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第9章
369話
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「ふふふ、とうとう始まりましたね」
隣に居るプブリウスは呟く。
私は闘技場に目を向けると、ガルルとググガが戦闘態勢の構えを取る。
「へへ、兄貴死ぬなよ?」
「お前こそ、油断するな」
二人は一度腰を落としたと思ったら一斉に走り出した。
「ほぅ……流石獣人族です──素早いですね」
獣人大好きなプブリウスは笑顔で二人の様子を見ている。
そして、闘技場ではググガが先行して小型の顔に向かって飛び蹴りを繰り出した。
「ッオラ!」
続いて、反対方向からガルルが同じ様に蹴りを繰り出した。
「ッフン!」
相手が人間であれば悶絶所では済まない威力の蹴りを食らった小型であったが……
「──ッチ、兄貴! 全く効いてねぇーぜ」
三メートル程と、通常の小型より小さめとは言えモンスターはモンスターである。
二人の攻撃は全く効いてない様子だ。
そして、小型はググガに向かって突進して来る。
「──ッあぶね!」
「ググガ、大丈夫か?!」
「あぁ、問題ねぇ! けど、どうする?!」
小型が二人を追い掛けると、会場内が少し沸き始める。
「イイぞー! 獣人なんて殺しちまえ!」
「あはは、オラオラ、早く逃げねぇーと、捕まっちまうぞ!」
誰一人として獣人族を応援する者は居ない。
「ググガよ、このままじゃ拉致が明かない──スキルを使用するぞ」
「ッチ、しょうがねぇーか」
「警戒されるから、本当は逃走時まで見せたく無かったがしょうがない」
二人の足が淡く光出す。
「ほぅ、あの二人のスキルは身体強化でしたか」
ガルルとググガの走るスピードが二倍くらい早くなるのを見て、スキルを言い当てるプブリウス。
そして、二人は再び小型に向かって走り出した。
「オラッ──次はさっきまでの威力とはチゲェーぞ!」
攻撃自体は先程同様に単純な飛び蹴りであった──しかし、先程と違ってググガが小型の顔面を蹴ると小型が蹴りの反動で顔が動くのであった。
「こっちも食らえ」
ガルルが続け様に飛び蹴りを喰らわすと、同じ様に蹴りの威力が高い為、小型の顔面が動く。
「へへ、スキルはさっきよりは効いている見てぇーだぞ!」
「いや、違うな……」
ググガの言葉を否定するガルル。
「兄貴、どういうことだ?」
「確かにスキルを使用した事により蹴りの威力が上がったが見てみろ……」
ガルルの視線を追うと、其処には何事も無かった様に二人を追い続ける小型の姿があった。
「全然効いてねぇ……」
「あぁ……単純に蹴りの威力で顔が動いただけで、ダメージは入ってない」
知りたくない真実を突きつけられた二人。
そんな様子なんてお構いなしに小型はひたすら二人を追い掛け続ける。
「兄貴、どうすりゃいい──このままじゃ、俺達の体力が先に尽きちまうぜ!」
無尽蔵の体力を持つ小型はひたすらに、二人を追い掛け続ける。
「ググガよ、前と同じ事をするぞ」
「前と同じってなんだよ!」
「一点を集中して攻撃するぞ」
「へへ、そういうことか、流石兄貴だぜ」
二人は逃げるのを辞めて、小型に向かって走り出した。
先程と違うのは、ググガを先頭にして、少し後ろにガルルが後を追う様にして走っている事であった。
そして、小型に近づくと、まずググガが顔面に蹴りを繰り出した。
「これでも食らっとけ!」
次に兄であるガルルも、間を置かずググガが蹴った後をなぞる様に蹴りを繰り出した。
すると先程まで、二人の攻撃が一切効いていなかった小型であったが二人がピンポイントで同じ箇所に蹴りを繰り出した事に、小型は動きを止めた。
「へへ、やっと止まりやがったぜ」
「油断するな、倒したわけでは無いんだからな」
「それにしても、どうやって倒すつもりだよ兄貴! ──さっきの攻撃は効いている見たいだったけど、結局大したダメージは与えてねぇーぞ?」
ググガの質問にガルルは答える。
「ここからは我慢比べだ」
「我慢比べ?」
「あぁ、俺達が殺されるのが先か、倒すのが先かだ!」
ガルルは再び小型に向かって走り続ける。
「ググガよ! 俺達はひたすらに同じ箇所に攻撃をし続けるぞ!」
「あぁ、分かったぜ!」
ガルルに続いてググガも後を追う様に走り出す。
「果たして何回──いや何十回、何百回同じ箇所に攻撃を繰り返せば、あの小型を倒せるのか分から無いがやるぞググガよ!」
「任せろ兄貴!」
二人は又もや同じ箇所に向かって蹴りを繰り出す。
そして、これまた同じ様に小型が動きが止まるのであった。
「へへ、やっぱり効いているみたいだな!」
「ググガよ、ゆっくりしている暇は無いぞ」
ガルルは休まず、再び小型に向かって蹴りを繰り出す。
「油断はしてねぇーから安心してくれ!」
ガルルの後ろから現れたググガは蹴りを繰り出す。
二人が何度も何度も同じ箇所に繰り返し攻撃をしている内に小型の動きが鈍くなるのが眼に見えて分かる。
「うむ……あの二人がまさか、此処まで強いとは……この戦いで生き残ったなら、私のコレクションに入れてあげてもいいですね……」
プブリウスの様な獣人好きは他におらず、殆どの観客はこの展開を詰まらなそうに見ていたのであった……
隣に居るプブリウスは呟く。
私は闘技場に目を向けると、ガルルとググガが戦闘態勢の構えを取る。
「へへ、兄貴死ぬなよ?」
「お前こそ、油断するな」
二人は一度腰を落としたと思ったら一斉に走り出した。
「ほぅ……流石獣人族です──素早いですね」
獣人大好きなプブリウスは笑顔で二人の様子を見ている。
そして、闘技場ではググガが先行して小型の顔に向かって飛び蹴りを繰り出した。
「ッオラ!」
続いて、反対方向からガルルが同じ様に蹴りを繰り出した。
「ッフン!」
相手が人間であれば悶絶所では済まない威力の蹴りを食らった小型であったが……
「──ッチ、兄貴! 全く効いてねぇーぜ」
三メートル程と、通常の小型より小さめとは言えモンスターはモンスターである。
二人の攻撃は全く効いてない様子だ。
そして、小型はググガに向かって突進して来る。
「──ッあぶね!」
「ググガ、大丈夫か?!」
「あぁ、問題ねぇ! けど、どうする?!」
小型が二人を追い掛けると、会場内が少し沸き始める。
「イイぞー! 獣人なんて殺しちまえ!」
「あはは、オラオラ、早く逃げねぇーと、捕まっちまうぞ!」
誰一人として獣人族を応援する者は居ない。
「ググガよ、このままじゃ拉致が明かない──スキルを使用するぞ」
「ッチ、しょうがねぇーか」
「警戒されるから、本当は逃走時まで見せたく無かったがしょうがない」
二人の足が淡く光出す。
「ほぅ、あの二人のスキルは身体強化でしたか」
ガルルとググガの走るスピードが二倍くらい早くなるのを見て、スキルを言い当てるプブリウス。
そして、二人は再び小型に向かって走り出した。
「オラッ──次はさっきまでの威力とはチゲェーぞ!」
攻撃自体は先程同様に単純な飛び蹴りであった──しかし、先程と違ってググガが小型の顔面を蹴ると小型が蹴りの反動で顔が動くのであった。
「こっちも食らえ」
ガルルが続け様に飛び蹴りを喰らわすと、同じ様に蹴りの威力が高い為、小型の顔面が動く。
「へへ、スキルはさっきよりは効いている見てぇーだぞ!」
「いや、違うな……」
ググガの言葉を否定するガルル。
「兄貴、どういうことだ?」
「確かにスキルを使用した事により蹴りの威力が上がったが見てみろ……」
ガルルの視線を追うと、其処には何事も無かった様に二人を追い続ける小型の姿があった。
「全然効いてねぇ……」
「あぁ……単純に蹴りの威力で顔が動いただけで、ダメージは入ってない」
知りたくない真実を突きつけられた二人。
そんな様子なんてお構いなしに小型はひたすら二人を追い掛け続ける。
「兄貴、どうすりゃいい──このままじゃ、俺達の体力が先に尽きちまうぜ!」
無尽蔵の体力を持つ小型はひたすらに、二人を追い掛け続ける。
「ググガよ、前と同じ事をするぞ」
「前と同じってなんだよ!」
「一点を集中して攻撃するぞ」
「へへ、そういうことか、流石兄貴だぜ」
二人は逃げるのを辞めて、小型に向かって走り出した。
先程と違うのは、ググガを先頭にして、少し後ろにガルルが後を追う様にして走っている事であった。
そして、小型に近づくと、まずググガが顔面に蹴りを繰り出した。
「これでも食らっとけ!」
次に兄であるガルルも、間を置かずググガが蹴った後をなぞる様に蹴りを繰り出した。
すると先程まで、二人の攻撃が一切効いていなかった小型であったが二人がピンポイントで同じ箇所に蹴りを繰り出した事に、小型は動きを止めた。
「へへ、やっと止まりやがったぜ」
「油断するな、倒したわけでは無いんだからな」
「それにしても、どうやって倒すつもりだよ兄貴! ──さっきの攻撃は効いている見たいだったけど、結局大したダメージは与えてねぇーぞ?」
ググガの質問にガルルは答える。
「ここからは我慢比べだ」
「我慢比べ?」
「あぁ、俺達が殺されるのが先か、倒すのが先かだ!」
ガルルは再び小型に向かって走り続ける。
「ググガよ! 俺達はひたすらに同じ箇所に攻撃をし続けるぞ!」
「あぁ、分かったぜ!」
ガルルに続いてググガも後を追う様に走り出す。
「果たして何回──いや何十回、何百回同じ箇所に攻撃を繰り返せば、あの小型を倒せるのか分から無いがやるぞググガよ!」
「任せろ兄貴!」
二人は又もや同じ箇所に向かって蹴りを繰り出す。
そして、これまた同じ様に小型が動きが止まるのであった。
「へへ、やっぱり効いているみたいだな!」
「ググガよ、ゆっくりしている暇は無いぞ」
ガルルは休まず、再び小型に向かって蹴りを繰り出す。
「油断はしてねぇーから安心してくれ!」
ガルルの後ろから現れたググガは蹴りを繰り出す。
二人が何度も何度も同じ箇所に繰り返し攻撃をしている内に小型の動きが鈍くなるのが眼に見えて分かる。
「うむ……あの二人がまさか、此処まで強いとは……この戦いで生き残ったなら、私のコレクションに入れてあげてもいいですね……」
プブリウスの様な獣人好きは他におらず、殆どの観客はこの展開を詰まらなそうに見ていたのであった……
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