッテの事が気に入った様で、私やガルルの事は目に入っていない様子だ。
さすが、リッテだな……
それから、ガバイは上機嫌のままラシェン王の所へと向かった。
帰り際の最後までリッテを自分の奴隷になる様に説得していたが、リッテは綺麗に交わすのであった。
「はは、あのガバイを惹きつけるなんて、リッテさんやるねー」
「うふふ。いえいえ、私なんて全然ですよ」
「いやいや、そんな事無いよ。あのガバイとか言う奴は凄い嫌な奴だが頭が回るんだよ──そんなガバイから気に入られるのは凄いよ」
カールの意見に同意だな。
私が、デグ達の村に居た時は、常に敵視する視線でこちらを見ていたからな。
それから、私達は一通り城内を見て周り小屋へと帰宅した……
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説
妖精王オベロンの異世界生活
悠十
ファンタジー
ある日、サラリーマンの佐々木良太は車に轢かれそうになっていたお婆さんを庇って死んでしまった。
それは、良太が勤める会社が世界初の仮想空間による体感型ゲームを世界に発表し、良太がGMキャラの一人に、所謂『中の人』選ばれた、そんな希望に満ち溢れた、ある日の事だった。
お婆さんを助けた事に後悔はないが、未練があった良太の魂を拾い上げたのは、良太が助けたお婆さんだった。
彼女は、異世界の女神様だったのだ。
女神様は良太に提案する。
「私の管理する世界に転生しませんか?」
そして、良太は女神様の管理する世界に『妖精王オベロン』として転生する事になった。
そこから始まる、妖精王オベロンの異世界生活。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる