過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第9章

375話

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 そこには、カールの部下達が綺麗に整列していた。

「皆んな、おはよう」
「「「「おはようございます!」」」」

 カールの挨拶に部下達が綺麗に声を合わせて挨拶をする所を見ると、それだけで隊の練度が高い事が分かる。

「紹介する者達がいる」

 カールが鎖で繋がられている私達を部下に紹介し始める。

「既に知っている者もいるかもしれないけど、ここに居るのは奴隷の獣人族達だ──昨日のコロシアムで小型を二人で倒した猛者も居る」

 カールの説明に驚きの声を上げる者達が居る。

 すると一人の兵士が手を上げる。

「ん? どうした?」
「ハッ! この者達を何故引き取ったのでしょうか!」
「この奴隷達を使用して訓練をしようと思ってね」
「訓練でしょうか?」

 カールの考えが理解出来ない兵士達。

「そうだよ。今の部隊で小型を二人だけで倒せる者達は一体何人いると思う?」
「そ、それは……」

 部下の様子を見る限りいない様だな……

「いないよね? でも、それが悪いと言っている訳じゃ無いよ? ──俺達の部隊の売りは遊撃だからね。そこまで強い猛者は要らない」

 カールは一度部下達を見回して再度口を開く。

「でも、強いに越した事は無いよね? だから、この奴隷達を使用して戦闘訓練をするつもりだよ」
「成る程……説明ありがとうございます」

 部下の一人がカールに頭を下げる。

「全員に一回ずつは戦って貰うつもりだけど、奴隷は十人しか居ないから、気長に待っててよ」
「「「「「「はい!」」」」」」

 カール説明に納得したのか、先ほどより大きい声で返事をする部下達。

「それじゃ改めて紹介するけど、この二人が今回のコロシアムで小型を倒した猛者だよ」

 ガルルとググガの肩に手を置き説明する。

「獣人族だと侮っていると、ボコボコにされるから気をつけなよ?」

 カールは部下達を煽る様に言う。

 すると、早速反論する様にあちこちから声があがった。

「カール様、お言葉ですが我々人間族が獣人族なんかの下等種族に負ける筈がありませんよ」
「あはは、そうですよ──小型を倒したらと言っても弱り切った小型ですよね? それなら我々でも問題無く倒せますね」

 他の兵士達も次々と私達を蔑む様な言葉を投げ掛ける。

「あははは、いやー俺の部下達は頼もしいねー。それじゃ早速だけど戦闘訓練をしてみようか」

 何百、何千と居る部下達の中で何人か選抜したカール。

「よし、後の者はまた今度戦って貰うから各自、通常の訓練を始めてくれ──そして、俺達はこっち」

 カールに言われるがまま後を付いて行くと、そこには整地された場所であった。

「さてと、ここで戦って貰おうと思うんだけど……」

 私達と部下達を一通り見た後にカールは私で視線を止めた。

「シク……さんでしたっけ?」
「あぁ」
「先ずは貴方から戦って貰いましょうかね?」
「「「「──ッちょっと待った!」」」」

 すると、ガルル、ググガ、リッテ、キャリが急に大声を出してカールに問い掛ける。

「シク様の前に、先ずは俺にやらせて下さい」
「そうだぜ! シク様がやる位なら俺がやるぜ!!」
「うふふ。カール様、この私を先ずは一番手にお選び下さいませ」
「わ、私がやります!」

 いきなり、四人が大声で話し掛けて来た為、若干驚くカールであったが、ニコリと笑いながら……

「あはは、仲間思いなんだね──けどダメだよ。君達は奴隷だから俺の言う事に逆らわない様に。さぁシクさん準備して貰ってもいいかい?」
「あぁ」

 私は整地された場所に向かって歩き出そうとするが、皆が心配そうな表情を浮かべる。

「大丈夫だ。別に殺そうとしている訳ではない様だしな?」

 チラリとカールに視線を向ける。

「あはは、勿論殺すつもりは無いよ? それに危ないと思ったら俺が止めるし」
「なら、大丈夫だな」

 私は、そのまま歩き出す。

「それじゃ……こっちは、副隊長に相手して貰おうかな」
「ハッ!」

 何やら、他の部下達と比べて身なりが少し豪華と言うか派手な者が前に出る。

「はぁ……、あの獣人終わったな」
「あぁ、いきなり副隊長相手とはな」
「カール様を抜いたら一番強いもんな」

 むぅ……相手は二番目に強いのか。

「あ、そう言えば鎖をまだ取って無かったね」

 そう言って、カールは私の首輪と腕輪を取り、顔を隠す様に掛けていた布を取り払う。

「──ッな!?」

 私の顔を見た副隊長が、驚いた顔……いや、なんだか顔が赤いな……どうしたんだ?

 私は自由になった、手足を慣らす様に動かしながら、常に相手を見据える。

 油断は禁物だからな……

「き、綺麗だ……」

 副隊長が何やら顔を赤らめながら呟いていたが声が小さく聞こえない。

「く、くそ。獣人如きに目を奪われるなんて、なんて情けない!」
「あはは、副隊長よ、一応言っとくと、そのシクさんはプブリウスさんが本気で妻にしようと考えていた獣人だよ」
「ど、通りでこんなに……」

 何やらよく分からないやり取りをしているカールと副隊長。

 そして、よく分からない会話は人間族だけでは無く、私の味方もしている様だ。

「うふふ。流石シク様だわ──まさか人間族までも虜にしてしまうなんて」
「は、はい! さ、流石シク様です!」
「へへ、なんか俺達まで嬉しくなるぜ」
「ググガの言う通りだ」

 私は訳の分からない言葉を無視して構えを取る。

「それじゃ、そろそろ戦って貰うよ?」

 こうして、私と遊撃隊副隊長の戦いがはじまった……
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